3周年を迎えて絶好調な『戦国炎舞』のリアルイベント戦略とは?【仕掛け人に訊く】
2016-12-16 18:00 投稿
ロングヒットタイトル『戦国炎舞』がリアルイベントで得たものとは?
サービス開始から3周年を迎えた、サムザップから配信中の『戦国炎舞-KIZNA-』(以下、『戦国炎舞』)。GvGと美麗カードを武器に、累計510万ダウンロードを突破。3年経ってなお、トップセールス上位をキープし、ユーザーから熱い支持を集める人気タイトルだ。
『戦国炎舞』では、2016年4月からリアルイベント“3周年KIZNA祭”を実施。東京で行われた“春の宴”、9月と10月に大阪、福岡で開催された“秋の宴”、そして、12月17日には再び東京で“冬の宴”が開催される。
年間を通じて周年のリアルイベントを行うのは稀なケースだが、その間にも、新宿メトロプロムナードでの巨大ポスター、トリックビジョンの掲載、戦国握り飯配布イベントなど、ユニークな催しで話題を集めている。
今回は、精力的にリアルイベントを実施する狙いをプロデューサーである竹内恒平氏と、プロモーションを担当する原田隆太氏に聞いた。
東京から始まり東京でラストを飾る“3周年KIZNA祭”
――1年がかりで3周年リアルイベントを実施していくというのは、あまり前例のない企画だと思うのですが、なぜ複数の都市で行うことになったのですか?
竹内恒平氏(以下、竹内) 根底の考えは、「3周年を迎えられたのはユーザーの皆様のおかげなので、皆様に還元する」というものです。ですから、本当は47都道府県すべてを回りたかったのですが、あまり現実的ではないので、ある程度各地方の主要都市に絞らせていただきました。
――初回の東京、そして大阪、福岡とやってきて、お客さんの反応に地域性などはありましたか?
原田隆太氏(以下、原田) ありますね。都市によって、会場の雰囲気は結構違いました。
竹内 福岡は本当に和やかな感じでした。僕らはお客様の年齢をゲーム内情報として持っていないので知らなかったのですが、福岡はどちらかというと若い層が多くて、大阪は年齢層が高めの方が比較的多かった印象で、東京は満遍なくいろいろな年齢層の方に来ていただいたという感じでした。年齢の違いが会場の空気感に影響しているのかもしれません。
――それはおもしろいですね。そういう発見も会ってみて初めてわかることですね。
竹内 そうですね。だから、結構不安です(笑)。もともとリアルイベントをやる前にニコ生で全国行脚をやっていて、ユーザーさんに会いに行く企画もやっていたのですが、それとはまた違う緊張感があって。数百人のお客様が待っているところに「どうも」と入っていくので、そこは緊張しましたし、不安ではありました。
――お客さんからの反応やイベントの手ごたえはいかがでしたか?
竹内 回を重ねていくごとに掴めてきている感はあります。必ず来場してくださった方々にアンケートをお願いしているのですが、福岡がいちばん高い満足度でした。ゲームの運用と同じで、ちゃんとPDCAを回して「東京ではこれがダメだったから、大阪ではこうしよう」、「大阪ではこれがダメだったから、福岡ではこうしよう」といった反省点を活かせて運営できたのはよかったし、そこでの手ごたえはしっかり感じられました。
――イベントの実施前後では、ゲーム内で何か変化はありましたか?
竹内 リアルイベントに来てくださった方の割合はそこまで大きくないので、大きな変化があったとは感じていません。ただ、リアルイベントをやる前とやった後とで違ったのは、運営の顔が見えるようになったこと。運営の人間味が出せたことで、運営が言うことに対する耳の傾け方が少し変わったかなと思っていますし、意見の訴え方が変わってきた体感はあります。
――運営側の顔が見えることでユーザーさんの印象も変わると?
竹内 多少はあると思います。ビジネスの場面で、メールで謝られるのと直接会って謝られるのとでは受け手の印象が違うのと同じ感覚なのかなと。目の前で僕が自分の言葉でみなさんに伝えるというのは、僕自身にとってもお客様にとっても貴重な機会なので、そういった場が作れたこともリアルイベントのメリットでした。
――その中で得られるユーザーさんからの意見、出てきた要望というのは、問い合わせでくるのもとは違いますか?
