『シノアリス』×『ニーアオートマタ』コラボ発表記念スペシャル会談!ヨコオタロウ×齊藤陽介×岡部啓一が一堂に会す!
2017-04-20 14:00 投稿
『ニーア』シリーズを手掛けてきた3名を交えた会談企画!
【SINoALICE × NieR:Automata コラボ特設ページ】 |
ポケラボとスクウェア・エニックスが共同開発中の新作アプリ『SINoALICE(シノアリス)』。
『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』などの『ニーア』シリーズを手掛けるヨコオタロウ氏が、原作・クリエイティブディレクターを務めるダークファンタジーということで、発表から大きな話題を呼んでいるタイトルだ。
まだ配信前の本作だが、2017年4月20日にはヨコオ氏が手掛ける『ニーア オートマタ』とのコラボも発表。
今回は、『シノアリス』制作陣であるヨコオタロウ氏(原作・クリエイティブディレクター)、ポケラボの前田翔悟氏(プロデューサー)、スクウェア・エニックスの藤本善也氏(プロデューサー)、さらにヨコオ氏の盟友であるMONACAの岡部啓一氏とスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏も交えて、コラボの真相に迫る会談を2017年3月中旬に開催。
岡部氏は『シノアリス』に音楽面で参加もしているため、サウンド面に関する話も伺ってきたぞ。
※以下、『ニーア』シリーズ全体を『ニーア』と、シリーズ各タイトルを指す場合は『オートマタ』、『レプリカント』、『ゲシュタルト』などで表記しています。
『シノアリス』にも”ウェポンストーリー”が!?
――今回は、『シノアリス』についていろいろとお話をお伺いできればと思っています。
齊藤 その前に教えてほしいんですけど、この発音って『シノ(↑)アリス』なんですか?(笑) それとも『シノ(↓)アリス』?(笑)。
藤本 『シノ(↑)アリス』ですね。
ヨコオ 『シン・ゴジラ』。
齊藤 いや違うでしょ(笑)。
ヨコオ 『シン・ゴジラ』と同じ発音でお願いします(笑)。
齊藤 『シン・ゴジラ』だから『シノ(↑)アリス』なんだ(笑)。
――(笑)。そんな『シノ(↑)アリス』の発表から1ヵ月ほどが経ちました。反響はいかがでしたか?
藤本 発表から1ヵ月くらいで事前登録も15万人を突破した(※2017年3月31日時点で20万人を突破)ので、正直かなり驚いています。Twitterなどを見る限り、『ニーア』などのコンシューマーゲームをプレイしていないような、スマホゲーム好きの方にもちゃんと届いている印象を受けました。
――『ニーア』ファン以外からも注目を集めているのですね。
齊藤 でも「絵柄がかわいいから」って理由で始めたら、いきなりヨコオタロウ節のテキストが流れてきてビビると思いますよ(笑)。ユーザーに判断を委ねておきながら、「●●に決めろよ」とか「●●●●もいいよ」とか言うし。
ヨコオ 冒頭がひどいんですよ。
前田 逆にそれが『シノアリス』の世界観でもあるので(笑)。ヨコオさん節でユーザーさんを驚かせたいというか。
齊藤 ヨコオさんのことを知らない人だとビックリするだろうし、ヨコオさんを知っている人からすれば安心する。安定のヨコオワールドですね。
――ヨコオさんワールドと言えば、公式サイトを見ていたら“逸話を持つ武器”といった一文も見受けられました。もしや本作にも“ウェポンストーリー(※)”のようなものがあるのでしょうか?
(※)ウェポンストーリー:武器に付随するストーリーのこと。『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズや『ニーア』シリーズなど、ヨコオ氏が手掛ける作品に登場する武器にはウェポンストーリーが存在することが多い。
ヨコオ あります。
――やはりヨコオさんが手掛けるならば、といった理由からなのでしょうか?
ヨコオ それよりも、シナリオを読みたい人が後からゆっくり読めるようにしたかったんです。僕がスマホゲームをやるときにいつも思うんですが、スマホだとふつうシナリオなんか読まないんですよ。僕自身、どうせ読まれないものをわざわざ書きたくもなかったので、シナリオの見せかたはちょっと変わった感じにしてあります。
――だから“読みたい人が後から読めるように”、と。
ヨコオ そうですね。なのでウェポンストーリーであったり、キャラクターそれぞれにもストーリーが足されていったりするような構造にしています。その分メインストーリーはすごくさらっとした感じになっていて、すぐ飛ばせます。
――ストーリーが足されていく、というのはどういったイメージなのでしょうか?
