夏の大三角形!オルフェウスのこと座とゼウスのわし座&白鳥座【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第38回】

2020-07-08 16:00 投稿

きーみはだーれっとフッフフンフンフーン

いやぁ~、ゲームアーカイブスで遊んでいる『東京魔人學園 剣風帖』も残すところあと2話!

終わりが近づくと逆にプレイするのがもったいなくなっちゃいますよね~。

しかし7月17日には『ゴースト・オブ・ツシマ』が発売! それまでにクリアーできるという意味では安心でございますよ!

ってのはさておき、今週も始まりました“元ネタの世界”!

前回は七夕の彦星と織姫のお話をお届けしましたが、彦星はアルタイル、織姫はベガ、アルタイルとベガと言えばデネブを加えた夏の大三角形!

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ってことで、アルタイル、ベガ、アルタイルの3つが含まれる3星座、わし座こと座、そして白鳥座のもととなったギリシア神話をお届け!

ボリューム的にわし座と白鳥座はおまけみたいなものですが、そりゃさておき、いざいざ!

【目次】
・こと座:オルフェウス
・わし座:ゼウスとガニュメデス
・白鳥座:またまたゼウス
・次回は妖怪話!

こと座:オルフェウス

さて、今回のメインどころとなるのは、ベガが属すること座! のもとになったオルフェウス!

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※元ネタは男です。

そいではさっそく、オルフェウスがこと座となるまでの悲劇の物語を、どぞ~!

北ギリシアの東方、深い森に覆われたトラキア地方に、美しい歌声を持つ名歌手がいました。

彼の名はオルフェウス。その歌声は音楽の神・アポロンすら認めるほどで、アポロンは彼にみずからが持つ黄金の竪琴を授けました。

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※元ネタは男神です。

黄金の竪琴の音色とオルフェウスの歌声は人々のみならず、獣や草木、山河までをも魅了しました。

音楽の才だけでなく容姿にも恵まれたオルフェウスは、いつしか森の木のニンフ(妖精)であるエウリュディケと結婚します。

しかし結婚して間もないころ、エウリュディケは散歩に出かけた際、アリスタイオスという養蜂家に襲われかけ、逃げ延びる際に毒蛇に咬まれると、そのまま命を落としてしまったのです。

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悲しみに暮れるオルフェウスでしたが、彼はエウリュディケを蘇らせるべく、冥界に向かいます。

生者であるため冥府の河・アケロンの渡し守・カロンに一度は拒否されたオルフェウスでしたが、その竪琴の音色でカロンを説得します。

死者の国の門を守る地獄の番犬・ケルベロスも、オルフェウスの奏でる戦慄にこうべを垂れ、オルフェウスは冥界へと進んでいきます。

ちなみにケルベロスと言えば三つ首が定番ですが、説によっては首の数が50だったり100だったり、首どころか上半身が3つに分かれている、なんて話もあります!

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さて、冥王・ハデスと妃・ペルセフォネに面会叶ったオルフェウス。妻を生き返らせたいという願いを一度は却下されますが、そこで彼は妻を失った悲しみを竪琴の音に乗せて伝えます。

その音色にハデスとペルセフォネも感動し、罪人たちに責め苦を与える地獄すらも、竪琴が奏でられるあいだはその動きを止めました。

折れたハデスはとうとうエウリュディケの蘇りを許可しますが、そこにはひとつの条件があると言います。

「オルフェウスよ、お前は妻を連れて地上に戻るがいい。ただし、地上に出るまで一度も後ろを振り返ってはならない

その言葉に従い、長い暗闇のなかを振り返らずに進むオルフェウス。後ろにはエウリュディケがいるはずですが、足音すらも聞こえません。

振り向きたくなるのを何度も我慢し、とうとう冥界の出口が見えたとき、地上の光を見て緊張がゆるんでしまったオルフェウスは、うっかり妻のほうを振り返ってしまうのです。

「ごらん、もうじき地上だ。君は生き返れるんだよ」

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オルフェウスが振り向いた先に妻の姿はなく、ハデスのもとへ急いで戻っても、二度目のチャンスをもらうことはできませんでした。

