『勇者30』から『ピヨクエ』まで……吉田浩太郎ってどんな人?(前編)
2013-10-22 14:30 投稿
ゲームクリエイター吉田浩太郎に迫る
アラサー、アラフォー世代のゲーマーにビビっとくるルックスのパズルRPG『ピヨピヨクエスト』。リッターズから配信の本作を製作したのは、ゲームクリエイター吉田 浩太郎氏。プレイステーション・ポータブルで『勇者30』の開発に携わり、スマホでも『百人勇者』、『GUN SPIRITS』といったひと筋縄ではいかないやり込みゲーを作ってきた経歴を持つ。
なぜ本作はヒヨコがモチーフなのか? そもそも、どんなこだわりを持ってゲームを作っているのか? 現在開発中の最新作の状況も含めて、リッターズに乗り込んで聞いてみた。今回はその模様の前編をお届けする。
株式会社リッターズ
ディレクター
吉田浩太郎
[関連記事]
※【新作情報】『ピヨピヨクエスト』は『勇者30』の吉田氏による画期的パズルRPGだった
で、どういう人なの?
――まずはこれまでの経歴を教えてもらえますか?
吉田 以前はオーパスという会社でゲームプログラマーとしてPS2、PSP、アーケードゲームに関わっていまして。PCのネットワークゲームも手掛けたあとに、プランナーも兼ねるようになっていったんです。
それと並行してプライベートでもゲームを作りたいなと思うようになり、Webサイトを作ってそこで無料でゲームを配信するということをやっていました。そこでノウハウを蓄積して、スマホ系のアプリに着手するようになったんです。
――もともとどういうゲームが好きだったんですか?
吉田 好きなゲーム……。おもしろいゲームって、単純にジャンルとかではなかなか言い表しにくいなと思っていて。でも、何回も遊びたくなるような要素が入っていることとか、テンポがいいっていうのは大事だと思います。
――いままでプレイされたゲームで言うと何でしょう? 勇者をテーマにしたものが多いのでやっぱりRPGですか?
吉田 印象に残っているのは、スーパーファミコンで『ファイナルファンタジーIV』をプレイした時ですね。テンポのよさをすごく感じて、とくに戦闘が面倒くさくないなと。
それまでのRPGを否定するつもりはないですけど、ビシ(敵の攻撃)……、バシ(こちらの攻撃)……、ビシ……、バシ……みたいな感じとは明らかに変わりましたよね。サクサクと進められるというか、そういうのは好きです。
――ドット絵の印象からは『ドラクエ』派かなと思ったんですが、そういうわけではないと(笑)。
吉田 たしかに絵や雰囲気は『ドラクエ』のほうが好きですよ(笑)。
――いま出されてるゲームは全部ドット絵ですけど、何か強いこだわりがあるんですか?
吉田 ドット絵に強いこだわりがあるわけではないんですけど、単純にSFC世代だったので、こういうものを作りたいなというイメージがそういう感じになっていて。ドット絵じゃないゲームでも「やりたいな」というアイデアを思い付けば、そういう方向にシフトすることも十分あり得ますよ。
――こだわりはないと言いつつ、全部自分で描かれてますよね?
吉田 これまでずっとひとりでってわけではないですよ。全部描くようになったのは前作の『GUN SPIRITS』からです。チョコチョコ描いてはいたのですが、全体的には本職の方におまかせしていましたね。
――ああ、そうだったんですね。好きなドッターとかっていらっしゃいます?
吉田 ドット専門ではないんですけど、『勇者30』のメインイラストをやっていたイラストレーターの須田彩加さんという方がいまして。いまはソーシャルゲームのイラストを多く手掛けている人なんですが、その方が『勇者30』のときにドット絵も描いてくれたんです。
その人の色使いとか、イラストからドット絵への落とし込み方がすごくうまくて、そのテクニックとかは参考にさせてもらいました。いまも影響を受けている人ですね。
――なるほど。あとでその方のイラストを拝見してみます。ところで、吉田さんは何本もゲームを作っていますけど、クリエイターとしてこだわっているところはありますか?
