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【インタビュー】アラサー中心にバズった『昭和駄菓子屋物語』のGAGEX(ガジェックス)が小規模開発者を勇気づける!

2015-04-04 11:00 投稿

ちょっと変わったアプリがヒット!

懐かしい昭和時代のアイテムに惹かれてプレイすると意外なゲーム展開に驚かされるアプリゲーム『昭和駄菓子屋物語』。FacebookやTwitterなどで同作に関するポストを目にした読者も多いのではないだろうか。その配信元である新興メーカー”GAGEX(ガジェックス)”の井村剣介氏にヒットの要因や、アプリ誕生のきっかけなどについて話を聞いてみた。

A

ゲーム業界ではモバイルひと筋

――まずは井村さんの経歴から教えてもらえますか?

井村 僕はもともとゲーム屋じゃないんですよ。大学を出てすぐはSEのようなことをやっていた時期があって、そこは大学時代に入っていたサークルのOBが作ったベンチャー企業みたいなところでした。

――そうなんですね!

井村 その後フロム・ソフトウェアに入りました。それがちょうどiモードのiアプリが出始めたところだったので、携帯ゲームを作ることになりました。ただ、当時はけっきょくドコモでサイトは出せなかったんです(笑)。

――ああ、そうでしたか。

井村 そのときはフロム・ソフトウェアのゲームの移植版を落としきりアプリでというすごくコアなものを作りました。それから2年くらいしてスクウェア・エニックスに入社しました。たぶん2005年ごろですね。そこで最初に関わったタイトルが『ドラゴンクエストII』のFOMA版ですね。

――あ、ではずっとモバイル畑だったんですね。

井村 はい。ずっとです。コンシューマーゲームは作ったことがないんですよ。手伝ったことはありますけど、本当にその程度ですね。

――ずっとプロデューサーですか?

井村 そうですね。ずっと外で作ってもらうスタイルで仕事をしてきました。ですからお金まわりだったり、企画出しをやって作るところはお願いするということをやっていました。『ドラクエII』のあとは『ドラクエIII』、それから『いたスト』のモバイル版に関わりつつ、ドラクエやFFのモバイルサイトを担当していました。

――スクエニマーケットもやられていましたよね。

井村 そうですね。スクエニマーケットの立ち上げの仕込みをやりつつ、スクウェア・エニックスを退職しました。それが2011年でしたので、長かったですね。

背水の陣から生まれたスマッシュヒット

――それで独立されたということですけど、独立から1本目が『昭和駄菓子屋物語』ですか?

昭和駄菓子屋物語

井村 いや、じつはソシャゲを最初にグリーさんでやってます。もうすでにソシャゲがけっこう出ていて後発という感じだったんですけど、それが壮大に滑りまして(笑)。

――あら(笑)。

井村 けっこうヤバかったんですけど、そこから1年ほどコツコツとやってきまして、ようやく昨年ネイティブアプリの第1弾として『昭和駄菓子屋物語』を配信しました。で、それがありがたいことにスマッシュヒットしましたので、今日は自慢しに来たというわけです(笑)。

――なるほど(笑)。いや、でも100万DLは立派な数字ですよ。

井村 まあ、自慢というのは冗談ですけど、ほかの開発者さんを勇気づけられればなとは思っています。

――ああ、それはいいですね。今日すごく聞いてみたかったのが、ソシャゲに手を出して失敗して、その後になぜそこに行き着いたのかということなんです。

井村 理由はふたつあります。ひとつは、自分がおもしろいと思って作ってなかったことですね。「俺はおもしろくないけど、世の中はこれを求めているんだ」と思いながら作っているんですよ。それがよくなかった。それと個人的な一大イベントで結婚しまして……(笑)。それで自分の奥さんにもやらせられるようなものがいいなと思ったんです。もうひとつは単純で、もうお金をそんなに使えなかったというところですね。小さいバジェットでやるしかなかった。(共同創業者の舟崎茂氏と)ふたりでいろいろアイデアを出したなかで行き着いたのがあれでした。ミニゲームなんかも考えたんですけど、やっぱり自分がいちばん”イケる”と感じたものが『昭和駄菓子屋物語』でした。

――『昭和駄菓子屋物語』はけっこうFacebookとかでもバズっている印象でしたよ。

井村 ありがたいですよね。僕も知り合いから「いつも髪を切ってくれる美容師さんがやってくれてた」なんて聞いたりしました。

――そういうところでも手応えをかなり感じたのではないですか?

