【個人開発ゲームを斬る】『はねろ!コイキング』の開発チームに“開発秘話”を聞いてみた

2017-06-28 18:45 投稿

ヒットの裏側を聞く

「好きなアプリを作って、生きていく」

企業に属さない、“個人アプリ開発者”にとっての大きな“サクセス”ではないでしょうか。
それだけにとどまらず、

「世界中のみんなが知っているアプリを作る」

そんな“ドリーム”をも実現してしまった、(元)個人開発者さんがいらっしゃいます。

というわけで今回は、世界中で空前絶後の大ヒットを記録した『はねろ!コイキング』(以下、『はねコイ』)の開発を担当された株式会社SELECT BUTTON(セレクトボタン)の代表・中畑様に、“開発秘話”っぽいことをいろいろ聞いてみました。ちなみに、ものすごいイケメンで、イケボです。

▼代表作の『生きろ!マンボウ』
【個人開発ゲームを斬る】大ヒット放置育成ゲーム『生きろ!マンボウ!』開発チームの新作

その前にゲームの流れ

image1_1▲後ろのマナフィじゃなくて手前のコイキングが主役image1_2▲コイキングvsコイキング シュールな絵柄

その前に簡単ではございますが『はねコイ』のゲームの流れをご紹介。

ゲームの主役はもちろん“コイキング”。

大人気ゲーム『ポケットモンスター』から跳び出した、“世界最弱”と言われ愛されている彼らを育成し、“リーグ戦”を勝ち抜くことが目的。

image2_1▲“たべもの”はアプリを閉じていてもポコポコ発生image2_2▲“とっくん”は回数制限あり。こちらも時間で回復

まずはホームの“いけす”で、まったりとコイキングを育成。複数を同時に育てるのではなく、1匹1匹、丹精込めて育てあげます。

時間経過でいけすの中に“たべもの”が発生。それをタップするとコイキングがモグモグと食べ、CP(はねる力)が上昇。また、“とっくん”モードも用意されており、こちらはランダムで発生するさまざまな特訓にコイキングがチャレンジし、その成果によってCPがググンと跳ね上がります。

CPが一定値溜まると、コイキングがレベルアップ。数値だけではなく、見た目の大きさも成長していきます。

十分に育ったら

image3_1▲ライバルよりも高くはねろ!image3_2▲豪快に落下。でもコイキングは元気

コイキングが十分に育ったら、いざ“リーグ戦”にチャレンジ。

1対1のタイマンバトルなんですが、“相手の行動を読む”、“相手の弱点をつく”、そんなヒリヒリした戦いではなく、ボタンひとつをポチッと押して、“真上に跳ね上がる”のみ。

育成で積み重ねたCPに比例して高く跳ね上がることができ、その距離が相手より1cmでも高ければ勝利となります。

image4_1▲負けて悔やまれながら引退image4_2▲リーグ戦を無敗で勝ち抜きメダルゲット!

リーグ戦は勝てば勝つほど、当然相手も強く高く跳ね上がります。負けてもペナルティはありませんが、最大レベルまで育ってしまったコイキングは、そこで“引退”。

最大レベルで挑戦した最後のリーグ戦を無敗で制覇して引退、というのがかっこいい“花道”なのですが、そこにたどり着ける“レジェンドコイキング”は一握りほど。

引退後は

image5_1▲コイキング、ゲットだぜ!image5_2▲彼らだけがわかる謎の引き継ぎ儀式

引退後は、新たなコイキングを“釣り堀”から釣り上げ、レベル1からまた育て上げます。

コイキングの成長とともに、“ブリーダーランク”が上がっていき、ランクが上がれば上がるほど、最大レベルが高いコイキングを釣ることが可能。

育成→バトル→引退→釣り

これをくり返し、コイキングの“跳ねる力の上限”をドンドンと高めていきましょう。

イベントも発生

image6_1▲おじさんの“きんのたま”、ゲットだぜ!image6_2▲大切に育てたコイキングが天敵ピジョンに連れ去られた!

たべものを与え、とっくんする、そんな育成のループ作業をさまざまな“ランダム要素”が盛り上げてくれます。

たとえば、とっくんが終わった後にイベントが発生する、なんてことも。

イベントはCPやとっくんポイントが回復するなど、大体が嬉しいイベントなんですが、中には“一か八か”の運試しイベントも用意されております。成功すると大きな見返りがあるのですが、失敗すると最悪コイキングが……なんてこともあり。

image7_1▲マナフィをタップするとラブカスたちがたべものを運んでくれるimage7_2▲ピカチュウのサポートスキルでCPゲットだぜ!

