2億DLのヒット作を抱える海外大手の日本支社が設立!代表はLINE GAMEのやり手大塚純氏

2014-09-19 10:00 投稿

スーパーセル、キングに続く黒船になれるのか?

ドイツのベルリンに本拠地を構えるゲームメーカー“Wooga(以下、ウーガ)”の日本支社の設立が発表された。カントリーマネージャーに就任したのは、LINEでLINE GAME事業の担当者であった大塚純氏。

ウーガは日本ではあまり知られていないが、下のとおり、これまで5作品の大ヒットタイトルを輩出しており、その中でも『Diamond Dash』は2億インストールを記録。ウーガのゲーム全体で月間のアクティブユーザー数は5000万人以上を誇る世界有数のスマホゲームメーカーでもあるのだ。日本支社設立の狙いと、日本ではまだ馴染みの薄いウーガという会社について話を聞いてきた。

ウーガの功績
・これまで5作品が世界的なヒットを記録
・現在ウーガゲーム全体の月間アクティブユーザー数は5000万人以上
・『Diamond Dash』はスマートフォンアプリとFacebookアプリの合計で2億インストールを突破
・『Bubble Island 』(9000万インストール)、『Monster World』 (7000万インストール)、『ジェリースプラッシュ』(5000万インストール)、物探しゲーム『Pearl’s Peril』もタブレット、Facebook限定ながら2500万以上のインストールを達成
・2012年以降黒字経営を継続中

(日本では)知られざるビッグメーカー

▲左は来日していたDevelopment Managerのセバスチャン クライザ氏、右は日本支社の代表の大塚純氏。

――つい先日、LINE GAMEについて取材させていただいたばかりだったので驚きましたよ(笑)!

大塚 そうですね。いちばん辞めなさそうな人間だったとは自分でも思ってましたよ(笑)。LINEには3年間在籍していて、まだまだがんばるつもりでいたのですが、ウーガから非常に魅力的な話をいただいて、3ヶ月くらい悩んだんですけど、やってやろうと決めました。1年後どうなっているかはわからないけど、このチャンスにチャレンジしてみたいなと思ったんです。

――それがウーガという会社だったわけですけど、正直日本ではあまり知られていないですよね?

大塚 そうなんですよね。でもめちゃくちゃ成功している会社ですよ。いちばんのヒット作が『Diamond Dash』というタイトルなんですけど、日本でもFacebookで少し流行っていたことはあったんです。LINE GAMEの中にも『Diamond Dash』にかなり影響を受けている作品もありますし。どれくらいヒットしてるかと言うと、アプリとFacebookで2億ダウンロードされています

――に、2億!?

大塚 すごいですよね。でも日本ではそれすら知られていないんですよ。それはプロモーション活動も行っていないから当然ではあるんですけど。ローカライズも完全ではないですし。

ただ、欧米ではもうひと通りやって、やり尽くしたくらいの感じになっているゲームです。僕も「LINEはすごいよ」と海外に言ってまわっていた立場の人間でしたけど、いちばん売れた『LINE POP』で4200万DLくらいでしたから、さらにすごい規模でしたね。最近は『ジェリースプラッシュ』というタイトルが勢いがあって、いま5000万DLですね。

――うわ、めちゃくちゃすごいですね……。

大塚 なのに、日本ではまったく売れてないんですよ。だからちゃんとやらないとダメなんだというのが日本に支社を作るきっかけになったんだと思います。

――拠点はいまもドイツにあるんですか?

大塚 ベルリンですね。ドイツって、そんなに有名なゲーム会社ないですよね。いまドイツでゲーム会社は? と聞いたらいちばん最初に出てくるのがウーガだと思います。従業員はいま280人くらいですね。

――完全にモバイルゲームに特化しているんですか?

大塚 そうです。正確には3つに分かれていて、スマートフォンとタブレットとFacebookですね。以前はFacebookでも大きな売上をだしていましたが、今はモバイルシフトに成功していまして、売り上げの占める割合はほぼモバイルになってきています。

――いま聞いた限りだと、ライトユーザー向けのカジュアルゲームがメインなのでしょうか?