その後、打ちひしがれたオルフェウスは人々を遠ざけるようになります。

彼が言い寄ってくる女性に冷たく接したせいか、はたまたまったく別の理由か、彼は狂気の神とも呼ばれる酒神・デュオニュソスの祭りの夜、酒に酔い、狂った女たちに襲われ、命を落としてしまいます

四肢を千切られ、八つ裂きとなったオルフェウスは、女たちにその首と竪琴をエブロス河に投げ込まれた後も、首は歌を歌い、竪琴は旋律を奏で続けました

やがて、彼の首と竪琴はレスボス島のとある村に流れ着き、その首はデュオニュソスの聖所に、竪琴はアポロンの聖所に埋葬されます。

美しき歌い手の最期を哀れに思った最高神・ゼウスは、彼を星空に上らせました。

こうして、オルフェウスはこと座となり、星空に輝き続けることとなったのです。

~ 完 ~

と!

この冥界下りのお話は、日本神話で黄泉の国に落ちたイザナミをイザナギが連れ戻そうとするお話とよく似ている、というのでも有名ですね。

わし座:ゼウスとガニュメデス

さて続いては、アルタイルを持つわし座!

こちらは最高神であるゼウスが化けた姿、あるいはゼウスの使いであるワシの姿であると言われております。

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ではゼウスはワシに化けて(あるいはワシを使って)何をしたかと言いますと……?

昔々、トロイの国にガニュメデスという美少年がおりました。

その美貌は女性すらもうらやむほどで、天界にいたゼウスも目ざとく彼に目をつけます。

そしてある日、外で羊の世話をしていたガニュメデスのもとに、巨大なワシが飛んでくると、驚く間もなくワシはガニュメデスを捕獲し、空へと飛び立ちます。

泣きわめくガニュメデスに、ワシに化けたゼウスはみずからの正体を明かし、永遠の若さと美しさを与える代わりに、彼を神々に使える小姓として雇ったのでした。

~ めでたしめでたし ~

そこでガニュメデスが星座にならんのかい! という感も無きにしもあらずですが、かつてはわし座の近くに並ぶ星々をガニュメデスとして見る、という見かたもあったそうな!

白鳥座:またまたゼウス

そしてラスト、デネブを持つ白鳥座!

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こちらもま~たゼウスが化けた姿なのですが、なんと今度は人をさらうのではなく、スパルタの王妃・レダを見初めたゼウスが彼女に会うために化けた姿なんだそうな!

白鳥に化けたゼウスは、ワシに追われた哀れな白鳥、という設定でレダの膝元に逃げ込み、上手いこと接触したと伝えられています。

そしてその後、驚くべきことにレダはふたつの卵を産み、卵からは男女ふた組の双子が生まれたのです! ※レダは人間です。

なお、カストールポリュデウケスという男の双子は“ディオスクロイ”(ゼウスの息子たち)と呼ばれ、のちに冬の星座であるふたご座になったふたりでもあったりするんですね~。

次回は妖怪話!

ってことで、今回は夏の大三角形を彩る3星座のお話でございました! 9割オルフェウスでしたが!

あんまり星座をしっかり見たことはないんですが、こういう元ネタのお話を読んでから見ると、星の並びが気持ち覚えやすくなりそうな、そうでもないような……?

ところでこのあいだ、7月2日の深夜に東京、神奈川あたりで流れ星の爆発と思われる爆音が発生して話題になりましたよね!

これは多分ちょっと前に本コラムでも扱った、天狗が妖怪となる前に古代中国で伝えられていた、天体現象の天狗(てんこう)なんじゃないかとテンションが上がったものですよ!

ってな話はいいとして、次回!

夏本番にはまだちょ~いと早いところですが、夏と言えばやはり怪談!

ということで、来週は妖怪関連のお話なんかをしていこうかと思いますよ! したらば、おさらば!

【“元ネタの世界”まとめはこちら】

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

楠見千鶴子(2001)『ビジュアル版 ギリシア神話物語』講談社.
藤井旭(2004)『星の神話・伝説図鑑』ポプラ社.

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