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次世代モバイル通信“5G”はゲームをどのように進化させるのか?識者が語るゲームの未来【TGS2018】

2018-09-22 00:01 投稿

各分野の専門家は“5G”をどう見るか

2018年9月20日~23日の期間に開催されされている東京ゲームショウ2018。本イベントのビジネスデー2日目に“5Gでゲームはどう面白くなるか?”というテーマで行われた、専門セッションの様子をお届けする。

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このセッションには、NTTドコモのコンシューマビジネス推進部でゲームビジネスを担当する森永宏二氏、スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部でリードAIリサーチャーを務める三宅陽一郎氏、明治大学野生の科学研究所研究員で、評論家であり編集者の中川大地氏が登壇。

各分野の第一線で活躍する識者の目線から、将来5Gという技術がゲームというコンテンツにどのような影響をもたらすのか、各人の考えのプレゼンと意見交換が行われた。

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▲左から森永氏、三宅氏、高野氏。

意見交換の前にまず行われたのは、モデレーターを務めた高野雅晴氏(ビットメディア代表取締役社長)による「5Gとはそもそも何か? 何ができるのか?」という基礎知識の共有。

この記事を読む人のためにも、まずは5Gとはなにかというところから説明していこう。5Gとは、第5世代目(5th Generation)となる移動通信システムの総称。現在国内ではNTTドコモを筆頭に研究が進められている。現在この5Gは、ゲーム業界でも大きな注目を集めているという。

たしかにゲーム、とくにスマートフォンゲームは通信を高頻度で行うコンテンツだ。しかし、これがより高速になったとしても、コンテンツのダウンロード速度が速くなるくらいしかその有用性は思いつかない。

果たして5Gはゲームにどのような影響を与えるのだろうか?

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▲5Gという技術は人の集まるところや、500kmで走るリニアモーターカーの中でもつながることを目標のひとつに設定し、研究が進められている。

どこでもラグを感じないネット対戦が可能!?

まず森永氏は、2018年1月に開催されたesportsイベント“EVOJAPAN2018”にて、5Gを利用した『鉄拳7 』のネットワーク対戦実験について語ってくれた。こちらの実験は一般ユーザーに5Gのネットワーク対戦を体験してもらい、ユーザーアンケートを行うというもの。

そこで得られたアンケート結果は、おおよそ好評であり、91%が回線の品質(速度、安定性)に満足していたことが明らかになったという。これにより、5Gを用いれば、光回線使用時と遜色ないネットワークゲーム体験が可能だということが証明された。

また、この環境を体験したプロゲーマーからは「この回線がポータブル環境に落とし込まれるのなら、空港の待ち時間でも気軽にネット対戦が出来る。いつでもどこでも練習や息抜きが出来るようになる」とのコメントが得られたという。

ちょっとしたラグでも命取りとなる対戦格闘ゲームにおいて、“どこでも安定した高速通信が可能”という価値は大きいのだ。

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▲満足と答えたのが91%で、明確にラグを感じたと申告しているのはわずか5%。

また、森永氏は別のイベントで行われた例を挙げ、“ゲーム配信における5Gの恩恵”についても語ってくれた。

曰く「5Gを用いることで、マルチチャンネル放送が可能になり、それぞれのユーザーが好みに応じたチャンネルスイッチが可能になった」とのこと。

マルチチャンネルとは、1回線、ひとつの放送で複数の放送画面を受信できるというシステム。現状のインターネットライブ放送では、複数のカメラで映像を捉えていても、ユーザー側に届けられるのは、配信者側が設定したひとつの画面だけだ。

マルチチャンネルは、配信者側が複数の画面を送信することができ、またユーザー側はその中から好きな画面を選んで、好きに切り換えて視聴できるのだという。

森永氏が行ったテストでは、専用のアプリを使ってマルチチャンネルライブを放送し、ユーザー側は、ゲーム画面、出演者の表情などの複数画面の中から、自分が見たい映像を自由に切り換えて楽しんだそうだ。