ヨコオ ゲームを進めるとキャラクターのストーリーが増えていきます。そういう情報を深めていくような作りのほうが、みんな読んでくれるんじゃないかなと。まぁあんまり考えていないので(笑)。気分的なものだと思ってもらえれば。
前田 メインストーリーがあって、武器やキャラにもストーリーがある。そんな風に、『シノアリス』ではいろいろなところでお話が楽しめるようになっています。一気に楽しむのではなくて、徐々に自分のペースで楽しんでもらえたらいいなと思います。
ヨコオ あと、キャラがふたり出てきてかけ合いをするタイプのシナリオってよくあると思うんですけど、『シノアリス』ではそういう風にはしていません。あれってスキップするのにすごい回数タップしないといけなくて、それがけっこうしんどいんですよね。だから1回で飛ばせるようにしてあります。
――なかなかめずらしい仕組みですね。
ヨコオ そもそもなんですけど、みんなシナリオってちゃんと読んでるんですかね? 僕は「みんな真面目だなぁ」と思いながら全部飛ばしちゃうんですけど。もちろん、奈須(きのこ)さんレベルの文章を書けるんだったら「そりゃ読むさ!」って思いますけど、僕はそこまでは書けないので。シナリオをパッと飛ばして、ポケラボさんのゲームにすぐたどり着けるようにしてあります。
――そういうところは、スマホならではの工夫をされていると。
ヨコオ そうですね、工夫というか……はい、工夫しました(笑)。
――(笑)。『シノアリス』の音楽には岡部さんが携わっているということですが、岡部さんが参加されるまでの経緯を教えていただけますか?
岡部 ヨコオさんが「俺がまた最高のビッグビジネスを作り上げるから、お前も乗っかれよ!」的な感じで言ってきたんでしたっけ(笑)。
ヨコオ そんな事言ってないけど(笑)。でもスマホのゲームって、ここだけの話すごい儲かるイメージがあるじゃないですか。
岡部 イメージはね。
ヨコオ 僕らは儲からないよね。
岡部 そうですね、上層部の人たちが儲かる(笑)。
ヨコオ 端のふたり(藤本氏と前田氏)みたいな目立たないところにいる人たちがガバガバ儲けてるイメージ。齊藤さんは僕らと同じコンシューマーの人間だから儲からない(笑)。
齊藤 うん、儲からないチームだね。
前田 僕もサラリーマンなのでぜんぜんです(笑)。
――みなさん儲からない儲からないって言って、にわかには信じがたいですけども。
ヨコオ いや本当に儲からないんですよ(笑)。
岡部啓一氏が紡ぐ『シノアリス』の楽曲群
――話を音楽に戻しますが、コンシューマーとスマホの音楽について、音楽的な違いや、制作時にスマホならではの工夫をされた点などはありますか?
岡部 そもそも携帯のゲームって、ふつう1曲がめちゃくちゃ短いんです。容量の問題もあると思うんですが。でも今回はがっつり“曲”と言える長さになっています。メインの曲とかは『ニーア』のときよりも長いんですよね。なんだか携帯ゲームの音楽のありかたが変わった気がしました。ただ僕、長い曲を作るのが苦手で(笑)。
ヨコオ すぐ短くしちゃうんですよ。
岡部 聞かせたいところが明確にあると、そこに集約させるから長くはならないんですよ。ボーカル曲ならまだしも、インストで5分ってなるとどんどん展開をつけていかなきゃいけなくて。大体3分ぐらいになると「もう引き伸ばせません!(笑)」ってなってちゃう。でも今回は、頑張ってもう少し長くしました。
――それはヨコオさんからのオーダーですか?
