DeNA、サイバーエージェント、セガゲームス、ネクソンのキーパーソンがマーケティング戦略の未来を語る【Next Marketing Summit】

2017-04-27 17:04 投稿

未来を拓くのはニーズに合致した独自戦略

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2017年4月26日、東京のベルサール六本木にて開催の“Next Marketing Summit”で、“各社キーパーソンが考えるマーケティング戦略と未来”と題したセッションが行われた。

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登壇者は、サイバーエージェントの齋藤隼一氏、セガゲームスの吉田大氏、DeNAの佐藤基氏、ネクソンの鈴木恵慈郎氏。モデレーターはアカツキの立山早氏が務めた。

登壇者
▲左から、齋藤氏、吉田氏、佐藤氏、鈴木氏。

キーマンが感じるスマホマーケティングの変化とは

齋藤氏

まず、立山氏が「スマホゲームマーケティングにおいて、4〜5年前までは“マーケティング”=”広告プロモーション”という意味で使われていた。しかし直近は”広義のマーケティング力”が重要となっているのでは?」と切り出し、各人へ直近のマーケティングの変化について尋ねた。

吉田氏は「手段という形で言えば、コモディティ化していることが挙げられる。ただ、どこも同じことを考えているため差別化は難しい」とコメント。

また、「当社の扱うタイトルには、年齢を重ねたものが多い。だからこそ、ユーザーが積み重ねたゲーム内のアセットを大事にしていきたい」と展望を語った。

佐藤氏は、「モバイルには、スマホゲーム流行以前、2010年ごろの“モバゲー”から関わっているが、変化は如実に感じている。ユーザーにとっていちばん身近なデバイスがスマホであると考えると、より自由なマーケティングが実現できる、おもしろい時代になった」とプラットフォームの利便性にも言及。

鈴木氏は、「スマホゲームは、広告を見ない日がないほどに普及している。そして、そのほとんどが無料にも関わらず、ダウンロードしてもプレイしないという現象すら起きている。多くのタイトルの中から、手にとって遊んでもらう努力を意識しなければならない」と述べた。

齋藤氏は、「“運用力”こそが重要に感じる。現状は、CPIに縛られすぎていて、新しい手法が出てこない。ある種の“ぶっとんだ方法”こそが必要ではないか」と語った。

プランニングとその遂行方法

????田氏

続いての議題はプランニングについて。「年々、総合プランニングの難易度は上がっている。その最適化の方法と遂行するための体制は?」と、立山氏が各人にその方法を問う。

佐藤氏は「“ゲームのおもしろさ”を伝えることが非常に大事。ただそのためには、“自分たちのゲームのおもしろさを、自分たちが理解する”ということが不可欠。それを考える体制自体を、社内で整える必要がある」と“おもしろさ”にフォーカスした論を展開。加えて、ユーザーからのフィードバックの重要さにも触れた。

鈴木氏は「“こういう遊びかたをしたらおもしろい”、という部分をいかに見せていくかが大事。日々変わっていくマーケットの中で、柔軟性をもって指針を打ち出していきたい」と述べた。

吉田氏は、「タイトルの成熟度合によって、訴求するポイントを変える必要がある。開発の人間が伝えたいことは重要だが、それは本当にユーザーが欲しい情報なのか? ということを精査すべき。押し売りになってはいけない」と多数のタイトルを要する企業ならではの考えを展開。

「また、離脱ユーザーを戻すのではなく、離脱させないことが重要」と、離脱を未然に防ぐ施策を強く訴えた。

齋藤氏は、「我々は“チームで勝ちにいく”ということを重視している。たとえばマーケティング面では、ひとり1タイトルという形を取っていない。人数的には多くないが、タイトル全体の戦略を見る者、専門的に見る者など、立体的な体制を敷いている」と述べた。

満足度の指標とは

佐藤氏

続いての質問は、スマホアプリ運営には不可欠な顧客満足度について。各社はどのような手段でユーザーの満足度を測っているのだろうか。

佐藤氏は「公式ニコ生など、熱心に遊んでくれているユーザーに訴えかけるものは、視聴数を満足度の指標として活用できる」と発言。

ここでモデレーターの立山氏が、「(DeNAの)『逆転オセロニア』はファンMTGなど、リアルイベントにも力を入れていますよね」と相づち。

これに対し、佐藤氏は「『逆転オセロニア』はコミュニティをとにかく大事にしているタイトル。、“ゲームをいっしょに遊ぶ人”、そして“いっしょに遊ぶことは楽しい”というところを引き続き大切にしたい」と、定期的に大型リアルイベントを実施している同社タイトルを例に、ユーザー満足度の可視化を語った。

吉田氏はファンイベントの効果にも触れつつ、「タイトルとして大事にするものに対しての投資は必要。経験則だが、“我々はユーザーにどういった体験を提供したいのか?”という認識をより強めていくべきと思う」と発言。

齋藤氏は同社の『オルタナティブガールズ』を引き合いに「『オルガル』のようなVR作品の場合、その体験をユーザーに語ってもらう必要もある。バイラル的な部分に対し、ある程度の予算は必要だ」と、口コミの重要性について触れた。

鈴木氏は、同社の『メイプルストーリー』など、オンラインゲームの長期運営実績を例に、オフラインイベントの有用性に言及。また、「離脱者の復帰や、ゲームの起動率など、何がどこに影響を与えているかなどを数字的に見ている部分もある」と述べた。

各社の戦略と未来

鈴木氏

続いて、各社の具体的なビジョンと未来について、各々が意見を交わした。

鈴木氏は「(当社は)グローバルに展開しているが、日本、中国、韓国で、RPGやアクションが人気ということは共通している。今後は、日韓中のゲームの双方向的な流れがより加速するのではないか」と予想。また、「オリジナルゲームでヒットを出していきたい」と今後の展望を語った。

佐藤氏は「マーケティング戦略として求められるのは、やはりおもしろさを伝えていくこと。ダイレクトにおもしろさが伝われば、売れるのは事実。どう作って、どう伝えるかが重要だ」と、ユーザーへの訴求ポイントについて言及。

また、スマホゲーム市場について「より拡大すると見ている。ひょっとしたらすでに、かもしれないが、エンタメの中心がスマホゲームになるのではないか」と、マーケットの可能性とそのための戦略についても語った。

齋藤氏は「(当社は)代理店との連携、各部署の連携が早いことが強み。さまざまなサービスも提供しているため、それらのノウハウを十分に活かしたい。また、ゲームが持っている数字が圧倒的に大きい。より突き抜けられる施策を取りたい」と意欲を見せた。

吉田氏は、「グローバルな展開をしていきたい。その土台を固めるためには、マーケティング自動化が必要と感じる。そのうえで、海外に向けて万全な体制を整える1年でありたい」と述べた。

手法はさまざま。しかしマンパワーは必須

本セッションは、各社ごとの特徴を色濃く見ることができる、非常に有意義なものとなった。

しかし、吉田氏に端を発したマーケティング自動化については各々が共通の見解を見せ、「ツールが発達してサジェストしてくれても、人の感情に対する部分は、やはり人が埋める必要がある」、「プロデュースはツールにはできない」、「あくまで、人間が脳を動かす作業に集中させるための自動化」、といった、マンパワーの重要性を強調する発言が寄せられることに。

さらなる拡大を見せるスマホ市場に、各社がどのように切り込んでいくのか。それぞれのマーケティング手法から、これからも目が離せない。

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