日本版はキャラ設定もシナリオもオリジナル!『OVERHIT(オーバーヒット)』のカルチャライズの仕掛け人に直撃インタビュー

2018-05-28 19:00 投稿

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OVERHIT

おもしろさの秘訣は徹底したカルチャライズにあり!

大人気RPG『HIT』の開発チームが新たに世に送り出す、ネクソンのスマホ向け新作アプリ『OVERHIT』。

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先行して配信されている韓国でも人気を集めている本作は、いよいよ日本でも5月29日にサービスが開始される。

▼『OVERHIT』配信開始!

すでに配信されている韓国版と異なり、日本版ではキャラクターのモデル改修や日本版独自のシナリオが用意されているなど、配信する国の好みに合わせてゲーム内容を変更する“カルチャライズ”が徹底されているようだ。

そこで今回は『OVERHIT』の開発元であるNAT Gamesのプロデューサー、尹仁聖氏にインタビューを実施。日本版での改修点や今後のサービス予定など、さまざまなお話をうかがうことができた。

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▲NAT Gamesのプロデューサー尹仁聖(ユン インソン)氏。

インタビューの見どころ
・シナリオ&キャラクター設定は日本向けに作り直し
・日本版はより“キャラクターが活躍する”ように変更
・スマホ最高峰のグラフィックを生み出すために
・配信後も日本向けのコンテンツを作成予定!

シナリオ&キャラクター設定は日本向けに作り直し

――まずは、改めて尹さんの自己紹介をお願いします。

 前作『HIT』では企画チームに所属していました、尹仁聖です。以前は別のゲーム会社に勤めており、企画リーダーやゲームプロデューサーをしていた経験もあります。NAT Gamesではおもにカルチャライズを担当しています。

――『OVERHIT』では、シナリオ・キャラクター・バトル・育成面の4つがカルチャライズの主な対象になっているとお聞きしました。韓国版と日本版ではシナリオが大きく異なるということですが、日本向けに企画を練り直したのでしょうか?

 当初は、韓国版で配信されていたシナリオを少しだけ改修するという話も出ていました。ですが、韓国のユーザーと日本のユーザーでは好まれるシナリオの傾向が異なるため、満足していただけるシナリオをご提供することを考えた結果、最初から作り直すのがベストだという結論に至りました。

――韓国版のシナリオは、日本人向けではない内容だったのでしょうか?

 韓国では大人のキャラクターが好まれる傾向があるため、シナリオも大人が活躍することを前提として組まれていました。対して日本では、ライトノベルなどを中心に少年少女たちが成長していく物語が人気なため、『OVERHIT』のシナリオも少年少女が活躍する形に変更しています。

――キャラクターモデルもかなり改修されているとお聞きしましたが、具体的にはどのような調整が行われたのでしょうか?

 キャラクターモデルの修正はかなりの工数を重ねました。顔のバランス、髪型はそこまで修正が難しくないのですが、頭身の調整はそうもいきません。韓国では基本的に8頭身のモデルになっていたため、幼くするために身長を調整すると、そこに紐づく腕を動かすモーションなどもすべて修正する必要が出てきます。

――一ヵ所を調整するだけで複数の修正が必要になると……それはたいへんですね。

 ヒロインであるソフィアの年齢も当初は20歳を想定していたため、年齢を下げるための調整は非常に難航しましたね(笑)。当初、主人公たちの年齢を16歳に設定したいという話があったのですが、既存のモデルからの調整だとどうしても18歳が限界でした。そういった経緯もあり、ソフィアの年齢に関してはかなり長いあいだ議論していましたが、最終的には17歳になっています。幼さを残しつつ、大人の魅力も秘めているキャラクターになったのではないかと。

ソフィア4

――キャラクターの年齢や外見の変更なども、シナリオが改修された要因となったのでしょうか?

 ヒロインの年齢が変わってくると、当然性格やほかのキャラクターとの関係性も練り直す必要が出てきます。結果的に、シナリオも1から作り直すことになりました。

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――日本人のシナリオライターを起用しているとのことでしたが、どういった経緯で仕事をお願いすることになったのでしょうか?

