Aimingが惚れ込んだリアルタイムバトルRPG『空クロ』が配信されるまでを追った
2016-07-08 00:00 投稿
豪華声優、オートバトル、難易度よりテンポ重視の“いま風”RPG
『剣と魔法のログレス』や『ロストレガリア』など、日本でヒットしているMMORPGを手掛けるAimingと、中国最大手のゲームメーカーTencentのタッグが放つ新作RPG『空と大地のクロスノア』(以下、『空クロ』)の配信がスタートした。
本作は、基本オートでスキルの発動が勝負のカギになるバトル、対人ならではの駆け引きと仲間との連携が重要なチーム戦、キャラの特性を見極めた配置が必要な陣形など、戦略性とやり込み要素が満載。それでいて序盤の敷居はとても低く誰でも簡単に楽しめ、遊ぶほどに奥深さを感じられるRPGだ。
実際遊ぶとわかるが、ゲームのテンポやバランスはめちゃくちゃいい!
序盤はこのまま最後まで行けるんじゃないかと思うほどサクサク進み、慣れたところで戦略性がニョキッと顔を出す。バトルシーンも見ていて気持ちよく、キャラクターボイスも入りまくりで、最近の流行の要素がマルッと詰まっている。
単純に中国版を日本語化したのではなく、日本のプレイヤーに最適化し、日本のプレイヤーだからこそハマるゲームバランスに仕上がっているのがよくわかる。
そこで今回は本作を手掛けたキーマンふたりを直撃し、誕生秘話やどうやって日本でウケるタイトルにしていったのか話を聞いた。
日本人にウケるタイトルをもっと日本人向けに調整
――まず、Aimingで『空クロ』をリリースすることになったきっかけを教えてください。
境野稔浩氏(以下、境野) Aimingは、積極的に海外のゲームを研究して、日本でパブリッシングできるものはないかといつも探しています。『空クロ』も、そういう仕事の中で扱うことに決めたタイトルのひとつです。
――『空クロ』のどういったところに惹かれたのでしょう?
境野 テンポのよさとバトルのおもしろさです。『空クロ』は、Tencentが扱っているコンテンツの中で、グラフィックスではトップクラスのクオリティのものではありませんでした。ですが、『空クロ』は成長のテンポもいいし、遊んでいて楽しいという気持ちが自然と出てくるものだったので、これは日本でもウケる、出すしかないなと。
――惚れ込んだというわけですね。『空クロ』の開発コンセプトはどういったものだったのでしょう?
アイリス・リュウ氏(以下、アイリス) 先に世界観から説明すると、“いろいろな世界が並行して同じ時空に存在しており、それぞれが交わっている” という世界を背景にしています。そこに住む者達が、世界を支配している神に抗うというストーリーです。
――しっかり作り込まれた世界観ですね。システム面ではどういった点に注力したのでしょうか?
アイリス プレイヤーさんたちが継続的にゲームを楽しめるようにコミュニティ要素を強くしています。たとえば、同盟(ギルドシステム)であったり、10対10のチーム戦などを実装することにより、プレイヤー同士のコミュニケーションが生まれるように配慮しています。
――日本と中国で文化的な違いもあったと思いますが、開発は順調に進みましたか?
境野 非常にスムーズでした。ローカライズ、カルチャライズという作業の中には、不可能な部分が多いといいますか、どうしても限界があります。ですが、TencentのTimi Studiosの方はこちらから相談した際に「できない」と、まず言わない。それは本当にすごいと思いました。
アイリス Aimingは日本市場に特化したプロフェッショナルチームなので、いろいろ勉強させていただきました。おかげで日本市場についても知見を得て、逆に我々のほうから「だったら、こういう修正のほうがいいのでは?」というアイデアを提案させてもらうこともありました。
――いい関係が築けていたんですね。日本版の開発に当たっていちばん気にかけた点は?
境野 序盤のテンポや難易度ですね。これは伝聞になってしまいますが、中国のプレイヤーさんは、「このゲームをやろうと思っているから、このゲームをダウンロードしたんだ!」と言い切れるほど、ゲームに対するモチベーションが最初からすごく高いので、多少難易度が高くてもそれを乗り越えてくれるみたいなんですね。
――すごいですね。僕なんて動画やゲーム画面が気になってノリでダウンロードすることが多いのに(笑)。
境野 そうなんです! 日本だと、「とりあえずやってみよう」くらいのノリで、気軽に始めるプレイヤーが多いと思うんですよ。気軽に始めて最初から難しいと、そこで止めてしまう方が多いと思うんです。なので序盤のバランスはすごく気をつけましたね。
――日本版ではボイスにもかなり力を入れていらっしゃいますよね。
境野 声優さんのキャストには、かなり気を遣いました。
アイリス 中国語版もボイスはありますけど、日本ほどではありません。日本の声優文化を強く実感させられましたね。
――中国では、ボイスはそこまで重要視されていないのでしょうか?
