1. サイトTOP>
  2. 今期中に新作発表!?鯉沼久史氏に訊く、コーエーテクモゲームスの新ブランド“midas”のいまと未来

今期中に新作発表!?鯉沼久史氏に訊く、コーエーテクモゲームスの新ブランド“midas”のいまと未来

2020-08-07 19:00 投稿

新生midasが目指すものとは

midas(ミダス)は、2017年4月に誕生したコーエーテクモゲームスの新ブランド。

スマートフォン向けの完全オリジナルタイトルの開発を目的として定め、新設されたmidasは、東京ゲームショウ2017(以下、TGS)では『PROJECT CODE:F』と『PROJECT CODE:PUCK』を発表していた。これらのタイトルは2018年3月までにリリース予定とされていたが、現在まで配信は確認できていない。

2018年8月からは、コーエーテクモゲームス取締役社長の鯉沼久史氏がmidasのブランド長を引き継ぎ、社長業と兼任しているのだが、midasブランドの現状はどうなっているのだろうか。鯉沼氏(インタビュー文中:鯉沼)とmidasブランドの部長を務める狩野直士氏(インタビュー文中:狩野)にインタビューを実施した。

TN4_2573

▲コーエーテクモゲームス取締役社長兼 midasブランド長の鯉沼久史氏(写真右)、midasブランド 1部長 狩野直士氏(写真左)。

鯉沼氏がmidasのブランド長を引き継いだワケ

――midasを発表されてから時間が経ちますが、まずはmidasの現状をお教えてください。

鯉沼 まずは、私がmidasのブランド長を引き継いで方向転換を行いました。midasの現状実績としてはまず、今年2月にスクウェア・エニックスさんの『星のドラゴンクエスト』(以下、『星ドラ』)の海外運営を行っています。シンガポールに海外の運営母体がありまして、そこでアプリの運営を始めている状態です。

新作アプリに関しては現在開発中ですので、今年のどこかで発表なりリリースなりをできたらいいかな、というスケジュールで動いています。

――方向転換があったとのことですが、設立当初からどのような変更がなされたのでしょうか?

鯉沼 我々の世代は家庭用ゲーム機で生きてきた世代だったので、アプリを作るにあたっては、そこに慣れ親しんだ若い世代に任せたほうがいいのではないかと思い、最初は若いチームでチャレンジをしていました。

若い世代には若い世代のいいところがあるのですが、それをどう作品に落とし込んでいくかとなると、たいへんなところも出てきました。そこで私がブランド長を引き継いで、若いスタッフたちと経験者の混合チームを作って、再始動することにしました。

――社長を務める鯉沼さんがみずから指揮を執ることにことになったと。

鯉沼 はい。現在、当社にはmidasを入れて6つのブランドがありますが、midas以外のブランドはそれぞれに歴史があり、それぞれが独自の方向性、色を持っています。新作を開発する際はその色に合うように行っているのですが、midasはできたばかりのブランドで歴史がないですし、色もありません。

ですがそれは逆に考えれば、いろいろな色になれるということでもありますから、それを強みとして捉え、活かして、ほかのブランドには合わないような仕事やタイトル開発を進めていきたいと考えています。先ほどお話しした『星ドラ』の海外運営をmidasがごいっしょさせて頂いているのもそうですね。ほかのブランドでは受けられないような仕事や座組に関しても、チャレンジをしていく。現在のmidasはそういう方向性となっています。

TN4_2425

――midasの設立当時は、IP(知的財産)を使わない新しいものを発信していくと発表されていましたが、今後はいろいろなIPを使っていくと?

鯉沼 当初の“既存IPを使わない”という方針は、チャレンジとしては良かったのですが、そのうちに“縛り”になってしまっていました。そこでいまはmidasブランドの仕事としてうまくできそうなものは、何でもやるという方向性でがんばっています。

なので、『星ドラ』のように他社さんと共同して仕事を行うこともあれば、新規タイトルを立ち上げることもありますし、さらには休眠している当社のIPを使うこともあると思います。

――今年のどこかで新作をと言われていましたが、プラットフォームはスマホになるのですか?

鯉沼 midasはいまのところパッケージはやらない、と言ってしまっていいよね?

狩野 そうですね。

鯉沼 やらないと言い切ってしまうと、またやり始めたときに訂正をすることになりそうですが、現状はスマートフォンアプリに注力しています。

狩野 まずはスマホアプリ市場で成功することを目標にしています。ただ、いろいろなIPをうまく活用して、新しいことをやっていこうとしているので、将来的には家庭用ゲームを含めたスマホ向け以外の作品を出す可能性はあると思います。

スマホからコンシューマー(家庭用)に行くパターンも考えられますから。いまのところmidasで開発を進めている家庭用のソフトはありませんが、将来的に拡大できるといいなと考えています。

――ただ、スマホ市場は何年も前からレッドオーシャンだと言われています。成功させるには、どういったことが重要だとお考えですか?

