コアなPCゲームをスマホ向けに遊びやすく、日本ではコラボも視野に入れて――KRAFTONより期待の新作『ダークアンドダーカーモバイル』開発者インタビュー【オフィスレポートあり】

2024-06-10 12:00 投稿

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ダークアンドダーカーモバイル

開発者に直撃

『PUBG』などでおなじみのKRAFTONより日本含めてグローバルで配信予定の新作ゲーム『ダークアンドダーカーモバイル』。先日、韓国のKRAFTON本社にメディア向けにインタビューが行われた。

『ダークアンドダーカー』はそもそもPCで人気のゲームであるが、PC版との違いは? 日本での今後の展開は?

気になる質問を本作プロデューサーであるアン・ジュンソクPDにぶつけてみた。本稿はその質疑応答をまとめていく。

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▲『ダークアンドダーカーモバイル』プロデューサー、アン・ジュンソクPD。

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原作の面白さを損なわないように、より遊びやすく

――さまざまなゲームがある中で、『ダークアンドダーカー』をモバイル版にしようとしたのはなぜですか。

アン・ジュンソクPD(以下、PD)KRAFTONは『PUBG』という不朽のタイトルを作り、それをモバイル化した『PUBG MOBILE』を通じて拡大させることに成功しました。『PUBG』は対戦ゲームですが、ほかの人がプレイするのを見ているだけでもおもしろいです。ユーザーの皆さんがそれぞれ異なる遊びかたができて、それを共有するのが楽しくて、『ダークアンドダーカー』を見たときに、同じ特徴を持つゲームだと思いましたし、そこに中世ファンタジーの世界観がうまくハマっています。

コアなゲームでしたが、原作が持つ独自のクリエイティブの魅力を生かしながら、モバイルに合わせて最適化させれば大きく成功する可能性があるのではないかと考えました。また、じつはPC版が発売された時、ブルーホールスタジオではすでにオリジナルの同じジャンルのゲームを開発していたので、ここに『ダークアンドダーカー』を融合できれば、長所を伸ばしながら、大きな成功を収めることができると思いました。

――同じジャンルのゲームを開発していたのことですが、アン・ジュンソクPD自身もダンジョン探索ジャンルのゲームが好きなのでしょうか。

PD 
そのゲームはダンジョン探索ジャンルとして開発したというよりも、RPGの革新を図り、RPGの新しい方向性を模索しようとしたプロジェクトでした。私は個人的にはRPGが好きでして、RPGに『ダークアンドダーカー』の要素を競合させることで、ダンジョン探索の面をより強くしました。

――『ダークアンドダーカー』のPC版はコアなゲームですが、スマートフォンでゲームをするプレイヤーはライトにゲームを楽しむ傾向があります。モバイル版を開発する中で、どのようにアプローチをしていきましたか。

PD ゲームシステムで言うと、PC版は脱出できず死んでしまうとすべてを失い、再挑戦のために装備を整えるまでの過程も難しいです。没入感を与える要素であると同時に、プレイヤーが離脱してしまう要素でもあると考えています。そこで『ダークアンドダーカーモバイル』は、ユーザーがゲームの離脱を避けるために救済システムを作りました。ダンジョンから脱出できず死んでしまったときに再挑戦の機会が得られるシステムで、装備を再取得する過程を補完できるようになっています。

救済

▲死ぬと装備がとられてしまうものの、救済措置があるのはありがたい。

バトルロイヤルの特性上PvPは必須ですが、戦闘で敗北し死亡すると持っているものを失ってしまうというのは、ユーザー間にフラストレーションを与えてしまう可能性があります。そのため、バトルロイヤルのPvP要素をPvEのコンテンツに移しました。テストビルドはまだ開発途中なので、難しく感じられたかもしれませんが、今後のビルドではよりカジュアルで操作しやすいゲームに改善していくよう努力をしていきたいと思います。

また、モバイルは画面が小さいので、プラットフォームの特性に合わせて調整をしました。PC版よりダンジョンの内部を明るくして視認性を改善したほか、操作性もより直感的にし、より多くのユーザーが楽しめるように設計しました。

