
円卓4兄弟の長男・ガウェイン、嫁をもらう【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第3回】
2019-10-23 12:00 投稿
ガーウェインだったりゴーヴァンだったり
ブブブ、ブシロードがスターダムを買収!!?
ブシロードと言えば新日本プロレスの親会社としても有名!
こいつァビッグな話になってきましたよ!!
編集U「さ、今週も“元ネタの世界”始まるヨー」
ん~、温度差!!
ってのはさておき、今回はアーサー王物語編・第3回、ランスロットに続いてメジャーっぽい円卓の騎士・ガウェインをご紹介です!
ランスロットのチート感を高めるために噛ませ犬扱いな話も多いのですが、ガウェインが主人公になる物語もしっかりござい!
【目次】
・みんななかよし円卓の騎士
・アーサー王出陣! その戦果は
・示せ! 騎士のUTSUWA
・次回は裏切りの騎士!
みんななかよし円卓の騎士
ランスロットと並んで知名度が高い円卓の騎士・ガウェイン!
まずは簡単なプロフィールから!
アーサー王の甥にあたる円卓の騎士。午前から正午にかけて力が増し、最大で通常時の3倍の力を発揮すると言われている。
最初期から王国崩壊の瞬間まで、円卓のなかでも長くアーサー王に仕えた騎士。円卓としてのキャリアはランスロットよりも長い。
注目すべきはやはり、正午が近づくにつれてパワーアップするというシミュレーションRPGチックな性能!
編集U「3倍ってぇーと、具体的にはどのパラメータが……?」
んま~、時代的に考えると(?)、やっぱSTR(筋力)だけ強化される感じじゃないですかね……?
編集U「つまり命中率の上がらないゴリラ、と……」
強くなるんだからいいでしょう! 物語中でそれがどの程度描写されるかと言えば、あんま出てこないような気もしますが!
編集U「何のための設定なんだ……!」
ワンチャン太陽神とかの性質を引き継いだ的な可能性もありますが、そのへんはよくわかりませんね!!
ランスロットが湖の乙女に育てられたという出自を持つように、ガウェインもちょいとワケアリな家族関係がございます!
編集U「アーサー王の甥ってことは、アーサー王の兄弟とかの息子ってことだろ?」
さよう! ガウェインの母親は、アーサー王の異父姉である魔女・モルゴース!
で、彼女の母親はアーサー王の父・ウーサーがゴルロイス王から奪ったイグレインであり、父親はまさにゴルロイス王その人!
モルゴースにとっては、ウーサー&アーサー親子は憎むべき父親の仇ってことです!
編集U「すでにまぁまぁややこしい」
で、そのモルゴースがロット王という王様の妻となってから生まれたのが、ガウェインを長男とし、ガヘリス、アグラヴェイン、ガレスの3人を加えた4兄弟!
母親はアーサー王を恨んでいましたが、ガウェインらはわりと友好関係にあった模様ですね!
編集U「そのへんは親子で分かれるのか」
なお、父親のロット王はアーサー王の即位に反対した諸王のひとりで、戦いののちに和解したとも、アーサー王陣営についたペリノア王(アーサー王の剣・カリバーンをブチ折った人)に殺されたとも言われております!
▼ペリノア王がカリバーンを折った話は第1回にて!
ロット王殺害ルートの場合、ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェイン、ガレスの4兄弟とペリノア王の息子であるラモラックとのあいだに対立も生まれる訳ですよ!
編集U「円卓グチャグチャすぎでは」
アーサー王物語的なわりとありふれた人間関係だから困る……!
ガヘリスは因縁のラモラックと関係を持った母親を斬殺していたり、アグラヴェインは王国崩壊に大きく関わっていたりと、けっこうヤバいエピソードも多いこの兄弟!
一方で末弟のガレスは主人公として活躍する長編エピソードを持っていたりもしており、なかなか話題にはこと欠きません!
そんな兄弟の長男であるガウェインもいくつかの主役エピソードを持っていますが、今回お届けするエピソードはアーサー王物語的には珍しく後味のいいお話、かも……?
アーサー王出陣! その戦果は
むか~しむかし、アーサー王が国を治めていたご時世。今日も今日とて冒険を心待ちにするアーサー王のもとに、ひとりの乙女が現れ、とある騎士を倒してほしいと懇願します。
話によれば、その卑劣な騎士は彼女の恋人を捕虜として捉え、挙句に彼女の土地も奪ってしまったというのです。
そのような悪漢を放ってはおけまい、と剣を手に取り立ち上がったのが……。
編集U「ガウェインか」
いや、アーサー王ですね!
