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NHN Japan×グラスホッパーの飯田和敏作品に迫る(後編) タイトル発表&最新イメージイラストも公開

2012-04-12 12:00 投稿

●ゲームを通じて自然環境に思いをはせることができるソーシャルゲーム

[前回の記事]
NHN Japan×グラスホッパーの新プロジェクトに迫る 飯田和敏氏の新作は『●ー●ー●●●ー』!

NHN Japanとグラスホッパー・マニファクチュアがスマートフォン向けアプリを共同開発するというニュースを受け、企画・ディレクションを担当する飯田和敏氏(グラスホッパー・マニファクチュア)と、NHN Japanの中尾亮介氏に開発の経緯や内容を語ってもらった。

まず判明したことは、本作は海底散策を題材にしたオンラインゲーム。つまり飯田氏の代表作である『アクアノートの休日』(※)の影響を色濃く受けていること。なぜコンシューマーゲームを作り続けてきた飯田氏がスマートフォンでオンラインゲームを作ろうと思ったきっかけや、NHN Japanがどのように関わってくるかなど、このプロジェクトの概要や発端について聞くことができた。しかし肝心のゲーム内容や、タイトル名については聞き出すことができず、記者のみならず歯がゆい思いをした読者も多いのではないだろうか。そこで正式にタイトル名が公開されたこのタイミングで、より具体的なゲーム内容に関して話を聞いてきた。配信は2012年初夏予定とまださきだが、どんなゲームになるかのヒントは聞き出せたので、ぜひご一読を!

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『イージーダイバー』NHN Japanとグラスホッパーの新規プロジェクトのタイトル名が決定!

(左)グラスホッパー・マニファクチュア ディレクター 飯田和敏
(右)NHN Japanコンテンツ営業企画事業部ディレクター中尾亮介

――そろそろ正式なタイトル名を教えてください!(笑)

飯田 発表しますよ……『イージーダイバー』です!

──社会からドロップアウトしたふたり組の某有名ロードムービーをいやが上にも思い起こさせますね(笑)。

飯田 内容的には、単に『アクアノートの休日』を再現するだけではなく、ソーシャルゲームの根幹技術であるインターネットそのものをテーマの中心に据えることに意味があります。最近「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」という本を読んだんですけど、これによるとソーシャルコミュニティーは、60年代からグレイトフルデッドとそのファンたちの行動が体現していたということがわかって、すごくおもしろかったですね。例えば彼らは、コンサートでの演奏をファンが録音することを許可し、それをファン同士で交換することを推奨していました。ファンたちはグレイトフルデッドの音楽を共有することでコミュニティーが常に活発なものになり、バンドへの興味が持続される。ライブ音源の共有は当時でもラディカルな発想だったと思いますが、著作物の運用方法が試行錯誤されている現在の状況に対しても大きなヒントがあると思います。

──ということは、本作も海底で他のプレイヤーと何かを共有するんですね。
飯田 バーチャルな空間で起こる出来事に、他者の存在が必要不可欠なものとして存在するものになります。

──実際、どういう流れでゲームは進んでいくのでしょうか。

飯田 ゲームを起動すると、魚が悠然と泳いでいる海の世界が広がっています。そこは一見きれいな自然環境ではあるんだけど、じつは汚染されていて、プレイヤーはその汚染を何らかの方法で除去していかなければならない。魚などの生命を安全な場所に誘導しつつ、海そのものの危険を取り除く過程の中で、自然に他者の協力が必要になる……というわけです。

──舞台となる海洋の広さは?

飯田 ほんものの地球と同じくらい。有限だけど無限に感じられるというスケール感。でもちゃんとカタルシスがあるように考えています。

──汚染は、一目見てわかるものなのでしょうか。

飯田 眼には見えないですね。ふつうに綺麗ですけど、確実に汚染されている。

中尾 ゲーム的には、汚染する“みなもと”があって、それを見つけて引き上げ、浄化していきます。潜っている時には、ほかのダイバーさんの姿も見えますよ。

──広大な海の中で、うまいことすれ違えるのでしょうか?

飯田 そこはプレイヤーの数次第でしょうね(笑)。

中尾 多くのダイバーと触れ合える機会を用意したい、という気持ちが根本にあるので、ちゃんと出会いのあるゲームにはなっています。ゲームを進めて、深く潜れば潜るほど出会いは少なくなりますが、その場合はそこに達成感を感じられるはずです。

──逆に、誰もいなそうな場所で知り合えたら、かなり嬉しいですね。

中尾 「こんな場所にも人が!?」という驚きがあるでしょうね。

▲こちらも最新のイメージイラスト前回とはまったく異なる深海。ここまでこれるダイバーはどれくらいいるのか……。

──ほかのプレイヤーとは、どのような形でコミュニケーションをとれるのでしょうか?

