【新作】東京ゲームショウにあわせて開催されたインディーゲームの祭典で審査員特別賞を受賞した学生作品『コラプス』が配信
対戦物理アクション『コラプス』を作った学生ってどんな人? 気になったから直撃取材してきた
2017-05-11 23:30 投稿
『コラプス』を手掛けた馬場氏、古川氏にインタビュー!
2017年4月14日にファリアー/G.G.Knightsから配信されたiPhone向けアプリ『コラプス』(価格360円)。
『コラプス』は、つみ木のような不思議なイキモノ“コラプス”たちを使って戦う横持ちタイプの対戦物理アクションゲームだ。
このゲームを最初に見かけたのが、昨年7月に京都で開催されたインディーゲームイベント“BitSummit 4th”のG.G.KNIGHTSブース。
ゲームクリエイターの馬場保仁氏(ファリアー代表取締役社長)の支援の元、ゲームクリエイターを志す学生が制作した作品として、ファミ通Appでも配信前から追いかけてきた。
【関連記事】 ⇒【新作】インディーゲームの祭典で審査員特別賞を受賞した学生作品『コラプス』 ⇒BitSummitで出会った学生作品が”INDIE STREAM AWARD 2016″ノミネート ⇒馬場保仁氏が支援する学生作品『コラプス』は緊張&快感の対戦物理アクション |
今回、馬場氏とともに学生として『コラプス』の制作に携わった古川貴士氏へ改めてインタビューを実施。『コラプス』の制作~リリースまでの経緯や、古川氏がゲーム作りを目指すようになったキッカケを聞いた。
▼『コラプス』紹介PV
自身初の有料アプリで上々の滑り出し
――ファミ通Appでも追いかけてきた『コラプス』がついに配信されましたが、改めていまのお気持ちはいかがですか?
古川貴士氏(以下、古川) 自分の作品をストアに出したことは学生時代に何度かありましたが、『コラプス』のようにAppleStoreでフィーチャーされたり、有料ランキングに入った(有料ゲーム最高10位、有料アクション最高1位)のは初めての経験なのでうれしかったです。今回はオンラインゲームということもあって、ユーザーの皆さんに遊んでもらっているなという感覚はすごくあります。
――専門学生のときに自身のゲームをストアに出していたんですか?
馬場保仁氏(以下、馬場) いまどきはインディーゲームを作ってストアに出す学生もいますね。それ自体は、すごく良いことだと思います。ただ、古川も含め、学生時代に自分で作ったゲームをストアに置いても、なかなか誰も触ってくれないものですが……。要するに埋もれているわけです。
――学校的に学生がゲームを出しても問題ないんですね。
古川 そうですね。当時出していたのはカジュアルゲームでしたが、無料アプリで出していたので。
馬場 逆に無料にしないとプロになってしまうんです。プロになっちゃうと、日本ゲーム大賞のアマチュア部門とかに作品が出せなくなる。これは、学生にとって機会損失でもあると思うんです。アマチュアのうちに“名前を売る”こともできるわけですから。古川も、去年の日本ゲーム大賞アマチュア部門では、優秀賞をいただけましたが、プロに交じっての、IndieStreamFesでは、審査員特別賞をいただくのが精一杯でした。やはり、プロの壁は厚い。だったら、「アマチュアのうちにやれることをやりきる!」ことも大事かと思います。何事も覚悟決めて、やり切れば、私は良いと思います!
――なるほど。そういう意味で『コラプス』は、有料では自身初の作品だと思いますが、配信後の周囲の反応はいかがでしたか?
古川 友だちは「遊んでみるよ」と言ってくれたのですごくうれしかったですね。ただ、有料のアプリになるとダウンロードに抵抗があると思うので、そこは難しいなと感じました。それでも、皆さんのおかげで、2000ダウンロードを突破しているので驚くと同時に感謝しています。
――配信前は想像もしていなかったわけですか。
古川 まったく想像してなかったです。内輪から広めていって、じわじわと話題になればいいなとは思っていましたので、配信後の勢いと言うか、いい流れの乗れてうれしく思っています。
馬場 たぶん配信直後にストアでフィーチャーされたことが大きいですね。それがなければここまではいってなかったと思います。(配信の)タイミングと運が良かったですね。
じつは料理人を目指していた!?
――古川さんはもともとどういう経緯でゲームの専門学校に入ったんですか?
古川 高校卒業後すぐにゲームの専門学校には行かず、じつは高校時代にアルバイトをしていた中華料理屋さんで働いていました。
――あれ? 全然ゲームと関係ないですね(笑)。
古川 そこの中華料理屋さんでアルバイトしていたとき、マスターが作る料理がすごく美味しかったんです。本当にいままで食べたことがないくらい美味しくて感激して、「僕を弟子にしてください」と頼み込んで見習いとして料理人の門を叩いたんです。
――料理の道からなぜにゲーム作りを目指そうと?
