『Ingress』大規模イベントXMアノマリー“ヴィアラックス瀬戸内”参戦レポート(後編)

2016-10-04 18:10 投稿

須賀氏へのインタビューも敢行

2016年9月24日に瀬戸内で行われた『Ingress』の大型イベントXMアノマリー“ヴィアラックス瀬戸内”のリポート後半。バトルに参加すべく、うどん県に前日入りしたのはライターの深津庵とあしたづひむ(カメラアシスタント)。

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本記事では24日当日のアジア統括マーケティングマネージャー、須賀健人氏のインタビューから、バトル終了後のアフターパーティーまでを一気に振り返っていく。エージェントの皆さん、ついにあの男が脱ぎます。お楽しみに!!

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9月24日12時半
がまんできない! 戦の前の腹ごしらえにアレ

せとシーパレットの赤灯台を目指しつつ、ポケモンを探しをしていた深津とあしたづ。雲ひとつない快晴の高松は日差しが強く、戦う前から確実に体力を奪われぐったりモード。伊藤園さんから支給されたお茶も速攻で飲み終え、大空にうっすら大楽さんの笑顔がみえたようか気がしたそのときだった。

「こちら、ひと段落したけど、皆さんどこにいますか?」
「お、うどんタイムか!? やっぱりうどんだよな!!」

NIAの広報をお手伝いする高科(以下、だいじろう)からの連絡に、初っ端から疲れ果てたふたりは安息の地を求め、うどん屋に行こうぜと盛りあがるふたり。

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高松駅前で待ち合わせ、その後の取材やインタビューを考慮して近場で済ませようと選んだのは“連絡船うどん”、駅前にあるお店て、お客さんの多くはエージェントだった。

 
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完食後、深津とだいじろうはそれぞれの仕事に戻り、あらためて14時から行う須賀さんのインタビュー場所で合流することを約束。分刻みでやることが多かったふたり、この段階ではかなり時間を計算して動いているつもりだったのだけど、すでに取り返しのつかないミスを犯していたのである……。

 
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9月24日14時
須賀さん、会場を訪れて肌で感じた手応えを語る

じつは9月だけで何度会ったんだと思うほど須賀さんとはお話しをしてきた深津(この翌日、そしてさらに翌々日にも会うことになる)。なんなら今後はハイタッチで挨拶しちゃう? そんな空気さえ勝手に抱く中、席に座るやいなや「深津さん、どうしても話したいことがあるんですよ!」と切り出したのだ。

須賀 『ポケモンGO』リリース後、最初のXMアノマリー。正直な話、ここまでエージェントが参加(後日4000人と公式発表)してくれると思っていませんでした。いやぁうれしいですね!!

──自分も正直、予想以上の数に驚いちゃいましたね。

須賀 たとえば、スポーツってやりたいときにやりますよね。『Ingress』も同様で、最近は『ポケモンGO』に集中してるけど、XMアノマリーになると戻ってきやすい、行ってくるか、と。つまり“趣味”であると今日実感できたんです。

 
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▲須賀さんといえば晴れ男としても名高い存在。当日も天候が心配されたが、彼のおかげで快晴と通り越して猛暑かと思うくらいの蒸し暑さになった。

──確かにそうですね。実際、最近エージェント活動をしていなかった知り合いが、今日、この場に多く集まっているんですよ。MMORPGで引退といえば、もう帰ってこない人がほとんどですが、『Ingress』は出かけるだけで楽しいので、一度離れても気楽に再開できる。

須賀 旅を楽しむひとつのツールでもあり、遠方に足を運びたくなるきっかけを与えているんですよね。

──今回のXMアノマリーは岡山県、香川県、そして瀬戸内海にある小豆島までが戦いの場になっています。まさに大掛かりは旅になりますが、これはファクションリーダーによるチョイス?

須賀 我々もいっしょに安全面を考えながら無理のない範囲で、そして新しい試みもしたいよねってことになったんです。ほら、ここまできたら島に行きたいですよね?

──行きたいですね、っていうか小豆島に行きますよ!

須賀 すばらしい、そうした気持ちを後押ししたかったからこその配置ですね。

──地域を広げることで確かに後押しにはなると思いますが、『ポケモンGO』以降、いろいろな問題も出ていますよね。それを知ったうえで、両県から反対は出ませんでしたか?