――オートマッチングというシステムの特性上、アイテムを取るためにチームメンバー同士で競争することになると思いますが……。

PD 
現在、チームメンバーとアイテムを分け合う方式については改善を進めており、所有権をマッチング前に選択できる方向で考えています。パーティープレイをするときに望まないユーザーとプレイすることになり、不快に感じることを懸念し、AIの傭兵を使用できるようにもします。コミュニケーションツールを強化し、知っている人と組めるギルドのようなものを入れることも検討しています。

――本作において、ユーザーはどのようなプレイスタイルになることを想定していますか。

PD 
基本的には、プレイしたいときに時間を作って集中してプレイをするといった状況を想定しています。ただ今後、移動中などに、画面をさっと見て確認するだけのコンテンツまで拡張する計画です。傭兵、ペットを利用した非同期プレイのコンテンツも計画しています。

――これまでの開発過程を振り返ってみて、いかがでしたか。

PD プロダクトの開発じたいは順調でしたが、原作があるゲームですので、原作のコアな部分をモバイル市場に合わせて最適化するのが難しく、今も調整を続けています。現在のビルドよりも一歩進んだゲームを作るために、日々開発を続けています。

私たちのゲームはバトルロイヤルゲームが好きなユーザーや、RPGやダンジョン探索が好きなユーザーなど、多くの方が楽しんでくれると思っていますが、このように多様なジャンルの特徴を複合的に持っていると、メインターゲットユーザーは誰なのか?という悩みも生まれます。それに応じて競争要素の強いゲームにするのか、RPG属性の強いゲームにするのかを悩みました。現在は『ダークアンドダーカーモバイル』独自のジャンルと市場を構築するという方向性を持って開発しています。

――今後のゲーム運営において重要視していることを教えてください。

PD より多くのユーザーに私たちのゲームを知ってもらい、長く遊んでほしいと考えています。ダンジョン探索ジャンルのコアは“死んだらすべてを失う”ことですが、これまで述べた通りストレスを引き起こすこともあります。それでもユーザーにたくさんプレイしてもらえるような仕掛けを用意するのが大きな課題のひとつです。ストレスでゲームをやめてしまうこともあるでしょうが、救済システムなどで離脱を防ぎながら、ゲームを続けたいと思うような要素を追加し、さらにユーザー同士がコミュニティを作りゲームを続けられるようにサービスしていくことを目標としています。

さまざまなクラス(職業)の中からプレイできて、さまざまな装備を集めて組み合わせられて、新しいマップに行ける。そういう新鮮な体験が必要だと思っているので、より多くのクラスを追加し、多くのマップを追加しようと思っています。クラスはPC版のウィザード、ウォーロック、ドルイドなどを追加する方向で動いており、雪原や自然がコンセプトのマップなどを追加することを検討しています。

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▲ここからどんなマップが追加されていくのかが楽しみだ。

韓国で行われたCBTについて

――PC版には多くのクラスやコンテンツが実装されていますが、『ダークアンドダーカーモバイル』に同じものを実装する予定はありますか。

PD 
開発会社もゲーム性も異なりますし、『ダークアンドダーカー』のPC版と『ダークアンドダーカーモバイル』は異なるゲームと捉えていただければと思います。

『ダークアンドダーカーモバイル』では、RPGの部分を強化していきたいと考えていますので、収集や競争など、他のユーザーとのコミュニティを通じていっしょにプレイする要素を追加していく予定です。ただ、PC版のクリエイティブや世界観は尊重していますので、ウィザード、バード、ウォーロック、ドルイドなどのクラスは追加する予定ですし、コンテンツに関しても、PvPであるアリーナやシーズンダンジョンなどを追加する予定です。

――今回のテストビルドでは5つのクラスをプレイできましたが、アン・ジュンソクPDがプレイヤーとしていちばん好きなクラスはどれですか?

