【大塚角満のFLOプレイ日記かど散歩】第7回：野良は、いずれ

野良は、いずれ 『ファンタジーライフ オンライン』はシングルプレイで第1章を終えると、“マルチクエスト”に行けるようになる。このマルチこそ、ニンテンドー3DS版の『ファンタジーライフ』から連綿と続く“最大の遊びどころ”で、ときにリアルフレンドと、そしてときには不特定多数の“ネットの向こうのお友だち”たちと、ワイワイキャアキャアと出撃することがじつにじつに楽しいのである。 そんな俺は絵に描いたような人見知りなので、いまだ野良ではマルチクエストに行っていない。 ｢いい歳して、完全にネットコミュ障じゃないっすか！！ｗｗｗ オンラインゲームが出始めのころは、｢見知らぬ人とコミュニケーションを取ることが、ネットゲーム最大の楽しみだな！！｣なんて言って、一生オンラインロビーでチャットしてたくせに！！！｣ (´･ω･) ↑こんな顔でうじうじする俺に向かって、目黒が雷を落とした。 言われてみれば確かに、家庭用ゲーム機のネットワーク黎明期に出た『みんなのGOLF オンライン』で、俺は“ロビーの帝王”と呼ばれ、見知らぬ人たちとチャットばかりしていた。プライベートをさらしまくった会話はもとより、勉強の悩み、仕事の愚痴、果ては恋愛相談までいろいろと……。そこで出会った人々とオフ会をすることはしょっちゅうだったし、地方に住んでいる顔も本名も知らない人のもとに、ツーリングがてら遊びに行かせてもらったこともあったりした。ネット世界がおおらかだった時代ゆえにできたことかもしれないが、いまのオノレの引っ込み思案ぶりを見ると、隔世の感すら覚える。 とはいえ、簡単に性格が直るなら医者も薬もいらないわけで。俺は今日も、 (´･ω･) ↑この顔でコッソリとマルチクエストを立て、仲間が気づいて入ってくるのを待っていた（どんだけ）。 そしてしばらくすると、俺の垂らした釣り針に、たっちーが喰いついた。｢フィッシュオン！！｣である。 ｢よかった……。この川には、魚は住んでいないのかと思ったよ……｣ ぼそぼそと暗い独り言を言う俺に、たっちーがチャットで話しかけてくる。 ｢何をやっとんねんｗｗｗ たまたま“ともだちチェック”をしたから気づいたけどｗｗｗ｣ 俺は再び (´･ω･) ←この顔で、たっちーに言った。 ｢いや……マルチクエストやりたかったんだけど、みんな忙しいかなって……。なので誰かが気づくまで、ここで待ってようと思って……｣ ネットの向こうで、たっちーが噴き出したのがわかった。 ｢泣けるｗｗｗｗｗ さみしすぎるｗｗｗｗｗ｣ 続けて、彼女は俺に発破をかけてきた。 ｢わし、最近はもっぱら野良でマルチクエストばっかやってるけど、めちゃくちゃ気軽だし、気安いので、オメーのようなネット人見知りのおっさんでも大丈夫やで！！ わしやおにい（目黒のこと）の陰に隠れていないで、たまには外に出て遊んできなさい！！！｣ オマエは俺のかーちゃんか！！ と思ったが声には出さず、そのまま“準備OK”のボタンを押してフィールドに出発した。野良でのマルチクエストは、今後の課題とさせていただこう（大げさ）。 そして、無事にマルチクエストに出られると、そこからは俺の独壇場である。というのも、ネット人見知りの人間は、知り合いだけしかいない環境に来たとわかるやすぐに“ネット弁慶”にライフチェンジを果たすので、ウザいくらい饒舌になるのだ。『ファンタジーライフ オンライン』は要所で発するコメントを編集できるし、自由発言もできるので、ネット弁慶の出番なのである。なので、俺はしゃべりまくり。 これには、たっちーも辟易である。 ｢うるせえ！！！ｗｗｗ 真面目に狩れや！！！ｗｗｗ｣ こうやってじょじょに慣れ、いつか本当の意味でのマルチクエストにデビューできたら……！！ そのときは皆さん、どうぞよろしくお願いいたしますｗ 前へ 大塚角満 大塚角満（おおつか・かどまん）…… 週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モ ンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか！』シリーズな ど。ファミ通Appでは、“熱血パズドラ部！”を始めとするスマホゲームの執筆活動も行っている。 ⇒『FLOプレイ日記 かど散歩』バックナンバーはこちら

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