『ガーディアンテイルズ』ドット絵で描かれる“懐かしいけど、新しい”世界を作り出したスタッフにインタビュー

2022-01-12 18:00 投稿

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ガーディアンテイルズ

パロディ満載で大人気の注目作
『ガデテル』を日本に届けた男たちを直撃!

2021年10月6日に日本国内版がリリースされて以降、そのゲーム性とドット絵で表現されたキャラクター、そしてコミカルかつリリカルなシナリオで人気を博している『ガーディアンテイルズ(以下、『ガデテル』)』。

古き良きアクションRPGとして人気を得ている『ガデテル』だが、数ある魅力の中でもとくに話題を呼んでいるのが、作中に盛り込まれた数々のパロディ。新たなシナリオやイベントが登場するたびにユーザーたちがこぞって“元ネタ探し”をし、盛り上がっていることからもその注目度はわかる。

そこでファミ通Appでは、『ガデテル』の開発・運営を務める株式会社KongStudios代表取締役の李政佑氏(文中:李)と、Yostarで同作の運営ディレクターを務める熊谷氏(文中:熊谷)の両名に、この話題作についてインタビューを行ってきた。丁寧に作り込まれたゲーム性や翻訳のクオリティの高さ、ユーザーの注目を集めるパロディネタの選定などを通じて、本作の魅力の裏側に迫る。

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▲右から、株式会社KongStudios代表取締役の李政佑(イ ジョンウ)氏、Yostar熊谷氏、。

制作の裏話や、日本と海外のユーザーの違い、これからの展開などの興味深い情報をたっぷりと聞くことができたので、ぜひ一読してほしい。

本作が愛される理由とは?

――『ガーディアンテイルズ』が日本でリリースされてから3カ月が経過しましたが、ユーザーからの反応はいかがでしょうか?

:たくさんのユーザーさんから応援をいただき、本当にありがたく思っています。いろいろなご意見もいただいているので、私たちもその声を励みに、そして参考にしつつ開発に勤しんでいます。今後さらに日本の皆さんに喜んでもらえるゲームにしていきたいですね。

熊谷:リリース前からゲームの内容には自信がありましたが、日本のスマートフォンのゲームにはあまりないタイプでしたから、受け入れてもらえるのか、という不安はありました。しかし実際にリリースしてからは予想以上の反響をいただき、うれしい思いでいっぱいです! しかしその一方で「日本人プレイヤーには合わなかったのかな」という要素も見えてきたので、そういった部分は改善していこうと思っています。

――日本のユーザーから評価されている部分はどのようなところでしょうか。

熊谷:ストーリーやパロディ表現、ステージ中にある謎解き要素など昨今のスマートフォンゲームでは珍しい要素の数々を評価していただいています。またドットで表現されたかわいいキャラクターデザインやその動きも高く評価していただいているポイントです。

――ユーザーからの声について、より具体的にお教えいただけますか?

:協力戦はたくさんの反響をいただいています。しかし現在実装されている協力戦はβ版で正式なものではなく、開催ごとに細かく調整を加えています。最初に協力戦を実装したときには、ユーザーさんから「クリアーできない」、「難しい」という声をいただきましたが、それを受けてすぐに対応し、お声をいただいた翌日には修正バージョンを配信させていただきました。

――対応がめちゃくちゃ早いですね!

:ありがとうございます! しかし先程申し上げた通り、協力戦は現在もまだ調整中の箇所が多くあり、ユーザーさんからもいろいろな意見をいただいているので、まだまだ改良は続けていきたいと思っています。引き続き、ユーザーさんからのご意見をいただけるとうれしいですね!

熊谷:『ガデテル』にはPvP要素がいくつかあるのですが、ご存じの通り日本人はあまりPvPを好まない傾向にあります。なので、そこも日本向けに調整を進めている段階です。

――たしかに、対戦よりも協力が好まれる傾向が強いですよね。

熊谷:おっしゃる通りですね。なので、アリーナのコンテンツはもちろん、ギルドのレイドバトルについても開催期間やそのやり方も含め、皆様にご満足いただけるよう、現在いろいろと検討をしています。ただ対戦もまた『ガーディアンテイルズ』の核を構成するひとつの要素なので、すぐに大きく変えられるわけではありません。この点については、もうしばらくお待ちいただけますと幸いです。

――本作を運営、および開発する上で大切にしている点、またはとくに力を入れている点がありましたらお教えください。

:最近でこそ感じる機会は減ってしまいましたが、子どもだったころ、ゲームソフトを買い、家に帰ってパッケージを開けて「さあ始めよう!」となったときに感じる“ドキドキ感”ってありましたよね?