PD 
最初はファイタークラスをよく選んでいました。ファイターはさまざまな武器を使用でき、近距離攻撃と遠距離攻撃の両方ができるからです。ゲームを開発しているうちに、徐々にレンジャーが好きになりました。レンジャーはモバイルで実装するのが難しく、実際にプレイしてみても、まだ難しいと感じる部分があります。そうやってチューニングを続けて開発していくうちに、どんどんレンジャーが好きになっていきました(笑)。

今後お見せするビルドでは、レンジャーをより使いやすくなるように改善する予定です。

――今年4月に韓国でCBTが行われましたが、その時にソロダンジョン、3人用ダンジョンなどを公開されました。韓国のユーザーにはどのコンテンツが人気がありましたか。

PD CBTを開始した当初は、ひとり用ダンジョンである“ゴブリン洞窟”が多く遊ばれていましたが、日が経つにつれて“忘れられた城”での3人パーティープレイも遊ばれるようになりました。フィードバックの中には「いっしょにプレイするのが楽しい」という意見も多くあり、3人パーティープレイに対する満足度は高かったと考えています。

じつは韓国でCBTを行うにあたり、このゲームの核となるコンテンツは対戦を中心としたPvPだと考えていたので、PvE専用である“討伐ダンジョン”を導入することについては、開発者の中でも議論がありました。しかし、やってみるとこのPvEコンテンツに対するユーザーの満足度が非常に高かったということがわかりました。PvPコンテンツは没入感がありますが、ストレスを引き起こす可能性が高い中、PvEコンテンツもう少し余裕を持ってプレイできる点を評価していただけたようです。

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▲韓国で行われたCBTは大好評だった。


――一方で否定的な意見もあったかと思います。そうした意見を反映して、テスト後に改善した部分はありますか。

PD 
バランスに関する内容が多く、難易度についての意見もありました。初めの1時間のプレイでもっと説明が必要だという意見があり、改善する必要があると考えています。レンジャークラスに対する不満も多く、改善のために努力しています。

いっしょにプレイするのが楽しいという意見が多かったので、その部分は強化し、ギルドを基盤としたコミュニティの拡張、ユーザー同士がゲーム内で集まる場を追加するつもりです。先ほど述べたように、ユーザーが余裕を持ってゲームをプレイしたいということが今回のテストで分かりましたので、PvE面のコンテンツを拡大も頑張っています。

また、PC版と世界観や設定に矛盾がないようにするために、現在世界観や設定まわりを強化しています。

“楽しい瞬間をさらに楽しくすること”がモットーの課金モデル

――『ダークアンドダーカーモバイル』のビジネスモデルはどのような方向で考えていますか。

PD 
KRAFTONは『PUBG』と『PUBG MOBILE』で得た経験と知見がありますので、それを基に考えています。収益化モデルに関して、私たちには“楽しい瞬間をさらに楽しくすること”というモットーがありますので、他のユーザーに見せるコスチュームや装備品を購入するといった仕組みで課金要素を入れることなどを考えています。ちなみに本作ではダンジョン内でボスを倒した後、ボスが装着しているユニークな装備を入手したり作成したりできるので、コスチュームを集める遊びも広がっていくのではないでしょうか。

また、ダンジョン内での時間を短縮する部分にも課金要素を入れることを検討していますが、こちらも課金すればより便利になるという方向性で考えており、根幹のゲームのおもしろさに影響するものではないと考えています。それから、ペットと連携して何か便利になる、ということも考えています。

――ダンジョンにペットが入ることもあるのでしょうか。

PD 今回のテスト用ビルドにはペットが実装されていませんでしたが、ペットがいることで何か便利になる仕組みを入れようと思っています。ダンジョンに入り、ユーザーといっしょに探検できるようになることは考えているのですが、戦闘に加わらなかったとしても、プレイヤーに愛でてもらえたらと思っています。

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▲今回のテストプレイで確認できたのはペットの姿のみ。どのように実装されるのか楽しみだ。

日本での展開について

――最近の日本のモバイルゲーム市場をどのように見ていますか。ユーザーの傾向を見たときに韓国のユーザーとの違いはありますか。

PD 
韓国と日本の市場は似ているところもありますが、違う部分もあると思います。『ダークアンドダーカーモバイル』の運営の立場から、日本市場はコアなTier1市場のひとつとして捉えておりますので、日本の皆さんが私たちのゲームを多くプレイしてくれたら嬉しく思います。