古川 昔からパソコンが好きだったんです。幼稚園のころ初めて触ったパソコンがWindows95。父親がパソコン好きだったこともあるんですが、小さいときからパソコンがある生活でした。
馬場 我々とは時代が違うね。僕は、PC6001があったけど!(笑)。
古川 子どものころからHTMLとかJavaスクリプトをいじっていました。高校のときも情報技術科に通っていたので、将来はプログラマーとかIT系の仕事をするんだろうなと思っていました。中華料理屋さんで働くようになっても、自宅に帰るとパソコンを毎日触る生活で、そのときに「やっぱりパソコン好きだな」って思って。
――それでゲームの道に進もうと?
古川 そうですね。半年くらい働いて、お金も貯まりましたし、思い切って中華料理屋さんを辞めて、ゲーム専門学校を探し入学しました。かなり自分勝手なことをしたので、両親にも中華料理屋のマスターにもすごく迷惑をかけたなという気持ちがあります。
――若いころは、やりたいことがいろいろありますからね。
古川 料理を作っていたときも人に「おいしい」と言ってもらえるのがうれしかったです。ゲームも同じで、自分が作ったものを「おもしろい」と言ってもらえるのがうれしいと思うんです。料理にしろゲームにしろ、僕の根底にあるのは“人に喜んでもらうこと”なのかなって。自分が作れる、届けられる最高のもの作りというのが、料理なのかゲームなのかを考えたとき、ゲームのほうがより良いものを届けられると感じてゲーム作りの道を目指すことにしたんです。
馬場 小さいころから触れていたコンピューターから離れてみて、改めてコンピューターを使った仕事への思いに気づいたってことだね。
――ゲームの専門学校時代に印象的だったことはありますか?
古川 入学して感動したことは、タッチすると数字が増えていくプログラムがあるんですが、それを使って「ゲームっぽくしなさい」という課題をやったんです。まだ何もわからない状態の中で、なんとかゲームっぽいものを表現できたときに、自分にもゲームが作れるのかという感動がありました。あと、入学してすぐに『画針』という作品を作ってコンテストに出したら、日本ゲーム大賞の佳作を獲れたのですが、それもうれしかったですね。
馬場 それ1年生のときかな? 当時の日本ゲーム大賞は、3月下旬に募集して6月末締切だったと思うから、4月に入学して6月に出したってことだね。
――入学して2ヵ月で賞を獲るのはすごいですね。
古川 そうですね、特殊なケースだったのかもしれませんが。
馬場 コンテストって相対的なものだから何賞を獲ったかは別として、一次、二次を突破して最終に残ったという事実はいいことだと思います。
2013年 日本ゲーム大賞2013アマチュア部門 佳作
2014年 第7回 愛知デジタルコンテンツコンテスト グランプリ
2015年 第8回 愛知デジタルコンテンツコンテスト グランプリ、中部クリエイティブ業界フェスタ2015 ゲームソフト部門賞、BITSUMMIT2015 出展
2016年 BITSUMMIT2016 出展、日本ゲーム大賞2016アマチュア部門 優秀賞、INDIE STREAM FES2016 審査員特別賞
2017年 TAIPEI GAME SHOW Indie部門 出展
――ちなみに古川さんは、いまもゲームの専門学校に通っているんですか?
古川 すでに卒業して、2017年4月からゲーム会社で働いています。いまの会社での仕事も一生懸命やりつつ、今後も馬場さんとG.G.KNIGHTSでゲームを作っていきたいと思っています。
――そのG.G.KNIGHTSですが、これはブランド名という認識でいいんでしょうか?
馬場 G.G.KNIGHTSはビットサミットに出展するときに団体名を決めなきゃいけないなと思って決めたファリアーのレーベルみたいなものですね。今後もインディーでゲームを作るときはG.G.KNIGHTSで出そうと思っています。G.G.というのは、僕や古川の地元である岐阜(G)でゲーム(G)を作るという意味です。
『コラプス』誕生経緯と今後の展開
――『コラプス』はどういうキッカケで作ったんですか?
古川 もともとは物理演算を使っておもしろいことをやりたいと思ったのがキッカケでした。結構安直ですが、“崩すことの楽しさ”というところをテーマに作り始まりました。いまは自陣のコラプスと敵陣のコラプスが画面に表示されていますが、じつは最初は敵側しか表示されていなかったんです。それで、これじゃつまらないという話になって(笑)。プロトタイプから紆余曲折がありました。最初は自分が撃つだけで敵は撃ってこなかった仕様を変えて、敵も撃ってくるようにしたり、通信対戦の要素を入れたり。
馬場 ただ自分が撃つだけよりも、敵に撃たれて自陣が崩れる危険性があるほうが、スリリングでおもしろくなりますからね。
古川 そうですね。あと、最初はキングが落ちたら負けというルールさえなかったんです。キングにHPがあって、キングの回りをコラプスが囲んでいるという形でした。その壁を壊してから、キングを倒すというルールだったので、プロトタイプといまの『コラプス』を比べるとだいぶ違うゲームになっています。
――たしかにかなりの紆余曲折があったようですね。
古川 プロトタイプにいろいろとアイデアを足しり引いたりするうちに、いまの『コラプス』の仕様に固まっていった感じです。
――そうして完成した『コラプス』ですが、現在はiOS版のみですよね。Android版の配信予定は?
