『学マス』生配信で明かされた“ゲームの中で時間軸を進めていく”という新たな挑戦【アイマス日記第339回】

by東響希

『学マス』生配信で明かされた“ゲームの中で時間軸を進めていく”という新たな挑戦【アイマス日記第339回】
バンダイナムコエンターテインメントが展開する『アイドルマスター』シリーズ関連の話題を取り上げる『アイマス日記』をお届け。

担当:東響希
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学園モノという舞台装置によって生まれる挑戦

11月23日に行われた『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)の生配信“初星学園HR #7”では、ゲームプロデューサーの小美野日出文氏がニコニコ生放送のおまけ放送でコメントとやり取りする形で質疑応答を敢行。その中で、3年生メンバーの卒業からプロの道へと向かうという、今後のストーリー展開に関しての言及があった。

成長を描くというテーマがある中で、こういった時間経過による環境変化は最初から決めていたとのこと。具体的な時期については明言しなかったものの、その構想があることを語った。また、関連してプレイアブルのアイドルの学年分布が1年生と3年生だけである部分についても言及。2年生への進級と、卒業からプロというところでは大きな変化があるが、2年生から3年生という部分では、すでに3年生メンバーのストーリーで描かれていた内容と近しいものとなるだろうとのこと。そのため初めから2年生のアイドルを設定していなかったことが語られた。

時期について名言していないので、現実の時間軸と同じような流れで卒業や進級が描かれるというわけではなさそうだが、『
アイマス』シリーズにおいて、これはかなり大きな試みだ。というのも、これまでの『アイドルマスター』シリーズの中で、ここまでハッキリと経年での環境変化を明言しているものはなかったように思う。

例えば本家『
アイドルマスター』に対して、『アイドルマスター2』では1年の時間が違いがあるが、これ“プロデューサー”の入社が遅かった別の世界線での物語になっている。基本的な性格設定などはそのままだが、ライバルである“961プロ”のアイドルだった“四条貴音”と“我那覇響”が“765プロ”所属になっていたり、“秋月律子”がアイドルではなくプロデューサーになっていたり、キャラクターの年齢も1歳上になっているという違いが出てくる。しかし、あくまでも『アイドルマスター2』ではこれがデフォルトの設定であり、最初の『アイドルマスター』からの時間経過ではない。

同じように『アイドルマスター ミリオンライブ!』においても、先輩アイドルとして本家アイドルマスターの13人(“765プロオールスターズ”)が登場しているが、こちらでは“秋月律子”はアイドルのまま。本作においては、人数が大幅に増えて、専用の劇場まで作られるという大きな変化はあったものの、やはり“765プロオールスターズ”の年齢設定などは『
アイドルマスター2』から変わっていない。であれば、こちらも“765プロ”が大きな事務所となっている新たな世界線だと解釈できる(こちらは最初の『アイドルマスター』が基礎にはなっていそうだが…)。
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しかし、時間経過はないものの、アイドル個々の成長は各ゲームで展開されている期間限定イベントやアイドルごとのエピソードで、それぞれにスポットがあたる形で描かれている。とくに『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(以下、『デレステ』)や、『アイドルマスター ミリオンライブ!シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)においては、イベントごとに結成されるユニットメンバーとの交流を経て、それぞれが学びを得たり、新たな関係性が築かれるといった変化も見られる。

アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、
『シャニマス』)も、各プロデュースアイドルなど、ストーリーでアイドルたちの成長が深掘りされている。その結果、アイドルたちのパーソナルにある程度の影響を及ぼしている場面は観られるが、年をとっていない以上は1年間の中で起こっているドラマでの成長という見方になる。(昨今では、各アイドルの未来の姿を描いた“パラレルコレクション”も展開されているが、こちらはif展開という設定)。

いずれにしても、設定上の年齢の変化がないため、それぞれの年齢で1年の中で起きた出来ごとを切り取っていると解釈できるだろう。各作品において季節ごとのゲーム内イベントが行われた際には、ゲームリリース後に追加されているアイドルも登場する例がある。メタ的なことを言ってしまえば、年度の切り替わる春の時点ですべてのアイドルがデビューもしくは各事務所に所属していると解釈もできるわけで、今後追加されるアイドルも同じような可能性がある。
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追加されたアイドルの中に春先の場面が映っていることもある(必ずしも、年度が替わったばかりの4月ではなく3月の可能性もあるが…)
そんな中、『学マス』では、ついに経年の環境変化というストーリー展開について言及した。

これは小美野氏が語っていたように成長を描くという当初のコンセプトもそうだが、個人的には学園という舞台設定も影響している気がする。これまでの
『アイマス』シリーズでも、学生のアイドルは数多くいて、それぞれの学校での様子が語られることはあったものの、それはあくまで個々のアイドルが持っているひとつの要素でしかない。

しかし、本作ではアイドル科に所属する学生としての成長が描かれていくゲームだ。アイドルたちは同じ教育機関、さらに言えば同じクラスで過ごしている学友でもあるため、イベントやストーリーの内容も学園生活に付随したものが描かれていくだろう。

『デレステ』、『ミリシタ』や『シャニマス』であれば、幅広い年齢層で小学生から大学生まで数多くのアイドルがいるうえ、学生以外のアイドルもいる。アイドルたちの立場に合わせて、学校に関連したイベントもあれば、それ以外の季節柄のイベントを描くこともできる。

しかし、
『学マス』は学園という特定の環境なうえに、比較的少人数のアイドルたちのストーリーが描かれる。となると、もし同じような行事や季節感のイベントをくり返した場合は、少々違和感が出てきてしまう気がする。そういった意味で、学年を進めたほうが自然と言えるだろう。

一方で気になるのは、1年を経過させることは語られたが、2年、3年と進めていくのかというところだ。仮に現在の1年生メンバーが卒業するまで進めると、
『学園アイドルマスター』というタイトル自体が揺らいでしまうので新たな下級生を追加していくことが必要になるだろう。これに関しては、大量に追加することはないと前置きをしたうえで、ある程度のアイドルを増やす構想はあると言及されてはいたが、下級生かどうかというところはもちろん、そもそも2年、3年と進めていくかどうかについては触れられていなかった。いずれにしても、いますぐというわけではなく長い時間をかけてストーリー展開されていくと思うので注目していきたいところだ。

これまでの『
アイマス』シリーズでは描かれなかった、ゲーム内での時間経過という新たな挑戦によって『学マス』のストーリーがどのように広がっていくのか。期待を込めて、引き続きプロデュースを楽しんでいきたい。

なお、余談ではあるが現実ともリンクした『
アイマス』シリーズのコンテンツとしては、ライバーアイドルプロジェクト『ヴイアライヴ』があるので、まだ触れていない“プロデューサー”諸兄には、ぜひこちらもオススメしておきたい。
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