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ファミ通App編集部

グローバル化するアプリ市場は中国・日本・アメリカの三国志時代へ突入!? App Ape Awardトークセッションリポート

2018-02-14 11:49 投稿

トークイベントで明かされる中国巨大企業の思考と力

アプリ分析サービスを展開している“App Ape”が、2017年に勢いのあったアプリに賞を送る“App Ape Award”を開催。

授賞式の前には、パネルディスカッション形式による講演も行われ、講演を目的とした来場者も多く列席をしていた本会。ここでは、その講演の中のひとつ“Go Global 2020年に向けたアプリビジネスの展望とは”のリポートを行っていく。

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今回の講演では、フォーブス ジャパン副編集長の谷本有香氏をモデレータに迎え、パネリストにはTencent Games(以下、テンセント)のシン・ジュノ氏、メルカリの小泉文明氏、delyの堀江裕介氏、フラーの渋谷修太氏が登壇した。

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▲写真左より、小泉氏、堀江氏、シン氏、渋谷氏

現在アプリ業界を牽引しているメーカーの重要人物たちは、2017年をどう分析し、今後のアプリビジネスの展望についてどのようなビジョンを持っているのだろうか?

大ヒットアプリを生み出した巨匠4名

まずはそれぞれの自己紹介も兼ねて、自社で行っている活動や提供しているサービスについて紹介が行われた。

最初に自己紹介を行ったのは、テンセントでDirector of Platform Business Developmentを務めるシン・ジュノ氏。

シン氏「テンセントは中国を中心にゲームのリリースなど行っています。売上の推移は毎年40~50%ずつ伸びており、去年には3兆円に到達しました」

いきなり、日本市場ではなかなか聞くことのできない桁外れの数字が飛び出し、会場からはどよめきにも似た声が上がっていたが、同時に「やはりテンセントは強い」と改めて確認し、納得させられた人も多かったようだ。

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現在、テンセントは中国だけでなく各国にオフィスを構えており、その中のひとつとして日本オフィスも存在している。日本にオフィスを置いた理由としては、日本の優秀なコンテンツを中国まで届ける狙いがあってのことだという。

続いて自己紹介を行ったのは、メルカリで取締役社長兼COOを務める小泉文明氏。

小泉氏「我々は、日本とアメリカを中心にサービス展開をしています。メルカリでは100万件以上の出品があり、ダウンロード数もトータルでは1億を突破しました」

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メルカリはユーザー間で自由な売買が行える、フリーマーケットのシステムをオンライン上で行えるアプリ。ただ、オンラインであることを活かして、形あるものだけでなく、人やノウハウといったものも、商品として扱うこともできる。氏はこういった新しい流通の形を作り出し、それを支えていきたいとビジョンを語ってくれた。

自己紹介3人目はdelyの代表取締役CEO、堀江裕介氏。

堀江氏「我々は、料理のレシピを短い動画で紹介するアプリ『クラシル』のサービス提供と運営を行っています。皆様の応援もあり、アプリには現在1万4000本ものレシピ動画が掲載されています」

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『クラシル』は、堀江氏が「グローバル化が進んでいく社会の中で、日本なりのサービスが提供できるのではないか」と思案した末に誕生したアプリだという。言葉や文字をほとんど必要としないレシピ動画は、まさにグローバルを意識したものと言えるだろう。

トリを飾ったフラーの代表取締役CEOである渋谷修太氏は「昨年から始めさせていただいている“App Ape Award”ですが、今年も多くの方にお集まりいただいて光栄です」と感謝の意を示し、自社サービス『App Ape』の案内で自己紹介を締めくくった。

確認となるが、App Apeはアプリのデータ分析を行っているサービス事業者。このジャンルの国内市場では1位を獲得する実績を持っており、市場把握や競合把握といった基本的な分析を始め、ユーザーを理解するのに必要なデータ分析も行い、そのデータを提供したりもしているという。

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中国企業を通して見る、現在のアプリ市場の形

自己紹介から始まった本セッション。最初のトークテーマは“2017年はアプリ業界にとってどういった年だったのか”というもの。

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これについて堀江氏は、自社サービスを展開させた際の経験をもとに、アプリ業界に起きているひとつの変化に着目。

