声優・花守ゆみりが錬金術で作ってみたいものは!?『アトリエ オンライン』のキーマン3名にインタビュー【TGS2018】
ユーザーとの触れ合いが未来を作る?“スマートフォンゲームとファンコミュニティの歩み2016〜2018”リポート【TGS2018】
2018-09-21 22:31 投稿
オリジナルタイトルを手掛けるプロデューサーたちが集結!
2018年9月20日より開催中の国内最大級のゲームの祭典“東京ゲームショウ2018”。
そのビジネスデイの2日目である21日に開催されたトークセッション“スマートフォンゲームとファンコミュニティーの歩み2016〜2018”の内容をお届けしよう。
【登壇者】
『逆転オセロニア』プロデューサー 香城 卓(けいじぇい)氏(DeNA)
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』プロデューサー NHN PlayArt 林 智之氏(NHN PlayArt)
『共闘ことばRPG コトダマン』プロデューサー 中村たいら氏(セガゲームス)
【モデレーター】
安藤武博氏(シシララ)
今回のセッションでは、2016~2018年にリリースされた 『逆転オセロニア』(以下、『オセロニア』)、『#コンパス 戦闘摂理解析システム』(以下、『コンパス』)、『共闘ことばRPG コトダマン』(以下、『コトダマン』) のプロデューサーが登壇。
それぞれのタイトルの特徴や工夫を紹介しつつ、ユーザーに対して心がけていることや現状の課題、今後の展望などを語り合った。
ユーザーが長く遊べて楽しめる仕組みとは
まずはモデレーターの安藤氏が『オセロニア』のV字回復について香城氏に質問。
香城氏は「『オセロニア』は2016年にリリースされるも、そこまで奮ったわけではなかった。必要な仕組みは“熱心なユーザーが応援してくれる仕組みだ”と思い、オフラインイベントの実施を決めました」とコメント。
それから香城氏は小規模ながらも全国行脚を行い、ファンと直接顔を合わせて話を聞いていったという。なお、同氏はいまも年間30回以上もそういった会を設け、みずから全国各地に足を運んでいるという。
また氏は「ただ私個人としては、我々とファンの方で作られるコミュニティよりも、ファンの方同士で形作られるコミュニティのほうが大事だと思っています」という話も披露してくれた。
曰く、あまり周知されていないゲームを「これ、おもしろいよ!」とSNSに発信することは、ユーザーにとっては勇気のいることであり、香城氏はユーザーが安心と自身を持って「これおもしろいよね!」と言える環境、およびコミュニティを作ってあげることが大事だということのようだ。
ちなみに、同じくオフラインでもファンコミュニティ育成施策をとっている『#コンパス』の林氏は、町会議イベントを取り上げ、3ヵ月で全国13箇所を巡っているそうだ。
これを受けてモデレーターの安藤氏の「プロデューサーみずからが全国に行くことは大変ですよね。そんなに動いていて、どうやって通常業務もこなしているんですか?(笑)」と両者に質問。
香城氏、林氏ともに苦笑いをしつつ「たいへんではある」と答えつつも、香城氏は「移動中に仕事をすることになることも多いけど、ユーザーの皆さんにお会いすることで、元気をもらって帰れるので、これからも続けていきたいです」と回答した。
さらに香城氏は自身が持つオフラインイベントに関するこだわりについても語ってくれた。そのこだわりとは、会場のキャパシティは多くても200~300名ほどの場所を優先しているというもの。
香城氏「2000人のイベントを開催しても、それではショー的な側面が強くなってしまい、ただ見るだけのものになってしまいます。でも、200名規模のイベントならば、みんながイベントに参加しているという気持ちが持てます」
「2000人規模のイベントをやる予算があるならば、200名規模のイベントを10回やりたい」と語る香城氏は、運営がユーザーに会いにいくという図式こそが大事なのだと、想いを語ってくれた。
これに対し林氏は、「僕たちは、まだ開催規模による効果までは把握しきれていません」としつつも、だからこそ、いろいろな形でユーザーさんと関われる場を設けているという。