鯉沼 スマホ市場に関して当社は出遅れてしまっている状態なので、何とかしなくてはいけないと考え、さまざまな努力を重ねています。最近で言うと、徐々にではありますが、成功できそうなタイトルが生まれてきそうな手応えも感じ始めました。

また最近はスマホのスペックが上がってきているので、少し前の家庭用ゲームレベルの表現もできるようになってきました。そういった点でも、我々の強みを活かしたチャレンジをしたいと考えています。

――midasの強みとは、どのようなものになりますか?

狩野 midasはもともと独自のIPを立ち上げることを目標にしていました。しかし、方向転換をしてその縛りを取り払ったいま、社内外のいろいろなIPを使った仕事をすることが考えられます。さらには、IPを自由に広げていくこともできると思います。当初から若手スタッフを中心に動いていたので、ユニークな新しいアイデアも出てきていますし、そういったところも強みだと考えています。

また、どこかのIPに寄っているわけではないですし、社長の鯉沼がブランド長を務めていますので、コンテンツを作るための体制やほかのブランドとの協力体制は、非常に作りやすくあると感じています。そういった点は、今後強みとして発揮されていくと思います。

TN4_2493

――ほかのブランドのタイトルのモバイル版開発を請け負う可能性がある、という認識でよろしいでしょうか?

鯉沼 あえてラフな表現をするならば、midasは“何でも屋”だと考えています。「ほかのブランドが手を出せなくても、やらなきゃもったいないじゃん」と思う仕事は積極的にやっていきます。そういう意味で言うと、ほかのブランドが持っているIPのモバイル版の開発も、可能性があればチャレンジしたいと思っています。

最近ですと、当社にはポータルサービス部という部署があるのですが、そこでテクモのヒット作『モンスターファーム』をスマホとNintendo Switch向けにリリースしました。当社が考えていたよりも好評で、その続編にあたる『モンスターファーム2』のスマホ版、Switch版も発表しています。

これと同じようなことをmidasでやってもいいのかなと思っています。こうした移植も、ほかのブランドではなかなかやらない仕事なので、そこも視野に入れていこうと考えています。

狩野 何でも屋なので、社内からもいろいろなオーダーが届いたりしていますが、現在はそういった話を整理して進めている状況ですね。

鯉沼 それと、ジャンルにとらわれずに開発できるというのも強みだと感じています。

――midasで挑戦してみたいジャンルはありますか?

鯉沼 答えにくい質問ですね(苦笑)。

狩野 そうですね。いま開発しているタイトルもあるので(苦笑)。

鯉沼 挑戦しているジャンル なら、そのうちに発表した際にわかっていただけると思います。

――つまり、いま開発しているタイトルがコーエーテクモゲームスさんにとっては新しいジャンルである可能性も……。

狩野 そういう可能性もありますね。

――コーエーテクモゲームスさんらしくないジャンルと言うと……、FPSとか?

鯉沼 じつは、コーエーの時代に出したTPSの『WINBACK』は売れたんですよ。

狩野 すごい昔じゃないですか(笑)。

鯉沼 いまの若い子に言ってもわからないか(苦笑)。

一同 (笑)。

TN4_2506

――TGS 2017で発表された『PROJECT CODE:F』と『PROJECT CODE:PUCK』の開発状況はどうなっていますか?

コーエーテクモゲームス_midas_新作アプリ4
コーエーテクモゲームス_midas_新作アプリ8

鯉沼 ある程度までは開発を進めたのですが、リリースまでは厳しいと思って止めている段階です。

――今後、開発が再開される可能性は?

鯉沼 個人的にはですが、可能性はかなり低いと考えています。

――ただ、コーエーテクモゲームスさんは『仁王』(10年以上の開発期間を経てリリースされた)の前例があるので、期待するファンもいるのでは?

鯉沼 じつはスマホのアプリに関しては、皆さんからは見えないところで、途中まで開発して止めるというケースはけっこうあるんです。

狩野 アプリの場合はトレンドに影響されることも多いので、開発しているうちに市場性がなくなったということもあります。

鯉沼 タイミングを逃すと古く感じてしまいますし、アプリは少なくとも1年くらい運営していくので、サービスインまで持っていけるタイトルは限られてくるんです。

――なるほど。『星ドラ』のほかに他社のタイトルを海外運営する動きはありますか?