編集U「出たがるゥ~」
聖剣・エクスカリバーを手に、卑劣な騎士が待つ城へと馬を走らせたアーサー王。
いざ勝負、と意気込んだはいいものの、なんとその城は魔法の土地に建っており、一歩踏み入れれば力は抜け、勇気もなくなってしまうという恐ろしい罠が仕掛けられていました。
哀れ、戦うことすらできなくなったアーサー王は、なんとあっさり卑劣な騎士の手中に落ちてしまいます。
編集U「即落ちしてんじゃねぇか!!」
エクスカリバーの鞘にチート防御性能があってもデバフ耐性はないんだから仕方ないでしょォー!!
さて、アーサー王を捉えた騎士はやがて彼を解放しますが、ひとつの条件を出します。
その条件とは、騎士の出す質問に対し、1年以内に答えを見つけ出すこと。その質問とは……。
「女がいちばん欲しいと思っているものは何か」
編集U「人による、かな……」
身もふたもない答えは止めい!!
アーサー王は質問の答えを求め、東に西にと馬を走らせ、さまざまな人に話を聞いていきます。
ある者は富、ある者は栄華、またある者は歓楽、またまたある者は勇ましい騎士……、多様な答えは得られども、これだと自信の持てる答えは出てきません。
期限の1年が迫ってアーサー王が焦っていたころ、森の木陰に座っていたひとりの女性が、彼の視界に入りました。
ラグネルという名のその女性の顔はとても醜く、アーサー王が思わず顔を背けてしまうほどです。
編集U「そしてこの露出度である」
そこはご愛嬌ってことでね!!
素通りしかけたアーサー王に、ラグネルは声をかけます。
「貴方は行く先々で人に話を聞いているのに、私には声をかけようともしないのですね。
私は決して美しくはありませんが、貴方の悩みを解決することはできるかもしれませんよ」
「ならば教えていただこう。貴女が私の望む答えをくれるというならば、そのお礼として何でも差し上げよう」
編集U「ん? いま何でもって……」
言っちゃったんですねェこれが!
そしてごにょごにょと答えを聞いたアーサー王、なるほどしかりとその内容にもご納得!
が、醜いラグネルの求めた見返りは、若い騎士を自分の夫としてよこすことでした!
正解っぽい答えをもらって安心したのもつかの間、地味に困ったアーサー王! さてどうするか!
編集U「というか今回の主役の出番はまだか……!?」
示せ! 騎士のUTSUWA
卑劣な騎士との約束の日が訪れ、アーサー王は再び魔法の土地に苦しめられながらも、騎士のもとへと向かいます。
「さぁ、質問の答えを言ってみろ。正しい答えを出せなければ、貴様の命も国も、俺のものだ」
アーサー王は、行く先々で聞いたさまざまな答えを順に挙げていきます。しかしいずれも正解とはならず、騎士は笑い飛ばすばかりです。
編集U「何回答えてもいいのは地味に親切だな」
確かにそうですけどそこはどうでもよろしい!!
卑劣な騎士が勝利を確信したそのとき、アーサー王はラグネルに教えられた答えを口にします。
「答えは、“女はすべて、みずからの意志で自由にすることを望む”、だ」
この答えを聞くと、先ほどまでの余裕はどこへやら、騎士は声を荒げます。
「貴様、その答えは俺の妹が教えたものだな。あの女め! この仕返しは必ずしてやるぞ!」
そう言い残し、騎士は去っていきました。かくして、アーサー王は土地を取り返すことに成功したのです。
編集U「アンタはカンニングしただけだが」
……ま、まぁ命を危機にさらしてまで騎士に挑んだということで!
卑劣な騎士を打ち(?)負かし、土地も取り返して大団円。……と、いきたいところでしたが、まだ問題は残っていました。そう、ラグネルとの約束です。
王として、騎士として、約束を違える訳にはいきません。しかし、若い騎士にあのおぞましい顔をした女性との結婚を命ずるのはあまりにも心苦しい。
アーサー王が唸りに唸っていると、ここでひとりの騎士が話を聞きつけ、王のもとへとやってきました。
「王よ、ならば私がその女性の夫となりましょう」
その声を上げた騎士こそ、ガウェインです。
編集U「やっっっとか!!」
主役は遅れてやって来るもの……!
しかしガウェインの提案に、年の近い友であり、甥でもあるガウェインにそのような役目は負わせられぬ、とアーサー王は難色を示します。
ふたりはしばし問答しますが、ガウェインの決心が固いことを理解したアーサー王は、とうとうガウェインをラグネルの夫とすることにしました。
後日、婚礼の儀が執り行われますが、まわりからはからかう声こそすれ、ガウェインを祝福しようという者はいません。
編集U「からかってるの絶対ケイだろ」
編集U「こいつはウゼェ……!!」
これは後でボコられますね……!
※原典でとくに誰がからかったという具体的な記述はありません(でもきっとケイ兄さん)。
▼ケイって誰ぞ、となったら第1回をチェック!