――特別なドキドキがありましたね! 最近ではダウンロードで買うのも当たり前になり、あのときと同じ感覚を覚えることは減った気もしますが……。

:私たちは、そのドキドキをなんとかこの『ガデテル』を通じてお伝えできないものかと考え、開発・運営をしています。そして、そのドキドキ感を演出するために、ストーリーにはとくに力を入れています。

私を含め開発チームは、日本のゲームをプレイして育ってきたメンバーで固まっているので、日本製ゲームのストーリーが持つ魅力は骨身に染みて覚えています。そこで覚えたあのドキドキを、『ガーディアンテイルズ』でもお届けしたいです!

熊谷:ストーリーにとくに力を入れているというのは、まさしくその通りなのですが、厳密に言えばただストーリーに力を入れているのではなく“新鮮な気持ちでプレイしてほしい”という想いをとくに大切にして開発を進めています。

ストーリーで「そう来るのか!」という驚きを感じつつも、どこか懐かしい。“懐かしさ”と“新鮮さ”を組み合わせるイメージを維持しつつ、今後もストーリーを提供していきたいです。

ユーザー最大の注目ポイント!
ストーリーとパロディネタの核心に迫る

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――『ガーディアンテイルズ』のストーリーは本当におもしろいですね! 力を入れているというお話も納得です。ただ気になるのがローカライズについてです。日本国内の時事ネタなどもタイムリーに入っていますし、「これ、海外で通用するのか?」というパロディネタもありました。『ガーディアンテイルズ』ではどのようにローカライズをしているのでしょうか?

熊谷:ローカライズはチーム全体で行っています。シナリオのテキストもひとりではなく全員で5~6回ずつチェックし、いろいろなアイデアを出し合って微調整をかけ、ブラッシュアップしています。その中で日本にあったセリフまわしを入れているような感じですね。

たとえば、最近実装したイベント“むかし、むかし、そのむかし”にあった「密です!密です、密です」という時事ネタはもともと「ソーシャルディスタンス!」と言いながら相手を突き放すというシーンでした。これはそのまま進めてもよかったのですが、それよりも国内向けなら「密です」というフレーズのほうが伝わりやすいだろうという案がチームから上がり、それを採用した形です。

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:細かいセリフまわしについては日本版ならではの演出が加わっている部分もありますが、基本的にパロディについてはグローバルで共通しています。しかし現地の状況に合わせるため、日本版にしかないネタも少しだけ入れています。

日本のコンテンツを元にしたパロディが多いのは、先程申し上げた通り私たちは日本のゲーム、アニメなどを見て成長してきているので、それに影響されてですね(笑)。

――それにしても、元が海外作品とは思えないほどナチュラルな表現ですよね。海外製ゲームというのは、どうしても開発国に根ざした表現やコミュニケーションが含まれるため、どうしてもローカライズの痕跡が残ります。しかし本作にはそれがないので驚いています。どういった点に気を使うと、このようなローカライズが出来るのでしょう?

熊谷:『ガーディアンテイルズ』を最初に触れたとき、簡単にローカライズできるのではないかと思いました。シナリオのテキストも短めだし、難しい言葉も使っていない。ところが、実際に作業する段階になって、今まで作ってきたどのゲームよりもローカライズしにくいことに気付きました。

キャラクターたちの動きや表情がとても豊かで、それを簡潔なセリフや表現で日本のユーザーに伝わるようにするのは本当に難しかったです。この問題を解決したのは……熱意という名の力技です(笑)。スタッフ全員で何度も何度もゲームをプレイし、開発にも意見を聞きながら納得がいくまですり合わせをしていきました。

:ローカライズ作品が持つ、ローカライズ作品ならではの違和感の正体というのは、キャラクターの感情や表現と、そのセリフとのあいだにある小さな差です。『ガデテル』のキャラクターはドット絵で描かれていますが、その表情や表現のバリエーションは非常に多く、ただの翻訳ではその小さな差が生まれてしまっていました。

『ガーディアンテイルズ』では、その差を少しも残さないよう、細かく細かくキャラクターが行う表現とセリフをすり合わせているので、違和感なく楽しんでいただけているのかなと思います。苦労しましたが、高評価をいただけるようになったのでうれしいですね!

