時田貴司氏が語る『FFレジェンズII』”新生”秘話
2016-11-11 19:52 投稿
時田貴司氏に直撃
2016年11月10日、『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』(以下、『時空ノ水晶』)が”新生”を果たし、『ファイナルファンタジーレジェンズII』(以下、本作を『FFレジェンズII』、『ファイナルファンタジー』を『FF』に)へと生まれ変わった。
『時空ノ水晶』当時からの魅力はそのままに、新ストーリーの開始と合わせてグラフィックを一新。さらには細やかなシステム部分の改修も行われ、文字通り”新生”した『FFレジェンズII』。
今回は、そんなリリースされたばかりの本作をさらに掘り下げるべく、『FFレジェンズII』ジェネラルディレクターの時田貴司氏(文中、時田)へのインタビューを敢行。
突然の新生の理由、さらには『FF』シリーズへの想いなども語っていただいた。
■時田貴司氏
『FFレジェンズII』への”新生”には『FF』シリーズへの熱い想いが関係していた
――このたび、『時空ノ水晶』が『FFレジェンズII』へと新生を遂げました。この”新生”とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?
時田 端的に言うと“超大幅アップデート”なのですが、我々はこれを“新生”と謳っています。
――なぜこのタイミングで新生をされようと思われたのですか?
時田 『時空ノ水晶』のストーリーがひと区切りついたのが大きいですね。それと、今年の春ごろからレイドバトルの導入や、細かなシステム改修を行なってきました。これらの集大成として、新しいメインストーリーが追加されるのはもちろん、グラフィックやゲームシステムも刷新しようと考えました。作品全体が大きく変わるならば、タイトルも改変して、新たな一歩を踏み出そうとなった感じです。
――『時空ノ水晶』として、ひとつの区切りをつける、と?
時田 そうですね。メインストーリーのひと区切りを『時空ノ水晶』にとってのひとつのゴールとして、『FFレジェンズII』へと文字通り”新生”した形になります。
――なぜ『時空ノ水晶II』ではなく、『FFレジェンズII』なのでしょうか?
時田 『時空ノ水晶』も『FFレジェンズ 光と闇の戦士』(以下、『光と闇の戦士』)の血脈にある作品です。自分の中にあったコンセプトを見つめなおす中で、そうした系譜に連なる作品は、ひとつのタイトルにまとめるべきだと思ったんです。
――時田さんの中にあったコンセプトについて、詳しく教えていただけますか?
時田 じつは『FFレジェンズ』シリーズのコンセプトって、“スーパーファミコン時代のような『FF』の新作を、その時代性に合わせて作る”なんです。それは『光と闇の戦士』のころからいままで、ずっと根底にありました。
――なぜ”スーパーファミコン時代”なのでしょうか?
時田 もともと僕はファミリーコンピューター(以下、ファミコン)時代から『FF』に携わってきたのですが、本格的にゲームデザイン・シナリオを手掛けた『FFIV』の際には、『FF』、『FFII』、『FFIII』のいい部分を集めて作ろうと思っていました。その想いは、いまでも僕の中にしっかりと根付いています。ファミコン期、スーパーファミコン期に培ってきたものを活かしつつ、2Dのテイストを残して作る。まさに”スーパーファミコン時代のような『FF』の新作”を作る心意気で取り組んで生まれたのが、『FFレジェンズ』シリーズなんです。
――2Dのデザインや当時のエッセンスを残しているから、”スーパーファミコン時代の『FF』新作”なのですね。
時田 それに加えて、”その時代性に合わせる”という意味でも、フィーチャーフォン向けの『光と闇の戦士』や『FFIV ジ・アフター -月の帰還-』では、モバイルデバイスというプラットフォームに合わせる形で、シナリオを毎月配信してきました。それをフリートゥープレイのゲームデザインに落とし込んだのが『時空ノ水晶』になります。
――一貫して同じコンセプトだからこそ、あえてシリーズ全体における第二期のような『FFレジェンズII』に改名された、と。
時田 『FFレジェンズII』に名前を変えることで、より『FFレジェンズ』シリーズ全体としてのつながりや、ずっと持っているコンセプトをプレイヤーのみなさんと共有できればなと。
――新生するにあたって、どのようなことを心がけられましたか?
時田 まず『FF』として王道のファンタジーであること。そして昔懐かしいテイストを残しつつ、イラストなどのクオリティアップや楽曲の追加。コンシューマーゲームの続編のように感じていただけるよう努めましたね。
新生した『FFレジェンズII』、その全貌
――完成版の『FFレジェンズII』をご覧になられたときは、どのような印象を受けましたか?