そのエピソードの中でも衝撃的だったのが「ユーザー発信のオフ会に参加した」というもの。このとき林氏は、オフ会の幹事さんにのみ出席を伝え、サプライズ的に出席を果たしたという。
ただ、やはりこういった動きは「ユーザーとの距離が近すぎる」という批判を受けることもあるそうだ。しかしそれでも林氏は「それで得るものも大きい」と考えており、今後も距離感や規模などは模索しながらとなるが、ユーザーとのリアルなつながりは引き続き重視していくと熱弁を奮ってくれた。
一方Twitter上での戦略が目立つ『コトダマン』の中村氏は、その施策についての詳細を語ってくれた。
中村氏「僕たちは、Twitter上でのユーザーさんとの絡みは全力でハードに行っていました。たとえばユーザーさんが『コトダマン』とつぶやいたらすぐにフォローして、リプも手打ちですべて返すといった具合ですね」
こうして人間味が感じられる絡みを積極的にしていくことで、高い継続率と初動のバズが生まれたのだという。
また、Twitter担当(中の人)については「『コトダマン』の担当は、明確な判断基準があって選出したというわけではなく、アサインした要員がネットコミュニケーションに秀でており、ハマった形。今後、こういったスキルを持った人はすごく活躍できるようになると思う」と付け加えた。
これについては、安藤氏を始めとする登壇者の全員が「リアルなコミュニケーションとネットコミュニケーションはまったくの別物」、「ネットコミュニケーションに秀でた存在は、今後絶対にニーズが出てくる」と同意を示している。
Twitterを使ったファンコミュニティの育成は、現在それほど重要視されており、またメーカーとしては戦略のひとつとして当然視野に入れるべきものになってきたということなのだろう。
ファン層を構成しているのは……?
ファンコミュニティについて語るのならば、絶対にはずせないのはファンという存在について。ファン層がどういった層であるのかを知らなければ、ファンコミュニティの育成はもちろん、アプローチにまで失敗してしまう。
では、今回登壇してくれた面々が抱えるタイトルは、どのようなファン層を抱えているのだろう?
これについてまず返答をしてくれたのは中村氏。『コトダマン』が狙ったのは、『パズドラ』や『モンスト』のつぎの世代だという。ちなみに、あの独特なキャラクターデザインには、そこを狙うための思惑も込めらているのだそうだ。
具体的には、あのようなオリジナリティ溢れるデザインが採用された理由には、差別化がポイントになっているという。
中村氏曰く、「頭身を上げて、よくある神や悪魔を取り上げるデザインにしても、最終的なオリジナリティはつながらないので、差別化でああいったデフォルメデザインにしました」とのこと。
続けて林氏もユーザー層について「『#コンパス』は、高校生や20代前半のユーザーさんが多いのですが、別段ハイティーン用のブレーンを置いて設計をしたわけではないので、ニコニコ動画をニコニコ動画を楽しむ若いユーザー層に受け入れてもらえたのは、結果論ですね(笑)」と振り返る。
そのため林氏は、コンテンツ制作においては、ファンの年齢層のことは強く意識せずに、どんどん作っていく方針であるそうだ。「開発がのびのびと作ってくれれば、受け入れてもらえることもあるのでは」という持論をベースに、これまで通りの開発を続けていくことを明らかにしてくれた。
香城氏は「『オセロニア』の現在のメインユーザー層は大学生くらいです。なので、情報発信は若いメンバーにやってもらっていますね」と現状の体制から語ってくれた。
また続けて「私たちは、意志決定の基準として“オセロニアンファースト※1”という言葉を掲げています」ともコメント。
※1=オセロニアン=『オセロニア』ユーザー
どのような事態においても、すべてはファン層を主軸に考え、ファンのために何が出来るのかを第一に考えて運営しているのだという。
永く愛してもらうには
ファン層を確認したところで、続いてはタイトルを楽しんでくれているユーザーの方たちに長く楽しんでもらうための施策について各プロデューサーが語ってくれた。
