【個人開発ゲームを斬る】開発者の“クセが強い”個性派RPG『まものたいじクエスト』

2017-01-16 16:04 投稿

▼2016年個人開発アプリランキング発表
2016年“個人開発ゲーム”ベストアプリランキング(前編)
2016年“個人開発ゲーム”ベストアプリランキング(後編)

レベルアップ要素なし

新年一発目に紹介させていただくのは、『ドラゴンクエスト』っぽい雰囲気で楽しめそうな、ジャパニーズRPGでございます。

まずは下記の画像をご覧ください。

image1_1▲イラストのクセがすごいimage1_2▲モンスターのクセもすごい


どうですか。

思わずブラウザの“閉じる”ボタンを押したくなってしまったのではないでしょうか。私が読者なら、そうしてます。

ところがどっこい、これがなかなかの“秀作”ですので、最後までぜひお付き合いくださいませ。

あなたは、とある世界の勇者様

image2_1▲よくある展開image2_2▲よくある見下ろし型フィールドマップ

あなたは、とある世界の勇者様。王様に「魔王を倒して世界を平和にしてちょーだい」と言われてしまったので、冒険スタート。

ドットで描かれたフィールドの上を東西南北に移動し、特定の場所にいるモンスターとエンカウントしたら、いざバトル。

image3_1▲雑魚を倒してレベルアップ……image3_2▲しない……だと……!?

バトルは王道ターン制。

殴って殴られてをくり返し、体力が残っていればビクトリー。

「魔王を倒すために、チマチマとザコ戦をくり返さないといけないヤツか、そんな暇はねぇ」とお嘆きのあなた、ご安心ください。

このゲームには“レベルアップ”の要素がございません。

しかし、冒険を進めると、モンスターはドンドン手強くなっていきます。では、どうやって戦うのか?

“じゅもん”で戦闘

image4_1▲元気なおにぎりimage4_2▲お米が冷えてチカラが出ないよ……

勇者は、ある特定のモンスターを倒すと、“じゅもん”を覚えます。

このじゅもんが攻略のキーポイントとなっておりまして、ふつうに殴るだけでは絶対に倒せないモンスターも、うまく使えばノーダメージで倒すことが可能。というか、使わないと勝てないルールになっています。

たとえば“おにぎり型モンスター”には、じゅもん“せんぷう(扇風機)”を使って、風を浴びせ、冷えっ冷えのおにぎりにし、パワーダウン。そこをボッコボコに殴打殴打殴打。

image5_1▲じゅもんっぽくないけど、全部じゅもんimage5_2▲ときには金のチカラでゴリ押し

冒険を進めていくと、勇者は8種類ほどじゅもんを覚えます。

20種類以上いるモンスターには、それぞれ“弱点のじゅもん”が用意されているので、それを見つけるのがこのゲームのおもしろポイント。基本はノーヒントなので、モンスターの特徴を見て、“かれー”をご馳走したり、“にこにこ”と微笑んでみたり、いろいろ試してみましょう。

かと思いきや、高い剣を買ってふつうに殴って倒せることもあり。

image6_1▲“あいどる”呼んだら怒られたimage6_2▲めっちゃ“かれー”好きそう

間違ったじゅもんを唱えた場合、「効果がなかった」や「ここでは使えない」などの“定型文”で処理されるのではなく、ちゃんとそれぞれのじゅもんに対応した“モンスターの反応”が用意されています。

ココがよくできているなと惹かれたところでして、なんとなく懐かしの“コマンド総当たりアドベンチャーゲーム”を思い出しました。

じゅもんを組み合わせ

image7_1▲スカートを風でふわっと???image7_2▲攻略できるときっと唸るデュエリスト

冒険も終盤に差し掛かると、じゅもんを組み合わせないと倒せないことも。アノじゅもんをかけてからアレとか、“フラグ管理”されているところが、ますますアドベンチャーゲームっぽいです。

また、じゅもん以外をいろいろ試す必要があるモンスターも。正解を見つけ出すと、一見理不尽なモノも「なるほど、そういうルールだったのか」と、ミョーに納得してしまい、すっかりこのゲームにハマっていることを自覚できます。

image8_1▲強い!image8_2▲答えがわからない!

なんだかんだで、サクサクっと最終局面まで来てると思うのですが、どうにもこうにも、魔王の手下っぽいモンスターが、どーしても倒せません。

ちなみに死んでも、ペナルティなしで再開できますので、安心してじゅもんの選択をミスってください。

そんなわけで、ラスボスには会えませんでしたが、その代わりにこのアプリを開発した“チーム「ねことドラゴン」”の、“せっき〜”さんにお話を聞いて、〆させていただきます。

Q1.はじめまして! まずは簡単な自己紹介をお願いします!

チーム「ねことドラゴン」の、せっき〜です。
今回はプログラムとディレクションを担当しました。
もうひとり、友人の河野はテキストとイラストを担当しています。
チーム名「ねことドラゴン」は、わりとフィーリングです。

Q2.ストア情報を見ると、おそらくこちらが初めてのアプリだと思うのですが、まずはアプリを開発してみようと思ったキッカケを教えてください。

もともと「RPGを作りたいね」という話をしていたのですが、スマホのゲームを遊んでいると“エンドレスに続くゲーム”がほとんどで、きちんと完結できる短編RPGのアプリを出してみようというのがスタートです。

Q3.なるほど、そこで今作『まものたいじクエスト』の開発へと繋がるわけですね。

『まものたいじクエスト』は、知っているなら一瞬でわかる“MSXの伝説的な読者投稿ゲーム”を参考にしています。
第1作目だし、チームの個性を打ち出すならこれしかないと、迷わず選びました。

Q4.初めてのアプリ開発、いかがでしたでしょうか?