 当初から日本人のシナリオライターを起用するという計画はありました。外国と比べて日本では人の呼びかたが多くあり、翻訳では補えないそのニュアンスは日本のライターさんにお任せするのが最適かなと。独特の口調や特徴的な語尾を使うキャラクターなど、翻訳では違和感の残る点を解消できたと思います。

――カルチャライズをするために配信する国のライターを起用するというのは、よくある話なのでしょうか?

 ゲーム業界ではそれほど多い話ではありません。ただ、NAT Gamesの場合は前作の『HIT』でも日本人のライターを起用していたため、当然『OVERHIT』でも当初から視野には入れていました。

――韓国版では敵として登場するキャラクターが、日本版では味方になっていることがあるとお聞きしました。日本版のストーリーは、韓国版とはまったく別の内容になっていると考えてよいのでしょうか?

 韓国版では、キャラクターの所属する勢力など、立ち位置をそこまで明確には決めていませんでした。そこで日本版では、世界観や各キャラクターの立ち位置を最初から設定することになりました。ストーリーはまったく別の内容になっており、韓国版では残虐な性格のキャラクターが、日本版ではミステリアスなキャラクターとして登場することもあります。

――お話を聞く限りですと、韓国版と比べると日本版はストーリーや設定がしっかりと作られているような印象を受けます。

 もちろん、韓国版でもユーザーに合わせたシナリオは用意しており、高評価をいただいております。ただ、ユーザーによってシナリオに求めるものは異なりますので、日本版のシナリオもしっかりと準備をして進めていきました。

――韓国版からのカルチャライズは、『HIT』で得たノウハウが活かされているのでしょうか?

 以前から日本市場に合わせることへの重要性を感じていましたが、時間とコストのかかるカルチャライズを実現できる会社というのはそれほど多くありません。しかし、NAT Gamesでは『HIT』の成功例があったため、十分なカルチャライズを実施することができました。

――韓国版と異なり日本版ではストーリーパートで2Dイラストが起用されていますが、これもカルチャライズの一環でしょうか?

2Dイラスト5

 メインストーリーは3Dモーションを用いて展開されますが、じつは韓国ではドラマパートの需要はそれほど大きくありません。そのため、バトルモーションは多く用意していたのですが、コミュニケーション用のモーションは数が少ない状況でした。会話中のモーションも限られたものしかなく、そのまま日本版のシナリオで使用してみるとシュールな光景になってしまって……。

――韓国版では不要だった会話用のモーションが、日本版で重要性を増してきたと。

 モーション製作はかなりのコストがかかるため、すぐには用意できませんでした。そこで、キャラクターの細かい感情を表現するために2Dイラストを起用しています。ただ、結果的にはかなりの数のモーションが用意できたため、モーションのほうもお楽しみいただけると思います。

――ストーリーの改修だけでもかなりのコストがかかっていますね。カルチャライズをするうえでは、よくある話なのでしょうか?

 ほとんどないと思います。短期間でモーションなどを用意する必要もあったため、非常に苦労した点のひとつですね。

――シナリオ・キャラクターをカルチャライズをするうえで、ほかに苦労した点などはありますか?

 イラストの起用、さらにシナリオがフルボイスになっていますので、アプリの容量が少し大きくなってしまった点が懸念ですね……。韓国版にもボイスは付いていますが、日本のシナリオはボリュームが大きいためボイス量も比例して大容量になっています。

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日本版はより“キャラクターが活躍する”ように変更

――バトルシステムに関してもお聞かせください。属性システム、リーダースキルは日本版でのみ実装されているようですが、韓国版で採用されていない意図はあるのでしょうか?

 韓国のユーザーにとって属性システムはあまりなじみがなく、実装されていても好感を持たれません。そのため、制作をはじめた段階で属性システムは実装しないことが決まっていました。

リーダースキル2
▲画像は試遊機より。

――日本版では、それらをどのような理由で採用したのでしょうか?