まずこれに対して答えを出してくれたのは中村氏。「ゲームだけでなく、Twitterでのキャンペーンや、それを取り巻くいろいろなもの、外側の部分でも楽しんでいただき、総合的なエンタメに昇華させていこうと考えています」。
つまり競合がひしめく現環境では、通常のデジタルマーケティングで数字を見るだけではダメで、ゲームタイトルを取り巻く、数字にならないところにも目を向け、お客さんをトータルで楽しませることが大事なのだそうだ。
林氏は『#コンパス』というゲーム性に焦点を当てて、「キャラクターの深掘りしていくことが大事だと感じています」とコメント。
『#コンパス』はMOBAと呼ばれるジャンルの対戦ゲームなのだが、過去に出たモバイル向けのこのジャンルのゲームは、独自性を出そうとルールやシステムを増やした結果失敗した例が多いという。
林氏はそういった歴史から考え、ルールを増やすことで独自性を出すのではなく、キャラクターをより深掘りさせることによって独自性を出そうと考えたのだ。
ここで大事なのは、キャラクターを深掘りするのではなく、キャラクターを深掘りさせるという点にある。
『#コンパス』では、ユーザーたちがファンコミュニティで、そのキャラクターについての妄想や考察が楽しめるように、あえてキャラクター設定をほとんど公開していないという戦略も取られているのだという。
コメント最後となった香城氏は、まず「コンテンツに頼り切らない」と強調。その後続けて「人をモチベージョンにしていきたいです。たとえば友だちがやっているから続ける、などですね。良質なコンテンツを提供はしていくことはもちろん重要ですが、コミュニティの拡大も同じく必要だと考えます」と語った。
また、人をモチベーションにするという考えがあるからこそなのだろう。香城氏は「僕自身は今後もさまざまな場面で顔を出し続けていきます」と語気を強めた。プロデューサーである香城氏もまたひとりの人間であり、香城氏を信用するからこそゲームを続けたいという人は少なくないようだ。
現状の課題と今後の展開は?
続いての話は、各タイトルが抱える問題と今後の展開について。
まず中村氏は、「『コトダマン』はリリース前にうまくいったタイトルという位置づけ。だからこそ、リリース前の温度とリリース後の温度に大きな差が生まれました。リリース前はそこに期待という感情しかありませんが、リリース後は不平不満というのも生まれてきてしまいますから」とリリース前と直後のファンコミュニティの様子を振り返る。
なお、現在はこの状況から脱してきているようなので、今後の展開としては、リリース前にあったムチャな動きなども含め、徐々にTwitter上での施策にも力を入れ直したいと語ってくれた。
香城氏は、『オセロニア』の現在そして、今後の課題は、世代間における摩擦に起因するもののようだ。
香城氏「『オセロニア』は言うなれば現状、コミュニティにも第1世代、第2世代と、ユーザーの参入時期によって世代別のコミュニティがある状態です。そしてこのまま続けていくことができれば、当然ですが第3、第4世代のコミュニティが生まれてくるでしょう。これら新しい世代が、ネガティブな印象を持たないようにしていきたいです」。
運営型スマートフォンゲームユーザーにとって、これら世代間の摩擦というのは、おそらくなじみ深いものだろう。これまで、とくにコミュニティを大切にしてきた香城氏は、この長期運営タイトルにつきまとう、コミュニティに関する問題にはしっかりと配慮を行き届かせていきたいと今後の展望を語ってくれた。
3タイトルの今後の展開に期待!
こうして本セッションは幕を閉じた。会場にはメディアを含め150名ほどが詰めかけ、立ち見も出るほど。
スマートフォンゲームにおける、ファンコミュニケーションの場は拡大し続けており、このコミュニティの育成というのは、ユーザー離れを防ぐ重要な要素として機能している。ファン同士のコミュニケーション、運営側との触れ合い。人対人というセンシティブな要素を戦略に組み込むことが、今後どういった成熟を見せるのか。今後の展開に期待していきたい。
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