手づくりRPGを目指したので 河野(テキスト・イラスト担当)には無茶な要求をしました。
20種類以上のモンスターに手書きの絵を用意してもらい、さらに呪文のリアクションも、モンスター毎に変えようと決めたので“呪文8種類×モンスター20種類以上”と、けっこうなボリュームになってしまいました。
でも、そのがんばりのぶん、一風変わった世界観を作れたんじゃないかなと、思っています。

Q5.テキスト量には驚かされました! これからアプリ開発にチャレンジしようと思ってる方に、何か助言やアドバイスや感想などあれば。

自分はコンシューマー系ゲーム会社にいるのですが、そういった方はぜひとも仕事とは別にゲームを作ってみることをおススメします。ちょっと対象は狭いですが……。
最近はゲームづくりの全部を見られる機会はあまりないと思うので、個人のアプリ開発は、とてもいい経験になりました。

Q6.なんと、業界の方だったんですね! 『まものたいじクエスト』のアピールポイントをぜひ。

自分たちの“好き”を詰め込みました。
たとえば ゲーム本編とは別に雑誌風読み物「ねこドラMagazine」を付属させています。
これは、昔のPCゲームの説明書を意識したものです。
昔の説明書って、やけに分厚くてスタッフの雑談や変なコーナーがあって読み応えがあったんです。
それをやりたくて、形にしてしまいました。
ちなみに、中身も 昔のPC雑誌のパロディを散りばめたりしています。
ゲーム本編も こんな感じで自分たちのユーモアをたくさん入れたので、「こんなゲームもあっていいじゃない」と、軽い気持ちで楽しんで貰えると嬉しいです。

image9_1▲軽いゲーム情報から!image9_2
▲ゆるい4コマ漫画まで

Q7.各モンスターに対して、いろいろな呪文を総当たりで使っていくのが、基本的な進めかたなんでしょうか?

基本的には、その通りです。
このゲームのおもしろさは「このモンスターはどんな倒しかたをするんだろう?」と見つけてもらう部分以外に、“ハズレ選択肢”を選んだときにもモンスターが個性的な反応をするので、それを楽しんでもらいたいというのもあります。
実際、いただいた感想の中に「モンスターがいろいろなリアクションをして楽しかった」とあり、そこはこちらの狙いどおりだったのでニヤリとできました。
ただ、すべての敵の倒しかたが総当たりだけだとメリハリがないので、考えないと倒せないような中ボスを配置するなど工夫しました。

Q8.リリース後の反響などはいかがでしょうか。

ダウンロード数は思ったほど伸びておらず、「意外とこんなもんなんだ」という感じです。
ただ、最後まで遊んでいただけた人からは「おもしろい」という感想を多くもらえたので作ってよかったなと、ふたりで喜んでいます。
あと、個人的にドキドキしたのは MSXユーザーだった方が遊んでくれたときで、「おもしろい」という言葉をいただけたのでホッとしましたが、その反面こっそり入れていたパロディの元ネタを見事言い当てられたときはギクりとなりました。

Q9.アプリは今後もリリースされますか? 予定があるならば、どんな感じでしょうか?

次回作もRPGです。
『まものたいじクエスト』は自分たちにとってもかなり変化球のつくりなので、つぎはもうちょっとふつうのRPGを作ろうと思っています……。
それでも、「このチームが作ったんだね」と言われるくらいには個性を出せるようにがんばります!
作りたいゲームのネタはまだまだあるので楽しみにしてもらえると嬉しいです。

Q10.最後に何かひと言お願いします。

『まものたいじクエスト』は、MSX時代の読者投稿ゲームを参考にしたとありましたが、自分たちもまさしく当時の雑誌にゲームを投稿するような気持ちでアプリを出すことができました。
楽しみながらゲームを作る姿勢は、今後とも大事にしていきたいと思っています。

正直、イラストが好みじゃないという読者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこをググッとこらえて、5分、いや3分だけでも遊んでみてください。独特な世界観にどっぷりとハマってしまうことでしょう。

そして、見事クリアーできましたら、私に攻略方を教えてくだされば幸いでございます。

▼2016年個人開発アプリランキング発表
2016年“個人開発ゲーム”ベストアプリランキング(前編)
2016年“個人開発ゲーム”ベストアプリランキング(後編)

個人開発ヒットアプリ『ママにゲーム隠された』のハップさんに会ってきた
■あぷまがどっとねっと
(あぷまが)

「すべてのアプリにチャンスを!」との思いから、藤田武男氏が個人開発者が開発したアプリを中心に紹介している情報サイト。ほかでは見つからない“お宝アプリ”が“あぷまが”なら見つかるかも! ちなみにイラストは、あぷまがのマスコットキャラ、アイロニー。


※あぷまがへのアクセスはこちらから

まものたいじクエスト

メーカー
ねことドラゴン
配信日
配信中
価格
無料(一部有料アイテムあり)
対応機種
iPhone、iPod touch、iPad、iOS 7.0 以上 / Android 2.3 以上

Amazon人気商品ランキング 一覧を見る

関連記事

この記事に関連した記事一覧

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