「50年前のマニアックな怪獣には苦労した」『ゴジラ』ファンが作った都市防衛スマホゲーム『ゴジラDF』の制作秘話

2019-05-31 18:00 投稿

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ゴジラ ディフェンスフォース

コアファンもライトファンも楽しめる作品に

ネクソンより配信がスタートした新作スマホアプリ『ゴジラ ディフェンスフォース』。

本作は、東宝株式会社が全面監修のもと、誕生から65周年を迎えた“ゴジラ”シリーズを題材に、放置型都市防衛モバイルゲームとして制作された作品だ。一部シリーズを除き、歴代ゴジラシリーズの怪獣が多く登場するのが魅力で、かなりマニアックな怪獣なども登場する『ゴジラ』ファン必見のタイトルになっている。

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そんな本作の開発を手掛けた、ネオプルの開発チームSTUDIO42でディレクターを務めるファン氏(文中:ファン)と、監修を担当した東宝株式会社の砂子達也氏(文中:砂子)、原口絵美氏(文中:原口)にインタビューをする機会を得ることができた。本記事では、作品が生まれた経緯や本作ならでは魅力など、インタビューを通して明らかになった内容をお届けしよう。

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▲左からSTUDIO42 ディレクターのファン氏、東宝株式会社 映像事業部の砂子達也氏、国際部の原口絵美氏。

誰でも遊べるカジュアルな『ゴジラ』作品

――さっそくですが、まずはお三方の自己紹介をお願いします。

ファン 7年前から開発のチームリーダーとして働いており、『エビルファクトリー』という作品をプロデューサーとして制作しました。当時は5人という小規模なチームで開発をしていましたが、『エビルファクトリー』で成果が出たおかげで人数も増え、大きなタイトルにも挑戦できるようになっています。

砂子 私は国内における『ゴジラ』の商品化、ライセンス営業を担当しています。今回の『ゴジラ ディフェンスフォース』については、監修の立場として参加させていただきました。そのほか、アニメやフィギュア、『ちびゴジラ』のプロデュースなども担当していますね。

原口 私は国際部に所属していまして、おもに海外向けにライセンスの発行や監修を担当しております。今回の作品は全世界に向けての展開ということで、国内のチームにも協力を仰いで進めて参りました。

――今回、『ゴジラ』のIPを取得した経緯やキッカケを教えてください。

ファン 私のスタジオでは複雑な操作を必要とせず、簡単に遊べる放置型のダイナミックな作品を作ってみたいと思い、プロトタイプを製作していました。そのタイミングでネクソンさんから『ゴジラ』のIPを使用できるという話が入ってきたのがキッカケです。さっそく製作していたプロトタイプに『ゴジラ』を加えたところ、いい作品に仕上がりネクソンさんからも承認を受けられました。

――もともと放置ゲームを製作していたら、ベストなタイミングで『ゴジラ』の話が舞い込んできたと。

ファン 私自身が『ゴジラ』という作品に興味があったことも大きいです。なので、話が来たときにすぐに「やりたいです」と声を上げました。

原口 東宝では2018年ごろから『ゴジラ』の海外向けのライセンシングの営業を始めており、ネクソンさんにも作品のご紹介をさせて頂いておりましたので、ちょうどいいタイミングでしたね。

――両者にとって最適なタイミングだったわけですね。実際に開発されたゲームを見て、どのように感じましたか?

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砂子 従来の『ゴジラ』のゲームはクラシックタイプのものが多く、我々としても新規層の獲得が難しいと感じていました。ですが、今回の作品は毎日遊べるカジュアルタイプのゲームなので、新たに『ゴジラ』を知っていただくキッカケになってくれると期待しています。それでいてマニアックな兵器や怪獣も出てきますので、おもしろい形になっているという印象ですね。

――『ゴジラ』に詳しくない人がプレイすると、さまざまな怪獣が登場して驚かされますね。そこから作品を知るキッカケになりそうです。

砂子 登場した怪獣に興味を持っていただき、そこから『ゴジラ』ファンが増えてくれるとうれしいですね。

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▲『ゴジラ ディフェンスフォース』にはさまざまな怪獣が登場し、図鑑で詳細も確認できる。

――今回、数あるジャンルから放置型を選んだ理由について教えてください。

ファン 当初、私は放置ゲームにいい印象を抱いていませんでした。ですが、時間をかければ100%乗り越えられるゲーム設計に、モバイルゲームならではの魅力があるなと。そんな作品に大規模な戦闘を掛け合わせたらユニークな作品になると考えました。発表した当初は「なぜ『ゴジラ』で放置ゲームなのか」という意見もありましたが、実際に韓国で公開してみるとカジュアルに『ゴジラ』の世界観に触れられると評価をいただいております。図鑑機能などもあるため、『ゴジラ』の世界を学べる作品にもなるのかなと。

怪獣のモデルはゴジラのしわの数まで細かく監修!

――本作では怪獣を人間が倒していくことになりますが、東宝さんとしてシステム面で変更を求めた部分はありますか?

