【独自】『ポケモンGO』距離問題と今後の方針についてディレクターに直接聞いてみた

2021-09-02 22:00 投稿

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ポケモンGO

Nianticが示す改善策とその真意を掘り下げる

『ポケモンGO』といえば世界中に多くのユーザーを持つ、位置情報ゲームを代表する人気タイトルだ。

新型コロナが発生してからは、ポケストップやジムにアクセスできる範囲を一時的に従来の40から80メートルに拡大するなど、密集することなく安全にプレイできるひとつの対策を行ってきた。

しかし、終息しないまま一部の国で40メートルに引き下げ。

これをきっかけに #HearUsNiantic(私たちの意見を聞いてください)というハッシュタグを付けて、多くのユーザーがNianticの対応に異議申し立てを始めた。

その結果、80メートルを今後も継続させると公式は決断。

さらに9月1日、今後の方針に関するアナウンスも発信している。

本記事では、『ポケモンGO』ディレクターでありプロダクトマーケティングを務めるMichael Steranka(マイケル・ステランカ)氏。APACシニアマーケティングマネージャーの山﨑富美氏に、フリーライターの深津庵がその経緯と公式アナウンスの詳細を直撃。

そこで語られたことをお届けする。

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#HearUsNianticから始まった距離問題

――距離修正の件で多くのユーザーから取り消すためのメッセージが寄せられました。率直にそれに対してどう感じましたか?

マイケル・ステランカ(以下、マイケル)まず、今回の距離問題に関する一連の件について本当に申し訳ないと強く感じています。また、手紙やメッセージを発信するほど『ポケモンGO』に情熱を持って接してくれるユーザーがたくさんいてくれることに心から感謝をしています。我々にできることはフィードバックしていただくものにしっかり向き合うこと。すべてというわけにはいかない面もありますが、コミュニティのみなさんに楽しんでもらえるものを目指さなければならないと強く感じ、対策に取り組んでいます。

――なぜ新型コロナの収束を待たず、80メートルから40メートルに戻したのでしょう?

マイケル “世界を探検して新しいものを発見する”というのが、Nianticの根本にあります。それが2020年3月ごろから発生した新型コロナの影響により、従来40メートルだったアクセス範囲を80メートルに拡大。これは、コロナ禍でもプレイしやすい環境を作るための一時的な処置でした。我々としては、実際にポケストップやジムになっているものを80メートル先からでは探検や発見というものを実感しにくいという考えがありました。しかし、ユーザーのみなさんからは80メートルにすることで遊びやすくなったという声も多く上がりました。

――コロナ禍における一時的なものだったはずが、最終的に“継続”という決断をしましたよね。これはNianticにとって大きな変化だと思います。

マイケル そうですね。ただ、80メートルを継続させるだけでは、冒険や発見といった要素は薄れてしまう。そこで、ポケストップやジムでアイテムを集めることに関しては80メートル。さらに、従来通り近くまで足を運ぶことで新しい体験が得られる。そんな未来を提供するためにいま話し合っているところなんです。40メートルを放棄することはありません。そこまで行ってみたい、その価値のあるものは何なのか。さまざまな議論を重ねているところです。

――従来の40メートルに戻した理由として、世間ではパートナーシップとの関係性が上がっています。この真相はいかがでしょうか?

マイケル そんなことは一切ありません。また、スポンサーからそういったアプローチ、圧力といったものも当然なく、あくまでもNianticのミッションに基づく判断でした。これはすべてのタイトルに共通することで、今回浮上している件に関しても完全な噂なんです。

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▲アイテムを欲しいという必然的なアクションは80メートルで達成できる。その先に“意味のあるもの”を設ければ歩を進めるきっかけを生み出せるはずだとMichael氏。

コミュニケーション不足の改善へ

――今回、9月1日に予告されていた“今後の方針”を待たず、8月下旬に距離問題についてのアナウンスが先行して行われました。これはどういった経緯からだったのでしょうか?

マイケル 最初にタスクフォースを作って、みなさんの意見を収集。そこから優先すべきものを改めて整理する必要がありました。その中でも今回の距離問題については、早い段階で80メートルを維持しようという意見が出ていたんです。そうであれば、9月1日のアナウンスを待たず伝えるべきだと判断しました。

――タスクフォースというのはどういったメンバーで構成されているのでしょうか?

マイケル タスクフォースには多岐にわたるNianticのメンバーが関わっています。エンジニア、プロダクトマネージャー、マーケティング、デザイナー、オペレーションなど、『ポケモンGO』に関わる担当者、そして世界中のユーザーから上がっている声を知るために、アメリカだけでなく日本を含む各国のNianticチームも参加しています。また、弊社が手掛ける他タイトルに関連する機能もあるので、『Ingress』を始めとする各チームも加わり多角的に議論を進めてきました。

――タスクフォースは現在、今回の距離問題以外にどういった件に注力しているのでしょうか?