時田 文字フォントなどこれまでと同じ部分もありますが、キャラクターと背景が一新されているので、ガラッと印象が変わっています。ほんと別作品のような印象を受けました。リメイク版じゃないかってくらい。
――『FFレジェンズII』の公式サイトでは、天野喜孝さんが手掛けられたイラストを採用されていますよね?
時田 はい、メインキャラクターを天野さんに描き下ろしていただきました。
■新メインビジュアルのキャラクターイラスト
――ストーリー中のイラストも、天野さんのイラストに変更になるのでしょうか?
時田 ストーリー中は天野さんのイラストではなく、新たに用意した別のイラストになっています。少し大人びたトゥモロたちのイラストになっていますよ。
トゥモロ
世界の中央に位置する小島ナバルに住む快活な少年。育ての親であるガド爺と二人で暮らしている。
年に数回ナバルを訪れる自由な冒険家リーグに憧れていて、いつか自分も冒険の旅に出ることを夢見ている。
エモ
謎の隕石とともに、破滅した”未来”から来た少女。落下の衝撃で記憶を失っており、自分の感情を表現するのが苦手。
時代を超えた仲間たちとの出会いによって自らの意思を持ち、”歌”を愛するようになる。
リーグ
西の都ウェスタ出身の冒険家。世界を股にかけ各地を旅している。
世界の中央にあるナバル島も拠点としており、トゥモロとも顔なじみの兄貴分。気さくで面倒見の良い性格だが、冒険家とは違う裏の顔も……?
アンジュ
“中世”時代の西の大陸ウェスタにあるエルフの国、エルヘイムの王女。
開放的な性格で他の種族にも興味を示し、友好的に接する。”歌”を通じてエモと心を通わせ、姉妹のような関係を築いている。
パライ
“中世”時代の東の大陸アジマにあるオーガ山にひとりで住んでいる大男。
ドワーフの父と人間の母の間に生まれるが、どちらの種族にも認められず孤独に戦ってきた。仲間たちとの旅で心を開いていく。
マイナ
東の大陸アジマに隠れ住むニンジャの末裔の少女。とある要人の命によりトゥモロやリーグの背後を嗅ぎまわっている。
孤高の忍者を気取っていたが、仲間たちとの旅で本来の無邪気な素顔を見せるようになる。
タツノコ
幻獣界で出会った生まれたての幻獣。トゥモロと心を通わせ、時代を超える旅についてくる。
クロノス
時の狭間に存在する巨大なクリスタルに幽閉されている魔道士の少女。
“古代”の魔法都市ミシディアにおいて双子の兄のカイロスとともに時魔法の研究を行い、時のクリスタル”時空の水晶”を紡ぎだした。
不死王
“中世”時代のウェスタ大陸にそびえたつ不死王城でアンデッドを従えるダークエルフ。
禁断の魔法により不老不死の肉体を手に入れており、エルフとダークエルフによる真のエルフの復活を目論んでいる。
――新しいストーリーについても、概要を教えていただけますか?
時田 神獣界エウレカという、幻獣の神々が住まう世界を舞台としたお話になります。そのため新たに追加されるストーリーは、”神獣界エウレカ編“として登場します。
――神獣界エウレカ編は、いわゆる続きもののお話になると思います。ストーリーが続いているとなると、『FFレジェンズII』から入る新規の方には少々ハードルが高いのではないでしょうか?
時田 新規のプレイヤーさんは、神獣界エウレカ編の前に『時空ノ水晶』のストーリーを最後まで一気に遊ぶこともできます。もちろん、両方のストーリーを並行して楽しむこともできますよ。
――「並行して楽しめる」ということは、ストーリーの開放条件も変わっているのでしょうか?
時田 神獣界エウレカ編のストーリーは、レイドバトルを突破することで開放されていきます。ここがいままでと大きく違う点です。これまでは世界をまわってクエストをクリアーすることでストーリーが開放されていました。ですが神獣界エウレカ編では、全プレイヤーさんが同時に新しいストーリーを楽しめるようになっています。
――神獣界エウレカ編からは、新たなキャラクターも登場するのでしょうか?
時田 新キャラクターは敵も含めると8体ほどの追加を予定しています。その大部分を占めるのが、神獣界において各属性の頂点に位置する“虹の七刻神”という敵キャラクターです。
――おもに敵キャラクターが増えるのですね。
時田 味方ももちろんいますよ! 幻獣界の祈り子である”ミスト”という新ヒロインが登場します。
ミスト
か細い助けを求める声に導かれ、新たな未知の時空でトゥモロたちが出会った神秘的な女性。美しい長い髪と柔らかな光を放つローブに身を包んでいる。
――ちなみに、ストーリーの追加ペースはどれぐらいを想定されていますか?
