スクエニ新作『アカシックリコード』の世界観を描く『ロードス島戦記』の水野氏はじめキーマンにインタビュー!
2016-09-28 21:30 投稿
スクエニ×KADOKAWA初の試み!
スクウェア・エニックスとKADOKAWAが初タッグを組んで放つ渾身のRPG『アカシックリコード』。今回のプロジェクトでは、水野良氏(代表作:『ロードス島戦記』)が世界観や、シナリオの元となる設定制作を担当している。本作の物語は、人が創造するすべての物語が貯蔵されている投稿サイト“悪魔の書架”が舞台。貯蔵された物語を破綻させる紙魚<シミ>と呼ばれる存在と戦うために、主人公たちは悪魔の書架に呼び出される物語。
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書籍化、プチラジオ化も決定!スクエニ×KADOKAWAの新作RPG『アカシックリコード』最新情報【TGS 2016】
現在事前登録中の本作だが、どのような経緯で開発に至ったのか、魅力はどこになるのか? ファミ通Appでは、開発にたずさわったキーマンである4人にインタビューを行った。
(写真左から)
スクウェア・エニックス 椎名崇徳氏(以下、椎名)
作家 水野良氏(以下、水野)
シナリオライター 矢野俊策氏(以下、矢野)
KADOKAWA ゲーム原作開発編集部 横山憲二郎氏(以下、横山)
――スクウェア・エニックスとKADOKAWAの共同原作プロジェクトとしてはじまったものだとうかがっているのですが、こちらはどういった取り組みなんでしょうか?
椎名 スクウェア・エニックスは、ゲーム部分のプロデュース、制作、運営を中心に進めていき、KADOKAWAさんには世界観やキャラやシナリオ構築、そのほか小説展開といった出版社ならではの展開をおこなっていただき、双方合わせたクロスメディア展開をしていこうというのが、今回の取り組みの概要になります。
――こちらのプロジェクトがスタートしたのはいつごろからでしょうか?
椎名 2015年の初夏(6月ぐらい)です。プロジェクト立ちあげ自体はもう少し遅い夏ごろだったかと思いますが、5~6月ごろに横山さんと会って話をして進めていました。
横山 KADOKAWAのゲーム原作開発編集部という部署も去年の4月にできたばかりの新しい部署なんです。これまでもいくつかのプロジェクトに関わっているのですが、シナリオとイラストを制作する共同原作プロジェクトとしては部署としても初のタイトルです。
――水野さんと矢野さんはどういった経緯で本プロジェクトへ参加されたのでしょうか?
横山 椎名さんとお話しさせていただいている中で、具体的にどういった方に原作やシナリオを執筆してもらったらおもしろいものができるのか? という話になり、真っ先に上がったのが水野先生です。そこで水野先生に思い切ってかけ合ってみたところ、ご快諾いただき、正式にプロジェクトが動き出しました。
その際に、水野先生が別件で関わっている矢野さんにも、今回のプロジェクトに参加していただき、よりシナリオ面を強固に固めることができました。
――本案件の話を聞いたとき、水野さんはどう思われましたか?
水野 すごく魅力的な企画だと思いました。スクエニさんのゲームはもともと『ファイナル ファンタジー』のころからずっと続けてプレイしてきたので愛着がありますし、前向きに受けようと思っていたのですが、僕自身が多忙であるのと、ゲームシナリオは量が多く、マンパワーが必要になってくるので、「矢野さんが受けてくれたら受けますよ」という条件で承諾させていただきました。
矢野 基本的に、水野さんが世界やキャラクターやシナリオの原案を作って、僕が物語のテキスト部分であるシナリオの本文を作りましょう、という形で受けさせていただきました。
椎名 いまだから暴露しますと正直お二方からは断られるかなって思っていました(笑)。おふたりにプロジェクトに参加してもらえると聞いたときは、すごく嬉しかったです。
僕自身、前にKADOKAWAさんと仕事をさせてもらったことがあって、作家さんがものすごく忙しいというのは重々承知していました。プロジェクトの魅力云々ではなく、スケジュールの問題で受けていただけない時期もありますので、タイミングが合ってよかったです。横山さんからの提案や、僕らからの提案や、水野さんたちのタイミング、それぞれがすべてがマッチした感じですね。
――本作は『アカシックリコード』となっています。この名称の由来はありますか?