須賀 それがですね、全面的にバックアップしていただけて、心から感謝しているんです。たとえばこの広場にある巨大な垂れ幕、駅前のフラッグもすべて香川県さんは無償でやってくれたんです。

──そうだったんですね、さすがうどん県!!

須賀 こうやって位置ゲームが広がり、受け入れられ、多くの人が各地を訪れてくれる。正しく楽しんでもらえる時代がやっときたんだと思いますね。

──しかしその一方で、危険なゲームというイメージを強く持っている方も多いですよね。自分もふだん記事の中で、地域に触れ合うことの魅力とマナーについてくり返し書いているのですが、香川県がこうして協力してくれることで、他地域の方々にも前向きにとらえてもらえることを期待しちゃいますね。

須賀 そうですね、我々もマナーの啓蒙についてはもっと努力しなければと考えています。

──啓蒙という言葉でいうと『Ingress』は『ポケモンGO』と比べてハードルが高め。専門用語にも聞こえそうなワードが多く、苦戦する人も多いので、そうした方々にも簡単に、正しく導く方法を考えたいんですよ。あ、それが先日ご相談した例のアレです。

須賀 あれ、いいですよね、期待しています! 『Ingress』のほうがゲーム性が深いので、『ポケモンGO』をきっかけに興味を持ってもらう、また、『Ingress』の息抜きに『ポケモンGO』をプレイしてもらう。そんな関係性でありたいですね。

 
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──ちなみに今回、突然謎の暗号らしき、“L3SS0N-1”と題したものが開示されましたよね。

須賀 あれは海外のクリエイティブチームが仕掛けたことなんです。

──速攻で解読されちゃいましたが、その中に今回戦ううえで注意すべき警告、加点と減点に関することが書かれていておもしろかったです。

 
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▲右に90度回転、水平に左右反転、右下から左回りに読むと、いくつかのポータルには通常よりも価値があるもの、いくつかのポータルにはゼロ以下のものが存在する、ってなことが書かれている。

須賀 ニクイことしますよねぇ、あれはジョン・ハンケ(NIA CEO)も関わっていて、おもしろいことを仕掛けてくるなと感心しましたね。

──こうした謎解き、リアル脱出ゲームみたいな試みをやってみたいですね。

須賀 それいいですね! 深津さんにならお任せしたいなぁ、プロデュースしてみません!?

──いいんですかって急にプレッシャーが!!

須賀 ちょっとじっくり考えてみましょうね!

──ぜ、ぜひ。っと最後、今後についてひと言お願いします。

須賀 NIAのフラッグシップ、それが『Ingress』だと思うんです。『ポケモンGO』があるから開発がおろそかになることは一切ありませんし、マナー面も含め、今後もよりよいものに近づけるよう努力したいですね!!

 
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9月24日14時半
小豆島行きフェリーで絶望を叩きつけられる3人

インタビュー終了後、だいじろうを連れ出すことについて須賀さんの了承をいただき、そのまま小豆島行きのフェリー乗り場へ。ふわっと地図を見た感じ、片道30分もかからないだろう、そんな安易な見込みを立てて誰ひとり疑わないままチケットを購入する。

しかし、出発時間が15時ちょっと過ぎと知り、同時間帯に行われる第1計測は諦めて、小豆島での第2計測を取材することになった。そして出向したフェリーの船内アナウンスで知らされる「到着は約1時間後」という衝撃的な言葉に一同呆然。第2計測は16時から10分間、到着するころには終わっているってわけだ。

完全隔離状態で瀬戸内海に漂う3人は、せめて第1計測の戦況だけは見届けようと『Ingress』のIntel MAPを起動。だいじろうには本イベントのニコ生をノートパソコンで追いかけてもらう緊急事態!

 
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▲船内から届くポータルの死守を試みる深津。しかし、GPSの都合でそれも安定せず、届かないことも多々あってもどかしい状態。
 
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▲昨晩お会いした山本紗江さん、顔見知りのエージェントさんらが第1計測の様子を実況中。すんません、おれらはいま、瀬戸内海をさまよっています。紗江さん、哀れな我々を叱ってください!! 

