Vol.0:創刊準備号ということでジコショーカイ【CRI幅朝徳のひらけ!ブラックボックス】
2014-01-14 20:09 投稿
みなさん、はじめまして!
幅 朝徳(はば とものり)ともうします。
このたび、ここ『ファミ通App』さんで、新しいブログを連載することになりました。今回は「第0号」として、僭越ながらジコショーカイをしたいと思います。
ゲームクリエイターでもなければ、有名ゲーマーというわけでもなく、ただの”いち”サラリーマンなので(笑)、きっと、ボクのことをご存知のかたは少ないと思います。(実は、ドリームキャストの頃にゲーム開発に携わっていた時代もありますが…)
でも実は、ファミ通さんに登場するのは、初めてじゃなかったりします(笑)。ちょっと古い記事が多いのですが・・・
●【独占インタビュー敢行!】CRI・ミドルウェアがiPhone/iPod touchで思い描く戦略とは? http://bit.ly/1gFuOxy
●【インタビュー】170万ダウンロードを記録した人気アプリ『ゆれくるコール”for iPhone』の秘密に迫る http://bit.ly/lDjaKn
●【iPhoneアプリの開発現場から】 iPhoneの新たな可能性を開く、CRI・ミドルウェアら3社がコラボしてのマジックアプリの“秘密” http://j.mp/oD4KnZ
●【直撃インタビュー】iPhoneアプリを影で支えるPRエンジン“CLOUDIA(クラウディア)”が『ストIV』に採用された経緯とは? http://bit.ly/aGA66S
●【iPhone/iPod touch Game Devシリーズセミナー】 CRI・ミドルウェアがiPhone向け自社広告エンジン http://bit.ly/1iVYAl1
等
・・・けっこう出てますね(笑)、こうして振り返ってみると。
CRIは、前身の会社である「CSK総合研究所」の頃も含めて、セガ系プラットフォームの印象が強いんじゃないかな、って思います。実際、セガサターンやドリームキャストといったゲーム機の開発環境づくりのお手伝いや、それらのゲーム機で使われる「ミドルウェア(今後このブログでも詳しく説明していきますが、ゲームを開発しやすくするための道具や環境のことをミドルウェアと言います)」を開発&提供していたので、ほとんどのドリキャスのゲームにはうちのミドルウェアが使われていました。(余談ですが、ボクが新入社員のときの最初の仕事は、東京国際フォーラムで行われた『Dの食卓2』制作発表会のお手伝いでした。)
ドリキャスユーザの方なら、ゲームを起動したときに下記のようなロゴが表示されるのを見たことがある方も多いと思います。ADXとSofdec、どちらもCRIのミドルウェア商品です。
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その後、2001年にCSKやセガグループから独立して、今の「株式会社CRI・ミドルウェア」という会社が設立されました。ミドルウェアの提供先も、セガ系だけではなく、SCEや任天堂、マイクロソフトとまさに「全方位」となって、ひろく家庭用ゲーム機向けのゲームを作っているクリエイターに知られるようになっていきました。
ゲームの起動画面やパッケージに表示されるロゴも、ミドルウェアの製品名じゃなくて、CRIのミドルウェアを総称する「CRIWARE」というブランドロゴに変わりました。
そんな経緯のせいか、スマホ向けのゲームクリエイターの方とお会いすると、「CRIって、据置ゲーム系のミドルウェア会社ですよね?」って言われたりすることが今でも多いんです。
確かに、いわゆる「ガラケー」と呼ばれていたフィーチャーホン(スマホが普及する前のテンキー型のケータイ)の時代は、据置ゲーム機との性能差や技術的なしくみの違いが大きすぎて、CRIはミドルウェアの提供を積極的には行ないませんでした。
でも、iPhoneやAndroidといったスマホの登場と性能面での革新的な進化もあって、これまでのケータイでは不可能だった処理がケータイ上でも可能になってきました。ゲームの開発手法という視点でも、据置ゲーム機のアプローチが積極的に採用されるようになり、ついに、CRIが培ってきた技術もケータイで活躍できる時代が到来した、というわけです。
ボクも、ずっと据置ゲーム向けのミドルウェア事業を担当していたので、ケータイやスマホって、個人的な趣味の領域だったんです。
ずいぶん昔の話になりますが、高校生のときはSHARPのザウルスという電子手帳を愛用していましたし、社会人になってからも、Palmと呼ばれるハンドヘルドデバイス向けのOSが搭載されたSonyの”CLIE”というPDAを何機種も保有していました。もちろんこれらは「電話」ではありませんが、スマホの到来を予感させるボクにとっては魅力的なデバイスでした。
そして、忘れもしない、2008年7月11日。日本で最初のiPhoneが発売されたこの日、表参道のソフトバンクショップに17時間も並んで「マイiPhone」を手に入れたことを昨日のことのように覚えています。