竹内 もちろんお問い合わせでいただくご意見もありますが、ひとつの意見に対して、ユーザーさんを含めてみんなで良い悪いを議論するというのはリアルイベントでしかできないことですし、そもそもお問い合わせをしてくださるユーザーさんも限られています。変えてほしいけど問い合わせをしない方もいらっしゃるので、そういう声なき声、お問い合わせだけでは拾えない部分をフォローするのにも、リアルイベントは機能しています。
――3周年イベントの〆を再び東京でやるのはなぜなのでしょうか?
竹内 先ほど言ったとおり、毎回毎回アップデートを重ねながらリアルイベントを続けてきたので、正直いま考えると最初の東京のイベントはすごく反省点が多かったです。ですから、そこを改善して冬の宴では東京のみなさんを驚かせたいというところもあります。冬の宴はエントリー人数も増やして規模も拡大しようと思っています。その規模でしかできないこともありますし、そこもアップデートのひとつとして、みなさんにお見せするためにも、最後を東京にしました。
――3周年記念イベントの最後ならではの驚きの発表は?
竹内 発表というか、すごいコンテンツは仕込んでいます。春の時は不安を抱えながらやっていましたが、大阪で物販を始めたり、福岡では協闘バトルのブースを用意したり、お客様からのアンケート結果を踏まえてアップデートした部分があります。冬の宴では、そこに「僕らが運営としてこういう驚きを提供したい」というプラスアルファを追加して作っているので、だいぶ変化していると思います。
認知度を上げるためのプロモーション
――3周年イベント以外にも、新宿メトロプロムナードでの巨大ポスター、トリックビジョンの掲載であったり、戦国握り飯配布イベントがありましたが、あの握り飯配布イベントには驚かされました。
竹内 まぁ、謎ですよね(笑)。前提から説明すると、自分で言うのもなんですが、「トップセールスはずっと上位にいるのに、『戦国炎舞』って認知度低いよね?」と、プロモーションチームと話をしたときがあって。遊んでくださっているお客様も“自分が好きな『戦国炎舞』を周りは誰も知らない”ということにモヤッとしていると思うんですよ。下手すると、広告の効果にも悪い影響を与えているのかもしれない。
――遊んだことはないけど、聞いたことがある、知っていることへの安心感は確かにあるかもしれません。
竹内 まったく知らないアプリは遊ぶまでのハードルが高いんです。もちろん、ゲーム性もありますが、よくCMで目にするゲームは「みんなやっている」みたいな意識が芽生えてハードルが下がる。その点、『戦国炎舞』はとにかくハードルが高いという話になって「認知度を上げたい」と。ただ、ふつうのことをふつうにやっても埋もれるだけなので、『戦国炎舞』ならではの尖ったモノをやらないといけないなという意識はありました。
――その意識が戦国握り飯配布イベントにつながったわけですね。
原田 僕がサムザップに入ったのは5月なのですが、春の宴でゲーム内に登場するアイテムの握り飯をリアルに配布しているのを見て、これは他のプロモーションにも使えるんじゃないかと。配布イベントでは『戦国炎舞』を知ってもらうために、海苔にロゴをリアルに入れてみました。それを写真に撮ってもらったり、少しでも興味を持っていただいて、『戦国炎舞』を知るきっかけになってもらえればいいと思い、実施しました。
――握り飯を配るだけでなく、握り飯の写真を使った写真投稿キャンペーンも実施されてましたよね。景品も“純金小判”など、少し変わった内容でした。
原田 『戦国炎舞』のお客様だけが来るイベントではないので、一般的に欲しいものだけど戦国の世界観と合うものを選びました。純金小判は戦国をイメージできますし、純金なので換金したらお金にもなりますし(笑)。
竹内 あと、ヘルシオお茶プレッソもありました(笑)。
――新宿メトロプロムナードのポスターに貼られたシリアルコードも一瞬でなくなったと聞きました。
竹内 約一日くらいで全部はけちゃいましたね。
原田 ありがたいことに、新宿メトロプロムナードでの情報をウェブで見た地方のお客様たちから、「こっちでもやってほしい」という声をいただきました。同じものをそのまま持って行くことはさすがにできないのですが、何かしら違う形で地方のお客様にも見てもらえる機会を作りたいですね。
――駅中の広告などは、日々通勤通学中に目にすることが多いと思うのですが、そういう部分はプロモーションとして重要なのでしょうか?
