【個人開発者のやぼうとげんじつ】第4回:脱ニート!……できたのか?“とってぃ(tottyapps)”
2012-08-09 17:16 投稿
●働きたくないんだよ!
第4回に登場するのはtottyappsのとってぃ氏。耳にしたことのない人もいるかもしれないが、それもそのはず。開発者デビューは2012年4月なのである。今回登場する開発者のなかではいちばんの新参だが、配信するアプリはどれも強烈な個性を放つものばかり。ふたりで開発していると言うが……、自称“クソゲー”を生み出す秘訣とはなんなのか。
[関連記事]
※【個人開発者のやぼうとげんじつ】連続インタビュー企画 アプリをひとりで作るって、実際どうなの?
とってぃ氏
tottyappsプログラマー
――これまでのアプリのリリース本数は何本ですか?
とってぃ いまApp Storeに並んでいるのは16本です。ちょうどiPhoneの画面にピッタリ配置できる数ですね。
――お名前が“とってぃ”というのはどこからきてるんですか? どうしてもサッカー選手を連想してしまうんですが……。
とってぃ まったく関係なくて、とくに理由も由来もないんです(笑)。昔から使っていたハンドルネームをそのまま使っているだけで。最近はこうやって仕事上で使っていることもあって、プライベートでもとってぃと呼んでもらうようにしています。
――これまでどういうことをされていたんですか?
とってぃ 2年ほど前まではシステム開発会社に所属していました。それでそこを辞めてから1年間くらい働かずに、いわゆるニート状態だったんですよ。そのときにこれではマズイと感じて、“覆面X”とアプリの開発をしようじゃないかと盛り上がって、いまがあるんです。それで実際は今年の4月から始動し始めたので、開発者としてはまだ全然日が浅いですね。
――いきなり出てきた覆面X(笑)。どういった関係なんですか?
とってぃ もともとは顔見知りの関係です。“tottyapps”では僕がプログラムを書いて、覆面Xがデザインや総括ディレクションをやっています。
――アプリの収益モデルはどんな感じですか?
とってぃ 完全に広告モデルのみですね。
――現状はアプリ開発だけで生活されているんですか?
とってぃ そうですね。というかまだアプリの収益が手元に落ちてきていないので、正確に言うとそれで生活できているわけではないんですよ。
――おお、ではこれからが楽しみですね。開発者になってからはどのように過ごされているのですか?
とってぃ 基本的に平日は毎日アプリ制作をしてすごしています。最近やっとふつうの時間帯に起きて、日中にアプリ開発をして夜寝るという状態に戻しました。始めたころは完全な夜型で昼夜逆転でしたね。一般的な時間帯におきて働かないと人としてまずいかなということもありますし、僕も覆面Xも結婚して家庭があるので嫁に色々怒られるので(笑)。
――ご結婚されているんですね! いまはどれくらいのペースでアプリをリリースされていますか?
とってぃ だいたい月に2~3本くらいですね。始動したころは1週間に3~4本くらいを勢いで出して、最近は落ち着いてきています。
――かなりのハイペースですね~。それは以前から温めてきたものを吐き出している状態なのか、ふっと思い浮かんだものをどんどん作っているのとどちらになりますか?
とってぃ 後者です。僕はアイデアを書き溜めることはしないので、とくに戦略やタイミングを図らずにどんどんリリースしています。
――アプリのアイデアってどんな時に湧いてきますか?
とってぃ ほとんどは覆面Xと話しているときに生まれるものなんですが、僕が日常生活を過ごしているときにぱっと思い浮かぶものもあります。
――シンプルなミニゲームアプリが多いですよね?
とってぃ 違うんです。ミニゲームではなく、“クソゲー”です!(笑) ミニゲームやカジュアルゲームという言葉がありますが、僕のアプリにはそんな言葉はおこがましいです。自分ではクソゲーだと認識しています。ほかの開発者さんのアプリを見ていると、個人なのにデキがよくて、しっかりとバランス調整されている作品が多いんですが、相対的に僕はかなり劣っていると自負しているので、あえて“クソゲー”という言葉を使っています。
――わかりました。でも僕らの口からはなかなか“クソゲー”とは言いにくいですよね。
とってぃ いや、どんどん言ってもらってけっこうです! 僕自身は”クソゲー”と言ってもらえるとうれしいので(笑)。
――で、では……1本のクソゲーにかける制作時間はどれくらいになりますか?
とってぃ 理想は1日です。最近は少し凝りだしてしまっているので1日1本で完成させるのが難しいんですが、それでも3日か……1週間くらいで完成させていますね。でもいまはまた1日に戻そうとがんばっています。
――え、アイデアを思いついてから1日で完成させるんですか?
とってぃ だいたいはそうですね。ある程度アイデアをしぼってからですけど、そこからは深夜まで時間をかけて作って、すぐにリリースしています。
――ではアプリを作るのにどんなスキルが必要なんでしょうか?
