日本神話に学ぶ、嫁を顔で選ぶと痛い目を見る話【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第11回】

2019-12-18 12:00 投稿

人、尋常ならざるものを神と呼ぶ

2019年12月15日!

スターダムにレギュラー参戦しているフリーの女子レスラー・夏すみれが! 自身初となる自主興行を開催!!

引退直前の葉月のため、そしてフリーという立場で戦うレスラーの意地を見せるべく開かれた大会はガチのマジで神興行!!!

それじゃあ今回はそんな夏さん興行を第1試合から振り返っていきましょう!!

編集U「いかねぇよ!!!」

くっ、締切のせいでツイッターでの振り返りもできていないというのに……!

編集U「むしろ締切に間に合ってないのに目をつぶってやってるんだが?」

サーーーッセン!!
※ガチ

さておき! 今週も始まりましたよ“元ネタの世界”!

北欧神話、エジプト神話ときて、今回は日本神話をご紹介にございます!

ざっくりとした流れやらを紹介しつつ、嫁さんを顔で選んだ結果エラいことになった、歴史的やらかしのお話をしていきまっしょい!

【目次】
・原典もいろいろありまする
・創生神話から黄泉国訪問
・高天原&出雲系神話
・天孫降臨と海幸山幸話
・次回、年内最終回はギリシア神話!!

原典もいろいろありまする

さてさて、今回扱いまする日本神話でございますが!

ひと言で日本神話と言っても、その物語を伝える資料は“古事記”“日本書紀”、あるいは“風土記(ふどき)”などがありまして、前者ふたつを合わせて“記紀神話(ききしんわ)”などと呼んだりもしますね!

各資料で神の名だったり話の内容だったりがちょっと違ってはいますが、大まかな内容はある程度似たようなものになっております!

個人的に、とくにメジャーだと思っている資料が古事記! 今回はこちらをベースに紹介していこうと思いますよ!

さてこの古事記、上巻、中巻、下巻の3パートに分かれておりまして、上巻がいわゆる神話時代、中巻と下巻は歴代天皇のお話という構成になっております!

以前に紹介した、天叢雲剣草薙剣として登場し、ヤマトタケルのピンチを救うエピソードなんかは中巻に収録されていますね!

天叢雲剣の回でも書きましたが、日本神話の世界は神々が住まう高天原(タカマガハラ)、土着の神々が暮らす蘆原中国(アシハラナカツクニ)、そしていわゆる死者の国となる黄泉国(ヨミノクニ/ヨモツクニ)の3世界から成り立っております!

20191105_天叢雲剣 (4)

この3世界をまたいで起こるさまざまな物語をつづったのが古事記上巻!

んでは、ざっくりとした流れを紹介しつつ、その内容にも触れていきましょう!

創生神話から黄泉国訪問

日本神話も多くの神話の例にもれず、まず世界は混沌の状態から始まります!

そこに神々が生まれ、つぎからつぎへと名前が羅列されていくんですが、個人的にはここがね! 最大の睡眠導入ポイント!!

編集U「寝てんじゃねぇよ!!」

んじゃちょっと引用するから見てみなさいな!!

次ぎに成りませる神の名は、宇比地邇神(うひぢにのかみ)、次ぎに妹須比智邇去神(いもすひぢにのかみ)、次ぎに角杙神(つのぐひのかみ)、次ぎに妹活杙神(いもいくぐひのかみ)。二柱。

次ぎに意富斗能地神(おほとのぢのかみ)、次ぎに妹大斗乃弁神(いもおおとのべのかみ)。次ぎに於母陀流神(おもだるのかみ)、次ぎに妹阿夜訶志古泥神(いもあやかしこねのかみ)。

編集U「ZZZ…」

寝てんじゃねぇか!!!

とまぁ、そんな流れがつらつらと続くのでね! エピソードが読みたい人はぶっちゃけ創生神話部分は軽く読み飛ばすのもアリでしょう!

で、そんな神々の誕生ラッシュを締めくくるのが、イザナギ、イザナミのふた柱!

編集U「けっこうよく聞く名前だよな」

このふた柱が蘆原中国を作る、いわゆる国生みをしていますからね!

国生みをする際、最初に女性の神であるイザナミから「なんていい男なのかしら」と言ったことが原因で失敗し、イザナギから「なんていい女なのだろうか」と言う形で仕切り直した、なんて話もあります!

編集U「結果的に最高神になるのは女のアマテラスだけど、ここは男性優位的な発想を感じるような」

あ~、言われてみれば確かに?