原田 そうですね。一般的に友人に薦められてスマホゲームを始める人の割合は多いと思うのですが、『戦国炎舞』はそこが比較的低いんです。先ほどあったように、すでにプレイされているお客様たちが、『戦国炎舞』と周りに言いづらい状況もあると思うので、わかりやすいところで告知することによって、少しでも同僚や友人に薦めやすくなればという思いもあります。
――認知度が低いと仰っていますが、ダウンロード数は510万以上、トップセールスのランキング上位の常連と、個人的にはそこまで認知度が低いという印象はありません。
竹内 僕の勝手な解釈として、『戦国炎舞』は業界で有名だけれど、一般的には有名ではないと思っています。業界で有名というのはランキングベースで比較的知られているだけで。うちはCMの投下量が多いわけではないので、“流行っている感“を出すプロモーションとしては弱い。ただ、CMも投下すればいいというわけではありませんし、そこも踏まえてリアルプロモーションのPR効果を計ってみたいという試験的な部分もあります。
竹内 もうひとつハードルを高くする原因は、合戦(ギルドバトル)なんですよね。3年半やっていると、リリース当時のトレンドを使った内容になっているので、「そこが好き」と言ってくれるお客様も大勢いらっしゃるのですが、世間一般的に見るとハードルが高いんです。そこはいま僕たちも課題視しているので、どうやってハードルを下げて、新規のお客様に「遊びたい」と思っていただけるかを模索しています。
――それは、システムをテコ入れするということでしょうか?
竹内 僕が思っている『戦国炎舞』のおもしろさは、仲間とコミュニケーションを取って、ひとつの戦いに執着し、勝ち負けに一喜一憂する、部活動的な部分です。そこは絶対にブレさせたくない。なので、そこを阻害するような改修は絶対に入れないと決めています。ただ、遊んでいて楽しいものと、見ても楽しいものは別だと思うんですね。『戦国炎舞』は、長いこと遊んでその楽しさがわかるゲームなんです。でも、いまのゲームは、すぐにその楽しさを掴んで、そこからさらに深く楽しんでいくというものが多い。その点で、僕らはスタート地点で負けている。なので、そこをクリアするために、見た目や導入はしっかり作っていかないといけないと思い、改修の計画を立てています。
――導入でいうと、コラボきっかけで始める人もいると思うのですが、新日本プロレスリングとのコラボにはどういう狙いがあるのでしょうか?
竹内 さっきの「認知度を上げたい」という話に近くて、僕らのゲームのターゲットが20代後半~30代の男性なのですが、そこからさらにターゲットを深堀りしていくと、この層は格闘技と親和性が高いのではという仮説に行きつきました。その中で新日本プロレスリングさんとのコラボはターゲットとして合いそうだからやってみようと。
原田 ほかのプロレス団体も見に行ったのですが、会場一体で熱く試合に対して燃えているところが『戦国炎舞』の合戦(ギルドバトル)と共通しているので、今回新日本プロレスリングさんのメインスポンサーになりました。来年1月以降も新日本プロレスリングさんのメインスポンサー契約を更新して、新たな取り組みも現在企画中です。楽しみにしてください。
4周年に向けた動き
――これから4周年を迎える『戦国炎舞』は今後どういう動きをしていくのでしょうか?
竹内 『戦国炎舞』が持っているいちばんの課題は、合戦(ギルドバトル)の通信の快適さ。その抜本的な解決に向けて、すでにチームで動いています。そこに関しては来年、4周年を迎えるまでの間で、解決策を打つ予定です。プラスアルファの部分でいうと、いまの『戦国炎舞』は市場の中で古いゲームという印象が残ってしまっているので、そこを払拭できるようなアプローチを、ゲーム内外で行っていきたいと思っています。
あとはやはり、みんなが『戦国炎舞』を知っているような状態にしたい。そこはリサーチを含めて目標値を置いているのですが、認知度はすぐ上がるものではないので、継続的にやっていき、『戦国炎舞』というゲームが一般的になるようにしていきたいという気持ちが強くあります。
――認知度を上げるために、リアルイベントは外せないものですか?
竹内 そうですね。でも、リアルイベントはどちらかというと、いま遊んでくださっている皆様に対しての還元、感謝がいちばん大きいです。もちろんそれをメディアで出すことで世間に認識してもらうのはいいことですが、主ではありません。これから新しく入ってくださるお客様をしっかりとフォローするための導入を作ったり、見た目の古さを払拭するブラッシュアップだったり、ゲーム自体の課題をひとつずつクリアしていくことが重要だと思います。もちろん、プロモーションについても、いまは東京だけになっていますが、東京での実績や反省点を活かして、全国に向けて話題を生むような企画を作っていきたいですね。
戦国炎舞 -KIZNA-
- ジャンル
- リアルタイムバトルゲーム
- メーカー
- サムザップ
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS / Android
- コピーライト
- (C) Sumzap, Inc.
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