とってぃ うーん、難しいですね! 技術とかは置いておいて、やっぱりモチベーションというか、やる気ですね。僕も初めてアプリ開発をするという人に会うことがあるんですが、大体途中で挫折しちゃうんですよ。挫折して放置している時間があって、また戻ってきては挫折しての繰り返しなので、いつまでたっても完成しないんですよ。ですから、完成させる意思があるかどうかがまずは大切で、そのためにできるだけ理想を捨てることです。初心者は理想を捨てて自分の持てる技術でとにかく完成させることですよ。
――皆さん口をそろえてそうおっしゃってますよ。やっぱりそれがいちばん大切なんですね。では、スマートフォンでゲームを作るにあたって、何か意識している事はありますか?
とってぃ いままでずっと、サクッと終わるゲームを出していて、それはわりと意識して作ってきました。それ以外は正直とくにないです!(笑)
――では、いままででいちばん売れたタイトルはなんですか?
とってぃ いちばんダウンロード数の多い作品は『解除の達人』というアプリで、いまのところ30万ダウンロードくらいですね。
――では逆に自信作で売れなかったアプリはありますか?
とってぃ そうですね……。新作の『C.A.T.T.Y』です。キャッティという猫をよく出してるのですが、過去のものより断トツに力を入れたのですが、まだストアに埋もれて実力を発揮できていないと思います。
C.A.T.T.Y |
――キャッティの仲間たちは今後も増えていく予定はありますか?
とってぃ 増えていくと思いますよ。人気キャラクターはまだこれといってないんですが、キャッティはゲームの中で着せ替えなどができるのでそのバリエーションを増やしていこうかなとは考えています。
――今後リリースするゲームの中で「これは“クソゲー”ではない」と言えるものも出てくるのでしょうか?
とってぃ おそらく出てくるとは思います。僕個人としてはあまりよくないなとは思っているんですが、最近そのような傾向になり始めているのでもしかしたらあるかもしれないです。もうちょっと長く遊んでもらえるゲームも作らなければいけないなと感じてきているので。
――ぶっちゃけた意見が聞きたいのですが、アプリ開発だけで生活できますか?
とってぃ いやー、無理でしょう(笑)。僕も短期間でヒットした方だとは思うんですよ。ある程度ヒットして恵まれている方だとは思うんですが、最近はダウンロード数も落ちてきているので、少しギャンブル気味なところはありますね。いくら一時的に売れたとしてもそれがいつまでも続くとは限らないんですよ。そういった波があることを考えると、食えるかどうかで聞かれれば“食えない”と答えてしまいます。
――とってぃさん自身のいまの収益はどれくらいなんですか?
とってぃ おそらく同年代のサラリーマンの給料よりは低いです。それは間違いないです。
――では企業にもし声をかけられたらどうしますか?
とってぃ 断りますね。いまこうやってアプリ開発に携わっているのもサラリーマンをやりたくないからなので、お声をかけられても丁重にお断わりしますね。例外があるとすれば、自由にやらせてもらえるなら考えるかな(笑)。
――とってぃ流のApp Store攻略法はありますか?
とってぃ 自分の好きなゲームを楽しんで作ることですね! エンジョイがすべてですね。楽しいことをなるべく継続的に続けていくことが大事です。
――とってぃさんが注目しているゲームアプリはありますか?
とってぃ 今はカジュアルゲームと呼ばれるものは勉強の意味も込めて触っています。最近でいうと『厨二病ゲーム』、『積み城』、『ケーキタワー』といったところです。このあたりのゲームにはつねに注目しています。
――Androidではアプリ開発はやらないのですか?
とってぃ やらないです。ビジネス的にはやりたいんですが、開発的に言うとちょっとまだ手が回らないのでできないですね。もしやるとしたら、Android専門のプログラマーを雇って開発すると思います。
――それではとってぃさんの今後の野望をお聞かせください。
とってぃ 楽して生活がしたいことと、“tottyapps”を長く続けていくのが野望です。楽をする、働きたくないという気持ちが強いので……(笑)。あとはキャラクタービジネスにも興味がるので今後はそちらにも目を向けていこうかと思います。
――最後にファンの方に向けてひとことお願いします。
とってぃ “tottyapps”では現在、絵描きさんを募集しております! 興味がある方はご連絡ください。(ガチで)
※連絡はTwitterアカウント@tottydevまでお願いします
――なぜ人材募集なんですか!(笑) 今日はありがとうございました。
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
かわいい見た目と裏腹に中身は生意気⁉NCSOFT新作『護縁(ごえん)』で“ウゲン”を演じる堀江瞬さんに独占インタビュー
2024-07-22 12:00『白猫NW』はなぜバトルシステムを大規模アップデートしたのか|開発ディレクターインタビュー
2024-04-13 09:00【黒ウィズ】なぜこのタイミングで新属性を実装?クリエイターコラボの意図は?11周年を迎えた「黒猫開発室」インタビュー
2024-03-22 17:00