井村 知っている人がたまたまやっていると聞くと感じますねー。『ドラクエ』シリーズだって100万行くのはたいへんですからね。まあもちろん有料のタイトルとくらべるのはあれですけど。

――広告の出稿や宣伝方法など特殊なことはやりましたか?

井村 iOSではいわゆるブーストはかけましたけど、後はとくにやっていません。レビューサイトなんかが取り扱ってくれたのがよかったんだと思います。

儲けた? どうしたら売れる?

――無料アプリの100万DLって、儲けという側面ではどうですか。

井村 十分成功と言っていいと思います。これでふたりともご飯が食べられてますし、つぎのゲームも作れます。ちゃんとゲーム屋をやっていけますね。だからこういう選択肢もありだよとは伝えたいですね。

――それはいいですね。理想的。いろいろな話は聞きますけど、なかなかうまく人はいないですからね。いまの時代って、無料アプリでも落とさせるまでけっこうたいへんだと思うんですけど。

C

井村 そうですね。たぶんゲーム出身でやっている人は少なくて、アドでいちばん成功したタイトルってなんだろう。ゲームをがっつり作っていた人でアドモデルって意外と少ないんですよ。

――僕が知っている中では『口先番長』ですかね。あれの1本目はアドでした。井村さんの考えでは、ゲーム屋が生きる道は課金モデルだけではないと。

井村 課金モデルだと、どうしてもゲーム内に制限が必要になってくるじゃないですか。おもしろくなるポイントに課金でフタをしないといけないというか。アドモデルだとそこから解き放たれるんですよ。共感してくれる人は少ないかもしれないですけど、感覚的には月額サイトでやっていたアプリの作り方に近いですね。ですから僕がむかし月額サイトをやっていたころの知識が生きているのかもしれないです。

――売り切りモデルは考えなかったんですか?

井村 考えなかったですね。テレビって、無料だからくだらなくても許されるところがあるじゃないですか。お金払ってつまらないと腹立ちますよね。ゲームもそうだと思っていて、そういう妥協点が絶対にあるんですよ。たとえばカイロソフトさんのゲームってめちゃくちゃおもしろいですよね。僕はあのくらいのものじゃないとお金とっちゃいけないと思ってます(笑)。自分の作っているものを卑下するわけではないですけど、「無料だからおもしろかった」と思ってもらえるタイトルだったと思っています。あれを有料で出して満足してもらえるかというとちょっと違うかなと。僕はフロムのころからたくさんゲームを作ってきましたけど、「これ売れるんじゃないかな」というタイトルって100%売れないんですよ(笑)。「これは絶対に売れる」っていうものじゃないと売れないんですよ。

――ネイティブ2本目の『マジギレカーチャン物語』もアドモデルでやられていますね。今後のタイトルはこの形でいくという感じでしょうか?

井村 せっかく成功したので、お金儲けの仕組みは継続していきたいと思いますけど、毛色の違うタイトルも考えています。ゲームって、とにかく作り続けないとダメなんですよ。後、いろいろ言ってきましたけど、課金モデルもやりたいと考えています(笑)。課金オンリーでなければいいかなと思っています。

――コンシューマーみたいな作りということですか?

井村 ハマった人は課金できるという形で、そうでない人はアドベースという感じですかね。

――ソシャゲみたいな課金ベースだと儲けは大きいですけど、運営も考えると疲弊しちゃいますもんね。ただ、表示されるアドが他社のゲームっていうのは抵抗なかったですか?

