【iPhoneおすすめアプリ】コマンド総当たり式アドベンチャーゲームの魅力『琥珀色の遺言』

2011-09-16 00:05 投稿

●館に散らばる証言と証拠を元に、“真実”を突き止める

私立探偵・藤堂龍之介となって、事件現場を捜査し、得た情報から推理を展開していく、「コマンド総当たり式」のアドベンチャーゲームである本作。今日紹介するアプリ版は、1988年にリバーヒルソフトからPC用ゲームソフトとして販売された藤堂龍之介探偵日記 『琥珀色の遺言 〜西洋骨牌連続殺人事件〜』のグラフィック、BGM、システム群を大幅に強化したものとなっている。

 

 

本作の舞台となるのは、大正時代、「琥珀館」と呼ばれる広大な洋館。30を超える部屋を抱える大邸宅で起きたとある「事件」を、プレイヤーは探偵として捜査していきます。出会った人から話を聞き出したり、怪しい場所を探して証拠品を探したり、実際の捜査さながらの地道な行動で、徐々に真実を暴いて行くのです。捜査を進めて行く途中で、新たな事件が勃発したり……、推理小説のような世界が、アドベンチャーゲームならではのレトロな映像と音楽という表現で鮮やかに描かれています。

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▲本作は、1980年代に発売されたPC版がベースになっているが、グラフィックやは移植の際に新たに描き直されている。そのグラフィックは、レトロな質感を損なわないよう、丁寧に作り込まれている。

 

本作は、1990年代のアドベンチャーゲーム隆盛の時代において、ひとつのお手本とされた作品としても有名です。以前、ファミ通Xboxさんのインタビューで、尊敬するアドベンチャーゲームクリエイターの方にインタビューをさせていただいたときにも、このタイトルが話題にあがりました。かってその方が、アドベンチャーゲーム作りに関わり始めた頃、これは今後のためにプレイしておくようにと渡されたのが『琥珀色の遺言』で、遊び終えたときに、アドベンチャーゲームはこんなにも面白いものなのだと再確認させられたそうです。そして、この作品に憧れ、作品作りに取り組んでいた時期もあったとおっしゃられていました。

その話を聞いて僕も、アドベンチャーゲームファンを自称する以上、尊敬するクリエイターの方が目を輝かせて語る本作を遊ばないわけにはいかないと思い、秋葉原に走り、PC版の本作を遊ぶ環境を整えてプレイし終えて、すぐさまDS版を遊び、つい最近アプリ版を遊びました。

そして今、このゲームの風情と、面白さを、皆様になんとか知ってほしいと思いながら、記事を書いています。

本作を遊べば、アドベンチャーゲームには、かつてこんな形式のものがあったんだと新たな発見をする方がいると思います。そして、昔のアドベンチャーゲームってこうだったよな、と懐かしさに浸れる方もいるかと思います。そして、この古き良き作品を、今風のインターフェースと、サクサクと動作するアプリに落とし込んだ、製作陣の情熱を知ることが出来ると思います。

コマンド総当たり式の本作は、あらゆる場所を調べる勢いで捜査を進めないと、物語の真相にはたどりつけません。ひたすら調べ、聞く捜査の過程に、もどかしさを感じる方も少なくないかと思います。でも、本作をしばらく遊べば、そのレスポンスの良さが、この作業の負担を軽減してくれていることに気づくはずです。そういえばあの場所にあの人物がいて、あの事を話していたな、もう一回話を聞きにいってみようと思って、館の中を探索する。そんな閃きと行動の繰り返しが、テンポよくこなせている自分にも気づくはずです。そして、事件の真実に徐々に近づいて行くときの興奮。全ての謎を解き明かしたときの、してやったり感。これは、本作がコマンド選択式アドベンチャーであるからこそ得られる、素晴らしい報酬なのです。

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▲館は広大。ひとつひとつ部屋を調べ、事件の痕跡を探していくのだ。

 

アドベンチャーゲームにこだわりたい方、好きな方は是非、本作を遊びきってみてください。また、アドベンチャーゲームクリエイターになりたい!と思っている方も、この作品を今遊ぶことで、何か得るものがあるかもしれませんよ。(浅葉たいが)

【琥珀色の遺言】
メーカー:althi Inc.
配信日:配信中
価格:700円[税込]
対応機種:iPhone/iPod touch

 

(C) althi Inc.

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