今後10年、毎日『コードギアス』に触れられる場所を目指して――『ギアジェネ』サンライズ他製作委員会のキーマンにインタビュー

2021-11-11 18:00 投稿

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コードギアス Genesic Re;CODE

『ギアジェネ』は毎日『コードギアス』に出会える場所

2021年10月4日に配信がスタートしたスマートフォン向けゲーム『コードギアス Genesic Re;CODE』(以下『ギアジェネ』)。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』から始まったシリーズのすべての謎を解く“ギアスRPG”として、ファンの期待を背負う本作の開発スタッフインタビューをお届け。

今回は、サンライズの『コードギアス』シリーズ企画プロデューサーである谷口廣次朗氏、(文中、谷口)、JORO代表兼ゲームプロデューサーである松田晃佑氏(文中、松田)、博報堂DYメディアパートナーズのクリエイティブディレクターであり本作宣伝プロデューサーの三上公也氏(文中、三上)にお話を聞いた。

なぜシリーズの公式続編がスマホゲームになったのか? 本作のストーリーに込められた思いとは? といった疑問や、本作の今後についてのお話をお伺いすることができた。

サンライズが手掛ける正当『コードギアス』シリーズ作品として

──『ギアジェネ』はどういった経緯で生まれたのでしょうか?

谷口 谷口悟朗監督と大河内一楼さんが以前、仰っていたことがあったんです。それは「『コードギアス』は10年くらい展開できる作品として作ったから、それくらい続けてもらえるとうれしい」ということでした。そしてそれは『復活のルルーシュ』までに達成できました。

これで約束は守れたかな、と思っていたのですが、『復活のルルーシュ』が公開されたとき、ファンの方からの「またルルーシュの活躍が観れてうれしかった」という声が非常に大きかったんです。

「ここまで言ってくれるならもう10年続けたい」と思い、“コードギアス NEXT 10 YEARS PROJECT”を新たに立ち上げました。『ギアジェネ』はその第1弾の作品です。

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──“コードギアス NEXT 10 YEARS PROJECT”の第1弾は、なぜスマホゲームを選んだのでしょうか?

谷口 この15年間、さまざまな『コードギアス』を展開してきましたが、アニメーション制作にはすごく時間が掛かってしまうので、どうしても間が空いてしまう。そこで恒常的に新しい展開をお届けするために、アプリゲームの中で物語を提供することを考えました。

私が作りたかったのは、これまで『コードギアス』を支えてくれた方と、これから『コードギアス』を支えてくれる方に、“毎日『コードギアス』に出会える場所”でした。スマホゲームであれば多くの人が毎日触れることができると思い、『ギアジェネ』の開発に至りました。

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──ゲームにおける製作委員会方式は珍しいかと思うのですが、皆さんはそれぞれどういった役割を担っているのでしょう?

谷口 役割はけっこう明確です。『コードギアス』は原作管理の部分をサンライズが担っているので、『反逆のルルーシュ』や『亡国のアキト』といった既存のコンテンツの提供と監修というのが大きな役割としてあります。

加えて、『復活のルルーシュ』から続くストーリーとしての新作の部分や、アルやギギといった、今作で新たに登場するキャラクターたちもサンライズが設定しています。それをJOROさんにお願いして作っていただいている形になります。

三上 それで、僕ら博報堂DYメディアパートナーズは広告会社なので、CMやPV・ラジオ制作など宣伝の役割を担うのはもちろんですが、我々もIPの次の姿を生み出す事業への取り組みを望んでいたので3社の目的が合致したということです。

──ではサンライズもかなり開発に入り込んでいるイメージでしょうか?