時田 これまでと同じく、基本月1ペースで考えています。新キャラクターとの出会いを楽しんでいただきつつも、これまで登場したキャラクターと新キャラクターの関係性なんかも楽しんでいただければと思います。
――ボリューム感的にも相当量用意されているのでは?
時田 『時空ノ水晶』が全7章でしたので、今回も相応のボリュームを用意していますね。『時空ノ水晶』のストーリーから遊べば、コンシューマなみに数十時間は遊べるんじゃないかな。
――かなりのボリューム感ですね!
時田 そうですねぇ。そもそも神獣界エウレカ編のプロットは、昨年末くらいから考えはじめていましたから(笑)。そこから仕様やディティールを詰めていったのがここ半年くらい。構想から考えると1年近いので、まさに時空を超えた感がありますね(笑)。
システム面での変更点は?
――『FFレジェンズII』への新生にあたり、『時空ノ水晶』からのデータの引き継ぎは可能なのでしょうか?
時田 データの引き継ぎはもちろん可能です。長く遊んでいただいていた方々は、とくにその辺を気にされていたと思います。ですが、その点は安心してください。我々としても、これまで遊んでいただいたデータは絶対に守ろうと肝に銘じています。
――バトルシステム部分の具体的な改善点を教えていただけますか?
時田 つねにバトル中の倍速ができたり、オートバトル中にプレイヤーが好きなタイミングで介入できたりといったものが加わっています。昔遊ばれていた方が久々に遊ばれたら、格段に遊び安く感じていただけると思います。
――幻石も新生に合わせて増えるのでしょうか?
時田 “神幻石”という、いままでの幻石とは別軸に位置する新たな幻石が登場します。こちらは新生直後に、約20種類ほどが用意されています。
――神幻石とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
時田 幻獣の力を持つ幻石に対し、神獣の力を持つ幻石が神幻石です。幻石のレベルとは別に、アビリティのレベルを上げることができ、新たな召喚魔法も使えます。
『FF』シリーズとのコラボも精力的に展開!?
――『FFレジェンズII』になることで、『光と闇の戦士』とのつながりも生まれそうですね。
時田 『時空ノ水晶』は時空移動のお話なので、『光と闇の戦士』とストーリー上でリンクさせることは可能だと思います。タイトルが『FFレジェンズII』になることによって、『光と闇の戦士』に興味を持ってくださる方も多いと思います。なので、そのあたりの取り組みは積極的にやっていきたいですね。『時空ノ水晶』でも『光と闇の戦士』コラボは以前に実施していたので、どこかのタイミングで復刻できたらいいな。
――シリーズ過去作とのコラボといえば、事前登録特典で『FFX』にゆかりのあるアイテムがプレゼントされましたよね。今後『FF』シリーズ作とのコラボは定期的に行なわれるのでしょうか?
時田 月イチくらいのペースで、定期的にはやっていければと思っています。
――事前登録特典のひとつで、キャラの見た目がティーダに変わる”衣装装備”がありますよね? 今後は『FF』シリーズの衣装装備も増えていくのでしょうか?
時田 その予定です。もともと『時空ノ水晶』企画立上げ時にジョブチェンジシステムを入れようか議論になっていたんですが、今回はあくまでパラメータを持たない衣装装備という形での実装になっています。衣装装備を装備させると見た目もガラッと変わるので、ぜひお気に入りの衣装装備を身につけて、個性を出していただければと思います。
――ありがとうございます。それでは最後に、シリーズのファンと読者に向けてメッセージをお願いします。
時田 ついに、『FFレジェンズII』がリリースされました。いままで『時空ノ水晶』を遊んでいただいていた方には引き続き遊んでいただきつつ、『FFレジェンズII』から新たに遊んでいただける方には、『時空ノ水晶』のストーリーから楽しんでいただければと思っています。神獣界エウレカ編のストーリーはゲームをはじめたばかりの方でもご覧いただけますので、並行して遊んでいただければ嬉しいです。ぜひダウンロードして遊んでいただければと思います。
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ファイナルファンタジー レジェンズII
- メーカー
- スクウェア・エニックス
- 公式サイト
- http://www.jp.square-enix.com/FFL2/jp/
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- コピーライト
- (C)2015,2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Character Design : CyDesignation Illustration/(C)2016 YOSHITAKA AMANO
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