Vitaで遊べる『ケイオスリングス』安藤Pが受けた衝撃を動画で体験
2013-07-24 21:00 投稿
●PS Mobile版『ケイオスリングス』配信記念インタビュー
スマートフォン、タブレット、プレイステーション Vitaと、端末を問わずプレイステーションのゲームが楽しめるプラットフォーム“PlayStation Mobile”(以下、PS Mobile)。2012年10月のサービス開始から数多くのゲームを配信してきたが、どちらかと言えばカジュアルな作品ばかりが目立っていた。
しかし、ついにスクウェア・エニックスがPS Mobileに参入。骨太RPG『ケイオスリングス』の配信を2013年7月24日よりスタートさせた。日米を含む世界主要15ヵ国でApp Storeの売上ナンバーワンに輝く人気作だけに、PS Mobileの注目度や盛り上がりは、さらに高まっていくに違いない。
そこで、『ケイオスリングス』をリリースするスクウェア・エニックスの特モバイル二部 ジェネラル・マネージャー兼プロデューサーであり、スマゲ★革命でもおなじみ安藤武博氏と、同部の椎名崇徳氏にインタビュー。プレイステーション Vitaでのみ体験できる、物理コントローラを備えた『ケイオスリングス』の魅力について、大いに語ってもらった。
本記事は、週刊ファミ通7月18・25日合併号(7月4日発売)に掲載された巻頭特集“PlayStation Mobile 本格始動!”の番外編ともいえる存在。週刊ファミ通で語りきれなかった、とっておきのお話を披露してくれている。また、安藤氏がみずから『ケイオスリングス』プレイして魅力を語る動画も必見だ!
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●対談では言えなかった本当の理由
安藤武博氏 |
――まずは、PS Mobileで『ケイオスリングス』を出すことになった理由を教えてください。
安藤武博氏(以下、安藤) じつは週刊ファミ通での多田さん(※1)との対談では、言えなかった理由があるんですけど……ぶっちゃけプレイステーション Vitaがすっごく好きなんですよ。ほかのクリエイターがなかなかPS Vitaのいいゲームを作ってくれないから、自分で作ったというのが本当のところです(笑)。『拡散性ミリオンアーサー』をPS Vitaで出したのも、『ケイオスリングス』をPS Vitaで遊べるようにしたのも、僕が好きだからなんです。
(※1)ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア 戦略企画部 ジャパンビジネス企画課 課長 多田浩二氏のこと。
――そうだったんですね。それは端末として好きなんですか?
安藤 そうなんです。それが大きな理由のひとつですね。(※編集部注:もうひとつの理由はこちら)ただ、PS Vitaのポテンシャルを考えると、『ケイオスリングス』をそのままVitaのソフトとして出すわけにはいきませんでした。でもPS Mobileという見立てであれば、要するにAndroid端末と同じという考えかたなので、出せるのではないかと思ったんです。そういう経緯で、私のPS Vitaで動かしたいという思いは、変則的ではあるけれど成立することになりました。
――なるほど。でもけっきょく作り直しているんですよね?
安藤 はい。けっきょくは作り直しています。当時のデータでは、PS Mobile上では動かないことがわかって、ほぼ丸々作り直しですね。
――そうしてできあがった『ケイオスリングス』ですが、実際に動かしてみたとき、思わず声を上げてしまうほどインパクトがあったそうですね。
安藤 そうなんです。なぜ声が出たかというと、結果的にPS Vitaのゲームみたいだったことがビックリしたんです。
――えっと、どういうことです?(笑)
安藤 僕らはスマホ向けのゲームを作っているつもりだったんですけど、PS Vita上で動かしてみたら、紛うことなきVitaのタイトルになっていた。自分の想像のはるか斜め上をいっていたんですよ(笑)。「何かこれ、Vitaの新作としてもいけるやん」という存在感があったんです。PS Vita用としては全然物足らないかなと思っていたんですが、800円のPS Vitaのタイトルとして考えたら、すごくバリューのある作品に仕上がっているんじゃないかということに、動かして初めて気が付いたというわけなのです。
――それで、思わず声が出たと。
安藤 そうなんですよね。ちょっとうまく数値化できないのがもどかしいですが、見かたによってはPS Vitaの完全新作RPG。そのために作り直したと言っても、誇大広告にはならないんじゃないかな、と思えるバリューと新しさがありました。これは作り手としてはまったくの盲点で、ここまでプレイ感覚がよくなるのかっていう感じで、声が出てしまったのです。
――それはPS Vita版『ミリオンアーサー』のときに感じたものとは違うものだったんですか?