鯉沼 Team NINJAが開発している『ディシディア ファイナルファンタジー オペラオムニア』の海外版は、『星ドラ』の海外版と同じくシンガポールのスタジオで運営していますし、当社開発ではありますが、DMM GAMESさんで出している『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』の海外運営もシンガポールで行っています。

――では、今後も同じように海外運営を行っていくと。

鯉沼 そうですね。シンガポールスタジオを海外運営の拠点にしようと考えています。開発から行うのか、他社様のコンテンツを運営するのかは時と場合によって変わると思いますが、シンガポールを拠点にして、東南アジアをメインターゲットにしたソーシャルゲームの運営は今後も行っていきます。コーエーテクモゲームスよりも、コーエーテクモシンガポールが積極的に動く形になりますが。

――midasブランドとして、海外展開は視野に入っていますか?

狩野 まずは国内向けにしっかり受け入れられる作品をリリースしようというのがベースにありますが、将来的には海外にも展開していきたいですね。まだ具体的なことはお話できないのですが、現在開発中のものでも海外でも十分に通用すると思っているので、いつかやってみたいなという希望はあります。

――コーエーテクモゲームスさんがライセンスアウトして中国展開している『三國志・戦略版』がヒットしていますが、外部の会社にライセンスアウトした作品から逆に学ぶことはありますか?

鯉沼 学ぶことはたくさんあります。日本とはカルチャーが違うので、得たものをそのまま吸収し、国内で同じことをするわけにはいきませんが「中国ではこういう課金がうまくいくのか」、「こういうサイクルでゲームを回して収益を上げるのか」と新しい発見があり、いい刺激を受けています。

TN4_2433

複数のラインで新作タイトルを鋭意製作中

――現在、midasにはどれくらいの方が所属しているのですか?

鯉沼 当初midasは外注を中心に開発しようとしていたので比較的小規模だったのですが、方向転換のタイミングで経験者と若いスタッフを何人か新たに配置して、内製人員はけっこう増えてきました。

狩野 規模感的には、30~40人はいます。CGやサウンドに関しては専門の部署があるので、いわゆるソフト開発だけでそれくらいの人員ですね。

鯉沼 midasの場合は、内部のスタッフに加えて外注で協力してくれている企業さんもいますね。

――ということは、現在複数のラインが動いていると考えても……?

鯉沼 そうです、そうです。

狩野 具体的なラインの数は言えないのですが……。

鯉沼 今期中には、1、2タイトルはリリースしたいなと思っています。私としては、毎期1本ずつのペースでリリースしていきたいと考えています。

狩野 我々としても、しっかりとタイトルを出して経験を積んでいかないといけないとは思っています。とくに若手に関しては、運営も含めて経験を積むことが非常に大切なことですから。

――現時点では経験が少ないことが、midasの課題なのですね。

狩野 そうですね。もちろん、経験者も配属してはいますが、ブランドとしてのタイトルリリース経験と、運営経験というところは、まだまだこれからやっていかないといけません。

いわゆるモバイルゲームの運営はサービスですから、お客さまに対してどうやって提供していくのか、そしてプロモーションとどのように連携を図っていくかが重要になってくると思います。そういったところは、これから経験していくことなので、その経験自体少ないのは課題かなと思います。

鯉沼 あとは、何でも屋のようなポジションであるからこそ、若手からいろいろな提案をしてほしいと思っているのですが……まだ活発に提案が出てくるというところまでは来ていません。ベテランから「こんなのどう?」と提案するだけではなく、若手にはぜひがんばって新しいアイデアを具現化してもらいたいです!

TN4_2508

――midasブランドがターゲットとして定めている客層というのはあるのでしょうか?

鯉沼 ブランドとしてはないですね。タイトルごとには当然ターゲットは定めていますが。

狩野 先ほどから何でも屋という表現が出てきていますが、IPなのか、それとも新規なのかというところをしっかりと考えて、ロジックをしっかりと立てていくようにしたいです。ロジックを考えないと、鯉沼にもよく叱られるので。

鯉沼 叱るのも仕事だからね(笑)。

――midasがリリースするのは、運営型タイトルが中心になるのでしょうか?

鯉沼 そうですね。パッケージタイトルは歴史を持っているほかのブランドが担っていけばいいと思います。midasはアプリを中心にしつつ、今後VRやAR、新しいガジェットが出たときには、フットワーク軽くそっちにも動けるようにするべきだと考えています。

――最後に、midasからゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

狩野 方針転換があったといえ、コーエーテクモゲームスのブランドの垣根をなくして、何でも屋という立場から新しいタイトルをスマホ市場で提供していきたいと考えています。コーエーテクモゲームスらしさが感じられるタイトルはもちろん、そうでないタイトルも、おもしろいものを作っていきますので、楽しみにしてください。

鯉沼 midasは歴史がないブランドですが、それを逆に強みにすることで、シリーズやジャンルにとらわれないチャレンジ精神を持ったブランドなので、今後どういったタイトルが出てくるのかに期待していてください。逆に「こういうタイトルを作ってほしい」といったご要望なども気軽にお寄せいただけるとうれしいです。今後もmidasブランドをよろしくお願い致します!

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