『サイコパス』脚本の深見真氏が構築する新作『無人戦争2099』のストーリー&世界観設定が深すぎる!

2017-07-06 19:05 投稿

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無人戦争2099

本格TPSと深見真が構築する緻密な世界観が見事に融合!

Donutsから配信予定の新作アプリ『無人戦争2099』。

本作は、全身義体のアバター兵器”ゼロイド”と呼ばれる人間型の無人兵器を使用して戦うフル3Dリアルタイム本格ガンシューティングバトル。ゼロイドの戦闘は、”無人兵器使用可能エリア”でのみ認められており、人間の変わりに人間と同じ見た目をしたゼロイドたちが戦争を代行する。

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最大8人(4vs4)のリアルタイム対戦や、豪華声優を起用した16人のキャラをさまざまな衣装や200種類以上の武器でカスタマイズするなど魅力的な要素を持つ本作だが、なかでも注目は『無人戦争』のストーリー及び世界観設定。

本作のストーリー及び世界観設定を、アニメ『PSYCHO-PASS -サイコパス- 』の脚本を手掛けた小説家の深見真司氏が担当している。

そこで今回、深見氏と『無人戦争』のプロジェクトに携わるDonutsのアルベルト アギラル氏に、本作の世界観について話を聞いた。

※本インタビューは、2016年9月27日に実施したものです。

深見真氏(左)
アルベルト アギラル氏(右)

無人戦争_00

深見真氏……2000年に『戦う少女と残酷な少年 ブロークン・フィスト』で小説家デビュー。アニメ脚本や映画、ゲーム、マンガの原作を中心に活動。『PSYCHO-PASS -サイコパス- 』では、ストーリー原案・脚本を担当した虚淵玄氏と共同で脚本を手掛ける。2017年春公開予定のフルCG長編アニメーション映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』に脚本で参加。

アルベルト アギラル氏……南米出身。前職ではゲームの海外タイトルを日本に輸入するなどの海外事業を行う。2016年にDonutsに入社。ゲーム統括部に所属し、『無人戦争』のプロジェクトに途中から参加。

プレイヤーに納得してもらえるロジックをゲームに入れ込んだ

――まず、『無人戦争』のストーリーと世界観設定を深見さんにお願いした経緯を教えてください。

アルベルト アギラル氏(以下、アルベルト) 今作のようなTPSというジャンルのゲームで、ストーリーや世界観が深い作品というのは、スマホアプリではほとんど存在していません。その中で『無人戦争』は、広いユーザー層にターゲットできるような深いストーリー性を求めていました。そんなときに、『PSYCHO-PASS -サイコパス- 』の脚本を手がけられた深見さんに注目し、協力会社さんを通して紹介していただきました。

深見真氏(以下、深見) Donutsさんからオーダーをいただいて、うれしかったですね。もともと自分はTPSがすごく好きなので、一度はやってみたかったんですよ。『無人戦争』は、近未来の戦争ものということだったので、ミリタリーマニアとして何か協力できるかなと思いました。

――深見さんはミリタリーマニアなんですね?

深見 サバイバルゲームも好きですし、年に1回は海外の射撃場に行くほど好きです。

アルベルト そういう意味でも、今回我々の『無人戦争』と深見さんは運命的な出会いだったかもしれませんね。

――『無人戦争』の世界観ですが、最初にある程度ベースがあって、そこに深見さんが肉付けされたんですか?

深見 自分がプロジェクトに参加したときにはある程度決まっていました。最初の企画書はロボットみたいなものを遠隔操作で動かす話でしたね。それから、とにかくキャラクターはマーケティング的に少年少女に戦わせたいという設定もあって。ただ、そこが難しかったですね。

――難しいというと?

深見 なんだかんだ、本物の戦争で少年少女に戦わせるというのは、どうしてもアフリカの少年兵のような悲惨な方向に流れがちになる。じゃあ、そうならないためにはどうすればいいのか? というところが最初に世界観設定で考えた部分でした。

無人戦争_対談01

――そうならないために、どのような設定を考えたですか?