マイケル 距離問題をきっかけに#HearUsNiantic(私たちの意見を聞いてください)というハッシュタグが生まれ、世界中から多くの声をいただきました。そこで上がったものを踏まえ、未来に向けた機能と改善を話し合うプロダクトチーム。そして、当ハッシュタグに込められた“コミュニケーションを取ってください”という声に答えるためのコミュニティチームを作りました。

山崎富美(以下、山崎)たとえば、デベロッパーズダイアリーを最低でも2ヵ月に1回公開。コミュニティリーダーのみなさんとの定期的な意見交換を行う。さらに、現在どういったバグが発生しているのか。どう対応して改善されるのかを正確にお伝えすることを本日発表しました。

■ゲーム内ボーナスの変更についてのお知らせ(2021年9月1日)

――コミュニティリーダーとは具体的にどういった面々なのでしょうか。

マイケル 世界中から30人以上の方に参加していただきました。その中にはYouTuberを含む『ポケモンGO』に関連する多くの方が関わっています。また、こうして我々にご意見やアドバイスをくださっているプレスの方にも定期的な意見交換のお時間をいただきたいと考えています。

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▲プレスやインフルエンサーと呼ばれる人々では、それぞれ『ポケモンGO』の見えかたが違うこともある。そうした幅広い声を届ける場を今後検討されるようだ。

――今回の件を踏まえ、Nianticの課題はどこにあると思いますか?

マイケル 『ポケモンGO』の課題、チャレンジという面でいえばこれまでと変わっていないと考えています。ひとつはプレイヤーのみなさんにたくさんの発見をしてもらうことです。そこにはさきほどお話した80メートルを維持しながら、これまでにない冒険を楽しめるものを提供することも含まれています。また、ユーザー間の繋がり、コミュニティを生むことで
『ポケモンGO』がさらに発展していくと考えています。我々もみなさんの声をしっかり聞き発信する。そういったコミュニケーションを築かなければなりません。

――伝わっているのか不安になることもあれば、意図していない方向に進んで困惑することもある。その大きな要因はまさにコミュニケーションを怠ってきた結果生まれた不信感だと思います。それが改善されていくと期待していいのでしょうか?

マイケル Nianticには外に出て冒険や発見をしてほしいというテーマがあり、それに準じて開発を進めています。過去にはみなさんの考えと違う決断して困惑させてきたことも理解しています。その理由のひとつが一方的で説明がなかったこと。なぜそういった機能を実装したのか、修正した理由はなんなのかといった経緯をしっかり伝えることが大切だった。今後はみなさんにご理解いただけるコミュニティを作っていきますので、よろしくお願いいたします。

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▲『ポケモンGO』はもちろん、Nianticが開発運営する『Ingress』や『ハリー・ポッター:魔法同盟』といったタイトル間で、これまでのいろいろな機能がシェアされてきた。タスクフォースの動きにも今後注目していきたい。

リモートが世界感を崩すようなことはしない

――リモートレイドは『ポケモンGO』の世界、Nianticのミッションを変えたひとつのポイントだと思います。家でできるのは手軽でいいですが、ポケモンを探して歩くのではなく、ただ集めるだけのものになってしまう可能性があります。このリモートレイドは今後どうなっていくのでしょうか?

マイケル この点に関してはチームの中でも頻繁に議論されているテーマです。じつはこのリモートレイドパス、新型コロナ以前から開発が進められていた機能で、それがこの状況になったことでリリースを早めたという経緯があります。ちなみに、80から40メートルに1度戻ったアメリカとニュージーランドでは、1日1枚入手できる無料のレイドパスを1日2枚に変更。リモートは便利ですがそこに偏ることなく、新型コロナの影響を踏まえながらバランスのいい方法を見つけていきたいと考えています。

――デベロッパーズダイアリーを定期的に、というお話がありました。こちら、気づいたらなくなっていたなんてことがないように必ず発信をしてください!

山崎 私とマイケルもダイアリーチームに関与していて、いろいろ話し合いをしています。その中ですでに多くのテーマが上がっていて、どれから出そうかとリストを作っているくらいなのでご安心ください。

マイケル ブログのほうでも明言したのでお約束します。

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▲言うのはタダなので最後に、マイケル氏がレジェンドに上がるまでのGOバトルリーグレポートや、モデリングや機能などの開発秘話などもあったらうれしいと提案。どんなデベロッパーダイアリーが発信されるのか期待しよう。

位置情報ゲームである以上、外に出るのは当然だが家でできるならそれほど楽なことはない。

コロナ禍が続くいまはとくにそうだ。

Nianticはどうやってそのバランスを築いていくのか。

今回、長らく曖昧になっていたユーザーとのコミュニケーションを行うと明言した。

いまはそれを信じて今後も彼らの動きを追いかけていく。

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▲いますぐすべてが解決する、ということはない。ただし優先度を決めて順に対応していくことはできる。根気よく『ポケモンGO』と向き合ってきたユーザーを裏切るようなことがないことを祈ります。

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

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対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルその他
メーカーナイアンティック
公式サイトhttp://www.pokemongo.jp/
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