吉田 ジャンルの話と少し被っちゃいますけど、「ロード長いな……」とか、ユーザーがいらないと感じそうな演出はなるべくなくそうと思っています。いわば自分目線ですね。自分ならここスキップしたいなって要素は、なるべくいれないように心掛けています。
だって、ロード時間や演出といったテンポを阻害する要因や、ボタンを押したときのレスポンスの悪さって、せっかくシステム部分などを気に入ってくれても、何回もやろうというときに絶対に足かせになると思うんです。
――とくに最近のユーザーはその辺の耐性が低いというか、敏感ですよね。いまはアプリのタイトルが続いていますけど、またコンシューマータイトルを手掛けることもあるんでしょうか?
吉田 あんまり規模の大きなものは、まだ自分の経験では苦しいと思っているんですけど、チャレンジする機会があればぜひやりたいとは思っています。
ヒヨコの衝撃の事実がつぎつぎと明らかに!
――『ピヨピヨクエスト』はいつから開発していたタイトルなんですか?
吉田 開発期間という意味では、アイデアを出してリリースまでに2ヵ月くらいですね。『GUN SPIRITS』がリリースされてから作りだした感じです。そのまえの『百人勇者』は2011年なので、定期的なアプリのリリースに動き出したのは今年に入ってからということになりますね。
――『百人勇者』は吉田さん個人での配信でしたけど、『GUN SPIRITS』からはリッターズからの配信となっています。これはどういった理由でしょう?
吉田 単純にリッターズに所属したからというだけで、深い意味はありません(笑)。最初に個人でやったのは「イケるな」という手応えというか、感触がほしかったというのがあります。「これをやってこれだけできました、だからこういうのやってみません?」ということをいろいろな人に言いやすくなりますし。
――なるほど。それで『ピヨクエ』に至るというわけですね。ところでなんでヒヨコなんですか?(笑)。
吉田 ちょっとお客さんウケを狙ったところはあります。僕はかわいいものが好きなんですけど、実際“カッコいい”が好きな人よりも“かわいい”が好きな人が多いと思ったんですよ。描くドットもかわいくなるようにというのを今回は意識してます。
で、じつはかわいいをモチーフにしようとしたときに“ネコ”か“ヒヨコ”かで迷った経緯があります(笑)。結果的にヒヨコになったわけですが、理由としては、まずあの解像度でネコを描こうとすると、バリエーションが出しにくいというのがひとつ。それと、あのサイズでどれだけネコっぽくできるかということを考えると、苦しくなってきまして。ヒヨコなら究極、丸書いて目を入れて足を生やせばまあわかるかなと(笑)。
――そういうことだったんですね。その効果はいかがでした? 『GUN SPIRITS』は有料(当時170円)でしたけど『ピヨクエ』は無料ですから、DL数もかなり違うのでは?
吉田 リリース後、4日間で『GUN SPIRITS』の3ヵ月分のDL数と並びましたので、無料という価格設定も含めて効果はあったと思います。
――アプリ内課金のシステムにしましたけど、こちらの感触はどうでしょう?
吉田 このゲームは、「よし課金してがんばろう!」というところに到達するまで時間がかかる作りになっています。正直、まだその段階まで来れている人は少ないです。想定内ですが、いますごく儲かっているという状態ではないですね。
――たしかにとっつきのよさに比べて、プレイを始めてからの成長とかは比較的ゆっくりめな気がします。でも、意外と歯ごたえありますよね。コツってどういうところになるんでしょうか?
