
『モンスト』と『パズドラ』の意外な共通点とは?岡本吉起氏と森下一喜氏が“黒川塾”でここだけのトークを展開
2019-06-05 14:48 投稿
ふたりのトップクリエイターが激論を交わす!
2019年5月31日、東京都港区の株式会社SHIFTカフェスペースにて、トークイベント“黒川塾69”が開催された。
“黒川塾”とは、メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏が“エンタテインメントの未来を考える会”として、毎回さまざまなテーマに沿って、ゲストと討論をくり広げるトークイベント。
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▲メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏。本イベントでは司会・ナビゲーターを務める。
“ゲーム三冠王! 岡本吉起と森下一喜の「ここだけの話やで…」 SNS投稿禁止Night ”がテーマとなった今回は、オカキチ代表取締役の岡本吉起氏と、ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役の森下一喜氏がゲストとして登壇。
『モンスターストライク』の開発に携わった岡本氏と、『パズル&ドラゴンズ』を手掛けた森下氏といったトップクリエイターが揃ったトークイベントということで、会場にはゲーム業界関係者だけでなく学生を含む一般ユーザーも来場し、開場前から大いに賑わいを見せていた。
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▲オカキチ代表取締役の岡本吉起氏。『ストリートファイターII』などのタイトルを手がけ、スマホゲームでは『モンスト』の開発に携わる。
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▲ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役の森下一喜氏。『パズドラ』シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務める。
ココでしか聞けないヒミツの話題が満載!
イベントの冒頭は、古くからゲーム業界を知る3人による会場限定の雑談からスタート。
さすがテーマで“SNS投稿禁止”と謳っているトークイベントなだけあって、お金にまつわる話やゲーム業界人の話題など、ここでは紹介できないほどの業界のディープな部分に踏み込んだ話題がつぎつぎと展開。しかも、その過激な発言がイベントの終盤までオンパレードとなり、終始会場を熱く盛り上げた。
本稿では、そのなかでも紹介可能なトークがほんの一部あったので、特別にここで公開する。
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▲岡本氏はこれまで見てきたさまざまな裏話で会場を爆笑の渦に。
『モンスト』と『パズドラ』に共通するポイントとは?
こうしたトークの中で、ふたりのゲーム作りに関するスタンスがうかがえる話題も挙がった。
森下氏は一時期、会社が突然大きくなったことで、経営の仕事に忙殺されてゲーム開発に携わらなかった時期があったという。
しかし自分がゲームを作りたいから会社を作ったという原点に立ち返り、「3年間、経営から離れる」という選択をして開発に専念。
その間に経営でうまくいかないことがあったものの、それから2年後に『パズドラ』が世に出て現在のヒットにつながったとのこと。
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また岡本氏からは、自身がよく使用するという“関ヶ原”という言葉についての説明が。
岡本氏はプロジェクトを進めるに当たって“結果”をゴールとして想定し、どのようなルートをたどればそのゴールに至るかを逆算しているという。
当初の予定になかった提案があった場合、最終的にゴールに辿り着くのであれば受け入れるようにしているが、中にはこれを受け入れてしまうとゴールに向かわなくなる、という提案が来る場合も。
岡本氏はこうしたゴールに関わるラインを“関ヶ原”と呼び、これまでに何度も進退をかけて戦ってきたという。
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これには森下氏も同様に、“最終的にどのように遊ぶゲームになるか”というコンセプトデザインを大事にしていると語る。
『パズドラ』は既存のソーシャルゲームを一掃してしまうようなゲームを作ろうということで、“カジュアルなアクションゲーム”をコンセプトに進行。スマートフォンにあわせてアクションパズルの形式を取りつつも、ドロップ操作=消しかたがうまいほど火力が出せるというアクション要素は、そうした流れから生まれてきたという。
ふたりのクリエイターのゲーム作りに対する共通点が垣間見えるトークに、来場者は食い入るように話に聞き入っていた。
スマホゲームの10年後とesports
イベントの最後には、来場者からの質問にゲストのふたりが答える、質疑応答のコーナーが設けられた。
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ここでは運営型のアプリゲームというプラットフォームが寿命を迎えるであろう将来について、ゲームを保存するための取り組みは行っているかとの質問が。
岡本氏は自身のポジションを「サッカーで言えばフォワードの点取り屋」であると語り、いまのゲームを後世に残すことよりも、つねに新しいことをしたいという自身のスタンスを表明。
また森下氏は、プラットフォームの保存よりも、10年後の小学生が『パズドラ』を遊んでいるかどうかが重要と述べる。
世代を重ねるごとに新たなゲームが登場してくる中で、10年経ったIPをどのようにしてつぎの世代に遊んでもらうかが将来的な課題になると語った。
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また、最近のゲーム業界を盛り上げているesportsについて、それぞれどのような考えを持っているかとの質問も。
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▲こちらの質問をした来場者は学生とのこと。ゲーム業界の外からも幅広い層が来場した。
森下氏はesportsという言葉が誤解を招く部分はあるが、本質的にはゲームの大会であるとコメント。賞金の存在よりも、出場する選手と観戦するユーザー、それぞれが楽しめることが第一であるとする。
その上で、自身はゲームを作る上ではesportsに対するこだわりはなく、実際に作ったゲームが競技性を持つものであれば大会を開けばいいとの考えを示した。
一方で岡本氏は、esportsという潮流そのものには大賛成であると語る。
ゲームを遊んでいる人がネガティブなワードと結び付けられることが多い現状について、esportsの存在が社会的に認知されることにより、ゲームがうまい人はかっこいい、金が稼げる、と言ったポジティブなワードに結びついていくことを期待していると言う。
ゲームクリエイターとして、ゲームをやっている人を悪く言うような言説が好きではないという岡本氏。esportsにスポットが当たることでゲームをプレイすることが社会的に認められ、ステータスになっていくのであれば応援したいし、そうなるようにバックアップもしていきたいと語った。
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ゲーム業界に興味があるならぜひ!
質疑応答の後は、記念撮影を経て懇親会へ。軽食も用意されてくだけたムードの中、来場者同士が今回のセッションを話題にしながら、親睦を深める様子が会場中で見られた。
冒頭でも触れた通り、この“黒川塾”はゲーム業界関係者だけでなく、一般ユーザーも参加可能となっている。
業界のトップランナーたちが本音で語り合う熱いトークは、ゲームの未来に興味のある人なら大きな刺激を受けられるはず。興味のある人は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。
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