裏切りの騎士・モードレッドとアーサー王の最期【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第4回】

2019-10-30 12:00 投稿

アーサー王物語編、(ひとまず)幕!

あぁ……、数年ぶりに見てもファンタスティックガールはファンタスティックだった……!

え? 何のことかって? それじゃあとっておきの写真を見s「載せんなっつってんだろ!!!」

く、詳しくはグーグル先生に聞いてちょ……! ってことでこんにちは、しゃれこうべ村田です!

今週の“しゃれこうべが語る元ネタの世界”、はっじまっるよォ~!

編集U「今回でひとまずアーサー王物語編がひと段落か」

いかにも! その締めくくりとしてご紹介しまするは、裏切りの騎士・モードレッド!

アレ揃いな円卓のなかでもとくにアレな家庭事情、そしてアーサー王の国を滅ぼした裏切りをご紹介しまするぞ!

【目次】

・生まれたときからフラグ持ち
・ランスロットとガウェイン
・モードレッドの裏切り、アーサー王最期の戦い
・次回からは伝説の武器編!

生まれたときからフラグ持ち

さーて今回主賓のモードレッド、まずは簡単なプロフィールをどどん!

アーサー王とその姉・モルゴースとのあいだに生まれた不義の子。魔法使い・マーリンの予言によって生後間もなく命の危機に見舞われるが、生き延びて円卓の騎士となる。

物語終盤にはアーサー王を裏切り、カムランの戦いにてアーサー王と最期の一騎打ちを行った。

20191028_モードレッド (1)

編集U「プロフィールの時点ですでにドロドロ感が……」

まずは最大のドロドロポイントである、彼の出生についてご説明を!

前回のガウェイン回でも触れた通り、モルゴースはアーサー王の父・ウーサーによって討たれたゴルロイス王の娘! アーサー王とは異父姉弟の関係にあります!

しかし、アーサー王はモルゴースに出会ったときにはそのことを知らず、うっかり姉のモルゴースと一夜をともにしてしまうのです!

編集U「で、生まれた子どもがモードレッドである、と」

20191028_モードレッド (2)

姉弟間のチョメチョメという、けっこうなレベルでの禁忌を犯してしまったことになるわけですが、「アーサー王は知らなかったし、モルゴースの策略にハマっただけだからセーフ」みたいに言われていますね!

編集U「セーフ……か……?」

ちなみに、一夜をともにした時点でモルゴースはロット王の妻となっており、ゴルロイス王の妻に手を出したウーサーと同じ禁忌を犯させるのがモルゴースの狙いだった、とも言われていますね!

編集U「は~。さすがに恨みが深いな」

母親は奪われ父親は殺され、おまけに領土も奪われて、ってな具合ですからね! どこぞのネオジャパン代表かってな話ですよ!

編集U「そういうのいいから」

さて、そんなこんなでモードレッドが生まれるわけですが、そのころ、マーリンがアーサー王に予言をするんですよ!

「5月1日に生まれた子どもが、やがてアーサー王とその領土を滅ぼすであろう」

編集U「不穏~」

その予言を聞いたアーサー王、さっそく行動に出ます!

20191028_モードレッド (3)r

編集U「外道か」

これもすべて王国のため、卑怯とは言うまいな……!(周囲は「マーリンが悪い」で意見が一致していたとか)

ほとんどの赤子はそのまま死んでしまったのですが、モードレッドは運よくどこかの浜に漂着! そこで親切な男に拾われ、生き延びたのでした!

その後、モードレッドは14歳になると円卓の騎士に加わる訳ですが……!

母親はアーサー&ウーサー親子withマーリンに恨みMAX、モードレッド自身も生まれた直後に殺され未遂と、もう裏切る素養はたっぷりですね!

編集U「……全部マーリンのせいなのでは?」

……否定はできませんね!!

んではそんなモードレッドがどのようにアーサー王を裏切ったか、そのへんを見ていきますか!

