“革新”的音ゲー『クロスビーツ』を生み出したNAOKIの“核心”に迫る
2014-01-25 13:00 投稿
いままで語られなかった『CROSS×BEATS』の“核心”
カプコンが贈る、初の本格音楽ゲーム『CROSS×BEATS(クロスビーツ)(以下、CB)』は、音楽ゲームに“革新(イノベーション)”を起こすことをコンセプトに制作されたタイトル。音楽ゲーム業界で有名なコンポーザーが多数参加し、その楽曲も多数収録され、タイアップアーティストとしてGLAYの楽曲を使用したゲーム内イベントなども行われた。今回、“革新”というコンセプトを掲げた、音楽ゲーム業界では知る人ぞ知る本作のプロデューサー、NAOKI氏に取材を敢行。NAOKI氏の“核心”へと迫る『CB』の制作秘話をお届けしていく。
※インタビューは2013年12月20日に行われたものです。
新しいステージへ
――まず初めに、『CB』立ち上げのきっかけをお聞かせください。
NAOKI 『CB』を立ち上げる前は、いろいろな音楽ゲームに携わってきました。決してそれらの音楽ゲームに携わり続けることに不満があったわけではないんです。そこには、たくさんのユーザーさんとともに、長年ずっとキャッチボールをしながら培ってきたものがありました。長年、安定した状況を維持できることは本当に凄いことと思いますし、相応のパワーが必要なことです。 しかしながら、いつしか僕はひとりのクリエイターとして、新たな“挑戦”をしたくなったんです。ゲームの楽しさを拡張するかのような新しいデバイスで、音楽とゲームの融合によるエンタテインメントの可能性を革めて広げたい……そんな“挑戦”ですね。いつしかその意識が勝ってしまい、現在に至る、という感じです。
――それで活動のステージを移されたわけですね。
NAOKI そうですね。ただ、細かいことを言えばキリが無いのですが……(苦笑)。
――カプコンを選ばれた理由は?
NAOKI 僕がそれまでにカプコンに対して持っていたイメージは、「アクションゲームが得意な会社」でした。また、いままで音楽ゲームを制作したことがないということで、受け皿はあるのかな? と思っていたところ、カプコンの方とお話する機会があり、僕の音楽ゲームに対するビジョンをお伝えさせていただいたら、こうやってチャレンジさせていただける機会をもらえることになったんです。社内に音楽ゲームを制作できる土壌はなかったんですが、まったくの更地から始められるということは、逆に新しい音楽ゲームを作るには最適な環境だと思いました。
――どのような滑り出しで動き始めましたか?
NAOKI まず、制作に必要になのは“人、金、モノ”ですよね。とくに、“人”に関して言えば、カプコン社内に音楽ゲームマニアの方々が相応にいたんです。僕の過去をよく知っている制作スタッフにも遭遇しました(笑)。いつしか気付けば、音楽ゲームに造詣のある制作スタッフの方々が結集し、音楽ゲームプロジェクトに参画いただけることになってました。それと僕のもうひとつの顔でもあるコンポーザーとして、楽曲制作環境も準備していただけました。本当にありがたい話です。
――『CB』の構想は、いつごろからあったのでしょうか?
NAOKI 2012年の11月くらいですね。ほぼ1年をかけて制作してきました。新境地ゆえ、ほぼゼロからのスタートでした。まずはとにかく企画を理解していただくために、事前に集めた数人のスタッフとともに「ああでもない、こうでもない」と切磋琢磨する時間を相応に割いた記憶があります(苦笑)。それで必死に企画原案を考えていたある日、電車に乗っているときに天からアイデアが降ってきたんですよ!! 「ビリヤードだ」って!!!!!
――へぇ~!! 『CB』はビリヤードが元だったんですね。
NAOKI アイデアの源泉ですね。言い換えるとビリヤードからインスパイアされた音楽ゲームですかね。ビリヤードを頭にイメージしてみてください、玉を突くときの感じとか……、『CB』の光の矢と何となくイメージが被りませんか? あと、フリックするパターンの操作もありますけど、それはビリヤードの球を隅のポケットへと狙う動きや角度をイメージしているんです。僕の拙い企画原案もモノの見事に、音楽ゲームプロジェクトの参画スタッフたちの才能によって立派な企画に構築していただき、現在の形になりました。
――なるほど。では、なぜデバイスにスマホを選ばれたのでしょうか?
NAOKI スマホやタブレット端末ってすごい勢いで普及していますよね? 街中の至るところでそんなシーンを目にします。そんな中、それらの端末でゲームをプレイしている人もよく見かけますし、会話の話題にする人が身の回りで多くなってました。また、いまやスマホで音楽を聴く人ってけっこう多いですよね? そんなこんなでスマホやタブレット端末って、ゲームと音楽の親和性がけっこう高いんじゃないだろうか? と強く思ったんです。タッチパネルについては、音楽ゲームを表現するのに最適なデバイスであることは、過去経験則で感じていたこともあり、チャレンジのしがいがあるデバイスと判断した上、アーケードでプレイするような楽しさを何とか再現したかったんですね。
――アプリでアーケードを再現というのは?