 属性システムがないと使えるキャラクターが限られてしまい、新規キャラクターを出すとしても単純にパラメーターを上げることしかできなくなります。キャラクター性能のインフレが起きないよう、育成とアップデートの要素を増やしたいというのが理由のひとつです。

もうひとつ、キャラクターが活躍できる場面を増やすことも属性システムを取り入れた要因になります。韓国のユーザーは勝ち負けをとても大事にするため、キャラクターの個性よりも性能を重視する傾向が強いです。開発としては各キャラクターごとの使い道を示したかったのですが、韓国版のシステムではそれを表現するのが難しい状況でした。そこで、日本版ではリーダースキルや属性システムを導入してより戦略性を高め、活躍できるキャラクターが増えるようにしています。

――ゲーム内で開催されるイベントなどは、韓国版と日本版で異なりますか?

 韓国ではPvPなど、ほかのユーザーと競い合うコンテンツが重視されるため、アップデートされるコンテンツもそこに集中しています。日本ではキャラクター、シナリオが楽しまれる傾向にあるため、韓国版で実装したコンテンツを日本版に実装するかどうかは議論している最中です。まずはストーリーとシナリオを楽しんでいただくために、あえて実装していないコンテンツも用意しています。

――ここまで日本版と異なると、韓国のユーザーから「日本版の要素がほしい」という声も出てきそうですね。

 現時点では韓国のユーザーには日本版の情報がほとんど届いていませんので、これから反応があるかもしれません。ただ、日本と韓国では求めるゲーム性が異なるため、日本版の情報を見た韓国のユーザーから「韓国版のほうが好きだ」という意見が出ていることは確認しています。

――システム面で大きく変わった点はどこでしょうか?

 大きな変更点は、キャラクターのレアリティですね。韓国版ではキャラクターのレアリティを上げることができますが、日本版ではレアリティ固定で上げることはできません。日本でもレアリティを上げることができるゲームはありますが、なじみ深いレアリティ固定を採用しています。

スマホ最高峰のグラフィックを生み出すために

――“Unreal Engine 4”を用いたうえで工夫した点、苦労した点などがあれば教えてください。

 “Unreal Engine 4”は制約が少ないため、開発でもスムーズに活用することができました。とはいえ、PCと比べるとスマートフォンはスペックの問題が生じてしまいます。『OVERHIT』では同時に複数のキャラクターが動くため、メモリの問題で苦労しました。

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――スマートフォンのスペック問題以外で、苦労した点はありますか?

 “Unreal Engine 4”はPC向けのツールなため、モバイルツール向けの機能が不足していました。とくにUI関連の機能が少なく、スマートフォンで運用するとかなりの工数が発生してしまうのが悩みどころです。『HIT』で“Unreal Engine 4”経験を積んだスタッフが多くいたため、なんとか運用することができています。

――本作の重要な要素“シネマティック・スキル”には、尹さん自身も大きく関わっているのでしょうか?

 アートチームが綺麗に作ってくれるので、そこまで深くは関与していません。コンセプトを決めてデザインを作る部分までは関わりますが、モーション作成はこちらで指示を出すより、アートチームに任せてしまったほうがクオリティの高い内容に仕上がるのでお任せしています。

配信後も日本向けのコンテンツを作成予定!

――『OVERHIT』の今後の展開について、予定しているアップデートなどがあればぜひ教えてください。

 協力プレイとなる“討伐戦”は、早い段階で実装する予定となっています。配信開始時点でストーリーは12チャプターまでは実装されていますが、13チャプターのアップデートも夏が終わる前には実装予定です。

――キャラクターの追加ペースは決まっているのでしょうか?

 韓国ですでに作成されているキャラクターのほか、日本向けで作成したキャラクターも用意していますので、月に4~5キャラは追加できる予定です。開発の希望として、月に1体は日本専用のキャラクターを追加したいと考えています。

――ありがとうございます。最後に、『OVERHIT』の配信を待っている日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

 一生懸命作りましたので、ストーリーとキャラクターを愛していただければと思います。最大限ユーザーのニーズに応えたいと考えていますので、プレイした方からの要望や感想などもお待ちしております。

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OVERHIT

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルRPG
メーカーネクソン
公式サイトhttp://overhit.nexon.com/
公式Twitterhttps://twitter.com/OVERHIT_nxj
配信日配信終了
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