大塚 そういう印象があるというのは、LINE GAMEといっしょですね。いろいろなタイトルを出してはいるのですが、やっぱりヒットしたものがカジュアルというのが大きいですね。さきほど話した2本に加えて、タブレット用のモノ探しゲームで『Pearl’s Peril』というヒット作もありまして、これも女性向けになります。ただ、これから出すゲームに関してはどちらかというコアなものを目指しています。僕らはポリシーとしてカジュアルゲームをだしているわけではなくて、どちらかというと、”いろんなゲームを作ろうよ”という環境でやっています。これからは3Dアクションゲームみたいな作品もリリースする予定ですよ。

――どうしてこれほどのタイトルが日本ではほとんど知られていなかったのでしょうか。

大塚 ひとつの“スマホゲームあるある”ではありますけどね(笑)。僕がこの会社の好きなところのひとつに、たくさんのゲームを実際に作っているというところがあります。従業員280人がみんな試作品を作りまくっているんですよ。年間に40タイトルの試作品を社内でプレゼン&プレイしあっていて、ダメなものは当然ストップになるんですが、そこから実際に試作品からβ版に進むのが10本です。

――10本……! 選抜されていくわけですね。

大塚 とは言え、βまで作るとけっこうお金はかかってるんですよ。それでもできあがってダメだと、βテストまでしないんですよ。結局そこからカナダとかでオープンβテストまで辿り着くのは7本くらい。最終的に全世界で配信するタイトルは3本くらいまで絞ります。ヒット率を上げたいというのがあるので、いまのところはカジュアルゲームが比較的多くなっていますね。ただ、今回ようやくコアなゲームがその審査をクリアーしてきているので、陽の目を見るものも出てくると思います。そうなると少し日本でも変わってくるかなと思っています。

――それは楽しみ! ふるいにかけられて残るものというのは、どこを重視して作られているものなのでしょうか?

大塚 いちばん大事なのは継続率ですね。たんなるカジュアルゲームの場合はそこまで気にしないですけど、ソーシャルゲームの場合はかなりこだわっていますね。

――課金率が低いものでも継続率のほうを重視するということですか?

大塚 はい、そうです。ただ、そこは高いほうがいいにこしたことはないので、問題が見つかれが都度対処していきますけど、本当に大事なのは継続率ですね。ですから、『Diamond Dash』は2億DLされていますけど、日本のトップゲームほど課金率は高くないですよ。

――今後コアなゲームを出されるときも、コンセプトは変わりませんか?

大塚 いや、少しずつシフトしていこうとは思っています。コアな路線に進むとどうしてもユーザー数は減ってしまいますから。個人的な願望としては、日本的なマネタイズを持ち込んでヨーロッパのほうに刺激を与えたいですね。たとえばイベント運営の方法や頻度は向こうにも伝えていけたらいいなと思います。

――具体的にどこが違います?

大塚 日本では週イチでイベントをやるのがもう常識になってますけど、これは世界的に見ても特殊なことだと思います。月に20回以上イベントをやっているゲームもありますよね。ウーガの全部のゲームに合うわけではないと思いますが、そういうやり方を取り入れて効果のあるものもあると思います。

日本支社について

――今回大塚さんはウーガ日本のカントリーマネージャーという立場になられたわけですが、具体的にはどんなことをされているのでしょうか?

大塚 いまは会社設立のための動きですね。登記や運営に関する必要な手続きを進めています。あと、いちばん大きな仕事はオフィス探しですね(笑)。

――実質いまはひとりで動かれている?

大塚 そうです。だから、いますぐオフィスいるの?って話ではあるんですが、今後増やすことを考えるとやっぱり視野に入れていないといけないし、場所を構えることで意気込みも変わってきますので。ここにいるセバスチャンはパートナーと話をすることを中心にやっています。各地のプロモーションのパートナーや、小さな開発会社のパブリッシングの手伝いをしたり、そういう業務をしています。

――日本の担当者ということですか?