椎名 本作のタイトル名は、じつははじめ『アカシックレコード』というワードで考えていました。水野さんと矢野さんが作っていただいたシナリオとか設定の中に、“アカシックレコード”という言葉が含まれていて、僕はいわゆる“厨二ワード”がすごく好きなので、その言葉の響きにぐっときました。
“アカシックレコード”は“あらゆる事象・知識の集合体”という意味で、本作では“悪魔”とか“悪魔の書架”が同じ意味を持っています。そこからさらに、本作のストーリーの主軸にある、破たんした物語をもとの姿にもどしていく、“復元しなおす=記録しなおす”という意味を込めて、レコードのReのあとに“:”をいれました。
“Re”には、“リプライ”という意味があります。本作は、実在する色々な物語を、登場人物であるクリエイターが、違う物語にしていったり、新たに創造したりするので、原典に“返信させる……つまり“新しいものを自分たちで創造する”というような意味も含んでいる“RE:”という言葉は、本作らしいと思い、つけさせていただきました。
――ゲームの中に登場人物として“本の悪魔”という人物と、ライラと千尋という3人のキャラクターが出てきますが、こちらの3人について現時点で語れる範囲で教えていただければ。
水野 “本の悪魔”は、“ラプラスの悪魔”から取りました。全知全能の存在、超越的、というような意味を込めて“悪魔”と名付けました。
矢野 ライラと千尋は主人公に大きく関わっています。本作はいろいろなクリエイターが出てきて、ほとんどのクリエイターは小説を書いている設定なのですが、主人公だけはクリエイティブなことをした経験がないんです。
ほかのクリエイターたちは自分の作品のキャラクターを呼び出していっしょに戦うのですが、主人公は違う。「じゃあ誰を呼び出せるの?」ってことで、実験した際に呼び出したのがこの“ライラ”というキャラクターです。主人公はライラと初めて会うはずなんですが、ライラは主人公に会ったことがある。主人公といっしょに戦ったこともあると言うんですね。
そして、もうひとりいっしょにいたのが千尋という女の子で、でも主人公はそれを覚えておらず、記憶がないんです。「どうやらこの悪魔の書架の中に謎があるらしい」といって、主人公が、この悪魔の書架をめぐる戦いにみずから進んでいきます。
横山 謎に包まれた千尋が何かキーにはなっていて、主人公とライラが出会うという。
▲穂村千尋(CV:茅野愛衣)。
主人公の記憶から抜け落ちた、“大切な少女”。主人公の夢の中に出てきた少女。なにか主人公とつながりがあったようだが、それは思い出せない。とても大切な思い出であった、という感覚だけが残っている。
――皆さまもクリエイターですが、なにかご自身が作る際に苦労されたとかエピソードなどが反映されているんでしょうか?
水野 みんなクリエイターなので、創作する苦しみ、喜び、共感、反感などがありますので、それがドラマになればと思っていました。
矢野 紙魚には“過激なレトリック”や“凡庸なアイデア”などといった名前がついているんですが、創作にまつわる苦しみのネタが含まれています。
――作るにあたって苦労した部分はありますか。
椎名 僕の立場かが水野さんと矢野さんの作品の最初の読み手ということもあり、いろいろお二方が苦労されたんじゃないかなあと思います。
僕、ものすごく質問するんですよね。「この言動にどういう意味が含まれているのか?」「なんでこの場所でこういう発言をしたんだ?」「このときこのキャラクターどういう気持ちでいるのか?」みたいなことをたくさん書き連ねて「これを質問として出しておいてください」と横山さんに送るのですけど……。興味津々で聞きたいことだらけだったし、「僕としてはこうあってほしい!」というような願望をたくさんぶつけてしまったなと反省しています。
水野 でも椎名さんのおかげで世界設定の細かい部分が、決まりました。むしろ楽しく作業させてもらいました。
矢野 違和感があるのであれば、なぜ違和感があるのかを精査しなくてはいけないので、「こういう意味です」とお返事したあとに「じゃあこうしませんか?」と椎名さんから言っていただいたこともありましたので、いいものになりました。
水野 最初は漠然としたものから作っていくので、矛盾があったり、考えが足りない部分があったりもしますが、それでいいと思うんです。不思議なもので、そこから突き詰めていくと、矛盾ではなくなったりするんですね。作品って生き物なので、最初にガチガチにするよりも、ふわっと置いておいて、ユーザーの皆さんに遊んでいただいて、いっしょに育てていく部分もあると思うんですよね。
――本作における世界観での魅力はどこにあると思いますか?