さておき、国生みしたイザナギとイザナミはその後、新たな神々を生み出していくのですが、多くの神に続いて火の神・カグツチが生まれた際に、イザナミはカグツチの炎に焼かれて死んでしまいます!

愛するイザナミを失ったイザナギは怒りに駆られ、カグツチの首を十握剣(トツカノツルギ。日本のロングソード的なもの)ではね飛ばすと、死したイザナミを追って黄泉国へ!

この黄泉国訪問は、ギリシア神話に登場するオルフェウスが死んだ妻を取り戻すため、冥界へと下ったエピソードと類似していることがよく指摘されますね!

20191217_日本神話 (3)

※オルフェウスの元ネタは男です。

なんとかイザナミのもとへと辿り着いたものの、イザナミはすでに黄泉国で食事をしてしまっており、もう帰ってくることはできなくなっておりました!

おぞましく恐ろしい姿に変わってしまった自分を見てドン引きしたイザナギ、その反応に怒ったイザナミ!

イザナギは襲い掛かるイザナミからなんとか逃げ、黄泉国へとつながる道を巨大な石で塞いでしまうわけですよ!

で、そのときに石を挟んで交わされた会話が下記のようなもの!

「いとしいイザナギよ、あなたが私にこのような辱めを与えるなら、私はあなたの国の人間たちを1日に1000人ずつ殺しましょう

「いとしいイザナミよ、お前がそのようなことをするならば、私は1日に1500の産屋を建てよう

と、このやり取りがあったことで、1日に1000人が死に、また1500人が新たに生まれるようになった、と言われていますね!

編集U「神の夫婦喧嘩がもつれて人の生き死にが決まった、と」

身もふたもない言いかたをしたら、そうなりますな!

高天原&出雲系神話

で、黄泉国で汚れちまった悲しみ、もとい穢れた身を清めるために、イザナミは川で禊(みそぎ)を行う訳です!

このとき、流れ落ちた穢れからも多くの神が生まれ、最後にイザナミが左の目を洗うとアマテラスが、右目を洗うとツクヨミが、そして鼻を洗うとスサノオが生まれたのであります!

ツクヨミは登場していませんが、『乖離性MA』ではアマテラスとスサノオが登場していますね!

20191217_日本神話 (4)

※スサノオの元ネタは男神です。

で、その後スサノオがいろいろと盛大にやらかし、太陽神であるアマテラスが洞窟に引きこもって世界が闇に包まれる、天岩戸(アメノイワト)事件が勃発!

天叢雲剣の回でも軽く触れた通り、神々の作戦によってなんとかアマテラスを洞窟から引き出すことができましたが、これによりスサノオは神々から追放され、ひとりで蘆原中国を旅することに!

これまた天叢雲剣の回で書いた通り、その後8つの頭を持つ巨大な蛇の怪物・ヤマタノオロチを退治していくのでありますよ!

20191217_日本神話 (1)

ちなみに、アマテラスたちの誕生から天岩戸事件あたりまでが高天原系神話、スサノオによるヤマタノオロチ退治や、これまたけっこうメジャーな神・オオクニヌシによる冒険話などが出雲系神話などと呼ばれていますね!

編集U「あ~、オオクニヌシってどういう話があったっけ?」

メジャーどころだと、因幡(いなば)の白兎を助けるエピソード、兄弟神たちに殺されかけるエピソード、スサノオの娘を嫁にするエピソードなんかがありますね!

ちなみにスサノオお父さん、「ステキな方がいらっしゃいました」と言った娘に対し、オオクニヌシを見るや否や、開口一番に言いまする言葉が!

20191217_日本神話 (5)

編集U「アタリが強すぎる……!」

ま、まぁでも“しこを”には一応“頑強な”的な意味合いもあるそうですよ!

現代的な漢字にすると“醜男”らしいですが!

編集U「やっぱディスじゃねぇか!!!」

天孫降臨と海幸山幸話

さて、そんなこんながありまして、いよいよ上巻の終盤になります!

ここで、アマテラスの孫であるニニギノミコトが蘆原中国に降り立つ、いわゆる天孫降臨が行われる訳でございますよ!

編集U「あ~、最高神の孫だから天孫ってことか」

いかにも! このニニギノミコトが歴代天皇の始祖とされていますね!

が、ニニギノミコトは後世に尾を引くことになるやらかしをかましてしまいます!