飯田 そこはダイバーならではの交流を考えています。

──ハンドシグナルのような?

飯田 そのものズバリではありませんが、ダイレクトなチャットとは異なる形式であることは確かです。海の世界を共有するもの同士が限定的に出会って、その中で共同作業を行うことにおいて、胸が熱くなるようなシーケンスを作っていければいいなと思っています。そのうちのひとつに、言葉を交わすってのがあるかもしれません。例えるならば、スキー場で知り合う感覚。その場での関係を家には持ち帰らない、みたいな(笑)。

──特定のプレイヤーと特別な関係を結ぶことは?

飯田 その場で知り合って気が合う人とグループを作ることはできるようにします。

──グループ、ですか。

中尾 じつはメインのゲームの中にひとつだけ、他人との協力が必須なものを予定しています。

飯田 ここに関しては大ネタを仕込んでいます。今までのソーシャルゲームの常識を覆すようなものが、海の中にあります。海の浄化を進めていくと、そのさきにバババンと立て続けに。

──おお! ということは、ストーリー性もあるんですね。

飯田 あります。まだ書いてないんですけどね(笑)。

中尾 普通とはちょっと違うことをしたいなっていう挑戦をしています。

──それは楽しみですね。ところで、ここ最近のトレンドでよく見受けられるゲーム内のコミュニティーとは別の、SNS的なサイトは用意されますか?

中尾 SNS的なサイトは現状考えてはいません。ただプレイヤー同士が交流できる機能は用意したいと考えています。

飯田 現実的、機械的なメッセージは極力避けるようにしたいなと思っています。難しい駆け引きを考えなくても進められるけど、新しい驚きがある。そのラインは守りつつ、ソーシャルだからできることを考えて。みんなで海底散策を遊びつつ、海をきれいにしていくことをそれとなく意識出来るようにしたいです。震災後のゲームであることは意識しています。いま日本は、地球環境に対してあまり良くないことをしています。だけど、これを迅速に処理していくのはなかなか困難だということを思い知らされた1年間でした。この問題に対して遊びの世界だからこそ出来ることがあると信じています。メッセージ、スローガン的な誘導はまったくするつもりはないけれど、多くの人がゲームを通じて自然環境に思いをはせることが出来ればいいなと思います。

──深いテーマですね。

飯田 海だけに(笑)。最近僕自身、ソーシャルって言葉に違和感を持っていたのはそういう部分で、現実の人間関係だけではないなと。社会もきちんとみせた上でのソーシャルという言葉でないと、ということをちょっと意識してみました。

──特定の時間にほかのプレイヤーとログインして……みたいなリアルタイムイベント性はあるんでしょうか?

中尾 そういう要素が楽しめる遊びは入れたいなと考えていますが、それはひとつのサブ機能として、メイン機能を盛り上げる方向で考えています。

飯田 ライブ感があるイベントは、ユーザーが作り手との駆け引きを楽しめる部分でもあるので、そこは臨機応変にやりたいと思います。

──ところで、飯田さんはソーシャルゲームをプレイされているんですか?

飯田 かなりやっていますね。一番夢中になったのは、最近だと『マフィアウォーズ2』ですね。サービス開始日からリアルタイムにやっていたので、ライブ感をもって楽しんできました。いまはすでにシナリオを通り越してやることない状態になってますけど(笑)。ほかにもいろいろとプレイはしてきまして、課金モデルが大きくわけてZynga型(有料アイテム)かガチャ型(景品くじ)なんだということは把握しています。今回の作品をどっち側に振っていくのかは、これから設計していきます。

──課金の仕組みがどうなるかは、ユーザーにとっても関心が高い点だと思います。

飯田 僕はコンシューマーでずっとやってきたので、ビジネスモデルの違いがゲームデザインに影響してくることを咀嚼するに時間がかかりました。ただ、自分自身がユーザーとして遊んでみると、そのゲームのおもしろさがわかるまで無料っていうのは楽しい。色々選べますからね。で、ゲームをやりこむ過程でお金を払うことに対しては、僕自身は抵抗感がなかったです。アーケードゲームをやっていたせいかもしれませんが、惜しいところで終わった時にコンティニューすることに躊躇はない。もちろんお財布の状況によりますけど。