砂子 『ゴジラ』作品の中には、人間VSゴジラや、怪獣VS怪獣などさまざまなパターンがあります。ですので、今作のように人間が怪獣を倒せるシステムでも違和感はありません。勝てないような怪獣が登場した際、ほかの怪獣が戦ってくれるのか、それとも人間が勝つ方法を見つけるのかという軸からはズレていないので問題はないのかなと。

――勝手な想像ですが『ゴジラ』はこうあるべき、という思いから開発にも強い影響が出る部分なのではと考えていました。

砂子 もちろん、『ゴジラ』としてどうしても外せない要素は設けていましたが、開発チームが愛を持って製作してくれましたので大きな問題はありませんでした。本作では“X星人”というキャラクターが登場しますが、それも原作にある設定を拡大解釈して盛り込んでくれたので、ストーリーや世界観に違和感が生じることもなかったです。

ファン 開発としても、大きなIPで製作することに不安はありました。ですが、実際に進めてみると想像以上にスムーズでしたね。怪獣のモーションはもちろんのこと、“ゴジラ”のしわの数まで監修をしてくれましたが、開発チームのことも尊重をしていただけました。当然チェック段階で修正が入ることはありますが、その内容もファンを尊重するなら修正するべきだと感じる内容ばかりだったので、開発チームも納得して修正をしています。

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――しわの数まで監修というのはすごいですね。ちなみに、とくに制作に苦労した怪獣はいますか?

ファン “モスラ”ですね。本作では怪獣の出現位置や角度が決まっているので、その中で綺麗にアニメーションを作るのがたいへんでした。

砂子 造形面は細かく監修をしましたので、開発チームとしてはたいへんだったのではないかと。マニアックな怪獣や“ゴジラ”を年代べつに製作していただけました。ファンをガッカリしないように、特徴を出せるかはこだわっていますよ。“モスラ”についても年代によって特徴を出すことで、「さっき出たモスラと変わらない」と思われないような造形になっています。

ファン ゲームではほとんど見えないような、“ゴジラ”の背びれの高さなども監修していただきました。

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――怪獣の細かい特徴が反映されているのは、『ゴジラ』ファンとしてはうれしいですね。

原口 映画では登場機会の少ない怪獣もゲーム内に登場しますので、こちらとしても監修するのはおもしろかったです。あまりチェックする機会がない怪獣は、当時の資料や映像で造形を確認していました。監修をスタートした段階と比べると、後半はこちらも楽しくなって熱が入っていましたね。

ファン 50年前のマニアックな怪獣などは三面図などの資料もなくて、開発チームも苦労していました。

――登場する怪獣を見るのが楽しみになってきました。では、怪獣以外にゲームとしての注目ポイントはどこでしょうか?

ファン 放置ゲームとしてカジュアルに遊べるのは魅力ですね。『ゴジラ』作品としてだけでなく、放置ゲームとしてのシステムもしっかりと作り込んであります。放置型の作品としては珍しいカードシステムも、プレイヤーが介入する余地が生まれていい塩梅になったのではないかと。倒した怪獣のカードが手に入るのも、ワクワクしていいですよね。従来の『ゴジラ』ゲームと違い、人間サイドでプレイするというのも魅力のひとつだと思っています。最初は勝てないような絶対的な強者である怪獣に、人間が強くなって勝利していくというのがコアな魅力なのではないかと。

砂子 カジュアルに遊べて、なおかつ『ゴジラ』ファンが楽しみながらプレイできる、ファンの心をくすぐる作品になっていると思います。映画だと触れてもらえる頻度が限られますが、本作を毎日プレイすることで『ゴジラ』に触れる機会を増やしていただけるのではないかと。

――新たな映画の放映も予定されていますが、新しい作品からも怪獣は登場しますか?

砂子 現状、ハリウッド版がアプリに登場する予定はありません。映画を見て『ゴジラ』に興味を持っていただけたら、『ゴジラ ディフェンスフォース』をプレイしてより作品をしっていただけれたらうれしいです。“モスラ”や“キングギドラ”の歴史を知ってもらえるツールにもなるのではないかと。“ゴジラ”が登場しない怪獣映画からも網羅されています。

――ファンさんはもともと『ゴジラ』ファンとのことですが、ひとりのファンとして好きな作品などあれば教えてください。

ファン 『怪獣大戦争』という映画に登場したユニークな怪獣が印象に残っています。その怪獣を後から調べたら“X星人”で、そこからゲームのストーリーにも盛り込むことを決めました。ストーリーは、『怪獣大戦争』からインスピレーションを受けた部分が多いです。

――最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします。

砂子 『ゴジラ』が好きな人はもちろん、映画を少し見たことがあるという人にもゲームを遊んでいただき、『ゴジラ』をより好きになっていただけるとうれしいです。

原口 『ゴジラ』を理解しながら開発を進めていただけたので、ライトユーザーからコアなファンまで飽きずに長く楽しんでいただける作品になったのではないかと。アップデートも予定していますので、長く楽しんでいただければと思います。

ファン 当初は満足していただけるか不安でしたが、『ゴジラ』のモバイルゲームとして楽しめるという意見をファンの方からいただけました。50年の歴史を持つ『ゴジラ』は敷居が高いと思われるかもしれませんが、本作が『ゴジラ』を知るキッカケになってくれるとうれしいです。

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ゴジラ ディフェンスフォース

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルリアルタイムストラテジー
メーカーネクソン
公式サイトhttp://mobile.neople.co.kr/godzillaDF/
配信日配信中
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