ランスロットとガウェイン

それはランスロットやその息子・ガラハッドなどが聖杯の探求を終えた後のこと。

冒険が落ち着き、つかの間の日常に浸っていたランスロットは、再び王妃・グィネヴィアのもとに通い詰めるようになります。

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編集U「ランスロットくんさぁ……」

ランスロットたちが隠そうともしなかったのか何なのか、宮廷ではふたりが不義の仲であるとの噂が流れ始めます。

そしてその不義をアーサー王に報告すべきである、と言いだしたのが、ガウェインの弟・アグラヴェインモードレッドです。

20191028_モードレッド (5)

※アグラヴェインが『乖離性MA』だと女体化されていますが、元ネタは男です。

編集U「不義をとがめるのは正しいんだが、どうにもきな臭い……!」

ぶっちゃけ不義がどうの、ってよりはアグラヴェインはランスロットに、モードレッドはアーサー王に対する反目的なところが大きかったっぽいですからね!

アグラヴェインたちの提案に、ガウェイン、ガヘリス、ガレスといったほかの兄弟たちは反対し、とくにガウェインは強く嫌悪感を示します。

「私の前で二度とそのようなことを話してくれるな。これは要望でもあり、命令でもある」

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しかし、アグラヴェインたちは止める気を見せず、呆れたガウェインたちが立ち去ると、すぐさまアーサー王にランスロットの不義を告げます。

これに対し、王は「何の証拠もなしにランスロットほど忠義にあつい騎士を罰することはできぬ」と答えました。

編集U「意外に冷静」

さすがに最高の騎士と呼ばれていただけあって、ランスロットに対する信頼度は(一部の騎士を除いて)かなり高かったみたいですね~!

これに対し、アグラヴェインとモードレッドは反ランスロット派の騎士たちを引き連れ、不義の現場を押さえる作戦に出ました。

彼らはまんまと現場に踏み込むことに成功しますが、ランスロットを捕えようとするも手痛い反撃に遭い、アグラヴェインを含めた12人の騎士が斬殺されてしまいます

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編集U「ランスロット強すぎでは」

伊達に最高の騎士とは呼ばれてませんぜ!

これ以上の証拠がある訳もなく、アーサー王はふたりの不義を認め、グィネヴィアを火刑に処さざるを得ない状況になってしまいました。

王妃が火刑台にかけられる場にいることは耐えられない、とガウェインは辞退しますが、ガヘリス、ガレスの両名は処刑場の警備を任されます。

彼らも武装することはよしとせず、鎧も剣も持たぬまま、グィネヴィアを救出に来るであろうランスロットを説得しようとしていました。

が、仲間の騎士たちを連れて処刑場へとやって来たランスロットは、グィネヴィアを救出するための騒動のなか、武装していなかったガヘリスとガレスをも切り伏せてしまったのです。

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編集U「うわぁ」

それまでは穏便にことを済ませようとしていたガウェインでしたが、弟を3人も殺されては黙っていられません。

これにより、ランスロット派の騎士たちとアーサー王&ガウェイン派の騎士たちによる大規模な戦いが始まるのでした。

編集U「アーサー王からすれば不倫野郎、ガウェインからすれば弟殺し、これが裏切りの騎士か……」

い、いやその称号はモードレッドのものですから!!

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ランスロットが海を渡って生まれ故郷のブルターニュ地方(フランス)に戻ると、アーサー王やガウェインたちも彼を追ってフランスへ向かいます。

アーサー王がうっかり負けてランスロットに温情をかけられたりしたこともあり、一時的な和睦が結ばれたものの、怒りのガウェインは戦い続けると言って引きません。

とうとうランスロットとガウェインの一騎打ちとなりましたが、午前中のパワーアップタイムを死に物狂いで耐えたランスロットは、とうとうガウェインにも勝利します。

編集U「ガウェイン……惜しい騎士をなくした……」

まだ死んでないですよ!!