堀江氏「アプリ業界は、とてもお金が必要なマーケットになってきていると思います。これは、スタートダッシュを成功させられるかどうかが、成功と失敗とを分けるひとつのカギになってきているからでしょう」

「アプリ市場は安価に参入できて、当たれば一攫千金の市場」。そういった話がなされていたのはもう5年以上も前。

いまではアプリ市場で成功を収めるには、しっかりとした資金を投入して、ちゃんとスタートダッシュを決めることが重要なのだという。

スタートダッシュの成否とはつまり、初動でどれだけのユーザーを確保できるかということ。堀江氏は話の中で「プロダクトの質を上げることもやはり大事」とも語っているが、それもユーザーに触れてもらわねば無用の長物となってしまうということなのだろう。

堀江氏はこのスタートダッシュを成功させるため、アプリ制作を始めてから間もなくのタイミングで、CMや広告などに数億円もの資金を投入した経験があるという。

これについては小泉氏もメルカリで同じことを感じたという。

小泉氏はスタートダッシュの重要さに同意しながら、さらに続けて「2017年はビットコインを始めとする仮想通貨が話題になりましたが、我々も仮想通貨については無関係ではいられなくなってくるでしょう」とコメント。

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ユーザー間でとは言え、お金のやり取りがなされる流通の場を提供しているメルカリにとって、新たに誕生しつつある仮想通貨への対応というのは、やはり注目の対象となっているのだろう。

しかし、注目はしつつも「これから、ここに関するさまざまな問題も起きてくると思うので、まずはそこを解決していかなければならない」と慎重な姿勢も見せており、現在激しい動向を見せている仮想通貨に対してさまざまな想定を巡らせていることが示唆された。

周囲がどよめくほどの売上を明らかにしてくれたテンセントのシン氏も、昨今のアプリ業界に大きな変化を感じているという。

シン氏「アプリの中でもゲームでの話となりますが、お金がお金を生む状態ができあがってきていると感じます」

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これは、ゲーム業界が資本集中型の産業になりつつあり、ゲームメーカーがゲームで稼いだお金を元手に、ゲーム以外の事業を始め、そこでまた収益を上げるというモデルが出来上がり始めたということらしい。

そう言われてみると、思い起こされるケースはいくつも思い出せるが、たしかにこれまでのコンシューマーベースで進んでいたゲーム市場ではあまり見られなかった動きだ。

また、氏は日本でも中国産のタイトルが大きな話題を呼んでいる点についても言及。これに関しても、お金の影響が大きいと言う。

曰く、中国国内で市場展開をするには多大な資金が必要となり、同じ額を使うとなった場合、巨額が一瞬で消し飛ぶ中国市場よりも、同額でさまざまな施策が行える日本で使ったほうが得になるというのだ。

流行を予想する側に回るか、流行を作る側に回るか

続いては、アプリ業界における2018年の動向予想が行われた。そこでテーマとなったのは“2018年の流行”だ。

その年にどのような流行が生まれるか、どのようにしたら流行が作れるか、どのようにしたら流行を捉えていくか。流行というワードは、市場を制するのに重要なポイントとなるのだ。もちろん、これは2018年に限られた話ではない。

この流行について堀江氏は、流行を作る側としてコメント。

これについて堀江氏は「世の中で流行るジャンルというものは1年の中でもたくさん出てきますが、それが継続した流行となるものはあまりありません」と語り始める。

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流行のジャンルをひとつ事業として取り上げるにしても、それが瞬間的な流行では事業としての成功は難しい。流行をビジネスとして取り扱うのならば、それが継続されるよう注力をしなければならない。

そういった前提をもとに、堀江氏は“刺激のコントロール”という言葉を提示。

人は刺激が大きいほど冷めやすくなる傾向があるため、刺激の量をコントロールして流行そのものを継続させるのが重要という考えを示してくれた。

一方小泉氏は、若者のあいだで起きている減少に着目し、流行を分析。

小泉氏「最近では、若い人たちのあいだで言葉を使わないコミュニケーションが増えてきているようです」。

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たしかに、近年では、チャットアプリでスタンプを使った会話の簡略化が行われ、SNS上では画像を貼ってのやり取りが目立つようになってきている。