岡部 そうです(笑)。その曲を使う場面がギルドバトルのシーンなんですが、ギルドバトルのプレイ時間が最長で30分ぐらいと長いので、「遊んでいる人がずっと同じ曲を聴くことになっちゃうから、聴いている人が楽しめるような長めの尺で」っていう提案をいただきました。
――それは楽しみですね。
岡部 じつはそのいちばん長い曲って、すでにPVで出てるんです。あれは長い曲をぎゅっと短くしたバージョンなので、短い曲なのにやたらと展開が多い感じになっています。PVのバージョンは、いわばカルピスの原液を飲んでいる感じです(笑)。
▼『シノアリス』第1弾PV
――先ほどヨコオさんからのオーダーがいろいろあったとおっしゃいましたが、ほかにはどういったオーダーがあったのでしょうか?
ヨコオ 「ニーアの倍の尺でお願いします」という雑なオーダーをしました。
――それはすべての曲に対してですか?
ヨコオ そうですね。展開が多くて『ニーア』の倍の尺が欲しいですって言いました。
岡部 あと『ニーア』でもそうだったんですけど、状況に合わせて曲を変化させたいっていうオーダーもありましたね。同じ曲でもバージョン違いのものを何個か作って、それをプログラム上で変化させるという。
――スマホでも実現可能なんですね。
ヨコオ ポケラボさんの技術を使えば(笑)。
前田 レイヤー化を実現するには、プログラムで手を入れる必要がありましたが(笑)。でもちゃんと実装されています。岡部さんに作っていただいた曲を、状況に合わせてうまく切り換えて、ちゃんとゲームになじむようにしてあります。
――『ゲシュタルト』や『レプリカント』のころから採用されている、ヨコオさんらしさの出る演出ですね。
ヨコオ ただ今回はまったく未知のゲームなので、考えたはいいけど上手くいくかどうかはぜんぜんわからなかったですね。まぁ失敗したところで傷つくの岡部さんだけだから(笑)。岡部さんが「今回の曲いまいちだね」って思われるだけなので、僕は一切苦痛を感じないです(笑)。
岡部 ひどい(笑)。
ヨコオ 岡部さんの曲は“なんか”評価されるよね。
岡部 “なんか”じゃねえ(笑)。
――(笑)。楽曲の制作状況はいかがですか?
岡部 まだ絶賛制作中です。頑張っています。
――最終的に何曲ぐらい用意される予定なのでしょうか?
岡部 全部で15曲くらいかな。ガッツリ長い曲は2曲ぐらいです。その2曲のバージョン違いがいくつかあって、あとはメニュー画面とかで使うような比較的短い曲が10曲くらい。
▼『SINoALICE(シノアリス)』ゲーム楽曲 -Music 01-
▼『SINoALICE(シノアリス)』ゲーム楽曲 -Music 02-
――現状で完成しているものを聴いてみて、ヨコオさんはいかがでしたか?
ヨコオ まだよくわからないですねぇ。ゲームに入れてみないとわからない部分も多いので。ギルドバトルの展開も、実際に遊んでみたときにどうなるのかがまだ掴みきれていないです。もしかしたら遊んだときにズレた感じが出るかもしれませんが、まぁスマホゲームは音楽を聴かなくてもいいし(笑)。
岡部 全否定(笑)。根底から否定されてる。
ヨコオ コンシューマーゲームはほとんどの人が音を聴きながらプレイすると思うんですけど、スマホゲームは逆じゃないですか。音を聴かない人がけっこういるなら、そこは失敗してもいいかなって(笑)。
岡部 ひどい(笑)。でも正直、いまの携帯ゲームってどれぐらいの人が音を聴きながらやっているのか疑問に思っていました。それで周りに話を聞いてみたら、本体のスピーカーから聴いている人がいちばん少ないんですよ。音なしでやるか、聴くならイヤホンとかでガッツリ聴くっていうニ極化されていて。僕としては、聴いてくれる人もいるのなら、その人のためにちゃんと作らなきゃっていう意識にはなります。
ヨコオ ただどんなに好きな音楽でも、1ヵ月も聴いてるとさすがに飽きるじゃないですか。ギルドバトルだとしょっちゅうその曲を聴くことになるので、やがて岡部さんの曲も捨てられていくんだろうなと……。それは愉快ですね(笑)。
岡部 飽きるほど聞いてもらえたなら、十分役割を果たせたと思いますよ!(笑) まずは飽きるほど聴いてもらえるように頑張ります。
――15曲ほど作られているとのことですが、制作にあたってどのようなテーマやコンセプトを持って作られているのでしょうか?