また本作には多数の“ポケモン”が登場し、コイキングの成長を応援してくれます。

いけすの中に“マナフィ”や“ヒンバス”が現れ、大量の“たべもの”をばらまいたり、CPをドンとプレゼントされたり。また、“なかよしグッズ”を手に入れると、“ピカチュウ”や“カビゴン”が、ホームに来てくれるようになります。彼らは時間経過で“サポートスキル”を発動し、CPやたべものなどをプレゼントしてくれます。

なかよしグッズは、リーグクリアー後にゲットしたり、貴重な“ダイヤ”を使って、ダイヤショップから購入することが可能。

珍しいコイキング

image8_1▲育ってくると“模様”がクッキリimage8_2▲金色のコイキングゲットだぜ!

いちばん楽しみなランダム要素は、“珍しいコイキングの発見”ではないでしょうか。成長するにつれ、“模様”がはっきりクッキリと現れ、ちょっと変わった模様になることも。
また、釣りをしたときに、ごく稀にとても珍しいコイキングをゲットすることがあります。“金色のコイキング”なんて手に入れた日には、リスクあるイベントは全スルー決定です。

と、簡単に説明するつもりが、おもしろ要素満載のためちょっと長くなってしまいました。まだまだ語り足りませんが、本来の目的である開発者インタビューで〆させていただきます。

Q1.まずはあらためて“株式会社SELECT BUTTON”について、教えてくださいませ。

“SELECT BUTTON”は、遊び心をくすぐる、どこか懐かしいゲームを開発する会社です。
ディレクター、プログラマ、デザイナの3人の最小構成で運営しています。
代表作は世界で800万ダウンロードを突破した『生きろ!マンボウ!』(以下、『マンボウ』)というゲームアプリです。

image9_1▲こちらはとても死にやすい“マンボウ”を育成image9_2▲“突然の死”はSNSの話題に

▼代表作の『生きろ!マンボウ』
【個人開発ゲームを斬る】大ヒット放置育成ゲーム『生きろ!マンボウ!』開発チームの新作

Q2.相変わらず3人でがんばっておられるんですね! 『はねコイ』をリリースして少し経ちますが、いまのお気持ちをお聞かせくださいませ。

ユーザーさんからいい評価をいただいていて、ほっとしているのが半分、がんばっていいアップデートを準備しなくては! というプレッシャーが半分です!

Q3.中畑さんは『ポケットモンスター』シリーズに思い入れがありますか? 何か“エピソードトーク”的なものがあればぜひ。

ぼくらの世代(平成元年生まれ)は「自分たちが元祖ポケモン世代だ!」という強い自負があります(笑)。
当然、『ポケットモンスター 赤・緑』を買いましたし、その後もよくシリーズを買っていました。
いちばんハマったのは20歳くらいのころです。
『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』がDSで出たときに、友達とバトルの大会を開いたりして、遊び倒しました。
このころは起きている時間のほとんどを『ポケモン』に捧げていました(笑)。

Q4.“平成元年生まれ”という言葉の響きに、おじさんはクラッときてしまいました! 『はねコイ』の開発期間はどれぐらいでしょうか? 開発の苦労話などあればぜひ。

開発期間は9ヵ月くらいです。企画はちょうど1年前くらいから考え始めました。
苦労といえば、とにかく3人で開発するのが大変でした。
3人でつくるわりには、つくるもののボリュームが非常に大きい(笑)。
プログラマはひとりでアプリとサーバーの両方をつくり、デザイナはひとりでイラストとUI、演出をつくっていました。
僕はそれを横で見ていて、「この人たちよく働くな、すごいなー」と、心配半分、自分のチームメンバーに惚れ直すみたいな気持ち半分で、やってました。

Q5.株式会社ポケモン様とやりとりしながら開発されたと思うのですが、提案した企画/要素について「それは無理」とNGが出たことってありますか?