写真をメインにしたSNS『インスタグラム』においては、言葉そのものが使われない場合も多い。

インターネットとの親和性が高い世代では、言葉ではなく視覚情報と感覚に頼ったコミュニケーションが流行っているように思える。そのほうが直感的でスピーディーなのだろう。

言葉を使わないという点では、『クラシル』のレシピ動画にも共通する部分がある。グローバル化という観点からも、言語を使わないコミュニケーションは、言葉の壁そのものをなかったことにできる利便性に飛んだアプローチと言えるだろう。

一方シン氏は「必要なのはとにかくスピードです」と、端的に流行を作るポイントを語ってくれた。

中国市場においては、流行を作るにはとにかくスピード重視。チャンスを逃さず一気に畳み掛けることが重要だそうだ。とくに中国は人も資金も潤沢にあるので、やろうと思えばたいていのことはすぐ出来てしまうという。

だからこそ、スピード感が重要視されるのだろう。しかしその一方で、他社にスピード負けをしないようにという意識からくる激しい競争も起きており、そこに端を発する残業の恒常化という現象が起きてしまっているとのこと。

 

このスピード重視という話は、あくまでも中国での戦いかた。だが、シン氏はそう前置きをしながらも「中国産のゲームが徐々にだが日本上陸を果たしているいま、日本でもスピードを意識しなければならない時代は近いうちに訪れるのかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

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この話を受けて何かしら思い起こされることがあるのだろう、堀江氏は「我々の数倍の資本で勝負をしかけてくるのは、恐ろしいというほかない」と声を漏らしていた。

2018年を生き残るには、中国が莫大な資金を投じて作ってくる流行に乗るべきか、それともそれに負けない流行を作っていくのが正解なのか。難しい年になりそうだ。

各社が抱く2018年へのビジョンとは?

こうしてさまざまな目線から2018年のアプリ市場が語られたトークセッションは、最後に各々が掲げる今後の展望を述べて幕を閉じた。

渋谷氏「やはりグローバル化が進む年ということで、我々もグローバルな活動を行っていきたいと思っています。アプリの動きについて、ダウンロード数、DAUなどの数値を超えた、その先の知識を作っていきたいです」

シン氏「中国企業は現在目に見えるほどの成長を遂げており、企業が投資に使う金額は年間数兆円規模となりました。なので、今後はそんな中国と、現在のアプリ市場強国である日本、アメリカによる三国志的な戦いが起こるのではないかと想定しています。我々はそのような環境下でも勝てるように、さらなるグローバル化を目指してスピードを始めとした戦略を伸ばしていきます」

堀江氏「来た波をしっかりと捕まえられるようになりたいですね。後は、当たり前のことですが、いい社員を育てて、いい会社を作る。この当たり前を出来ている会社は案外少ないのではないかと思います。いい会社を作り、1個1個のサービスで絶対に勝ち抜くという気合を持って2018年に臨みます」

小泉氏「僕らがここまで成長するまでに、“これはやれることではないか”と思えることはたくさんありました。ですが、それらすべてを行っていたら、我々はここまで成長できなかったと思います。重要なのは、やれることをやるのではなく、お客様には何が必要で、何を求められているのかを見極めて提供していくことだと思いますので、今後もそれを貫いていきたいと思います」

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4名とも展望に差異はあれども、それぞれが自身の目指すべきビジョンと、それに対しての施策をすでに抱えていることが伺えた。

とくに、今回シン氏の口から語られた“中国企業の日本進出”に関しては、中国産タイトルを牽引する筆頭企業テンセント内部に所属する人からの貴重な話となった。この話については、市場の種類やオンライン/オフラインという別に限らず、どのような市場に対しても参考になる話であったことと思う。

この話を日本メーカーはどう受け止め、どのような施策を取っていくのだろうか。そして、日本市場はどのような2018年を迎えていくのか。今年も市場の動きにはしっかりと注目していきたい。

なお、今後求められるであろうメーカーからのグローバル対応に合わせ、App ApeはUS市場におけるアプリ利用データを期間限定で無償公開するとのこと。日本市場と北米市場とでは、どのような差異があるのか、気になる人はこちらもチェックしておこう。

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