決着の後、互いが流した血の海に立って向かい合うふたりの騎士。

「いまここで殺さねば、俺はまた貴様の命を奪いに来るぞ、この裏切り者め」

「そのときは、またお相手いたしましょう。あなたもご存知のように、私は倒れている騎士を討つようなことはしないのです」

編集U「なんかけっこういいシーンじゃねぇか……」

と、しんみりしていた訳です、が!

ここで本土イギリスに残っていたモードレッドの裏切りが発動!!

編集U「そう言えばモードレッド回だった……!」

モードレッドの裏切り、アーサー王最期の戦い

アーサー王たちがフランスへ出征するあいだ、留守を任されていたモードレッド。

しかし彼はフランスから届いた報せと偽り、アーサー王が戦死したことを宣告し、みずからを王とすると、王妃・グィネヴィアを自分の妻にすると宣言します。

20191028_モードレッド (10)rr

編集U「いきなりてんこ盛りの裏切りだな」

グィネヴィアは何とかモードレッドの手を逃れて逃走し、裏切りの報せを聞いたアーサー王の軍勢は急ぎイギリスへと帰還しました。

アーサー王たちが港に着くや否や、待ち構えていたモードレッド軍との戦いが始まります。

何とかモードレッド軍を退けたアーサー王たちですが、この戦いでガウェインは命を落としてしまいます。

息を引き取る間際、彼はアーサー王に懇願しました。

「このような事態に陥ってしまったのは、すべて私の怒りが原因です。

王よ、我が叔父上よ、どうかランスロットを許してほしい。

彼と手を取り合えされすれば、モードレッドとの戦いも乗り越えられるでしょう」

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編集U「最期の最期にランスロットを許したか……!」

この終盤におけるふたりの関係性は、個人的にもかなりアツいですね……!

ガウェインの死後、アーサー王はモードレッド軍と幾度か交戦し、そのたびに敵軍を追い詰めました。

そしてある日、眠ったアーサー王の夢に、ガウェインが現れ、助言を残します。

「王よ、モードレッドとのあいだにひと月の和睦をお結びください。

その時間があれば、ランスロットの援軍も駆けつけ、のちの戦いも危機も乗り越えられましょう。

戦いを急いではなりませぬ。さすれば、貴方は命を落としてしまうでしょう

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編集U「まさかの即再登場」

ま、まぁけっこうカットしてお伝えしてるからってことで……!

助言に従い和睦を結ぼうとしたアーサー王でしたが、モードレッドを警戒し、「敵が剣を抜けばすぐさま戦闘開始だ」と騎士たちに命じます。そして、モードレッドも同様の命令を下していました。

両軍が調停の席に着いたとき、とある騎士が蛇に咬まれ、これを退治しようと剣を抜いた瞬間、双方の全勢力は一斉に戦いを始めてしまいます。

戦いは壮絶を極め、長時間の争乱の後、モードレッド軍はモードレッド自身を残し全滅、アーサー王側も王自身と騎士ひとり、そして王の執事・ルーカンが残るのみとなりました。

編集U「すげー死んだな……」

ちなみに、生き残った騎士はベディヴィアであったり、グリフレットであったりしますね!

20191028_モードレッド (12)

※『乖離性MA』だと女体化されていますが、ふたりとも元ネタは男です。

「残るは貴様だけだ、裏切り者のモードレッド」

「来い、偽りの王よ」

槍を手に取るアーサー王、剣を構えるモードレッド。

ガウェインの霊が伝えた忠告に従うべきだと止めるルーカンの声も聞かず、アーサー王はモードレッド目がけて駆けていきます。

アーサー王の抱えた槍はモードレッドの鎧を突き破り、その身体を貫きますが、モードレッドも最期の力を振り絞り、両手で握りしめた剣を王の頭に振り下ろしました。

ほどなくしてモードレッドはこと切れ、アーサー王も瀕死の重体となって倒れます。カムランの地を死者が埋め尽くした戦いは、ここに幕を閉じたのでした。

編集U「……ん? エクスカリバーは……?」

これがどうも、最期の場面では剣ではなく槍を使っているんですよね~!