谷口 はい。『ギアジェネ』はこれまで『コードギアス』シリーズを制作してきた我々が深いところまで関わらせていただいています。

私では判断できない部分は谷口監督や大河内さんに確認をしていますし、オープニングアニメーションをサンライズで制作させていただいていることや、CLAMPさんにキャラクター原案をお願いしているのもその一環です。

▼サンライズ制作(作画監督:木村貴宏氏、キャラクター原案:CLAMP氏)のオープニングアニメーション

三上 「キャラクターの権利を売るので、どんどん作ってください。サンライズで監修はします」みたいなものにはなっていません。

谷口 むしろシナリオにかなり口を出しているので、JOROさんには嫌がられていると思います(笑)。

松田 そんなことはぜんぜんないです(笑)。ライン編だけでなく、観測編も含め、ディレクション、全体の取りまとめ、ストーリー展開にいたるまで、サンライズさんに携わっていただいています。いただいた構成をもとに、ゲームとしての演出であったり、実際の運営の部分をJOROが担っています。

なので、もしキャラクターのプロフィールなどにどこかで出ていた情報と齟齬があった場合、『ギアジェネ』で出ている情報のほうが正しいと考えていただいて大丈夫です。

谷口 過去に誤った情報が広まってしまったことがあったのですが、この機会に、谷口監督や大河内さんと話し合った上で、公式設定をしっかり固めています。ファンの皆さんの中で親しまれている設定を否定するわけではないのですが、「キャラクターのことを考えるとこうなる」というものを原作者の立場として改めて示している形です。

『コードギアス』はロボットアニメではない? “ナイトメア”が武器の形を取った理由

──正当な公式続編という言葉に偽りないものになっているのですね。

谷口 『コードギアス』という作品名を聞いてファンの皆さんが思い浮かべるのって、やっぱり『反逆のルルーシュ』が多いので「なんだか違うな」と思われる方もいらっしゃるかと思うのですが、『コードギアス』っていろいろな要素があるシリーズなんです。だから「『コードギアス』といえばこれ」というのが絞り切れないんですね。

「『コードギアス』はロボットアニメなんだけどな」というご意見もいただくのですが、『コードギアス』はロボットアニメと単純にカテゴライズできる作品ではありません。主人公のルルーシュはロボットで戦うよりも、ギアスという特殊能力で活躍する方が多いですしね。要素のひとつとしては大きいのですが、ロボットはあくまで手段なんですよね。

──『反逆のルルーシュ』や『亡国のアキト』に登場するロボットの総称が“ナイトメアフレーム(KMF)”でしたね。

谷口  谷口監督がよく仰られていたのが「ナイトメアというのはギアスに対抗できる手段なんだ」ということでした。だから『ギアジェネ』にはロボットではない形で、いろいろなナイトメアが出てきます。現在収録されている“血盟の紅羽”では、“ナイトメア(夜想宝具)”は矛や盾といった武器として登場しています。

古代中華では、ギアスに対抗できる特殊な武装のことをナイトメアと呼んでいて、“霧京のアーサー”や“不転のトシゾォ”、“終末のゼオ”といったこれから展開される物語にも、さまざまなナイトメアが登場します。

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──今後追加されるオリジナルストーリーでは、ロボットでも武器でもない、また別の形の“ナイトメア”が出てくるということでしょうか?

谷口 その通りです。『反逆のルルーシュ』や『亡国のアキト』は皇暦2010年代なので、ナイトメアはロボットの形を取っていますが、このロボットが登場したのは“皇暦2010年から”という設定なんですね。それ以前は戦車や別の形のナイトメアが存在していたということです。

新選組やシャーロック・ホームズが活躍した時代というのは1800年代なので、当然ロボットはありません。“不転のトシゾォ”や“霧京のアーサー”はこの時代が舞台になっているので、ユーザーさんには「今度追加される物語のナイトメアはどんなものなんだろう?」と想像しながら、物語を追っていっていただけたらと思います。

『ギアジェネ』は手塚治虫氏の『火の鳥』のような壮大な物語に

──『コードギアス』シリーズではナイトメアを共通軸に、さまざまな物語が展開されていくのですね。

谷口 『ギアジェネ』は、手塚治虫先生の『火の鳥』のようにしたかったんです。『火の鳥』は、“火の鳥”というキャラクターを軸に、いろいろな時代のいろいろな主人公たちの、いろいろな物語を描く作品ですよね。