深見 ひとつは、”ロボットみたいなもの”という初期の設定。ブルース・ウィルス主演の『サロゲート』という近未来SFアクション映画で、自分の代用のアバターボティを戦場に投入し、それがやられるとすぐにまた別の基地からアバターボディが出てくる、というシーンがあるんです。

アルベルト FPSのリスポーンみたいなイメージですよね。

深見 そうです。そんな風に未来の戦争がゲームのようになり、そのゲーム感覚が極まれば間接的に少年少女が戦う構図も考えられるのではないかと。未来の戦争についてものすごく突き詰めて、何とかプレイヤーの皆さんに納得してもらえるだけのロジックをゲームの中に入れ込もうと考えました。

アルベルト その結果、深見さんに考えていただいたのがアバター兵器”ゼロイド”を3Dプリンターで作り、それを少年少女が操って戦うという設定なんです。子どもが兵器を持って戦場に挑むというのは、日本人にとっては現実離れで違和感のある話になるだろうと思ったのですが、そこをうまく世界観構築していただきました。

深見 もしかすると、ゲームをプレイされる側はそこまで気にしないのかもしれませんが(笑) カジュアルにPvPで戦えればいいというユーザーさんもいれば、世界観やストーリーまで深く知りたいというユーザーさんもいるかもしれないので、双方に対応できるような世界観作りをしました。

無人戦争A

『無人戦争』の世界観設定は突飛な話ではない!?

――3Dプリンターでアバター兵器を作り出して戦わせる、という発想はさすが深見さんですね。

深見 でもそれって、じつはそんなに突飛な話ではないと思っていて。戦争には最新の軍事トレンドがあるのですけど、それでいくとストライカー旅団戦闘団。これはもともと米軍などの構想なんですけど、たとえばいまからアメリカとロシアが正面衝突する戦争はまず起きないと思います。いまの戦争は地域での紛争や非対称戦争が世界中に拡散しているのが現状なんです。だだっ広い野原でたくさんの戦車どうしがぶつかり合う戦争というのは、いまの時代ではあり得ない。そこで米軍が打ち出しているのが、即応展開能力や戦略展開性と言われる、瞬時に地球規模でトラブルに対応する能力がある軍隊。

――それがストライカー旅団戦闘団?

深見 そうです、その特別な能力がある軍隊のひとつです。ピラーニャIIIという装甲車があるんですが、この車両をベースに最低限の改造でいろいろな目的に対応できるという双輪装甲車の部隊になります。そして、さきほど説明したストライカー旅団戦闘団の戦略展開性、即応展開能力を突き詰めていくと、いまから50~100年後の未来には、巨大な3Dプリンターを紛争地域に直接投下して、そこで兵器を作ったほうが早いんじゃないかという。

無人戦争_対談03

――将来的に3Dプリンターが導入されるかもしれないということですか!?

深見 もちろん、そこに至るまでに、ナノテクノロジーだったりマイクロロボットの技術的進歩だったり、そこでどうやって材料を仕入れるのかなど、クリアーしなければならない課題はたくさんありますが。いまの軍事トレンドのその先にはそういう未来もあるんじゃないかなと……まぁ、そこまで突飛なことにはならないかもしれませんが(笑)。それでも、最終的にはコンパクトな兵器を戦地で作る、というのは目的によってはあると思います。

――3Dプリンター以外にも特徴的な設定が?

アルベルト 『無人戦争』の世界は、2020年代から大きな戦争が起こったという時代背景があります。そこで”マウンテンビュー条約”というものが結ばれたことで、限られた地域でしか戦争ができなくなります。そこからテクノロジーが発達して、ゲームの舞台となる2099年の世界では、3Dプリンターを戦場に置いて、各国が遠隔操作による無人戦争をしているという設定も、非常におもしろいものになっていると思います。

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▲開発中の『無人戦争』戦闘画面。

――マウンテンビュー条約はどのような考えで設定されたのですか?

深見 戦争のルールはどんどん更新されていきます。たとえば中世の戦争だと、捕虜を虐待してはいけないというルールはなかった。ルールはあるにはあったけど高貴な身分の人のためのもの。基本的には捕虜への拷問や虐待が悪いこととされ出したのってつい最近なんですよ。それを考えていくと、どんどんルールが更新される中で戦闘地域さえもルールで縛ってしまうという未来があってもいいんじゃないかなと思ったんです。

アルベルト そこで深見さんが考えたのが、マウンテンビュー条約という架空の条約なんです。

深見 ゲームの世界とはいえ、やはり少年少女に戦わせることに対して思うところがあって。あまりマーケティングの都合だけで済ませたくなかったので、自分なりにいろいろ考えて、まずは科学的な裏付けをすることにしたんです。遠隔操作に関して、脳の神経を使うので脳科学的な観点から”脳の可塑性”というキーワードを入れています。