井村 それもまったくなかったですね(笑)。出てるタイトルが競合ではないというのがまずありましたので。むしろお客様ですよ。そこで争ってもしかたないですよね。

――なるほど。僕らからすると週刊ファミ通にほかのゲーム誌の広告が載っているようなものなので、どうなのかなと思ったんですけど。

井村 そこでお客さんを回して完全にエコシステムができているのがゲームってすごいですね。

――完全にメディア泣かせですよ(笑)。

第2弾のテーマがニートとはこれ如何に

井村 いま本当に売れているタイトルに関しては、もう掛け値なしに本当によくできていると思うんです。ただ、その1歩手前のゲームって、じつは作り手も疲弊しているんじゃないでしょうか。そういう人たちにはこういうやり方もあるよと言いたいなと思います。

――課金ありきで作っているからなんでしょうね。そこで儲けようとしてゲームの側を取り付けようとするから無理が出てくるんだと思います。こういうところを遊ばせたいというものがあってゲームを作っていくのとは違ってきちゃいますよね。足かせにもなるだろうし。

井村 そうでしょうね。僕もずっと月額でやっていて、世の中の流れがフリートゥプレイに変わったときの転換期はきびしいなと感じましたから。

――苦労された会社さんも多いですよね。ところで、これも聞きたかったのですが第2弾の『マジギレカーチャン』はどういうきっかけで作られたんですか?

マジギレカーチャン物語1

井村 発想のポイントはこれもふたつあって、せっかく『昭和駄菓子屋物語』のシステムをつくったので、それを再利用してみようというところがひとつ。もうひとつは、『昭和駄菓子屋物語』がゲームと呼べるのかというくらいゲーム性が薄かったので、もう少しゲームっぽい要素を入れたものを作りたいというところです。それでなんでニートになったのかは忘れました(笑)。ゾンビが湧いてきてそれをやっつけるというのもあったんですけどね。

――先日、井村さんをご存知の共通の友人と、井村さんがどこに向かっているのかわからないという話をしましたよ(笑)。

井村 思いつきを形にしてしまいました(笑)。でも手応えはいいですよ。まだ前作には及ばないですけど、評価はとてもいいので安心はしています。でもこれ大きい会社ではできないですよね。仮に小さいバジェットで何かやってみろと言われて思いついたとしても企画書を上司に見せられないと思います(笑)。

――月額サイト全盛のころはああいうゲームが多かったですよね。

井村 多かったですね。お客さんが退会しなければいいわけですから、変わったフックがあってもいいんですよね。ポノスさんの『にゃんこ大戦争』も以前は月額サイトのコンテンツのひとつでしたし。さっきテレビの話をしましたけど、お客さんのモチベーションとお金をとるポイントのベクトルが少しズレていたほうがよかったりするんですよ。映画だとそれはできないけどテレビだとありじゃないですか。

――それってコンシューマーゲームがユーザーに直接販売するのでなく、問屋卸なのに少し似ていますね。

ガジェックスでゲームを作りませんか?

――いまはおふたりでやられていますけど、今後タイトルが増えていくとなると、人も増やさないといけないんじゃないんですか?

井村 はい。じつはいままさに人材募集しているんですよ。具体的にはエンジニアを募集しています。いまはゲームも小規模なものだけですけど、今後コンシューマーをやる可能性もありますよ。とにかく、自分たちが遊んでおもしろいものを作りたいと思っています。エンジニア、サーバープログラマなどなど、いまの仕事で悶々とされている方はぜひ連絡ください。詳しくは弊社サイト(http://www.gagex.co.jp/)を御覧ください。

――ゲームを作りたいという大手メーカーの開発者も絶対に気になっているはずです。よい人材を獲得してまた変わったゲームを作ってくださいね(笑)。今日はありがとうございました。

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