『コードギアス』は、“コード”と“ギアス”……“コード”は“不老不死のコード”のことで、“ギアス”は超常の能力。そして、それに対抗するための力が“ナイトメアですが、『ギアジェネ』にはこの3つが形を変えて、すべての物語に登場します。これらに関わってくる人たちが、それぞれの時代でどんな物語を起こすのかというのが『ギアジェネ』で描きたかったことになります。

いまは“ライン編”、“反逆のルルーシュ”、“血盟の紅羽”という3つの物語しかありませんが、ここからどんどん物語が増えていって『Genesic Re;CODE』が完成することを目指しています。

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──壮大な物語を追っていく上で、シリーズファンに注目してほしい部分はありますか?

谷口 じつは意図的に、ほかのシリーズに登場したキャラクターの祖先や子孫といったキャラクターを、別のシリーズで登場させているんです。それも『コードギアス』の世界の歴史を感じてもらいたいがためにしていることです。

すでに実装されているキャラクターだと沖田ソォジですが、非常に似ているキャラクターが『反逆のルルーシュ』にいるはずです。300年くらい隔たりがありますけど、遠い祖先ということになっていまして。

そういう部分のヒントも、キャラクターを育成すると明かされるプロフィールに細かく書かれているので、ぜひキャラクターを育てたら、テキストも隅々まで読んでいただければと思います。

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“血盟の紅羽”は『反逆のルルーシュ』を意識。今後のストーリーはまったく趣の異なるものに

──ストーリーの話をもう少しお聞かせください。“血盟の紅羽”は、『ギアジェネ』の中で読める最初の“ギアス”をめぐるストーリーですが、こちらはどのようなテーマで作られましたか。

谷口 “血盟の紅羽”はJOROさんからひとつオーダーがあったんです。

松田 『ギアジェネ』をプレイするユーザーさんは“『コードギアス』らしさ”を求めている方が多いと思ったんです。そこで、まず導入となる“血盟の紅羽”では、「『コードギアス』と言えば『反逆のルルーシュ』」と思っている方が馴染みやすい物語を目指しました。

ですので、紅羽と劉蒼というキャラを、意図的にルルーシュとスザクのように、W主人公というか並び立つ存在として置いています。プロットや構成は我々のオーダーを反映して、サンライズさんが手掛けてくださっています。

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谷口 紅羽と劉蒼はそれこそスザクとルルーシュのように、それぞれが過酷な運命を背負っていける、強いキャラクターとして描いたつもりです。ただ、まったく同じではなく、いろいろな部分でずらしたキャラクター設定にしています。

物語は、谷口監督や大河内さんが掲げられた“因果応報”や、“強大な力は人を孤独にする”といった、『反逆のルルーシュ』で据えられたテーマが当てはまるようになっています。

松田 いくつかの違いがあるからこそ、共通するテーマがより鮮明に浮かび上がるような作りになっていますよね。“血盟の紅羽”を読んでいただいたあとで、改めて『反逆のルルーシュ』を観ていただくとか、2作を照らし合わせて見てみるのもおもしろいんじゃないかと思います。

もちろん“血盟の紅羽”単体でも楽しめますが、『反逆のルルーシュ』を観た方なら「これはよくない方向に向かっているんじゃないか?」と、ハラハラしながら読み進めていただけるような二重構造になっているので。

──これから実装されるシナリオは、『反逆のルルーシュ』や“血盟の紅羽”とはまったく違う物語になるのでしょうか?

谷口 まったく違います。あざの耕平さんや十文字青さん、高橋びすいさんといった著名な作家さんにお願いして、先ほどお話した“コード”、“ギアス”、“ナイトメア”という3つのガジェットを使って、自由に書いていただいたのがこれから登場するオリジナルストーリーになります。

これも『コードギアス』という大きな物語の中で毛色の異なる魅力ある物語を描くために、意図的にしていることです。

『反逆のルルーシュ』のようなストーリーを欲している方が多いとは思うのですが、それは『反逆のルルーシュ』でやり尽くしたと思っていまして、『コードギアス』の世界を前に進めるために必要だったのは、まったく新しい物語だったんです。