初めて触れたスマホ。自分のなかの想定をはるかに凌駕したその可能性に武者震いしながら、購入2日目にして200種類以上のアプリをインストールしていました(笑)。ボクのiPhoneだけだったのかもしれませんが、当時はそんなに大量のアプリをインストールすることはOSが想定していなかったのか、一定数以上のアプリを入れると動作が不安定になったりして、たった1日で50回以上もハードリセットしたり、まぁ、ほとんどビョーキですね(汗)。
そんなボクの「個人的な」興奮を知ってか知らずか、会社の上層部からいきなり「おまえは今日からモバイル事業の立ち上げをやれ!」と言われたわけです(汗)。そのへんの経緯は、ファミ通でも取り上げて頂きました( http://bit.ly/1gFuOxy )。
…今、読み返すと、懐かしいですね(笑)。もう、5年以上も前の話になるのかぁ。おっと、つい思い出に浸ってしまいました。
今でこそ、ケータイといえばスマホ、老いも若きも男も女もスマホ、モバイルゲームといえばスマホ、パズドラのようにスマホゲームで大ブレイクするAAA(トリプルエー)クラスのゲームも日本から生まれるようにまでなりましたが、まぁ、5年前の当時は「早すぎ」ましたね(笑)。
今までやっていなかったことをはじめたり、これまでにない新しい商品を作ったり、新規市場に打って出るのって、とてもカロリーを要するアクションです。分からないことだらけですし、手探りで試行錯誤しながら、道を切り拓いていく感じ。当時は据置ゲーム系の企業はまだスマホへの進出にたいして消極的なところが多く、プロモーションやマーケティングの手法はもちろんゲームの作り方そのものも「手探り」という状況でした。
まだ見ぬ未来を啓蒙するのはカンタンなことではなく、まさにボクも社内で「孤軍奮闘」の様相だったのですが(笑)、この状況は、それぞれのゲーム企業のなかでスマホの重要性を予見していたクリエイターの方々と、きっと同じ状況だったのではないかと思います。
ボク自身は、既存ミドルウェアのスマホへの展開はもちろん、iPhoneアプリ向けのマーケティングサービスを独自に開発したり、アプリそのものの企画やプロモーションをしたり、異業界でスマホ展開支援のコンサル的なことをしたりと、いろいろとやりました。失敗もたくさんしたけど(滝汗)、世界的なスケールで新しい産業が成長していく過程のなかでその渦中に身をおけることはとてもエキサイティングな体験でした。
ちなみに最近までは、ゲーム業界をちょっと離れて、ゲームニクスやゲーミフィケーションといった「ゲームで培った技術やノウハウをゲーム業界『以外』で活用し事業化しよう」という試みに挑戦し、日本の製薬業界でもっとも利用されているiPadシステムをCRIブランドで世に送ることもできました。(参考記事: http://bit.ly/zGG96V ※他誌で恐縮です)
こんな感じで、いろいろと紆余曲折はありましたが、今は、ふたたびゲーム業界との関わりが持てる立場へと戻ってきました。
もちろんCRIは、これまでも、そして、これからも、据置ゲーム機や携帯ゲーム機、アーケードゲーム機といった分野へのミドルウェアの研究開発も行っていきます。今年いよいよ日本でもロンチするPS4やXbox Oneといった新世代機向けゲームを開発するクリエイターのサポートも始まっています。
いっぽうで、スマホの世界では、まだまだ知られていないCRI。ボクが5年前にモバイル事業を立ち上げたときに比べたらずいぶん多くのスマホゲームに使って頂けるようになりましたが、それでも、まだまだこれから。当然、据置ゲームとスマホでは、要求される技術要素や機能にしても微妙な違いがあります。そうした細かなニーズの違いなども日々吸収しながら、スマホ向けCRIWAREはどんどん良いモノになってきていますヨ!(自信満々w)
せっかく「ファミ通App」にブログ連載の機会を頂けましたので、ゲーム開発者のみなさんはもちろん、ゲームを愛するプレイヤーのみなさんにとっても面白く読んでいただけるように、ゲーム開発技術やミドルウェアについて分かりやすく紹介していこうと思っています。
ファミ通”App”ですから、スマホゲーム系のトピックをメインにお届けしていこうと思います。…でも、なんとなくなんですが、数年後には、据置機とスマホという「境い目」そのものが、もっと曖昧なものになっていく気がするんですよね。すでに一部のゲームでは、スマホのアプリと据置機のゲームソフトが連動するものが出てきていますし、DLC(ダウンロードコンテンツ)では、同じゲームがスマホや携帯ゲーム機、据置機にもリリースされているケースも目立ってきました。GROOVE COASTER のように、スマホ出身のゲームがアーケード(ゲーセン)に移植される、なんて事例も出てきています。
スマホを巻き込んでの、ゲーム業界全体の今後の未来、なんだかワクワクしますよね!