岡部 童話をモチーフにしているというか、絵本感みたいなものは意識しています。『オートマタ』はSFに寄ったので、今回はそれと逆のほうに寄せた感じと言いますか。
――絵本感という単語が出ましたが、具体的にどういった感じなのでしょうか?
岡部 中世ヨーロッパのファンタジーっぽいって言うとアレなんですが、よりコンパクトで、人間のパーソナルな部分の奥深くにある、非現実的なものをイメージしています。それが僕の中でいうところの絵本感っていうやつですね。
――壮大な『オートマタ』の真逆に位置する『シノアリス』は、よりインナーでファンタジーなものである、と。
岡部 そうですね。『レプリカント』がど真ん中だとしたら、『オートマタ』ではハリウッドのSF映画みたいな壮大な感じをイメージしていて。その真逆に位置する『シノアリス』の場合、箱庭感というか、もうちょっとスケールの小さい感じをイメージしました。
――ちなみに、岡部さんがはじめて見たときの『シノアリス』の印象はいかがでしたか?
岡部 やっぱり世界観とキャラがいいですね。すごくかわいいキャラなんだけど、ヨコオさんのシナリオを意識してなのか、色味にもちょっと枯れた雰囲気があって。そこに絵本感みたいなものを感じています。
――きっと『シノアリス』を楽しみにされている方の中には、岡部さんのファンの方も多いと思います。サントラなどの発売も予定されているのでしょうか?
藤本 サントラ作りたいですよね。予定はないですけど、個人的な希望です。
――曲を自由に聴けるような作りにはなっているのでしょうか?
前田 そこまでは実装していないんです。だからサントラを出すことができればいいな、とは思っています。
藤本 でもスマホのゲームだから、どこでも岡部さんの曲に触れることができるんですよ。誤解を招くことを承知で言いますけど、これは“音ゲー”になるな、と感じています。
――“音ゲー”ですか?
藤本 そもそも、ゲームのメカニクスやシナリオを別々に語るべきではないと思うんです。システムと世界観、そして音楽が、音ゲーのように密接な関係になるのが理想だと僕は思います。『シノアリス』では、そのすべてが高水準の領域で密接に絡み合っている。そういう意味で“音ゲー”ですね。
――声優さんもすごい豪華ですよね。
藤本 声優さんの朗読もすばらしいです。ヨコオさんの凝縮された詩世界と、豪華な声優さんによる朗読、そしてその背景に岡部さんの音楽が流れる。本当に「いままでこんな体験あったっけ?」っていうようなものになっています。
前田 今回はふつうの会話とかもなくてちょっと特殊な感じなんですけど、声優の皆さんがいい感じに演じてくださっています。基本的にシナリオはフルボイスなので、ぜひヘッドホンを付けて遊んでほしいですね。
「(『シノアリス』は)いい意味でいやらしい」(齊藤氏)
――ゲームの制作進行度的にはどれくらいなのでしょうか?
藤本 基本的には全実装が済んでいて、最後のブラッシュアップに注力しているところです。
――では春配信に向けての準備は、もうだいぶ整っている、と。
ヨコオ ただ、僕が『シノアリス』を遊んでみても、どこで課金をするのかがさっぱりわからないんですよね。このままふわふわ遊び続けて、課金しなくてもいいじゃんって思えちゃう。これで商売をしようとしているポケラボさんは、ほんとすごいなって思います。
前田 課金をしなくても、やりたいときにやって、岡部さんの曲を聴いて、キャラクターを見て楽しんでもらえるだけでも十分だとは思います(笑)。もっと頑張りたい、もっとやりたいって思っていただけた方に、お金を使っていただけるとうれしいですが。
齊藤 でも、ヨコオさんのウェポンストーリーが読みたくて課金する人も多いんじゃない?
ヨコオ 今回は僕が直接ウェポンストーリーを書くのではなくて方向性の監修とかいろいろやっています。基本的にグラフィックやUIのディレクションと、原作、シナリオのディレクションをする役回りなので。
齊藤 でも俺が触ったとき、いい意味でいやらしいなあと思いましたよ。
――いやらしい……ですか?