日本のモバイルゲームの上位チャートを見るとサブカルチャーゲームが多いですが、対戦ゲームも見られます。また、日本の市場を見るときはモバイル部門だけではなくPCやコンソール市場を含めて総合的に見るのですが、個人的に日本は世界観を重視する国だと思っています。背景や歴史をふまえたストーリーのある、しっかりしたコンテンツが日本市場で反響を呼ぶと考えており、『ダークアンドダーカーモバイル』は中世ファンタジーという世界観をうまく入れているので、日本のユーザーにもアピールできるのではないかと期待しています。

開発者としての初心を忘れず、真心を込めて日本市場にアピールし、日本の皆さんとコミュニケーションと相互作用を図ることで、より発展していける市場だと思います。日本市場に進出した際には、手段には文化的な違いがあるかもしれませんが、なるべくさまざまな形で皆さんと意見を交わしてゲームに反映させ、ファンになってくれるように努力をしていく予定です。

――『PUBG MOBILE』では日本の有名なIPとコラボをたくさん実施しています。『ダークアンドダーカーモバイル』でも、こういった展開を考えていますか。

PD 
積極的に行っていきたいです。国別にゲーム市場を調査した際、日本のユーザーのニーズはコラボのキャラクターにあることが分かりました。『ダークアンドダーカーモバイル』はクラスも衣装も多様で、傭兵システムもあるため、コラボができる良い下地があると思います。今後積極的に活用するつもりです。


――日本のユーザーが正式リリース前にプレイできる機会はありますか?

PD 
年内にグローバル市場にリリースする計画ですが、それに先立ち、次回のビルドテストで日本を含めたグローバルユーザーも参加できる予定です。

――日本でのリリースを控え、日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。

PD 
中世ファンタジーという世界観を基盤にしており、きっと日本で愛されるコンテンツになると考えています。見て感じたままの、直感的な操作でリリースできるように努力します。日本の皆さんが好きなものをゲームに忠実に反映し、コミュニケーションを取りながらゲームを発展させていく予定ですので、ぜひ期待してください。

▼▼『ダークアンドダーカーモバイル』試遊リポートはこちら

KRAFTON社を訪問

今回、インタビューと試遊のためにKRAFTON社のオフィスを訪問。最後にフォトリポートをお届け。

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KRAFTON社は開発タイトルごとにエリアが分かれており、『ダークアンドダーカーモバイル』の試遊会場は雰囲気たっぷり。

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注目は、社内にある食堂のエリアだ。開けたオープンスペースとなっており、とても見晴らしがよく、韓国の街を一望できる。

 
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カフェのカウンターでは飲みものを頼むことができる。

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コーヒー紅茶はもちろん、フラッペやオリジナルのジュースもそろっており、街中のカフェと同等のクオリティ。1000ウォンと言う破格の値段で購入することができる。

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▲社内で人気のジュースをいただく。大きい。

社食は朝・昼版とそれぞれメニューが異なるという。今回はランチをいただくことになったが、A定食B定食のほか、サラダやお弁当のような軽食も用意されており、こちらも社員は無料で食べることができるという。

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▲A定食のキムチ鍋定食をいただく。単品で食べると辛いが、目玉焼きと混ぜることでマイルドな味わいに。

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▲サンプルも用意されている。

カフェ以外にも、フロアのいたるところにドリンクの冷蔵庫が設置されており、定番から新商品までの市販のドリンクを自由に飲むことができる。

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食堂の一角には登壇スペースが設けられている。ここではイベントや会社の全体会議が行われるそうで、その模様は配信を通じて日本支社含む各国の支社に伝えられる。

 
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▲カフェの入り口にはさまざまな症状も飾られていた。

また、いわゆるネットカフェ的なスペースも存在する。参考にしたいゲームなどはここでプレイすることができる。(決してサボっているわけではない……)

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▲もちろんこの部屋からの眺望もバツグン。

ダークアンドダーカーモバイル

対応機種iOS/Android
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ジャンルRPG
メーカーKRAFTON
公式サイトhttps://dndm.krafton.com/ja
公式Twitterhttps://twitter.com/DnDM_JP
配信日2024年
コピーライト

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