細かい点では、監修結果のお戻しをいただきましたが、全体としてはあまりNGはなかったです。
実際は、いただいた質問とは逆に、「もっとSELECT BUTTONさんらしい色を出してください」と言われたことはあります(笑)。

企画当初はもっとゲーム性が高い、“ピカチュウ育成ゲーム”などで考えていました。
そのときのポケモンさんの反応も悪くはなかったのですが、ピンと来てはいない感じでした。
自分たちでも、「たしかにゲーム性重視だったら、もっと人数の多いチームがつくるべきだよなー、もっと遊び心全開のがいいよなー」と思い、企画書の末尾に、今回のコイキングの企画を“オマケ”みたいな形で貼り付けておきました。
すると、この案のところでポケモンのみなさんがクスッと笑ってくださり、その場でブレストが始まり、どんどん話が膨らんでいきました。

『マンボウ』にあるような僕たちの遊び心と、“コイキング”が持つ個性の掛け合わせで、「いままでの『ポケモン』にないものができるかもしれない」というイメージを持たれたようです。
そんな経緯があっての開発だったので、僕たちの色もかなり出ているゲームになったんじゃないかと思います!

Q6.おお、なんか感動しました! 初めて株式会社ポケモン様に『はねコイ』を触ってもらったときはどんな気分だったんでしょうか?

『ポケモン 赤・緑』からプロデュースをされている、石原さんにプレイしていただくときは本当にドキドキでした!
目の前でプレイされているときは、非常に緊張感があり、数分間がながーーく感じました。
たくさんの課題をいただきましたが、クスッと笑っていただく部分もあり、開発の目指すべき方向性が固まった日になりました。

めちゃめちゃいい経験になったのですが、対面でのテストプレイはひじょーーーに緊張し、寿命が縮まるので、これから先、何回もやりたいものではありません(笑)。

Q7.これはもう、映画化してもいいレベルの深いお話ですね! リリース後の反響はいかがでしょうか? 何かおもしろい反応とかありましたか?

世界中のほとんどのストアで★4.5以上の評価をいただいていて、とてもいいスタートを切ることができたと思っています!
SNS上では、ピジョンにつれさられるコイキングが大量に投稿されていて、『マンボウ』のときと同じ状況になっていたのには笑いました(笑)。

Q8.まだまだ聞きたいことはございますが、そろそろお時間となってしまいました。『はねコイ』を楽しんでいる世界中のユーザーに、何かひと言お願いします。

小さい子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで遊べる簡単なゲームになっていますので、ぜひ家族のみんなでいっしょにプレイしていただけると嬉しいです!

Q9.これからアプリでひと山当てたいと思ってる“個人開発者”の方にもアドバイス的なものをお願いします。

小規模チームでのアプリ開発は、“点ではなく、線になるように作っていくこと”が大切だと実感しています。
『はねコイ』は『マンボウ』でトライした、新しい遊びかたの追求と前作『ハントクック』でトライした、低コストで世界観を拡げる見せかたの追求の両方をうまく活かせたゲームになったと思います。

これは“同じようなゲームをつくっていくのがいい”という意味ではなく、“毎回まったく違うゲームをつくっていくのがいい”という意味でもありません。
新作に取り組むときは、“今回は新しく◯◯に挑戦する”という大きなテーマを1個定めて、いままでのベースの上に積み上げていく形がいいと思います。
そうして練度を上げていくことで、その分野でオリジナリティーを持ったものがつくれるようになり、ファンもできいくのではないかと考えます。

Q10.アツいお話ありがとうございます! 最後の最後にSELECT BUTTONさんの今後的な感じの締め言葉をよろしくお願いいたします。

まずはしっかり『はねコイ』のアップデートを進めます!
そして将来的には、世界中でいちばん遊ばれるゲームを作りたいです!
以上です! 押忍!

私自身も『ポケットモンスター』にはいろいろと思い入れがあるせいか、4年目を迎える連載記事でいちばん感動するインタビューとなりました。

というわけで、アツいアツい開発チームが作った『はねろ!コイキング』、まだ未体験な方はぜひ遊んでみてください! 押忍!

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■あぷまがどっとねっと
(あぷまが)

「すべてのアプリにチャンスを!」との思いから、藤田武男氏が個人開発者が開発したアプリを中心に紹介している情報サイト。ほかでは見つからない“お宝アプリ”が“あぷまが”なら見つかるかも! ちなみにイラストは、あぷまがのマスコットキャラ、アイロニー。


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はねろ!コイキング

ジャンル
のんびり育成
メーカー
ポケモン
配信日
2017年5月23日
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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