齊藤 いやらしいっていうのは、別に女の子がいやらしいとかじゃないですよ(笑)。「ヨコオさんのことが好きな人は、きっとこういう世界観が好きだろうな」っていうのが、いやらしいぐらいに伝わってくるんです。
――齊藤さんから見た『シノアリス』の印象はいかがでしたか?
齊藤 私は遊ばせてもらったときに赤ずきんちゃんを選んだんですけど、もうセリフがとにかくいやらしい。ヨコオさんが書くものを好きな方なら、違和感なく「あーこれはヨコオさんが作ったものだね」ってなる。いやらしいですよ。
▼キャラクター紹介映像
ヨコオ 僕はちなみに、最初に出てくる●▲※×●▲※×がすごい好きなんですよ。
齊藤 あれはかなりね、ぶっ飛んでる。セリフがまたヨコオさんらしい、ぶっきらぼうで。『ニーア』とかでもちょくちょくあったけど、システムメッセージの補足でそんなこと書かないでしょってことが書かれていたりするんですよ。たとえば「~です、たぶん」みたいな、開発中のテキストみたいなことをふつうにしゃべっているので。
――『ニーア』の難易度設定の画面とかもそうですよね。
齊藤 そうそう。ヨコオさんが好きな●▲※×●▲※×も、本当にヒドいことを言ってる。
――『シノアリス』には、ハッピーエンドのストーリーもあるのでしょうか?
ヨコオ ハッピーエンドではない気がします。
藤本 これはハッピーエンドではないですね。だって少女たちが殺し合うしかないんですから。
ヨコオ エンディングはあるんですけど、あらゆる方面に向けてバッドエンドっていう。
――じゃあ覚悟して臨まなきゃいけない感じですね(笑)。
齊藤 まあいいんじゃない? 『オートマタ』はハッピーエンドだって前々から言ってて、本当にハッピーエンドにしたら「物足りない!」って人もいたわけだし(笑)。
『オートマタ』とのコラボの進捗は?
――配信前の段階ではありますが、すでに『シノアリス』と『オートマタ』のコラボが発表されています。ゲーム内でどのようなコラボレーションを行なうのでしょうか?
ヨコオ どうしましょうか? じつはまだ決めてないんですよね。
――コラボ内容の方向性のようなものは?
ヨコオ 最近はゲームどうしのコラボってたくさんありますが、どれもシナリオ的な意味がほとんどない気がするんですよね。まぁそもそもの世界観が違うので、シナリオを作れないんだとは思うんですけど。今回もお話としてほとんど関係がないけど、コラボをしたことで浮わついた感じにはならないようにするつもりです。たまたま両方とも書いているのが僕だから、同じニュアンスでまとまっていくとは思います。
――ヨコオさんが執筆をされていないタイトルとのコラボになると、話が変わってきますね。
ヨコオ そうなんですよ。もしかしたら今後、『ナルト』や『ドラゴンボール』とかとコラボをして、『シノアリス』にそれらの作品世界が入ってくるかもしれない。そのときのために、『シノアリス』側でも異なる作品世界を受け入れられるような仕組みにしておかないといけないなと。
齊藤 絶対にコラボしてもらえないよ(笑)。
ヨコオ まあ仮に『ナルト』とかが入ってきたときに、ちゃんとやれるようにしないと駄目だなと思うんです。きっとお金とかで実現できたりするんじゃないかと。
齊藤 いや無理でしょ(笑)。
前田 わからないですけど、できるんじゃないですか? 弊社の『サムライキングダム』は、以前『ナルト』とコラボをしていますし。
ヨコオ 『サムライキングダム』のときは、どうやってストーリーにナルトが加入してきたんですか?
前田 ストーリーはないですね。
ヨコオ 唐突に「だってばよ」って言って戦い始めるとか?
前田 そうですね。「戦うんだってばよ」みたいな。
ヨコオ 「戦うんだってばよ」(笑)。それだ! そういう唐突に出てくる方向で『ニーア』のコラボもやります。しかも『ニーア』のキャラに「だってばよ」って言わせます!
齊藤 (笑)。そもそも『シノアリス』の年齢制限的に、少年誌は無理じゃないかな。青年誌に出てくるキャラだったら可能性はありそうだけど。
ヨコオ じゃあ『カイジ』がいいですね! コラボしたい! 「ガチャ……、ざわざわ……」みたいな!
