『Ingress』ダルサナ再来!!【前編】4年半の年月を経て渋谷に戻ってきたXMアノマリーをアジア統括本部長川島優志氏と振り返る

2019-03-27 16:41 投稿

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Ingress Prime(イングレス プライム)

終わりなき戦いとエージェントの絆

2019年3月23日、ナイアンティックが手掛ける位置情報ゲーム『Ingress』の大規模イベントが東京・渋谷を中心に開催された。

その名は”ダルサナプライム東京”。いまから約4年半前の2014年12月13日に行われたダルサナ東京の簡単にいえば再来という国内エージェントにとって重要な1日となった。

この約4年半という年月を経たいま、ナイアンティックは何を感じているのか。

本記事では代表取締役の村井説人氏、アジア統括本部長である川島優志氏が明かす想いのほか、イベントリポートと合わせてフリーライターの深津庵が前後編の2部構成でお届けする。

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思い描いた通りになるか不安だらけのスタート

――2014年のXMアノマリー“ダルサナ東京”の会場となったベルサール渋谷ガーデン。そこに再び戻ってくることができました。いま改めてこれまでの約4年半を振り返り、『Ingress』はどう成長したと感じますか?

川島優志氏(以下、川島) まず最初にこの長い待機列(全体の登録者数は1万人以上と後日発表)と、多くの作品が並ぶ頒布会。その光景を見るだけでもう、言葉でどう表現していいのかわからない。ただただ感動しているところなんです。ひとつのゲームで考えた場合、5年6年と展開していくとブームは低下していき、新たなバージョンへと引き継がれていくことが多いですよね。

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▲これは当日9時半過ぎ、ベルサール渋谷ガーデンタワーの受付会場にできた長蛇の列を撮影したもの。受付は12時まで行われ、多くのエージェントが集まっていた。

――とくにいまの時代、長期プレイを継続するユーザーは減っている。位置情報ゲームとして考えてもこれは大きな成果ですね。

川島 多人数が参加するタイトルで考えたとき、長く続くものはさほど多くないと思います。そんな中、『Ingress』が6年目を迎えられたのは、始まった当時から変わらずエージェントのみなさんが支えてくれたからこそ。こうやって再びこの渋谷の同じ会場で、こんなにもすばらしい光景を見ることができたと実感しています。

――約4年半の年月を経て立つこのベルサール渋谷ガーデンタワーはどう映りましたか?

川島 いつもインタビューで「『Ingress』はエージェントのみんなと歩んできた」と答えています。しかし、2014年のダルサナ東京当時、私とジョンには不安しかありませんでした。2人でタクシーに乗って集合場所だった日比谷公会堂に向かっているとき、正直何が起こるのか。それこそ成功するのかもわからなかったんです。そしてあれから5年目の今日、同じ気持ちでこの会場を訪れたとき、目の前にあったのがこの長蛇の列だった。その光景に……もう、ね。

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▲今回のインタビュー中、何度も言葉に詰まる場面があった川島氏。それだけ感慨深い光景であったということ、この“ダルサナ”というものに重要な意味があるのだと感じることができた。

――あの当時、村井さんの立場はいまとまったく違いましたよね。

川島 村井は2014年のダルサナ当時、まだGoogleの地図部門も担当していました。そんな中で最初は20%くらい手伝ってもらっていたのが、気づけば50%になっていた。まさにそんな時期だったんだよね。

村井説人氏(以下、村井) そうそう!

川島 いま考えるとあの瞬間を体験した数少ないメンバーだし、まだ社長でもなかったという。

村井 そうなんだよね。あの少し前、2014年5月に開催した石巻のイベント以降、Android版に続いてiOS版もリリースされ、確実にエージェントが増えていることを実感していました。この状況でXMアノマリーを東京で開催したらどんなことになるのか。集合場所が日比谷公会堂に決まったときもどれだけ収容できるのかなど、自前で運営する我々は何も予測ができない状況だったんです。

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▲これが約4年前、ダルサナ東京のアフターパーティーで壇上に上がっていた川島氏と村井氏を写したもの。いま改めて見ると、そうそうたるメンバーが集まっていたことがわかる。

川島 自分たちの思い描いた通りになるのか心配でしたね。

村井 企画したイベントはこれでよかったのかと不安になりながら、私とマサ(川島)さんとジョンで日比谷公会堂に行ったら長蛇の列ができていた。あのときのジョンのうれしくてたまらないって表情が印象的で忘れられません。