大塚 いえ、彼は基本はベルリンです。3週間だけ日本のオフィスを作るから来てくれているんです。9月末には帰ってしまうので、そこからは僕ひとりです……(笑)。

――本社に行く機会はあるんですか?

大塚 はい。10月にも2週間くらい行きますよ。基本的な機能はすべて向こうにあります。開発だけでなく、日本語の翻訳者もベルリンにいます。

――日本支社では、プレスリリースの発表とかIR以外にもカスタマーサポートなども国内に作るということなんですよね。

大塚 そうですね。いまは全世界のことをベルリンで処理しているんですけど、日本という地域へ手厚い対応をしましょう、もっと広げていきたいなということで今回の話になったわけです。

――ウーガの支社はどれくらいあるんですか?

大塚 じつはですね……ないんです。ウーガのすごくおもしろいところは、ベルリンの本社に40ヵ国から集まってきているんです。公用語は英語なのでドイツ語が話せなくてもいいんです。それこそブラジルからアジアから集まってきてチームでやっているんですよ。それはもう多国籍。そんなウーガの初の支社が日本にできるんです。

――それは日本をすごく重要視していると考えていいんですか?

大塚 はい。いまいちばんがんばりたいところだし、作らないと難しいだろうなというのが伝わったんだと思うんです。だから責任重大ですよね。僕が失敗すると支社作るのダメじゃんってことになってしまうので(笑)。

――そうですね(笑)。海外メーカーで日本の市場で成功しているメーカーとしてスーパーセルやKingなどがありますが、どういう感じで見られているんですか?

大塚 いや、それはもう「うちもそうなりたい」ですね。ただ、いまあるプロダクトをそのまま大規模にプロモーションしていくのではなくて、まずはきちんと日本向けにふさわしいものを作っていくことから始めたいと考えています。だからこそ僕が抜擢されたとも思っていて。しばらくはおとなしくしているように見えるかもしれませんね。うまくいけば年内か来年頭に日本向けの何かを出せたりするかもしれませんし、そこはまだわかりません。何にせよ、日本独特のおもしろいことをやりたいですね。コラボとか。

――大塚さんのなかでこう攻めたいというイメージはもうできているんですか?

大塚 ありますね。『Diamond Dash』とかって、きちんとローカライズがされていないのに、日本の継続率は異常にいいんですよ。だからゲーム自体は気に入られているんですよ。ですからきちんとローカライズ、プロモーションをすれば結果に繋がると思っています。

――セバスチャンは日本の市場に対してどんなイメージを持っていますか?

セバスチャン やっぱりモバイルでいちばん大きな市場だというデータが出ているところからしても大事な市場ですね。ただ同時に非常に難しいと理解しています。ですからプロモーションさえすればなんとかなるというわけではないでありませんので、しっかりと今後どうやって進めていくか考えるのが楽しみです。

大塚 僕がウーガを選んだ理由はそこにあって、彼らは日本市場を舐めていないんですよ。海外で成功している人たちって、このまま日本で出せばいけるだろう、宣伝費かければ売れるだろうみたいに考えている人たちもいるんですよ。ウーガの場合は難しいからしっかりやっていこうというスタンスなんです。そう理解してくれているならできると思うから、いっしょにやっていこうと思えたんです。

――たしかにめちゃくちゃ広告がまわっている海外メーカーもありますよね

大塚 逆に考えたら特殊性がわかるんですけどね。日本のゲームはただ単に海外に持って行っても売れないですよね。本当に難しい。数少ない成功例といっていい作品は、やっぱりやるべきことをちゃんとやってるんですよ。『ブレフロ』なんかは最近の好例ですよね

――今後たとえば日本で開発部門を持つミッションもあったりするんですか?

大塚 いまのところそれは考えていないですね。うまくいけば先にある話かもしれませんが、いまは謙虚に少しずつトライしてベストを尽くしながら、ですね。

――より具体的な話になるとどうでしょう。年内くらいになにかしらロンーチしてくるような可能性はありますか?