後から知ったことだけど高速船に乗れば第2計測に間に合ったらしい。そんなことも知らなかった3人は、この計画を立てた段階で詰んでいたのだ。第1計測が終了後、本格的にただの観光モードになった3人は現実を忘れるために『ポケモンGO』を起動。真っ青な瀬戸内海上に突如現れるポケモンの捕獲に没頭することとなった……。

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▲CPが低くても逃げられちゃうことが多いのは“ポケモンGO Plus”ではよくある話。それよりも、海に出てきて平気なの?ってポケモンがチラホラ、溺れないか心配だ。
 
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だがしかし……

 
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▲もうすべてがグダグダ。乗ってきたフェリーにまた乗り込み、係りのひとには「えっ!?」と驚かれる。船上で第3計測を見守り、最終戦の第4計測を高松で見届けることにした。戦ってもいないのに、毎クラスターごとにうどんを食べると誓ったことを思い出し、慌てて船内の売店で注文する一行。

 

9月24日18時
高松城前で第4計測に参加!!

すべては後の祭り、取材どころかただの観光になりそうな事態に慌てた深津とあしたづは、港から近い高松城周辺の戦場に猛ダッシュ。18時からの第4計測に参加することにした。結果からいえば本戦の勝者はエンライテンド。圧倒的な大差でレジスタンスは負けてしまうのだけど、その有様をわずかでも肌で感じることができたのは大きな経験だ。

 
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今回の戦いに関して、レジスタンスサイドに重大な初歩的なミスがあったことを後で知る。もちろん、自分自身も取材とはいえ、もっと戦いに貢献できたはずなのに、交通手段の読み間違えが重なり、すべてが空回りしてしまったことは反省しなければならない。

 
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▲前編で触れた戦いのひとつ、ポータル間をリンクで結んで欠片を運ぶシャード戦に大きな影響を与えたのが小豆島だった。もし、あのときUターンしなければ、シャード戦を妨害できたのか? しかし、それでは19時からのアフターパーティーに間に合わなかったかもしれない。終始高松に滞在していれば? と後悔ばかり。

 

9月24日19時
アフターパーティースタート!!

壇上にあがった須賀さんから最初に全エージェントへの労いの言葉が送られ、その中には島に行った人(お、おれも行ったのだけど……)、漁船をチャーターした人がいたことが告げられ、会場は歓声とどよめきに包まれた。そして、今回のXMアノマリーに協力してくれた香川県による無償の協力、ニコニコ動画の生中継、iPhoneを10台&Wi-Fiを3台貸し出してくれたソフトバンク、クリアファイルとブックカバーを店頭配布してくれたジュンク堂書店、コラボカードキャンペーンを開催してくれたマクドナルドを順に紹介。

「後なんだったけ……あ、伊藤園!」

須賀さんの確信的なイジりから、伊藤園が手掛けるお茶の出ないマシン“XM-Profiler”の3台目がついに設置されると発表されるも、正確な日時は言えないが決定したと留める担当の大楽さんに笑いが起こった。

その後、両陣営のファクションリーダー、香川県知事のご挨拶と続く。

テング「皆さん、うどんは美味しかったですか? 僕の目的はアノマリー開催が決まった時点でほぼ達成されていまして、アノマリーがなければ、『Ingress』がなければ来なかった人が、何千人とここ四国に来てくれるだけで、本当にありがたいと思っています」彼の活動拠点である愛媛県西条市はiOS版リリース当初、エージェントが少なく、自然と両陣営が仲よくなり、お互いに何かを仕掛けてはいっしょにファミレスでご飯を食べるあいだ柄だったと語った。

 
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クロベ「テングさんは政治家タイプなんですけど僕は官僚タイプと分析されていまして、事務方の人間なんです。だいたいナイアンティックの交渉を僕がやってたような気がしなくもないですね。ぼくもiOS組で、2014年の9月から始めたんですけど、まわりに青さん5人、緑はぼくひとりの状況でした」孤軍奮闘する中で香川県内に当時8人いたエンライテンドのエージェントを集めてコミュニティを結成、いまこうしてファクションリーダーを務めることにまでなったと経緯を説明。遠くはアメリカから、いろいろな地域から集まったエージェントたちに楽しかったと感じてもらえるようテングさんと一生懸命やってきたと話してくれた。