みずから立候補したとはいえ、ラグネルの恐ろしいまでの醜さに絶望したガウェインは、婚礼が終わるとすぐさま寝室にこもってしまいます。
彼を追って寝室に入ったラグネルは、なぜため息をついてばかりいるのかと彼に尋ねます。
編集U「どストレートか」
せ、誠実がすぎるあまり嘘がつけない、的な……?
するとラグネルは、機嫌を悪くするでもなく答えました。
「それはどれも悪いことではありません。年を取っているということは、それだけ分別があるということ。
醜いということは、ほかの騎士殿と不義を働く不安がないということ。
そして本当の身分とは、出生による偶然ではなく、その人の人格によってこそ決まるのですから」
そんな理屈を並べても……、とガウェインは何も言いませんでしたが、ふとラグネルのほうに目をやると、先ほどまでの醜い顔はどこへやら、隣りにいた女性は美しい顔に変わっていたのです。
編集U「奇妙なパロディを挟まんでよろしい!!」
発作的なものだから仕方ない!!
呆気に取られているガウェインに、ラグネルは落ち着いた様子で説明をしました。
彼女はとある魔女の呪いによって醜い姿に変えられており、ふたつの鍵が得られぬ限りはそのままだったという言うのです。
そのうちのひとつが若い騎士を夫に持つことであり、それが叶ったいま、彼女は1日の半分だけ美しい姿に戻れる、ということでした。
再びラグネルはガウェインに問いを投げます。
「貴方は昼と夜、私がどちらの時間にもとの姿に戻ることを望むかしら」
編集U「だからどストレートか」
せ、誠実がすぎるあまr(略)
正直に答えたガウェインでしたが、ラグネルが「昼はほかの奥方たちと会うので、そのときに美しい姿でいたい」と言うと、彼はその選択を彼女の意志に委ねます。
するとそのとき、ラグネルにかけられた呪いは完全に解かれました。そう、彼女の意志によって自由にすることを夫が望むことこそが、呪いを解くふたつ目の鍵だったのです。
こうして、美しい花嫁を得ることができたガウェインは喜びとともに彼女を腕に抱き、その後もラグネルを深く愛し続けたのでした。
~ End ~
編集U「まさか正直者が得をするとは……!」
ちなみに、さらっとラグネルの兄であることが発覚した卑劣な騎士ですが、じつはこちらも呪いによって性格が豹変していたんだそうな!
ガウェインがラグネルの呪いを解いたことで、この騎士も呪いから解き放たれ、それ以降は円卓の騎士にも劣らぬ勇猛な騎士になったらしいですよ!
次回は裏切りの騎士!
ってことで、ガウェインさんがお嫁をゲットするお話でしたね!
ガウェインはほかにも、冒険中にうっかり婦人を斬り殺しちゃうとか、謎の騎士との首切り対決に挑むとかしていますのでね!
そのへんはいろいろな本で読んでみるのもおもしろいですよ!
そして次回、(おそらく)アーサー王物語編のひと区切りとなる(予定の)第4回は!
アーサー王の国が滅ぶのにかなり大きな役割を果たした裏切りの騎士・モードレッドのお話にする予定です!
今回も円卓のドロドロ感を紹介しましたが、王国の滅亡段階もかなりヤバい人間模様になっていますのでね! 昼ドラもどん引きな相関図もお楽しみに!!
さて、そんなこんなで今週のコラムもお終いでごぜーますが!
今週末の10月27日はね! 新木場1stRINGにてなんと昼も夜もプロレスが、というかスターダムが観られちゃう!!
おまけに18時から始まるのは“マスク・フィエスタ”! 全選手がマスクを被って……、じゃなくて参戦中の選手たちにクリソツなマスクウーマンが大集合するというお祭り大会!!
さぁさぁそこのお兄さんもお姉さんも! よってごらん観てごらん! スカッと笑えるエンタメが! そこにある!!!
編集U「どういう締めだよ!!!!」
万物はプロレスに始まりプロレスに終わる、この世の真理ってやつですね……!
文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM)
参考文献
ブルフィンチ,トマス(1994)『アーサー王物語』(大久保博訳) 角川文庫.
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
-
【プロセカ】新リズムゲーム楽曲“箱庭のコラル”(作詞・作曲:koyori)が追加&3DMVが公開に
2023-05-29 22:10 -
【超熱血パズドラ部】第1341回:テニスの王子様コラボにて
2023-05-29 21:46 -
【トラハ インフィニティプレイ日記#26】待ちに待ったアップデートで次元の要塞が追加!突入してみるがしかし……(RY編)
2023-05-29 21:04 -
『原神』ゲーム内TCG“七聖召喚”の公式国際大会“アストラカーニバル・リトルプリンス杯”が2023年に開催予定
2023-05-29 20:29