――(笑)。そもそもとして、『オートマタ』の世界観と『シノアリス』の世界観のつながりはあるのでしょうか?
ヨコオ つながりはないです。ただ『シノアリス』の世界観がいろんな世界観を内包できるような骨格にしてあるので、突発的に入ってきても違和感はないはずです。
――たとえば『オートマタ』に出てくる絵本とかと関係があったりなどは?
ヨコオ あれとはぜんぜんつながってません。なので『ニーア』ファンの人は、安心して『シノアリス』を切り捨ててもらってかまわないです。
――ヒドイ(笑)。実際のところ、コラボの全貌も決まっていない状況なのでしょうか?
前田 コラボの内容やシステム的な骨格はできあがっています。『オートマタ』の2Bとか9Sが『シノアリス』の世界でも生きられるように、ヨコオさんといっしょに準備をしている段階です。
――キャラクター以外にも何かコラボで登場するものはありますか?
前田 『オートマタ』の楽曲とかも使わせてもらう予定です。『オートマタ』に出てくる敵や武器、背景とかも登場予定です。
ヨコオ 敵で言うと、『オートマタ』に出てくる、劇場でオペラを歌うボーヴォワールっていう敵が出てきますよ。コラボイベントはそのお話になる予定です。
――ボーヴォワールはどういった経緯でコラボに登場することになったのでしょうか?
ヨコオ ボーヴォワールを出したいから出した、というわけじゃないんです。ポケラボさんに“『オートマタ』を外から見たイメージ”を出してもらいながら、背景やキャラで印象に残ったものを挙げてもらって。そこで何を出したいか話し合った結果、ボーヴォワールに決まりました。
――人気があるから出そう、ではないんですね。
ヨコオ そうですね。キャラが決まっちゃえば、あとはそこから大喜利的に「『シノアリス』の世界で、どんな話の骨格になるんだろう」っていうのを考えるだけです。そういう作業は嫌いじゃないというか、お題があったほうがやりやすいですね。
――物語の部分もほぼ決まっているのでしょうか?
ヨコオ そこはこれから考えていく予定です。『オートマタ』本編と同じものではないんですけど、それはそれで何かやりようはあるのかなと思っていて。プレイした結果、ちゃんと意味のあるお話になればいいなとは思っています。
――齊藤さんからリクエストみたいなものは出されたりしましたか?
齊藤 いや、ぜんぜんないです。それに『シノアリス』はヨコオさんが作っているものなので、安心して「どうぞ」って言えるのが楽だなと(笑)。さすがに自分が監修しているものにダメ出しとかしないだろうし。
ヨコオ 意味がわからないですからね(笑)。自分で発注して監修もするっていう。
――ボーヴォワールは人気も高いですし、『ニーア』ファンも楽しめるコラボになりそうですね。
ヨコオ でも、コラボとかで新しいお話や意味のある展開をやると「なんで本編に入れなかったんだ!」ってよく言われるんですよね。
――DLC関係もそうですが、後から新しいものが作られると、そういう声は挙がりますね。
ヨコオ 最初から考えていたわけではなく、なじむように後から一生懸命考えたんですけどね。それがまるで、「最初に入れたものを、コラボのために取り外した!」って言われるんですよ(笑)。
――ちなみにコラボの実施時期は決まっているのでしょうか?
前田 リリース後、早めに実施する予定です。
――『オートマタ』側で『シノアリス』のエッセンスが入る可能性はありますか?
ヨコオ いまのところはないです。
齊藤 『シノアリス』がバカ売れしたら便乗しよう(笑)。
――(笑)。実際に遊ばれてみて、手応えのようなものはございますか?
前田 ヨコオさんの世界観の表現にこだわっているので、開発現場としてもいいものができたと思っています。ゲームとしても、マルチでいろんな人と協力したり敵対したりできて、戦略的な要素のある作品になっています。まずは世界観から入っていただいて、そこからゲーム性の奥深さも楽しんでいただけたらなと思いますね。
藤本 『シノアリス』のマルチプレイでは、基本的にリアルタイムで協力して、お互いの少女たちが殺し合うことになるんですよ。ひどいシナリオをみんなで体験して、みんなで殺し合って盛り上がる。作品の世界観に合ったバトルシステムになっていると思います。
ヨコオ氏のアイデアが採用された摩訶不思議なガチャシステム
――先ほど課金のお話も出ましたが、ヨコオさんは例えばガチャの部分にもガッツリ参加されているのですか?