“カムランの戦い”とかでググって見ると、アーサー王が槍を持ってる絵がヒットするんですよ、これが!

チート防御性能の鞘は別のエピソードで紛失していますが、剣はこの後どうなったかと言いますと……!

エクスカリバーの返還とアヴァロン

戦いの後、アーサー王は生き残った唯一の騎士・ベディヴィア(あるいはグリフレット)にエクスカリバーを託し、森の湖に剣を返すように命じます。

王の聖剣を湖に投げるのはあまりにもったいない、と、ベディヴィアは2度ほど湖に返したフリをしますが、王に見破られてしまいます。

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編集U「返してこいっつってんだろ!!!」

ま、まぁ唯一の形見みたいなものですし……?

3度目にしてやっと決心したベディヴィアが湖に聖剣を投げ込むと、湖から現れた白い腕がこれを掴み、アーサー王に敬意を示して剣を3度振りかざした後、湖に消えました。

その後、アーサー王の要望に従って浜辺に向かうと、煌びやかな貴婦人たちを乗せた船が現れ、アーサー王をアヴァロンの島へと誘います。

傷ついたアーサー王はアヴァロンにて身体を休め、人々が彼を必要とするそのとき、再び姿を現すのです。

~ 完 ~

ちなみにですが、その後ベディヴィアが教会でアーサー王の死体を見つけるパターンもありますね!

こちらはアーサー王回で触れたプロパガンダ的な流れで、「アーサー王は帰ってこないからさっさと新しい王を迎えようぜ!」みたいな感じにつながるんだとか!

編集U「は~ん、なるほどねぇ」

ついでで言えば、グィネヴィアは自分の行動を悔やんで尼僧となり、彼女を探しにきたランスロットにも二度と会わないことを誓っていたりしますね!

ランスロットも別の礼拝堂で隠者とともに暮らし、ふたりとも別々に息を引き取ったそうな!

編集U「お~、最後はさすがにと言うか何と言うか」

以上、ざっくりながら4回に渡るアーサー王物語のご紹介でござんしたッ!!

次回からは伝説の武器編!

ってことで、アーサー王物語編の締めくくりとなるモードレッド回でしたよ!

ま~だまだ紹介していないエピソードも騎士も盛りだくさんですが、ひとまずのひと区切り!

興味が出た方は本やら映画やらドラマやらをチェックしてみるのもオススメですよ!

編集U「映像系は海外作品がけっこう多いからな~」

個人的にはネッ○フリックスで配信されてるドラマの『魔術師 マーリン』が好きなんですけどね!

シーズン3の途中まで見てたらいつの間にかシーズン1のみ配信になってて涙目!!

編集U「見られるときに見ないから……」

ぬおぉ……!

ってな話はいいとして、次回以降の予告ですよ!

アーサー王物語編のつぎは、伝説の武器編といきましょうか、と!

編集U「あ~、じゃあ次回はエクスカリバーとか的な?」

も、いいんですが! このあいだの即位礼正殿の儀で、天叢雲剣がわりと話題になったじゃないですか!

次回はこちらについて語らせていただこうかと!

ところで剣と言えば刀! 刀と言えばスターダム所属の刀羅ナツコ!!

そう、アタクシがデザインさせていただいたTシャツの話ですね!! これね!!

なんと売れ行き好評で残り数枚だそうです!! やったぜェー!!

編集U「唐突に何の報告ブッ込んでんだ!!!」

HAHAHA!

したらば、また来週ッ!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

ブルフィンチ,トマス(1994)『アーサー王物語』(大久保博訳) 角川文庫.
マロリー,トマス(2004)『アーサー王物語』(井村君江訳)(第1巻) 筑摩書房.

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