NAOKI ゲームセンターで生まれるリアルコミュニティーってありますよね? プレイヤーどうしで交流があったり、プレイを見たり見られたりするような。そんなアーケードならではの楽しみかたを『CB』にはできる限り導入しています。僕は以前、お客様と直接触れ合えるイベントなどで、「クルマでわざわざ大型ゲームセンターに行ってプレイしている」という声を多くいただいていたんです。ゲームセンターは都心部にはそれなりにありますけど、地方はそんなにない。だからこそいつでもどこでも、音楽ゲームを楽しめる状況を作りたかったんですよ。
――コンシューマーでも、実現できなくはなさそうですが……。
NAOKI 当然、携帯ゲーム機や据え置き型でも実現は可能と思いますが、『CB』の設計構想上では常時通信可能かつ、実用使用頻度の高いスマホ・タブレットのほうが、よりバーチャルなリアルコミュニティーが再現でき得ると考えました。
音楽ゲームの核となる“音楽”について
――本作の収録楽曲は、どういうコンセプトなのでしょう?
NAOKI 従来の音楽ゲームは著名な楽曲を収録したりして、間口を広げていますよね。やっぱり、皆が知っている曲でプレイできるのはモチベーションになりますし、入りやすいと思うんです。でも、気づけばさまざまな音楽ゲームで著名な楽曲が相応に被っていることも事実……。これは留意すべき課題のひとつと考えています。『CB』でもこの先、著名な楽曲が収録されることは否定できませんが、可能な限り有機的な座組みで収録したいと考えています。
――それはいったいどういうことでしょう?
NAOKI 従来の音楽ゲームにおける著名音楽のありかたとして、ゲームメーカー主導で「楽曲を貸してください」、「はい、貸します」で、借りた曲を自分たちのゲームに入れてパッケージするかのような流れに、僕は疑念を持っていました。音楽業界側といいますか、ミュージシャンが創り上げた楽曲の制作意図を汲んだ上で、音楽とゲームがリスペクトし合った関係で“音楽ゲーム”として融合すべきである……、それが音楽ゲームのあるべき姿のひとつではないだろうか? と。これは僕がいちミュージシャンとしてつねづね考えていたことを、『CB』で体現させています。参画いただいたミュージシャンの方々をイベントやキャンペーン等でピックアップさせていただき、フューチャリングすることはもとより、ゲームスキンやBGM等をミュージシャン専用仕様にしたりゲーム専用楽曲を制作していただくこと、それが融合というものです。現時点では実現できなかったんですが、ミュージシャンからのメッセージ動画をゲーム中で再生できたりするようになるんですよ。「皆さん、今日から私たちの楽曲が配信されましたー。この曲はこれこれこうなので、ぜひプレイしてください」っていうような、ミュージシャンからのメッセージ動画です。。将来的には音楽ライブ等の音楽メディア連動も想定しています。
――ミュージシャンの方々も、自身で楽曲をアピールできることはうれしい機能ですね。
NAOKI 長い目で『CB』というものを、ミュージシャンの方々の音楽活動の一環として捉えていただけるようになれば……と思っています。
――そのほか、ゲーム内の展開はありますか?
NAOKI 著名ミュージシャンとの新たなコラボや新規イベントを始め、よりユーザーフレンドリーな操作性向上であったり導線設定であったりを予定しています。当然、追加楽曲のラインアップ強化やゲームデータ周りの強化も図っていきます。企画運営モデルゆえに、ユーザーの皆さまからいただくタイムリーなご意見をなるべく反映できるよう、アップデートに努めていきますので応援していただけますとうれしいです。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
NAOKI 至ってシンプルな話なのですが、音楽ゲームを楽しむには音楽に乗ることですっ!! ゲームのタイミングデータに気を奪われず、“音楽”が持つリズムに乗りながら、プレイしていただきたいと思っています。そしてそれを盛り上げる数々の演出やゲーム内機能によって、さらなる音楽ゲームのエンタテインメントを感じてみてください! カプコン初の本格音楽ゲーム『CB』のこの先の展開をご期待いただけますと幸いです。
CROSS×BEATS(クロスビーツ)
- ジャンル
- 音ゲー
- メーカー
- カプコン
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS 6.0 以上
- コピーライト
- (C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.
関連記事
この記事に関連した記事一覧
音ゲー初心者が『クロスビーツ』の“Azitate”HARDフルコンに挑戦してみた
2014-03-08 13:01アップルストア銀座で『CROSS×BEATS(クロスビーツ)』のリアルイベントが1/18開催決定
2014-01-09 20:07
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
かわいい見た目と裏腹に中身は生意気⁉NCSOFT新作『護縁(ごえん)』で“ウゲン”を演じる堀江瞬さんに独占インタビュー
2024-07-22 12:00『白猫NW』はなぜバトルシステムを大規模アップデートしたのか|開発ディレクターインタビュー
2024-04-13 09:00【黒ウィズ】なぜこのタイミングで新属性を実装?クリエイターコラボの意図は?11周年を迎えた「黒猫開発室」インタビュー
2024-03-22 17:00