ヨコオ 演出などはしていますが、ガチャのシステムとかにはまったく関わってないですね。そもそも携帯ゲームのお作法がわからないので、そこはポケラボさんのノウハウに従って作っています。
――演出面でポケラボさんからNGが出たことはありましたか?
ヨコオ 細かいところで言うと、ガチャを最初に出すタイミングですね。リセマラっていう概念があるんだから、ゲームがスタートしてすぐにガチャが出たほうがいいんじゃないかと思ったんです。そしたら「あまりにも早すぎる」というクレームがきて(笑)。
前田 結果的にガチャのタイミングはヨコオさんの提案通りになったんですけどね(笑)。
ヨコオ ガチャを出すタイミングでそんなに違うんだ、わからないなぁと思いました。僕はリセマラをするなら早ければ早いほどいいんじゃないかと思ったんですけど、早すぎるとみんなが引いちゃうとかで。
――そういうスマホのセオリーから外れているところも、ヨコオさんらしさが出ていそうですね。
ヨコオ 今回携帯ゲームのお作法をいろいろ学びましたが、それを何か新しい仕事に活かせるかっていうと、残りの人生もそんなにないので多分ムリですね。それに『シノアリス』はポケラボさんの優秀な方々が仕切ってくださっているので安心です。僕は孫たちが庭で遊んでいるのを見て、穏やかに日なたで死んでいくおばあちゃんみたいな感じで見ています。
――ありがとうございます(笑)。では最後に、『シノアリス』配信に向けてそれぞれメッセージをいただけますか?
前田 開発の最終段階でバグ取りを進めている段階ですが、それを完璧にやりきって、いい状態でリリースしたいと思っています。ポケラボのチームメンバーもすごい必死でやっているので、その頑張りをいい感じに世の中に出していければと思っています。いまはそれだけです。
齊藤 私はとりあえず1万円課金するので、さらに課金するかどうかはおもしろいかどうかですね。期待していますので、皆さんには頑張ってもらいたいです。
ヨコオ 僕は本編のシナリオがまだできていないので、それを間に合わせるように努力します。
――え、まだできていないんですか?(笑)
ヨコオ 間に合わせるように努力するんですけど、万が一ってこともあるので。内心ポケラボさんで大きなバグが見つかって、その影響でリリースが伸びるといいなって願っています。もしくはコンプガチャ騒動みたいな、ソーシャルゲーム業界全体を揺るがすような何かが起きるとか。
前田 ガチャがなくなる、みたいな(笑)。
岡部 そうなるとリリースできない(笑)。えーっと、さっきも話にあった通り、スマホのゲームって音楽を聴かれないこともけっこうあると思うんですよ。なので僕は「聴きたいな」と思ってもらえるように、ゲームの世界観を盛り上げられる音楽を、これからまだまだブラッシュアップしていきます。ぜひ音を聴いてゲームをプレイしてもらいたいです。
藤本 シナリオのボイスやBGMといった音と、システムが一体となったゲーム体験は、これまでのスマホのゲームにはないものになっています。この体験を多くの人に届けたいので、よろしくお願いします。
【SINoALICE × NieR:Automata コラボ特設ページ】 |
前回の会談の模様はこちら |
『シノアリス』公式サイト |
『シノアリス』公式Twitter |
SINoALICE(シノアリス)
- メーカー
- ポケラボ、スクウェア・エニックス
- 公式サイト
- http://sinoalice.jp/
- 配信日
- 2017年春配信予定
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS/Android
- コピーライト
- ©2017 Pokelabo Inc./SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
かわいい見た目と裏腹に中身は生意気⁉NCSOFT新作『護縁(ごえん)』で“ウゲン”を演じる堀江瞬さんに独占インタビュー
2024-07-22 12:00『白猫NW』はなぜバトルシステムを大規模アップデートしたのか|開発ディレクターインタビュー
2024-04-13 09:00【黒ウィズ】なぜこのタイミングで新属性を実装?クリエイターコラボの意図は?11周年を迎えた「黒猫開発室」インタビュー
2024-03-22 17:00