でも、それだけが理由というのも嫌だなと思って。さきほど、捕虜の虐待や拷問が悪いとされるようになったのはつい最近とお話しましたが、同じように子どもをひどい目にあわせてはいけない、と言われ始めたのもそんなに昔のことではなく、国際連盟で子どもを守ろうという”子どもの権利条約”が宣言されてから100年も経っていない。歴史的に見れば最近のことなんです。

それでいろいろ考える中で、『無人戦争』はアバター兵器で戦う……それってeスポーツに近いなと感じて。実際のeスポーツって、選手層が若いんです。1秒以下でフレーム単位で戦うのって、歳をとるとツラいんですよ(笑)。

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――たしかに歳をとるとアクションゲームとかきついですね(笑)。

深見 そう考えると、未来の戦争がeスポーツのようになれば、権力者が少年少女に戦わせたいと思うかもしれない。そうなると子どもの権利条約が宣言された100年前の状態まで時代が逆行するということもあり得ない話ではないと考え、大人の都合、政治の都合で少年少女が駆り出されるという方向に設定を持っていきました。

――さきほど”戦闘地域さえルールで縛る”というお話がありましたが、地域を限定した理由とは?

深見 いま軍事トレンドとして無人兵器が流行っています。たとえばアメリカ海兵隊がリムパックでテストしていた無人支援車両”GUSS”という、完全自動のジープだったり、陸戦用の小さなロボットだったり。無人兵器って、兵士や警察に被害が出ないので、有権者や政府にはすごく優しいけど、誤射という大きな問題もある。結局、誤射で民間人に被害が出れば国際世論から批難を浴びますから。じゃあ、それさえも防ぐために、誰もいない場所を戦場として区切って、そこで戦争しましょうというルールを決めればいい。実際にそこまでルール化されるかは疑問ですが、これがいちばん民間人に被害がでない方法なのかなと。未来ではそういうルールができているんじゃないかなという考えから、『無人戦争』では特定の地域で戦争をするという設定にしたんです。

『無人戦争』の世界で生きる若者たち

――先ほどのお話だと『無人戦争』の世界では、子どもたちが戦うほうが有利というわけですよね?

深見 そうですね。それで世界各国で若い子どもたちに戦ってもらうということで条約を整えていったという背景があります。メインシナリオを進めていくと、だんだん自分たちが戦っているゲーム的なアバターによる戦争と、それでも実際にどこかで人が死んでいる現実の戦争との境目で悩んでいくというものを組み込んでいます。

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▲『無人戦争』に登場する4人のメインキャラクター。

――『無人戦争』に登場するキャラクターでお気に入りのキャラは?

アルベルト 僕が好きなキャラクターは、ロシア出身のアレクセイというキャラです。彼は昔両親を殺されたというトラウマを抱えていて、その復讐として戦争に参加しています。『無人戦争』は、各キャラクターの過去やそれぞれのストーリー設定をしっかり作り込んでいます。戦争に参加することになった経緯や、そこで何をやりたいかという部分を深見さんに深く考えていただきました。ストーリーを進めていく戦闘を行うなかで、キャラクターの感情だったり考えかたなど、人として変わっていくところもゲームの大きなポイントだと思います。

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▲アルベルト氏お気に入りの”アレクセイ”。

――ちなみに登場キャラに関しても深見さんは携わっているんですか?

深見 そうですね。登場キャラクターに関しては、開発プロデューサー陣から日本人だけでなく多国籍にしてほしいと言われましたので、そこを意識して設定を考えました。日本人のキャラって戦う理由がすごくふわっとしているんですよ。将来が不安だとか、アイデンティティーだったり単純にお金の問題だったり。これはお国柄だと思いますが、日本人のキャラが一番切実さがないんです(笑)。

アルベルト やはり海外から見ると、日本はある意味幸せだと思います。日本以外の国々で、戦争だったり治安が悪かったり、銃を見るのが当たり前の国からすると、『無人戦争』に出てくる日本人の主人公たちが抱える悩みは、じつは些細なことなんです。そういった面もゲームの中で見られるし、個人の悩みもあれば多国籍ゆえに育った環境の悩みもあったり。そんないくつもの悩みをひとりひとりのキャラが抱えています。そのキャラどうしがどういう風に絡み合い、何を感じるか? 少年少女たちのそういった感情の変化、日常を垣間見ることができる。魅力的なキャラクターの存在がストーリーにより深みを出ています。