──たしかに、アーケードゲームに近い感覚で遊べますね。

飯田 コンシューマーゲームは、僕の作品を含めてすごく先鋭化しているんです。僕の周囲はたまたまコンシューマーゲームをやる人ばかりですが、Facebook上の友人たちは、やっていない人が多い。でもじつはFacebookのアプリはかなりやっているんです。だから「ゲームやってるね」って言うと「いや、べつにやってない」と言い張る。「でもFacebookアプリやってるじゃないですか」というと、「あ、これゲームだったのか」って言うんです。これはいままでのコンシューマーゲームとはまったく違う、ゲームの広がり方です。顕著なのは女性ですね。ユーザー比率でいうと40%くらい。僕らがやってきた分野と違う世界が広がっていると感じました。たしかに、無料だからちょっと試してみようかという気楽さや、その中でハマれるものをチョイスしていくのは、自然だなと思います。

──『イージーダイバー』も、基本無料ですか?

飯田 そうですね。

中尾 課金に関しては既存のソーシャルゲームに近い流れになると思います。課金しないとここまでのステージまでしか遊べない、というタイプではありません。

飯田 フリーで遊べる部分と、課金要素がなじんでいるものを目指しています。「海の中だから酸素いるでしょ? 酸素を手に入れるとしたら陸に上がるか、追加で買うしかないでしょ?」という。なくてもプレイできるけど、お金をかければ少し快適になる。

──課金によって、遊びの幅が広がったりは?

中尾 魚やステージ、ダイバーの種類といった物量の追加はありますけど、それと一緒にメインゲームを盛り上げるようなイベントが入ってくる予定です。これらは課金を強制するものではありませんが、目的が異なるイベントに参加することで、新しい魚や友だちと出会える機会になればと思っています。

飯田 これって、ハンゲームさんでは日常的なことですけど、僕らのような普段コンシューマーのゲームをやる人にとっては相当新鮮で楽しいですね。

──最後に、ゲームを待ち望んでいるファンに向けてひと言ずつお願いします。

飯田 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版-サウンドインパクト-』のメインメニュー画面が赤い海だったんですけど、今回改めて海洋ものをやることになって、「いよいよ帰ってきたな」と。デビュー作が『アクアノートの休日』ということもり、海洋ものはずっとやりたかったモチーフだったのですが、やらないでいた。やろうと思えばやれたんですけど、タイミングを待っていた感じはあります。『~-サウンドインパクト-』のときは気づかなかったんですけど、ああ、海に浸かっているなと自分で思って、「つぎ、そっちいく?」みたいな流れがありましたね。今回は原点回帰ではありますけど、あたらしい開拓もあって、当時と同じようにわくわくしています。『アクアノートの休日』発売当時のプレイステーションの破竹の勢いを、現在のiOSやアンドロイドにも感じるので、そういう未来を夢見る力と結託して遊んでいければ、楽しいと思います。もうしばらくお待ちください。実際に海に行ける時期の前には出したいですね。

中尾 今回のタイトルは、システムやストーリーを含めてチャレンジを続けている飯田さんらしいタイトルに仕上がっていると思います。ハンゲームはカジュアルゲームというところで成長してきたので、そういったノウハウと、飯田さんの新しいテイストの融合を期待していただければと思います。

──ありがとうございました!

◆業界最速! 『イージーダイバー』プレイ体験レポート

インタビュー後、「まだ開発途中ですが……」と前置きされて渡されたのは、『イージーダイバー』が起動しているスマートフォン! 画面中央にはビビッドな色彩の海底が一人称視点で映し出され、さまざまな種類の魚がのんびりと泳いでいました。……この浮世離れした感覚は、まさに『アクアノートの休日』のDNAを受け継ぐ作品。画面下端には複数のダイバーアイコンが表示され、それらをタップすることで、ロックオンした魚を入手できました。おそらく、魚とダイバーの能力や相性によって、入手のしやすさが変わるのでしょう。また、海底には他のプレイヤーの存在を表すアイコン(ダイバー姿)も漂っていました。彼らとどのようにコミュニケーションを取れるか、今から楽しみです!(戸塚伎一)

※開発版のプレイのため、仕様が変更になる可能性がございます点をご了承ください。

[前回の記事]
NHN Japan×グラスホッパーの新プロジェクトに迫る 飯田和敏氏の新作は『●ー●ー●●●ー』!

 

※『アクアノートの休日』
1995年にプレイステーション向けタイトルとしてアートディンクより発売。海洋探索シミュレーションというジャンルながら、明確な目的は定められておらず、遊び方はプレイヤーの意思に任せるという斬新なスタイルが注目を集めた。シリーズ作として1999年に『アクアノートの休日2』、2008年にはプレイステーション3で『AQUANAUT’S HOLIDAY~隠された記録~』(発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント)が発売された。

(c)artdink

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