 
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エージェントとしてはレジスタンス、エンライテンドとふたつの陣営に分かれている敵どうしでも、お互い同じゲームを愛する仲間として向き合ってほしい。深津はXMアノマリーのたび記事に書いています。そう感じるエージェントが香川にもいることをテングさんは語り、そんな環境が四国にあったからこそ、今回の開催に繋がったのだと続けた。

 
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▲小豆島がオリーブの産地で日本のシェアの8,9割を持ち、葉っぱを粉末にして養殖ハマチに与える“オリーブハマチ”がこれからシーズンであること。また、岡山都のあいだに広がる瀬戸内海国立公園が今年、瀬戸内国際芸術祭という3年に1回の現代アートの祭典の年で、10月8日から秋会期もスタートすると浜田氏。

そしてお待ちかね、結果発表を告げるのはXM研修者である司アキラ氏。まずは他国の結果から、マカオは560対1187でレジスタンス、ムンバイは326対358でレジスタンス、シンガポールは375対1556でレジスタンスに軍配があがり、日本は1187対3443でエンライテンドが大勝利という結果。

 
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▲突然壇上に呼ばれた村井氏からはサポートしてくれたすべての人への感謝と、イベントを成功させるために連日奮闘した須賀氏を称賛した。

そして最後はお約束の両陣営揃っての記念撮影。レジスタンスのファクションリーダーであるテングさん、エンライテンドのファクションリーダーであるクロベさん。そしてこの日、瀬戸内に集まったエージェント、現地には参加できなかったけど、リチャージ班などで加勢してくれた両陣営の皆さん、本当にお疲れさまでした!!

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▲会場が広かったこと、エージェントの数が多く両サイドが見切れちゃってごめんなさい。いやぁ本当に皆さん、炎天下の中ご苦労さまでした。また次回、笑顔で再開しましょうね!!

 

9月24日21時半
レジスタンスサイドの打ち上げ会場であの男が!!

XMアノマリーが終了すると両陣営ごとに大規模な打ち上げが開催される。

深津はレジスタンスなので自軍の会場に参加、激励のため須賀氏らNIAのスタッフも駆けつけてくれた。そこで始まったのは須賀氏、テング氏による今回の反省会。小豆島を設定したのは誰だとか、その経緯を互いに振り返りながら、一歩間違えばお通夜のようにどんよりしちゃいそうな場を全力で盛りあげ、最後は「ユニホーム交換だ」と突然言い出すテングさんに明らかな戸惑いをみせる須賀さんは流れのままに……。

 
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エージェント界隈では“たくましい須賀さん”として有名だったけど、その鍛えられた上半身を見たのは初めてのこと。それに群がりスマホを構える女性エージェントの数に圧倒されたのは言うまでもない。

 
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まとめ

XMアノマリー終了後、多くのコミュニティでエージェントどうしが「おつかれさまでした」「楽しかった」とお互いを労い、思い思いの言葉で戦いを振り返る。そうした様子から、「負けて楽しかったとか言うな」と、きびしい指摘をぶつけるエージェントも少なくない。確かにその通り、心底悔しいし笑ってなんかいないはずだ。しかし、その「楽しかった」には、勝敗とは別に、みんなと過ごした時間、共有できた思い出をさしているのだと思うんです。深津自身、本音は悔しくて帰り道、あしたづに感情をぶつけて口論にもなった。誰だって負けてよしとする人はいない。次回、アジア圏は韓国がXMアノマリーの会場になるようで、日本からどれだけの数が参加するのか不明ですが、レジスタンスサイドは戦意を失わずに勝利を目指しましょう。エンライテンドサイドはこれからもよきライバルとして存在し続けてください。そして、XMアノマリー以外の場、日常の活動においては、瀬戸内の皆さんを見習って楽しく『Ingress』を盛り上げていきましょう!! (翌日開催されたミッションディ倉敷の様子もリポートするぞ)

 
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【Ingress記事まとめ】
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P.N.深津庵(レジスタンス)
※深津庵のTwitterはこちら

Ingress(イングレス)

ジャンル
オンライン位置情報ゲーム
メーカー
Niantic, Inc.
配信日
配信中
価格
無料(ゲーム内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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