川島 多分今日、ここに来きて列を見た瞬間の私の表情はジョンと同じだったと思います。

村井 そうだよね、間違いないね。あれから京都、仙台、沖縄、浜松、東京・お台場など多くのXMアノマリーを経験。どんどん規模が大きくなり、再びこの地に帰ってきたことは感慨深いですね。

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▲『Ingress』を小学生にたとえたらもう卒業間近だと伝えると、義務教育は中学生まで3年はあると村井氏。まだまだここからが本番だという意気込みにも感じられるチカラ強い言葉だった。

エージェントという存在が支えた4年半の成果

――頒布会を覗いてきたということですが……もしかしてここにあるふたつの大きな袋が戦利品でしょうか?

川島 どれもよくてたくさん買ってしまいました。この頒布会も歴史は長く出店してくださる常連さんも多い。ラーメンどんぶりやアクセサリー、プロのマンガ家さんが手掛ける本もある。クオリティもどんどん上がっているので、たくさんのかたに覗いてもらいたいですね。

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▲うれしそうに戦利品を広げる川島氏。机に並びきらないほどの量があり、そのひとつひとつを丁寧に説明してくれた。

川島 まだGoogleだったNiantic Labs当時、私が最初に手掛けたのが2014年3月に京都で開催したバーストオペレーションというものでした。あのときは参加者が24人だったのですが、当時のエージェントが今回頒布会にも参加していて、先ほどいっしょに写真を撮ったんです。ここで再会できるとは思わず、『Ingress』を続けてくれていること、頒布会も参加してくれていたことに感動しましたね。

――その24人のエージェントとの体験が川島さんの中で大きな刺激になり、いまにつながっているわけですね。

川島 こうした体験は世界中で起こっていて、確実にコミュニティを広げている。それが『Ingress』のおもしろいところだと信じて今日まで歩んできた。そうした想いが間違いではなかったと確信できたのも、このダルサナプライム東京です。もちろん、これはエージェント自身が絆というものを大切にしてくれたからこそであり、約4年半の年月を経て再び動き出した“ダルサナ”というキーワードがそうした想いを強くさせ、ここに導いてくれたのかもしれません。

――“これまでとこれから”思い出をつなぎ新しい何かを生み出そうとする意思ですね。

川島 その通りですね。今回、中国や台湾、ベトナムなど海外からも多くのエージェントが参加しています。その中の1人、チームリーダーと話す機会があったのですが、目をうるませながら「今回こそ勝ちたい」と想いを明かしてくれたんです。そこまで大人が本気で何年も遊べるものを我々は作ってきたんだという喜びを感じています。

――国内では最近、両陣営が自発的にTwitterアカウントを開設。さまざまな『Ingress』情報を発信する広報的なアクションを起こしています。そうした動きをどう感じていますか?

川島 『ポケモンGO』と比べると『Ingress』は大人のプレイヤーが多く、個々が自分の職分といいますか、エンジニアや報道関係者、ミュージシャンなどプロフェッショナルな領域を持ってい方が多い。そうしたスキルを集結させ遊びにつなげていますよね。そのひとつが両陣営のTwitterの広報活動であり、現実とゲームを結び付ける重要な柱なんだと思います。

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▲川島氏はエージェントによるアクションが『ポケモンGO』にも派生してほしいと語る。

さて、今回のダルサナプライム東京は、詳しいことは省くが従来のXMアノマリーからいくつかのルール改定が行われた。

筆者にとって戦いにちゃんと参加するのは、2015年6月20日に開催されたペルセポリス仙台以来のこと。

チームリーダーから「ひとつでも多くのポータルをハックすべし」と指示があり、日比谷公園から始まり指定された場所を移動しつつ、最終的に港区にある南桜公園で自分に与えられた役割を終えた。

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これにて川島氏へのインタビュー前編は終了。

後編ではリカージョンがどのように生まれ、対象のメダルが階層タイプになる予定はあるのか。

アニメ『Ingress』が今後どうなっていくのかなど未来についてお届けする。

さらに、ベルサール渋谷ガーデンタワーで行われたアフタパーティーで川島氏と櫻木監督が明かしたアニメ制作秘話にも触れていく。

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▼後編はこちら

P.N.深津庵(撮影協力:あしたづひむ)
※深津庵のTwitterはこちら

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ジャンルその他
メーカーナイアンティック
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