熊谷:苦労した点でいうと、パロディネタをどう訳すかという部分も苦労しましたね。『ガーディアンテイルズ』にはたくさんのパロディネタが詰め込まれているのですが、中途半端な訳でネタを入れてしまうと「これは翻訳ミスか?」と思われてしまう可能性があると思い、その温度感には細心の注意を払いました。

もともとのシナリオが素晴らしいので、翻訳でそれを台無しにすることはできません。なんとしてでも、きちんと伝わる言葉にして伝えたいということで、全力を尽くしています。

――パロディというフレーズが何度か出ていますが、そもそもなぜストーリーの随所にパロディを入れていくことになったのでしょうか? パロディがなくてもおもしろいストーリーだと思うのですが。

:人の趣味嗜好の傾向というのはそれぞれ違いますよね? マンガが好きな人もいれば、映画が好きな人もいる。そこで「開発チームの趣味嗜好を持ち寄って、少しずつ自分たちの“好き”をストーリーに入れこんでいけば、よりおもしろくなるのではないか」ということで、パロディを採用しました。最初は「気付ける人なら気付ける」というレベルだったのですが、それが好評を受けたこともあり、いまとなってはしっかりと表に出てきてしまいましたね(笑)。

――そうだったんですね(笑)。ちなみに作中ではどれくらいのパロディネタが詰め込まれているのでしょう?

:じつは、私たち開発チームもすべてのネタを把握できているわけではありません。たくさんの人がディレクターに相談しながらシナリオにネタを詰め込んでいくので、最終的にはどれぐらいの分量になっているのか分からなくなってしまいました(笑)。

ネタの幅も広く、年代的には20~30年も前のものから最新作まで、そしてジャンルもゲーム、アニメ、マンガ、映画、ドラマ、小説、オペラと多岐にわたっています。私の知らないネタもあるかもしれないので、ぜひストーリーとパロディを楽しみながら、ネタを探してみてください!

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熊谷:私たちもローカライズする上で「パロディをちゃんとパロディとして扱うために、元ネタのリストを共有してほしい」とお願いしたのですが、そんなものはなかった(笑)。でもどうしても必要だと思ったので頼み込んだ結果、開発がリストアップしたものを送ってもらえたのですが……。シナリオを書いた当人でさえ、当時どんなネタを入れたか忘れていることもあったようで、翻訳の際にはひとつひとつのセリフに注意しながら作業をしました(笑)。

――やっぱり、パロディネタを翻訳するのって難しかったですか?

熊谷:そうですね。元ネタを知らない人が見ても「これはなにかのパロディなんだな」と気付ける、もしくは知らずに読んでいても違和感なく読み進められるように調整を加えつつ進めていたので、大変なポイントではありましたね。

それに海外と日本とでは、パロディに対しての温度感が違うので、そこへの注意にも苦労しました。

――パロディに対する温度感の違いですか?

熊谷:海外ではパロディの元ネタとなるセリフをそのまま出さないとパロディだと気付いてもらえないのですが、日本でそれをしてしまうと、パロディとして受け取られるのではなく「パクリだ」と言われてしまいます。なので、翻訳をするときは少し言い回しを変えつつも、それがパロディということが伝わるような、微妙な調整が必要なんです。

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――たしかにその調整は難しそう……。そんな苦労を乗り越えて出来上がった数々のパロディの中で、もっとも好きなネタ、お気に入りのネタはどれになりますか?

熊谷:たくさんあってひとつに決められないのですが……強いて挙げるのであれば、イベント“むかし、むかし、そのむかし”にあったカメのセリフ「湖なのに、水ねえじゃん!」という、某CMのパロディネタですね。あれは笑いのツボに入りました(笑)。

:私も“むかし、むかし、そのむかし”にあったネタが好きですね! 1980年代末に登場した某ロボットアニメの必殺技をモチーフにした展開が好きです! それとワールド4(狂気の砂漠)の世界観も好きですね。某世紀末を描いたジャンプマンガを意識したものになっていて、チャンピオンのマービンも、その主人公をモチーフに作られたキャラクターなんです。

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――イベントの作りにもかなりのコダワリを感じるのですが、あれだけのクオリティのものをコンスタントに出していくのは、やっぱり難しいですか

熊谷:イベントは、可能であれば1カ月から2カ月おきぐらいに更新できればいいとは思っていますが、開発スタッフやシナリオライターのインスピレーションに拠る部分も大いにあるので、そこで無理をして中途半端なものを出すことだけは避けたいです。なので、目標は立てつつも、いいアイデアが浮かんだタイミングから全力で進めていければと思っています。

:イベントはグローバル版が先行しているのでストックはある状況ですが、ユーザーさんの反応を見て決める部分もあるので、今後の日本語版での展開ペースは状況によって変わる可能性もありますね。

豊富に準備されたコンテンツ、今後はどうなる?