吉田 パズルゲームではあるんですけど、RPGというか、キャラクターの成長要素があるので、やはり継続してプレイしてレベルを上げると先に進みやすくなります。
たとえばなんですが、『ドラクエ』はゲームの操作が苦手な女の子でも時間さえかければクリアーできますよね。RPG特有の“時間をかければクリアー”できるという作りにしています。テンポよく、くり返しやってもらいたいというのもありますし。
――なるほど。ある程度はそういう作りにしているんですね。……とはいえ、ちょっと何かないですか? コツ(笑)。
吉田 コツ……やっぱりヒヨコですかね。敵は10匹ごとに強敵がでるようになっているのですが、そいつを倒すと必ずヒヨコが1匹でるのと、出やすいヒヨコのランクが一段階上がるようになっています。なので、その強いやつは倒すようにしてほしいですね。
――そ、そうだったんですね。たしかにヒヨコ一覧の3段目がほとんど出ていない状態です……。
吉田 ヒヨコを連れて行かないで貯めようとしてしまうときついと思います。ふつうにレベルだけのぶつかり合いになっちゃうので。ある程度貯まらないと連れて行きたくないという気持ちもわかるんですけど、1匹でも連れて行ったほうがヒヨコの回収率も上がるので有利になると思います。
――ちなみにヒヨコってこの18種類から増える予定はあるんですか?
吉田 じつはヒヨコは全部で36種類います。18種類揃うともう一枚ページができるんですよ。
――それは衝撃の事実ですね!(笑)。たぶん知らない人も多いと思いますよ。
というわけでいま登場する全ヒヨコのグラフィックデータを特別に公開してもらった。まさかもう1ページがあったとは……! なお、吉田氏のお気に入りは“クロオビ”とのこと。1ページ目の全データは以下のとおりだ。気になる2ページ目は……明日の後編で公開! 『ピヨクエ』のさらなる秘密や、今後リリース予定の『100Turn勇者(仮)』のシステムに迫る!!
[関連記事]
※【新作情報】『ピヨピヨクエスト』は『勇者30』の吉田氏による画期的パズルRPGだった
全ヒヨコデータ(1ページ目) |
ピヨヒコ いたってふつうのヒヨコ こうげき+4 |
アイアン カタ~いかめんのヒヨコ ぼうぎょ+4 |
ズック もりおのくにすむヒヨコ まりょく+4 |
ピヨミ かわいいピンクのヒヨコ かいふく+8 |
シノブ ニンジャいちぞくのヒヨコ ひっさつ+10% |
チョッピ うまれたばかりのヒヨコ かいひ+10% |
モヒー モヒカンがにあうヒヨコ こうげき+6 |
マックス パワフルでおおきなヒヨコ ぼうぎょ+6 |
マッピヨ まほうにめざめたヒヨコ まりょく+6 |
キュキュ いしゃになりたいヒヨコ かいふく+12 |
ピヨメ すごうでくのいちのヒヨコ ひっさつ+15% |
ウオーン サカナにあこがれるヒヨコ かいひ+15% |
キャプテン かいぞくせんちょうのヒヨコ こうげき+4ぼうぎょ+4 |
ゾンピ ソンビマニアのヒヨコ まりょく+4かいふく+8 |
クロオビ ムキムキにきたえたヒヨコ ひっさつかいひ+10% |
スマート とってもスマートなヒヨコ モンスターがよわる |
ガンミ カメラめせんのヒヨコ じどうでかいふくする |
ブクブク およぐのがトクイなヒヨコ モンスターがかいふくしない |
ピヨピヨクエスト
- ジャンル
- パズルRPG
- メーカー
- リッターズ
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アイテム課金あり)
- 対応機種
- iOS4.3以降、iPhone5に最適化
- コピーライト
- (C) 2013 ritterz inc.
関連記事
この記事に関連した記事一覧
【新作情報】『ピヨピヨクエスト』は『勇者30』の吉田氏による画期的パズルRPGだった
2013-10-09 14:12
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
かわいい見た目と裏腹に中身は生意気⁉NCSOFT新作『護縁(ごえん)』で“ウゲン”を演じる堀江瞬さんに独占インタビュー
2024-07-22 12:00『白猫NW』はなぜバトルシステムを大規模アップデートしたのか|開発ディレクターインタビュー
2024-04-13 09:00【黒ウィズ】なぜこのタイミングで新属性を実装?クリエイターコラボの意図は?11周年を迎えた「黒猫開発室」インタビュー
2024-03-22 17:00