大塚 製品になるか、いま出ているゲームの日本版になるかはわからないですけどが、何かしらやりたいですね。まあでも年内といってももう9月ですから、現実的なところは年明け以降になると思います。目指すところは新しい風を日本の市場に吹かせることです。

――ところでそのTシャツにあるブランドのマークってどんな意味があるんですか?

大塚 これはウーガの“W”をモチーフとしていて、セバスチャンはたぶん顔のマークじゃないかって言ってます(笑)。笑ってる感じがするのでポジティブでいいんじゃないでしょうか。(セバスチャンの説明を聞いて)あ、いま初めて僕も聞いたんですけど、ウーガの社名の由来がですね、“World Of Gaming”でそれぞれの単語からWoとOとGaを取って“Wooga”なんだそうです。初めて知った!(笑)

――ちょっと!(笑)

大塚 僕、ウーガの空気感がすごく好きなんですよ。いまから言うことはウーガのオフィシャルなポリシーではないんですが、さきほど試作品をたくさん作っているという話をしましたよね。たくさん作って絞り込んでいっていると。COOと話したときに「配信しないものをたくさん作ってどうしたいんだ」と聞いたんですよ。そしたら「僕らはゲーム業界のピクサーになりたい。ウーガから出るゲームは絶対クオリティーが高くておもしろいよね。と感じてもらえるような信頼感を作り出したい」と答えてくれまして、僕はその言葉がすごく好きなんです。

だからこそ「出さない」という選択肢が生まれるわけだし、ヒット作にこだわる理由はそこなんです。ヒット作を作らないと意味がない、くらいに思ってますから。ウーガってそういう人たちの集団なんですよ。それだけで応援したくなっちゃったんですよ。

――スマホアプリメーカーとしてそのスタイルが成功への道だと。

大塚 そうなんですよね。それで結果として成功していますからね。いまプロトタイプのゲームがたくさん準備中ですけど、どれもクオリティーはすすばらしい。何かの真似ではなく、必ず自分たちのオリジナリティーとか発明みたいなものを入れ込んでいます。あとはもう日本で売れるだけなんですよね。……本当にがんばります!

――(笑)。

大塚 少しめずらしいタイプの会社だとは思っていて、そういう空気を日本でも出していきたいですね。

――聞いているだけでいい会社なんだろうなというのは伝わってきますよ。

大塚 あ、取り急ぎいまWebサイトを作っているんですが、そこで人材を募集しています。ひとりは日本や韓国のゲームデザインができる人をベルリンで雇うというものです。

――ベルリンで!(笑)。

大塚 それと日本でSNSなどのコミュニティーマネジメントをやったりする人を募集しています。ぜひウーガのHPをご覧ください。ウーガはこういう風にいきなりベルリンにきてもらうという形をとっているので、サポートに関してはかなり手厚くやっています。なんでもやってくれますよ、会社が。だからチーム感もすぐ出せるのかなと思います。それとセバスチャンからこれを伝えてほしいということなのですが、ウーガのCEOのイェンス・ベーゲマンはゲームの開発者で、ウーガのどのプロジェクトにも意見を言うんですけど、リリースの決定権はまったく持っていないんです。その決定権はプロデューサーにあるので、いくらCEOが否定的な意見を言ってもプロデューサーがやるといえばそのプロジェクトは続くんです。自分たちが「続けるべきでない」と思って初めてストップになるんです。

――日本みたいに鶴のひと声で決まるわけではないと。それがクリエイターにとってはいいバイラルになるんでしょうね。

大塚 いまのところヒット率が異常に高いのはそこのフィルターも間違っていないということだと思います。正式リリースした直近8タイトルのうち5タイトルがヒットしていますから、相当すごいですよね

――それはちょっとすごすぎますね。

大塚 繰り返しになりますけど、欧米は本当にしっかり抑えられているので日本をなんとかしたいですね。

――それは僕らも期待しています。最後にユーザーに向けてひと言いただけますか?

大塚 ゲームがおもしろいのは間違いないので、あとはどう伝えるか、手にとってもらえるかだと思うので、それを僕らはがんばっていきますので、注目していてもらえるとありがたいです。がんばります!

※ウーガの日本公式サイトはこちら

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