椎名 僕もそうですが、小説やアニメやドラマなどの作品を見た瞬間「俺だったらこうしてるな」という自分ならではの結末・感想などを持ち、それをSNSに拡散している人もいますので、クリエイティブな妄想をしている人は多いのではないかと思います。
それらの妄想が実在化する世界観というのが、本作の魅力だと思います。自分が生み出したものが目の前に現れるという世界観はおもしろいですし、俺もこんな妄想してたなって思わせてくれて、じゃあ俺もまた作ってみるかって気にさせてくれる。そこがこの作品のいちばんの魅力ではないかと思っています。
水野 自分でいうのもおかしいですけど、おもしろい完成形とはなにかと思いつつ、あまり自分が意識的に作り込まないように心がけてきたんです。きっとおもしろいことはすでにこのゲームの中にあるはずなんですよ。それを僕自身がどこまで見つけ出してあげられるかが大事でした。今回の作品はその完成形にだいぶ近づいた世界観になったのではないかと思っています。
矢野 自分も書き手のほうなので言いづらい点もあるのですが、クリエイターとキャラクターの差がおもしろい点のひとつだと思います。ゲーム中に登場する主人公含めクリエイターたちと、いろいろな創作物のキャラクターの2種類のキャラが登場するのですが、この2種類はちょっと違った書きかたをしていまして。クリエイターは生っぽい、いまを生きている人たちの考えかたなのですが、キャラクターのほうはぶっとんだ考え方している。それがおもしろいですね。
あと、商業的な本作の魅力としては、この世界に現存しているお話でも、はたまたまったく存在していないオリジナルの作品でも、どんな作品ともコラボレーションができる環境が整っているのが魅力だと思っています(笑)。
――これだけスケールの大きいものを落としこむとなると、ゲーム開発もたいへんだったのではないでしょうか。
椎名 スマートフォンアプリのゲームは、時間や容量という部分で制限が設けられますので、快適に読めるよう、ストーリーを縮小しなくてはならないんですよね。すると、ストーリーを語れるところが少なくなってしまう。それでも、魅力ある世界をどう表現していこうかという部分で悩みました。キャラクターはたくさんいるのですが、ひとりひとりフューチャーしていくには限界があります。それでも、そのキャラクターを妄想してもらいたい、キャラクターたちも生きていることを伝えるためにどうしようと思い、フレーバーでいちキャラいちキャラの生きた世界をテキストで描くというところを、ゲーム内にも実装しようという話になりました。
あと、共闘と対戦も白熱します。ソロでストーリーを進めつつも、いろいろな人とつながって、協力したり、競い合うというのがおもしろいと思います。本作はマルチプレイや、作り上げたデッキを面と向かって対戦し合うことができますので、そのあたりをぜひ体験してもらいたいですね。
――それは楽しみです! では最後に、本作を楽しみに待っているプレイヤーへメッセージをお願いします。
横山 KADOKAWAとスクウェア・エニックスさんの2社共同で行う初めての試みなので、スクエニさんだけで作るゲームだとか、KADOKAWAだけで作ってきた小説とはまた違う、いい化学反応が起きていると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
矢野 “何かものを作る”という行為に対する楽しみや苦しみ、いろいろな感情を込めたシナリオになっておりますので、自分が「何か作りたいなあ」と思っている人には見てもらいたいですし、そういう願望のない方にも、「作り手というのはこういうことを考えているのかな」ということを知って、楽しんでいただけるかと。ぜひそのあたりをご覧になっていただけたらと思います。
水野 魂を込めて、頑張って世界を作っていますので、ぜひその世界を楽しんでもらえたらと思います。
椎名 最高の制作陣で臨めた作品だと自負しております。全力で臨んできましたので、まずはこの作品の世界観とゲームをぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです。そして、この作品の世界観だからこそ、皆さんと作っていく世界だと思っています。ゲームも作品も、お客さんと盛りあげていきたいと思っていて、いっしょに作品を楽しむ機会を設けていきますので、ぜひよろしくお願いします。
新たに公開されたキャラクター
9月28日に新たに公開されたクリエイターである陸原 智と、先日公開されたルパンを、改めて紹介!
▲陸原 智(CV:櫻井孝宏)
大学院でAIの研究をしている青年。AIに物語を書かせる実験をしており、“悪魔の書架”にAI作のミステリーを投稿している。なおランキングはまだまだの模様。落ち着いたら風体ながら、知的好奇心は人一倍あり、それによって暴走することもしばしば。謎を求めて“悪魔の書架”に出向いている。
▲神秘蒐集者アルセーヌ・ルパン(CV:大塚明夫)
作品世界を飛び回る怪盗紳士。クリエイターに召喚されたキャラクターではなく、独自に動いているらしい。本来、召喚されずに作品の世界を渡り歩くことなど不可能だが……?
公式Twitterフォロー&リツイートキャンペーン第2弾開始
公式Twitterアカウントをフォローして、対象ツイートをキャンペーン期間中にリツイートすると、抽選で8人に、豪華出演声優陣のサイン色紙がプレゼントされるキャンペーンが実施中。
『アカシックリコード』公式Twitter
【キャンペーン期間】
~2016年10月11日23時59分
また、本作のキャラクターボイスを担当する声優も公開された。
豪華声優陣がずらり。新たな情報の更新が、楽しみだ!
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アカシックリコード
- ジャンル
- リアルタイムバトルRPG
- メーカー
- スクウェア・エニックス
- 公式サイト
- http://akareco.jp/
- 配信日
- 2016年配信予定
- 価格
- アイテム課金型(基本プレイ無料)
- 対応機種
- iOS/Android
- コピーライト
- (C) 2016 SQUARE ENIX / KADOKAWA (C) 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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