馬場 本当は出したいですけど、古川がまだAndroid版でちゃんとした開発経験がないんです。これがユニティで作られていればマルチプラットフォーム展開もできたんですが、『コラプス』はそうじゃないので。ただ、やれなくはないと思います。
古川 Androidの開発も勉強して、いずれは出したいです。
――あと、以前グローバル展開も考えているという話がありましたよね?
馬場 そうですね。この前も台北のゲームショウに行ったんですけど、「うちの会社から出しませんか」というメールがけっこう来ていますね。『コラプス』って言葉とか関係なく遊べるゲームなので、最初のチュートリアルだけ翻訳すれば海外で出しても十分楽しんでもらえると思います。まだ具体的なことは決まってないですが、最初はアジアで展開できればなと考えています。
――言える範囲で、今後『コラプス』で追加したい要素とかありますか?
馬場 どういうものかはまだ言えないけど、まずは新しいコラプスを追加したいと思っています。ただ、まだユーザーさんがすべてのコラプスを使いこなせているわけではないので、そんな簡単に追加するのもどうかなと思っていて。けちけちするわけじゃなく、ゲームバランスを崩さないためにどうするか、そのやりかたを考えています。
古川 あとはいまわかっているバグを直していきたいですね。
G.G.KNIGHTS、そして古川氏の今後
――G.G.KNIGHTSは今後どのようなことをやっていこうと考えていますか?
馬場 先程お話したとおり『コラプス』のAndroid版だったり海外展開もやりたいし、この先もインディーの活動もG.G.KNIGHTSとしてやっていきたいですね。そうなると、当然新しいゲームも作らないといけない。
――古川さんは『コラプス』に続く作品はすでに考えにあるんですか?
古川 昔『豆の生活』というゲームを作ったんですが、それを真剣に作ってみたいです。育成システムなど要素を追加して。
馬場 『豆の生活』って、『たまごっち』みたいなゲームだったんですけど、『コラプス』を出展した前年のBitSummitに出展していたんです。種を蒔く、水をやる、芽が生える、実が成る……それだけのゲームでしたけど(笑)。
古川 でも、いま考えるとその仕組みがあったから『コラプス』で育成要素を作れたのかなと思っています。
馬場 G.G.KNIGHTSってロゴに馬のイラストが入っているから、馬をテーマにした何かを作ってもいいかもしれませんね(笑)。あとは、岐阜で新たな人材を発掘したいですね。KNIGHTSは岐阜出身じゃないと入れないので(笑)。岐阜県出身のクリエイターの皆さん、お待ちしています!
――最後にプロになった古川さんから、専門学校でゲームクリエイターを目指している学生さんにメッセージをお願いします。
古川 自分はまだゲーム会社に入って間もないので、プロとしてのアドバイスとかは全然ないですが、学生時代にやっておいて良かったことは、ひたすら作り続けること。形にして自分の作品を持っていることは大きいかなと思います。自分の技術だったり作ったゲームのおもしろさを人に見てもらう機会をたくさん持つことと、そうするの材料としてゲームを作り続けることが大事だと思います。
馬場 まずは作らないとね。作ったうえで、作るおもしろさに気づかなきゃいけない。やっぱり、この道を志す人って最初はゲームをプレイしておもしろいから入ってくると。だけど、遊ぶおもしろさと作るおもしろさって全然違う。作るおもしろさに気づけないなら、早い段階で違う道を探したほうがいいと思うし。そういう意味で、いかに早い段階で作る経験をしておくかが大事ですね。たくさん作れば作るほど成長するし、人に見せて意見をもらえばさらにレベルも上がっていく。かつ、自分の作品が多ければ多いほど、就職活動で有利になります。
古川 そうですね。作って、作り続けて、人に遊んでもらって、意見をもらってさらに作る。作り続けて、人に見せることが大事ですね。
※ファリアー公式サイトはこちら |
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コラプス
- ジャンル
- アクションバトル対戦ゲーム
- メーカー
- ファリアー / G.G.Knights
- 配信日
- 配信中
- 価格
- iOS版:360円[税込]
- 対応機種
- iOS
- コピーライト
- (C) 2017 Farrier Co.,Ltd. Developed by G.G.Knights
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