編集U「そういやそういう話だったな」

んでは、ニニギノミコトさんによるやらかしエピソードをどぞ!

高天原から蘆原中国に降りたったニニギノミコトは、とある岬で美しい女性と出会います。

何者かと尋ねてみると、彼女はオオヤマツカミの娘・コノハナサクヤビメであると答えました。

ちなみにですが、オオヤマツカミは大山津神、コノハナサクヤビメは木花之佐久夜毘売と書き、それぞれ山の神と木々や花の神であることが伺えますね!

個人的にはコノハナサクヤビメという音の響きがめっちゃ好き!

編集U「それはいいから続き早よ」

へぇへぇ!!

ニニギノミコトが「お前には兄弟があるか」と尋ねると、コノハナサクヤビメはイワナガヒメ(石長比売)という姉がいる、と答えます。

するとニニギノミコトは結婚を申し込みますが、コノハナサクヤビメは父親のオオヤマツカミに聞いてみなければ、と返しました。

そこで、使者を送って結婚の許可を願ったところ、オオヤマツカミはたいへん喜び、姉のイワナガヒメとともに、娘をニニギノミコトに差し出しました。

ところが、ニニギノミコトはたいへん姿かたちが醜いイワナガヒメをオオヤマツカミに送り返し、コノハナサクヤビメだけを留めおき、彼女と一夜をともにしたのでした。

編集U「あまりに正直すぎるのでは?」

こ~れが非常に大問題でしてね!

オオヤマツカミは、ニニギノミコトがイワナガヒメだけを送り返したことをひどく恥じ入り、言いました。

「私が娘ふたりをいっしょに差し上げましたのは、あなた様の御子が雪の降り風の吹くときにも岩の様に不変不動であるように、そして、木の花が咲き栄えるように華やかであるように、と神に誓いを立ててのことだったのです」

しかしオオヤマツカミの気づかいも虚しく、ニニギノミコトはコノハナサクヤビメだけを手元に残しました。

こうして、天孫の子孫である歴代の天皇は木の花のように儚い存在となり、その寿命が短くなってしまったのです。

~ END ~

と! 見た目でイワナガヒメをお断りしてしまったために、岩のような盤石さを失ってしまったということなんですね~!

編集U「まぁ、うん、気持ちはね、まぁまぁ」

オオヤマツカミも先に言ってくれれば、とか思わんでもないですが、教えちゃうと誓いの効力が消えるとかそういう感じかもわかりませんね!

そんなこんながありまして、その後ニニギノミコトの子であるホデリノミコト、別名“海幸彦”と、ホオリノミコト、別名“山幸彦”が生まれ、このふたりのエピソードで上巻は幕を閉じます!

海幸山幸と言われるこのエピソードもおもしろいのですが、尺的に全カット!!!

いつかそのうち紹介する、かも~?

次回、年内最終回はギリシア神話!!

ってぇことで、今回は日本神話、古事記のお話をバババっとしましたよ!

創生神話で神々が生まれるくだりの眠さは本当にすごいのでね! 不眠にお悩みの方にもオススメ!

編集U「どういう勧めかたをしてんだ」

それは半分冗談としても、黄泉国訪問だったりスサノオ大暴走、オオクニヌシの冒険やら何やら、おもしろいエピソードが盛りだくさんですしね!

解説つきの本とかだと、各アイテムやエピソードが象徴するものとかにも触れられているので、かなり楽しめますよ!

さて、なんと来週は年内最終回! そして神話ざっくり紹介編もいったんラスト!

そんな次回はこれまたメジャーどころ、ギリシア神話をご紹介といきましょうや!

何気に『乖離性MA』でもけっこうギリシア神話勢は多いのでね! 誰をピックアップしたものやら!

20191217_日本神話 (2)

そして! 来週!! 12月24日は!!!

スターダム年内最終戦となる後楽園ホール大会であり!

ワタクシのイチオシ選手である岩谷麻優が初防衛戦に挑む日であり!!

岩谷に並び応援している葉月が引退する日でもある訳ですよ!!!

ついに、ついにこの日が来てしまう……!

多くのプロレスファンを唸らせる成長を見せた葉月の最後の輝き、KATSUMOKUせよ!!

編集U「テンション高いなぁ……」

こちとらすでに泣きそうなんですよ!!!

皆さんも12月24日の18時は後楽園へ、どぞォォーー!!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

上田正昭・井出至編(1978)『観賞 日本古典文学』(第1巻) 角川書店 .

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