これはesports観戦はもちろん、各種スポーツ観戦においても革新的となる技術となるだろう。自分が見たいときに見たいシーンをチョイスする。観戦コメントが散るというデメリットこそ想像出来るものの、そのほかのデメリットは見当たらず、メリットのほうがはるかに大きいように思える。

非常に夢のある技術だ。

ちなみに、同アプリにはAR機能も実装され、スマートフォンに映し出された映像に任意のオブジェクトを配置し、配置された映像を自分なりに演出することも可能だったという。

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また、5Gはあくまでも移動通信システムであるため、光回線のように工事を行う必要がないのもメリット。そのため、esports大会の開催・運営のハードルが下がるなど、間接的な利点も存在するとのことだ。

ゲームが人を理解する?

続いて私見を述べてくれたのは、三宅氏。氏は、5Gが一般利用出来るようになればAIの在りかたすら変わるという話をしてくれたが、非常に専門的な話が展開されたため、ここでは一般的にも理解しやすいであろう話のみを抜粋してお伝えしよう。

まずひとつわかりやすい例として挙げられたのは、オンラインゲームの同期に関する話。

これまでのオンラインゲームでは通信速度の限界があったため、たとえば雪崩を起こしてユーザークライアント側で判定処理をし、サーバーに結果を戻し、ほかのユーザーとの結果を合算した結果をユーザーに送り返すといったことが難しかった。

しかし回線速度がより速いものになり、それが保証されるとなれば、今後はそういった大規模な演出やギミックが実装できるようになるかもしれないそうだ。

どうやら5Gが持つ可能性は、ユーザーのプレイ環境をよりよいものにしてくれるだけでなく、そもそもの体験すら変えてくれるものであるのかもしれない。

さらに、現在流行している位置情報ゲームにおいても、三宅氏は言及。現状の位置情報ゲームというのは、サーバーが管理する特定のスポットを除き、個々のスマートフォン端末内で世界が完結するように作られている。

しかしここに5Gという回線が使えるようになれば、ユーザー全員がひとつのマップ、世界を共有することが可能になるという。

すると、たとえば街に超巨大な敵を出現させ、全プレイヤーがお互いに連携、協力し合ってそれを倒すというコンテンツを作ることすらも可能かもしれないという。これは位置情報ゲームファンからしてみれば、かなり夢のある話だ。

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▲位置情報を用いたARゲームで、このような巨大な敵キャラクターとの戦いを楽しめるようになるかもしれない?

基地局自体にも価値は見いだせる?

最後にプレゼンをしてくれた中川氏は、自らの著書である『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』の内容や近代ゲームの変遷について触れつつ、近未来のゲームを扱ったフィクション作品である、『レディ・プレイヤー1』や『ゲームの王国 』の内容から5G技術が支えることになるであろうゲームの“複合現実時代”について語った。

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▲5Gによって、ゲームは新たな時代に突入する?

これにて各識者が想像する5Gが作り出す未来のプレゼンは終了した。

セッションはその後トークパートに移り、意見交換が行われた。そこでは「昔のように(※)、GPSではなく基地局の情報を用いた位置情報ゲームを5Gの基地局で行えばおもしろいものができるのでは?」といった提案も。

この提案に対してNTTドコモの森永氏は、盲点だったと驚きを見せつつも関心を持った様子で「持ち帰って検討してみます!」と、前向きな姿勢を見せた。もしかすると近い未来、基地局を用いたまったく新しい価値を持つ位置情報ゲームが登場するかもしれない。

この後にも、トークセッションではさまざまなアイデアが飛び交い、識者たちは活発な意見交換を楽しんでいた。この時点ではまだ夢物語のような話ばかりだったが、5Gが一般利用される時代になったら、これまでの概念を覆すような新しい技術を使ったコンテンツが出てくるかもしれない。

※:かつてフィーチャーフォンが全盛だった時代、GPSはまだ一般的な技術ではなく、端末の位置情報は“どの基地局の効果範囲内にある端末か”というデータから、おおよそのものが割り出されていた。

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