アイリス そうですね。中国のプレイヤーがいちばん大事にしているのは、バトルの楽しさなので、そもそもシナリオを丸々スキップしてしまう人も少なくないですよ。
――日本版では、全キャラクターに声が当てられているんですよね。
境野 はい。現時点でも相当なキャラクター数ですが、リリース後に追加するキャラクターのボイスも収録済みで、もちろん全キャラクターに声が入っています。
日本プレイヤーと中国プレイヤーの差をクローズアップ
――日本向けに追加したシステムはありますか?
境野 まったく新しい機能というのは入れていないです。ただ、中国市場では、日本では嫌われる「札束で殴り合う」というプレイ環境が受け入れられているんですよ。
――そういった話はよく聞きますね。
アイリス 確かにそういった傾向はあります。中国は、お金を使ったら使っただけの効果が感じられる課金アイテムの人気はものすごく高いですから。
境野 中国のプレイヤーは、お金で直接強さを買えるのが当たり前という、合理性というか、ある種の割り切りというか、そういった感覚をお持ちなんですけど、日本のプレイヤーはそうではありませんよね。
――そうですね、課金プレイヤーも無課金プレイヤーも、原則的には同じ体験が味わえるような仕組みが求められますね。
アイリス ですから、境野さんと協議して、お金で直接強さを買えるような要素というのはなるべく封じて、ゲームとして楽しめるような要素を何箇所か加えました。
――そうした文化的な違いから生じる相違点は、どうやって埋めていったのですか?
境野 曖昧な表現がなされる部分は、今後ブレが起きないように、こちらでしっかりと基準を設けて説明して決めました。たとえば、「テンポのよさ」という点では、「ここまではノンストップでプレイをしてもスタミナがなくならないよう、待ち時間なく遊べるように」とか。
――確かに、日本のスマホゲームには多いですね。
境野 日本のプレイヤーさんの多くは「とりあえず、気軽に、気楽にプレイする」という状態を繰り返して、それが1週間ほど続けば、それが習慣になるといった形でプレイスタイルを作っています。
――言われてみれば、自覚あります(笑)。
境野 プレイが習慣になる頃には、ゲームにそこそこハマっていて、ハマり始めたら多少難易度が高くても、やり甲斐さえあれば問題なく遊んでくれるんです。なので、ちょうど中盤にさしかかるくらいでオリジナル版のバランスに追いつくように調整しました。
これからの『空クロ』
――正式配信前に『空クロ』のベータテストが行われましたが、反響はいかがでしたか?
境野 やはり、テンポがいい、バトルがおもしろいという声が多かったです。ただ、あの数日間だと、難易度が低めのところまでしか触れて頂けなかったと思います。あと少しベータテストの期間を設けられたら、もう少し濃いところにも触れていただけたのですが……。
――製品版となったいまは、運営はTimi Studiosのチームが行っているのでしょうか?
境野 いえ、基本的な運営はAimingが行っています。
――では、日本向けのオリジナルイベントや日本向けのキャラクター実装などは考えていらっしゃいますか?
境野 そうできればいいなと思っています。まだ具体的なお話はできませんけど、やはりコラボなどもやっていきたいですし、その際には当然コラボ用のキャラクターも実装するつもりです。
――日本では、マンガやアニメといった別コンテンツとのコラボがあったりするのですが、中国でもそういった流れはあるのでしょうか?
アイリス ありますよ。たとえば、『空クロ』の話ではありませんが、とあるゲームに『キング・オブ・ファイターズ』のキャラクターを実装することで、かなり人気がアップした実績もありますし。コラボ企画は、ダウンロード数にも売り上げにも貢献できる人気企画のひとつと言えます。
――中国版はいまもアップデートが続いているのでしょうか?
アイリス はい。アップデート計画はすでに来年まで決まっています。
――おお、すごい! 新しい要素の追加なども想定されていらっしゃいますか?
アイリス 多人数PvPである、チーム戦に関してのアップデートを予定しています。いま中国版ではもっとも人気の要素です。日本のみなさまにも楽しんでいただける要素だと思うので、楽しみにしていてください。
――では最後に、日本のプレイヤーに向けてひと言お願いします。
アイリス 賑やかなバトルシーンと、興奮できるコンテンツで日本の皆さまにも楽しんでいただけているものと、私たちも期待しています。
境野 成長要素がたくさんあるので、RPG要素が好きな方であれば、どなたでも楽しめるものとなっていると思います。まだ触っていない人は、ぜひ一度手にとっていただけると幸いです。
以上でインタビューは終わり。今回感じたのは、中国のプレイヤーの強さに対する“こだわり”。言われてみると、プロゲーマーも中国の選手が多い気もする。そんな中国のプレイヤーも納得させた『空クロ』のゲーム性の高さは言わずもがな。紹介したとおり、ゲームバランスは日本向けに最適化されているので、気軽に始められる。間口は広くて奥は深い、まさに日本のゲーマーにもぴったりの1本になっているので、ぜひ遊んでみてほしい。
空と大地のクロスノア
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- Aiming
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS、Android
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