――協力戦についてお聞きします。現在、協力戦はβ版ということになっていますが、正式版についてどのような形になるか、また、実装の時期について、想定していることがあればお話しください。

:協力戦は、まだバランスの調整をしている段階なのでβ版としています。実装の翌日にすぐ調整を入れたり、ギミックの構造を変えたりもしていますが、実際にやってみてまだ難しさを感じる部分もありますから、バランスの問題が解決するまではβ版でいさせてください。そのため、いつ正式な形にするかはまだ未定です。「できるだけ早く」とは考えているので、いましばらくお待ちいただけますと幸いです。

――グローバル版は日本版より1年半ほど早くリリースされていますが、現在グローバル版にあって日本版にない要素で、近いうちに実装が予定しているものはありますか?

:年始に実装したカマゾンランドもそうですが、そのほかにもいろいろと準備を進めていますので、ぜひ発表をご期待ください!

――カマゾンランドは奥深くて無限に遊べそうですね! まだ触れていない人のために、カマゾンランドがどのようなコンテンツになるのか、簡単に説明していただけますか?

熊谷:ローグライクダンジョン(※)のようなミニゲームです。自分でキャラクターを操作していくタイプのコンテンツではなく、ルートを探索して自動で戦闘が進むタイプのコンテンツですね。

(※)ローグライクダンジョンとは?
マス目で区切られたランダム生成ダンジョンを探索していくタイプのゲームで、自分が一歩進むと敵も一歩ずつ進むというターン制のシステムが採用されている。元祖となった『ローグ』をはじめ、日本では『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』などの『不思議のダンジョンシリーズ』が有名。

:これまでの『ガデテル』にはないコンテンツなので、堪能してください。

熊谷:そのほかにも、新しい形のギルド戦も準備を進めているので、ぜひ期待していただければと思います。

――今後のアップデートのプランについてお話しください。

熊谷:リリースして以降、キャラクターの追加ペースが早いと感じているユーザーさんは多くいらっしゃるかと思います。今後いくつかのコンテンツを実装していくにあたって、ある程度キャラクターが揃い、バランスが取れていないと楽しめないという部分があったため、急ぐ形になってしまいました。

現在ではある程度キャラクターも増え、新規コンテンツを楽しむ準備が整い始めたので、今後は少し落ち着くはずです。コンテンツを追加するアップデートについては、グローバル版に追いつくということはなくても、ユーザーにとってちょうどいいペースで追加できるよう、みなさんのご意見を聞きながら調整していければと思っています。

――日本版のみのキャラクターやイベントを実装する予定はありますか。

:どちらかでしか開催されないイベントやコンテンツの実装というのは、現時点では考えていません。ただ実装時期に差が出ることはあると思います。たとえば一部のキャラクターのコスチュームなどは、日本版で先行実装している状況です。

熊谷:あくまでも先行実装なので、日本独自の要素ではないですね。キャラクターなども含め、今後日本版から実装される要素があっても、追々グローバル展開していくという点は変わりません。

:ただゲーム外の要素では日本独自に展開しているものがありますね。アニメーションPVや、今後行う予定の公式放送などはそれにあたります。これらも今後は世界的に展開する可能性がありますが、いまのところ実施の話が具体的な形になっているのは日本だけです。

――最後に、ユーザーの方に向けてメッセージをお願いします。

:ゲームをリリースしてからの短い期間のなかで、たくさんの方から反響をいただき、そして愛してくださってありがとうございます。我々はずっと日本のサブカルチャーに接しながら育ってきたので、日本という国には特別な思いがあります。そのことをつねに心に留めながら、皆様にもっと良いコンテンツをお届けできるよう努力していきます。

熊谷:『ガデテル』はちょっとクセが強いところがありますが、皆様がそれを受け入れていただいたことをうれしく思っています。これからも引き続き“懐かしくも、新しい”体験を提供できれば、と考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ガーディアンテイルズ

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルアクションRPG
メーカーメーカー:KongStudios(開発/配信)Yostar(配信)
公式サイトhttps://guardiantales.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/GuardianTalesJP
配信日配信中
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