ビジネスチャンスという意味でも、スマホのポテンシャルってまだまだ伸びしろだらけなんです。そのひとつとして「ケータイユーザのうち、どれくらいのひとがスマホを使っているか?」という点。電車のなかやオフィスを見渡しても、もはやスマホ一色って感じがしますが、さて、実際のところはどうなんでしょうか?
最新の統計(2013年11月)によると、日本のスマホシェア率は、全ケータイ人口のうち、なんと40.1%だそうです。低っ!!アメリカの65.1%やスペインの78.9%と比較すると、ずいぶん低いですよね。ちなみに、調査対象国のなかで最下位だそうです。(※出展: comScore MobiLens コムスコア・ジャパン株式会社 / ※データ提供: 株式会社インターアローズ)
これって、別の言い方をすれば、これほどスマホに溢れた世の中になったと感じている今ですらまだまだ普及の序の口で、国内だけでも2倍以上にユーザが増える可能性を含んでいるということです。
すでにゲーム会社の大半は、国内市場だけでなく世界市場を前提にスマホゲームのビジネス展開をされていることと思います。当然、国内競争だけでなく世界的な競争のなかでユーザに支持されるコンテンツを提供し続けなければならないという厳しい側面もありますが、ゲーム文化発祥国の日本として、スマホゲームの世界でもぜひ、日本のコンテンツで世界を席巻していきたいですし、ミドルウェアベンダーとして、陰ながらそれを応援していきたいと思っています。…メイド・イン・ジャパンの技術で!(CRIのミドルウェアは100%日本製なんです)
そのためには、まずは、CRIのことを知っていただかなくては、ということで、このブログでは、スマホゲーム開発に「今すぐ」役立つ最新情報を紹介していきます。ご期待ください。
ブログのタイトルは、『CRI幅朝徳のひらけ!ブラックボックス』。
きっと「このヘンなタイトルは何なの?」とか「ブラックボックスって何?意味不明なんだけど?」って印象だと思います(笑)。このあたりの説明は、次回Vol.1以降でじっくり説明しますので、すこしお待ち下さいね。
2014年の幕開けを、たくさんのゲームユーザや開発者の方々が注目する「ファミ通App」上でのブログ連載という華々しいカタチでスタートできることを、かれこれ15年以上ゲーム業界に身を置くものとして、本当に光栄に思います。
この機会を与えて下さった、編集長の目黒さんと笠井さんに、心から感謝いたします。
また、今年からCRIは年賀状を廃止してしまったのですが、たくさんの方や企業様から年始のお便りを頂いております。CRIの代表取締役社長の押見正雄より、年賀状に代えまして、年始のご挨拶と今年の抱負を当社ウェブに掲載していますので、ぜひご参考下さい。
さて、創刊準備号はここまでです。次号Vo.1からは、いよいよ本編が始まりますのでお楽しみに!
最後に、ここまでお付き合い頂いた読者のみなさんに、ぜひお願いしたいことがあります。
3クリック程度で終わる完全匿名のアンケートにご協力を頂きたいのです。モバイル業界ではまだまだ無名のCRI、とお伝えしましたが、現状の知名度と、少しだけ未来の知名度を、比較してみたいと思っています。ゲーム開発者の方も、プレイヤーの方も、それ以外の方もぜひご協力ください。
…ご協力ありがとうございました!(^^)
読者の方からのご意見ご感想やご質問なども大歓迎です。以下のコンタクトフォームからどうぞ。なるべく多くの方のご意見に誠意をもってお返事したいと思っております。
幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
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趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
http://www.cri-mw.co.jp/
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