安藤 『ミリオンアーサー』のときも「おおっ」とは思ったんですけど、カードバトルRPGですからね。僕らは、純粋なRPGに対してのハードルは、ほかの会社のプロデューサーよりも高いつもりでいます。それでも、手に取った感触は、PS Vitaのソフトとしては非常にバリューがあるんですよね。それがPS Vitaの底力なのか、物理コントローラのすごさなのかわかりませんが、とにかくスゴイぞと感じてしまったわけです。
●もともとVita用なのかなと思うくらい自然
椎名崇徳氏 |
――ほかに、スマホ版と異なる部分はあるんですか?
椎名崇徳氏(以下、椎名) 最初に『ケイオスリングス』が世に出たのは2010年なんですが、それから3年近く経つと、スマートフォンに限らず画面の解像度って格段に上がっているんですね。当時の最高水準で作っていても、ふつうは足りない部分が出てしまうものなんです。まだiPadも出ていませんでしたし。
――なるほど。
椎名 高解像度になればなるほど、通常は黒縁の部分が出てきてしまうんです。しかし、PS Mobile版では、カメラワークなども全部いじってフルスクリーンで表示できるように調整を施しました。ですので、PS Vitaでもスマホでも、どの機種でもフル解像度で、全部見えます。
安藤 加えて物理コントローラに完全対応です。もともとPS Vita用に作られていたのかなって思わせるくらいに自然に動きます。バーチャルパッドみたいな感じではないですし、それでいてタッチ画面でも動いてしまいます。いつどっちの操作に切り替えても、まったくストレスを感じさせない仕上がりになっていますよ。
――それはすごいですね。
椎名 『ケイオスリングス』はもともとフルタッチデバイスのゲームですが、作ったのは物理コントローラで遊ぶゲームを数多く作ってきた会社(メディア・ビジョン)じゃないですか。だからフルタッチデバイスのゲームを作りつつも、根っ子では物理コントローラだとこういう操作感になるだろうと考えながら作っているんじゃないでしょうか。今回、PS Mobile版『ケイオスリングス』を作っていて、それをすごく感じましたね。
だから、コントローラの仕様をどうしようという段階になったとき、すぐにその仕様が上がってきました(笑)。今後、ボーダレスなデバイスが当たり前な時代がきたときに、コンシューマーのゲームを作ってきた会社がどんどん活躍していけるんじゃないか。そういう場になるんじゃないかと個人的には思いました。
安藤 『ファイナルファンタジーIII』のニンテンドーDS版をフルタッチ向けに調整してiPhoneとAndroidで配信し、つぎにOUYA(ウーヤ)というデバイスでも出したんですが、ここでまた物理コントローラのデザインが復活したんですよね。こいうのって、ウチならではなのかなぁと思いましたね(笑)。
今回『ケイオスリングス』がスムーズだったのも、我々の持ち味を活かしている展開だったから最初にできたのだと思います。
――今後、PS Mobileで続編は出るのですか?
安藤 「何でPS Mobileだけ続編が遊べないの?」ということになるので、我々としても出したいと思っています。きちんとした市場があれば、いままで我々が手掛けてきたタイトルを移植できるのではないかなと考えています。ですので、今回の『ケイオスリングス』の行く末に掛かっているところが大きいですね。
うちのチームでは『FFタクティクス 獅子戦争』のスマートフォン版の移植もやっているのですが、引き取ったからには本気を出そうということで、過去もっとも解像度が高い『FFタクティクス』としてドットを打ち直しているのです。現在は、iOSとAndroidでしか遊べないので、お客様のニーズを考えるとPS Mobileに持ってきて物理コントローラで遊べたらいいなと思います。もともと操作が複雑ですしね。『ケイオスリングス』で、これだけのインパクトがあったので、『FFタクティクス』ならもっとスゴイことになるんじゃないかなと考えています。
――確かに。いろいろな作品で遊ぶためにも『ケイオスリングス』にはぜひ成功してほしいですね。では最後に、ズバリお聞きしますが、スマホ版で遊んだ人がPS Vitaで遊んでも満足できると思いますか?
安藤 いやこれは満足ですよ! ファミ通の対談中もずっと遊んでいたんですけど、どんどんプレイしてしまいましたから(笑)。
――よくわかりました(笑)。それでは、実機のプレイ動画をご覧ください!
◆『ケイオスリングス』とは?
スクウェア・エニックスより発売中のスマートフォン・タブレット用RPG。2010年4月20日にiOS版がiPhone/iPod touch用アプリとして発売され、2010年8月にはiPad版、2011年12月にはAndroid端末版が発売。スマートフォンアプリとしては、日米を含む、主要15ヵ国でApp Storeの売上ナンバーワンに輝く大ヒットを記録している。そして、2013年7月24日、PS Mobile版が配信となった。
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