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深見 さまざまなキャラが出てくる中で、自分のお気に入りはメキシコ出身のタリアです。当時、『犬の力』という麻薬戦争の小説をずっと読んでいて、メキシコなら麻薬絡みがいいなと思いながら考えたキャラなんです。そんな感じで、ほかのキャラクターについてもその国が持っている問題、悩みを反映させました。

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▲”ナタリ”は深見氏のお気に入りキャラ。

深見 もちろん世界共通の悩みもあると思います。恋愛だったり貧困だったり差別だったり。でも、そこはやはりゲームなのでシナリオごとにその国の問題を強調していかないとドラマ的、作劇的に平坦になってしまいます。世界共通の悩みもあればお国柄もあるし、強調したほうがおもしろい部分もある。あとは、あまりミリタリーに突っ走り過ぎるとユーザーさんがポカンとしちゃうので、青春ものやスポ根マンガのような要素も取り入れたストーリーを考えるなどバランスも意識しました。ミリタリーはあくまで隠し味程度に(笑)。

『無人戦争』のリリース、そしてその後の展開

――『無人戦争』の世界観は、すでに完成していると考えていいですか?

アルベルト 完成していますが、アプリですのでリリース後に新たな展開を追加することも検討しているところです。

深見 それこそ評判がよければ新シナリオだったりイベントが追加されるかもしれませんね。

アルベルト そうですね。こちらもプランニングを行っていますので、新しいキャラや敵について深見さんにまたお願いすることになるかもしれません。

――もともと完成された世界観の中に、アップデートで新たにキャラやシナリオを追加するという部分での難しさはあるんですか?

深見 『無人戦争』の世界観は、さきに話したとおりeスポーツ的な要素もあるので、いわばスポーツマンガに近いんです。ですから、もしも新キャラが出るとしても新しい学校のライバルのエースが出てきたくらいの感覚です(笑)。なのでリリース後に要素を追加するとしても難しさはありません。その前に、まずは『無人戦争』が配信されてユーザーさんの反応を見ないとですね。

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――しかし今回お話を伺って、『無人戦争』の世界観がすごく深すぎて驚きました。

深見 僕もソーシャルゲームでここまでやる必要あったかなとちょっと思いました。

アルベルト でも、そこが『無人戦争』のこだわりというかウリなんです。ただ遊んで終わりじゃなくて、TPSなんだけど深いストーリーがあるという。それだけじゃなく、各キャラクターを豪華な声優さんたちがフルボイスで演じていますので、さらにストーリーと世界観にハマっていただけると思います。本当におもしろい作品なので、ゲームだけでなく、アニメ化やコミック化といったIP展開も考えていきたいですね。

深見 アニメ化されたら、僕はシリーズ構成に入るんですかね(笑)。

アルベルト  そうなったらうれしいです(笑)。でも、本当にそれくらいの力を持ったストーリーと世界観だと思っています。

――わかりました。では、最後に『無人戦争』の配信を待つ読者に向けてメッセージをお願いします。

深見 『無人戦争』をプレイして感じてほしいのは、多様性とか共感です。いろいろな国のキャラが出てきて、それぞれの国のキャラがそれぞれの国の事情を背負っていて、主人公たちは彼らの影響を受けます。すごく嫌な奴も登場しますが、初対面で嫌な奴でもストーリーを進めて事情がわかってくると分かり合える。そういう風に想像力を持って、自分だけが正しいという狭い考えにならないように意識してプレイしていただけるとうれしいです。

アルベルト キャラクターごとにしっかりとしたストーリーがあるので、プレイする人によってキャラの好き、嫌いが別れると思いますし、このキャラは自分に似ていると思えるかもしれません。アクションシューティングゲームではありますが、キャラを操作するだけではなく、ぜひストーリーもしっかり味わって、『無人戦争』の世界に入り込んでほしいですね。

深見 ですね。ものすごくめずらしいし、ほかのスマホアプリとは違うゲームになっています。それは触っていただければ実感できると思います。

アルベルト 深見さんや開発チームのみんなが心を込めて作ったゲームです。遊んでもらえればきっとハマると思いますので、ご期待ください!

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Donutsは2017年1月31日、新作ゲーム『無人戦争2099』のティザーサイトを公開した。

【『無人戦争2099』事前登録】

無人戦争2099

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルアクションシューティング
メーカーDonuts
公式サイトhttp://www.2099.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/2099_jp
配信日配信終了
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