三上 そのあたりは大河内さんにも、「作家さんに自由に書いてもらったほうがいい」とアドバイスをいただいています。方針が定まったところで、さっそく作家さんたちにお願いをしてまわりました。

『ギアジェネ』のこれから

──リリースしてみて、現状の課題や、今後の目標を教えていただけますでしょうか。

松田 ゲームとしては、不安定な部分を取り除いて、より安定してプレイしていただけるものにするというのが最優先です。ご意見やご要望をいただいている部分についてはできる限り改善していくことを前提に運営していきます。

──まずは安定した稼働を目指す、ということですね。新たな要素を入れていく予定はありますでしょうか

松田 ある程度形になったら、“同盟”でほかのユーザーといっしょに遊べる要素など、より広がりが感じられるコンテンツを追加していければと思っています。

──スマホゲームをもとにアニメ化される作品も最近は多いですが、『ギアジェネ』で登場したキャラクターや物語が今度はアニメになるような可能性はありますか?

谷口 当然可能性としてはありますが、別媒体での展開はアニメに限定しなくてもいいかなとも思っています。アニメは制作にとても時間がかかるので、小説やマンガで書いていただくでもいいですし。

アニメに限らず、いろいろな展開を現実的に考えられるのは、『コードギアス』という15年続いたコンテンツの強みだと思うんですよね。いろいろと試行錯誤をしてきた分、どういった形で展開すべきかという選択肢は広く考えられます。

──では最後に皆さんから、読者の皆さんやプレイヤーの皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。

松田 事前から多くの方に楽しみに待ってていただき、また、リリース後もたくさんの方にプレイしていただけて、本当にうれしく、また有難く思っています。

現状厳しいご意見もいただいていますが、『ギアジェネ』のコンセプトとして、非常に人気なアニメのIPで、かつ15年前から続くシリーズということで、まずはゲームにあまり慣れていない方も含め、いろいろなユーザーさんに楽しんでいただけるものにしたかったという思いがありました。その分、シナリオのほか、キャラのイラストやボイスなどのところで、キャラクターを愛してもらえる部分は拘っていきたいと思います。

11月13日にはリリース記念放送も行い、新イベント情報も公開する予定です。ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。

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三上 無事『ギアジェネ』をリリースできたのはプレイヤーの皆さんのおかげです。ありがとうございます。

人気アニメのIPがゲームになったとき、どのようにファンの方に納得いただけるものにするかというのは大きなポイントになってくると思います。『ギアジェネ』にはたくさん期待していただいた分、さまざまなご意見をいただいているのが現状です。

いただいているご意見は真摯に受け止めさせていただきつつ、今後はアニメファンだけではなく、ゲームファンの方にももっと楽しんでいただくにはどうすればいいかも考えていきます。

『コードギアス』のIPをどうやって多くの方に満足していただける形で広げていけばいいかというのを、サンライズさん、JOROさん、我々博報堂DYメディアパートナーズで追求していければと思っています。皆さんの応援を、これからもよろしくお願いします。

谷口 最初にお話しした通り、『ギアジェネ』は毎日『コードギアス』に出会える場所を提供するために作りました。これから先の10年間、毎日『ギアジェネ』で『コードギアス』に触れていただけるようになるのが私の新たな目標です。

もちろん『ギアジェネ』だけが“コードギアスNEXT 10 YEARS PROJECT”ではありません。すでに発表されている新作アニメーション『奪還のゼット』や、オープニング、エンディングを新規で作成した15周年記念の『コードギアス 反逆のルルーシュ』の再放送もその一環です。

できる限り多くの方に『コードギアス』に触れていただいて、つぎの10年と言わず、20年、30年と続くコンテンツに育てていくのが、私の役目だと思っていますし、展望でもあります。

『ギアジェネ』を応援していただければしていただけるほど、アニメも含め、いろいろな展開が可能になると思うので、ぜひ応援していただければと思います。よろしくお願いします。

──本日はありがとうございました。

コードギアス Genesic Re;CODE

対応機種iOS/Android
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公式サイトhttp://geass-gr.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/geass_gr
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