gumi新作『ブレイジング オデッセイ』対談企画第4弾はゲームDJ安藤武博氏「ジェラシーを覚えるくらいの出来栄え」
2016-08-12 12:00 投稿
レジェンドクリエイターが本気で作ったスマホRPG
gumiから2016年夏配信予定の新作RPG『ブレイジングオ デッセイ』(以下、『ブレオデ』)。本作を手がけるFenrisの髙田誠エグゼクティブプロデューサーと巡る対談企画第4弾。
今回のお相手は、元スクウェア・エニックスで『ケイオスリングス』や『ミリオンアーサー』シリーズを手がけ、いまはゲームDJとして活躍する安藤武博氏。
安藤武博氏(写真右)
ゲームDJ
髙田誠氏(写真左)
Fenris エグゼクティブプロデューサー
今回の対談では、安藤氏が実際に『ブレオデ』をプレイして感じた率直な感想、そして、『ブレオデ』がスマホゲーム市場に与える衝撃について、語ってもらった。
ジェラシーを覚えるくらいの出来栄え
安藤:『ブレオデ』を始めて遊ばせてもらったときに、思いましたよ。「なんで俺がスクエニにいる間にコレを作ってくれなかったの?」って。俺が『ミリオンアーサー』とか『ケイオスリングス』を仕掛けていたころ、髙田さんに「スマホゲーム作ろうよ」って会うたびに言ってたんですよ! でも、返ってくるのはコンシューマー機向けのね、ゴリゴリのFPSの企画書ですから。それなのに、再会したらスマホゲーム作ってるし!
髙田:これまでに何度も安藤さんから「スマホでやったらいいですよ!」と言われていたらしいんだけど、僕は酔っ払っていたのか覚えてない(笑)。
安藤:髙田さんは「人間、崖っぷちにならないとこういうものは作らないんです」って言ってましたけど、俺がスクエニにいるころにピンチを演出しておけばよかったな。本当にジェラシーを覚えるくらいの出来栄えですよ。それが『ブレオデ』に対する僕の第一印象です。
髙田:乗せるのがうまいですよね、本当に!
安藤:嫉妬の対象ですよ、コレは。國光(宏尚:gumi 代表取締役社長)さんのところは、いつもこういうことをやるんです。『ブレイブ フロンティア』の時も、「どうしてこれがスクエニから出てないの?」って思いましたから。それでどうなったかというと、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下、『FFBE』)を作ることになったわけです。
ところで、『ブレオデ』からは前職で俺がお世話になったトライエースさんとか、個人的に好きなヴァニラウェアさんの匂いを感じます。
髙田:じつは、企画を立ち上げたころから『ヴァルキリープロファイル』(以下、『VP』)を意識していました。結果的にはいろいろあってアクション要素を除くことになり、RPGになりましたが(笑)。今回の企画で、トライエースの五反田(義治:トライエース 代表取締役)さんとも対談させてもらいました。
安藤:そうだったんですね。俺がただの見習い丁稚小僧だったころにお手伝いしたデビュー作が、『スターオーシャン セカンドストーリー』(以下『SO2』)だったんです。トライエースさんのブランドはいまでも通用しますけど、当時はそのブランドがプレイヤーに突き刺さり始めたころでした。『SO2』を出して、『VP』のリリースが控えているころのトライエースです。
髙田:尖ってましたね。
安藤:まぁ~尖ってた。びっくりした! こんなに頭のいい同世代の人がいるんだって印象でしたよ、五反田さんは。
髙田:うん、彼は本当に賢いし真摯な制作者です。
安藤:五反田さんはゲーム史に残るスーパープログラマーですよね。『VP』の戦闘シーンが画面に出た時のことをいまでもよく覚えています。プロデューサーの山岸さんが『VP』を起動すると、彼のデスクにみんなが集まってくるんですよ。いまではそれぞれビッグタイトルのプロデューサーをやってる連中が、一斉にデスクに集まって、画面に喰らい付くんです。「このゲームいいな」って。『VP』のUIデザインって超一流だと思うんです。言語化するのは難しいですけど、戦闘シーンを見るだけで遊びたくなるような色気が詰まっていましたよね。
『ブレオデ』に関しても近いことが言えると思うんですよ。ここをタップするとキャラが動くだろうな、スライドすると必殺技が出るだろうなというのがすぐにわかる。俺たちが熱狂した『VP』の系譜だってことが1発でわかりました。こういうものって、なかなか作れない。スクエニみたいな大手、RPGのファンをたくさん抱えているパブリッシャーから出ていても遜色ないものに仕上がってますよ。だから嫉妬の対象なんです!
もう、魔法を使うしかないよね
安藤:「追い込まれたから作った」というお話でしたけど、ネバーランド時代の髙田さんとスクエニでプロデューサーをやっていたころの俺でも、クオリティの高いスマホゲームは作れたはずなんです。
でも、成立しなかった。なぜかと言うと、ちゃんとしたRPGを専用ゲーム機で作れるデベロッパーが少なかったから。そのくらいの開発力がある会社には、「スマホでゲームを作る前にコンシューマーでRPGを作ってください」というのが、当時は普通でした。スクエニがコンソールでRPGを頼める開発会社は10社もあるかないか。ネバーランドカンパニーも確実にそこに入っていたんです。
髙田さんはコンシューマーゲームで勝負ができていた。そういうところで実績を出していたからこそ、コンシューマーのプロデューサーとのパイプも強いし、そこをぶった切ってまでスマホに行くという選択をするのは難しい。なかなか転換できないですよ。こういうことは全ての会社で起こっています。
髙田:確かにしがらみもあるし、チームとしてやりたいこともあった。それを全部ぶった切ってまでスマホゲームに移行できるパワーは、なかなかね。
安藤:スマホとコンシューマーゲームでは作り方がぜんぜん違う。例えるなら剣をブンブン振り回しながら魔法も両刀で使うってことだから、難しいんですよ。どちらもやるのは。スマホもコンシューマーも作れるってことは魔法剣士みたいなもんなんです。魔法剣士に転職するとSTRが下がるじゃないですか? 本当はどっちかに全振りするべきですよね。ファイターでいくのか、マジシャンでいくのか。髙田さんのチームは20年以上もコンソールを開発していたゴリゴリのファイターだったので……。
髙田:うん、その剣は折れちゃったけどね!
安藤:それでマジシャンですね(笑)。
髙田:もう魔法を使うしかないよね、だって折れちゃったんだもん!
安藤:ファイターがスキルセットをリセットして、残ったポイントをマジシャンの方にぐわーっと振り込んで作ったのが、このゲームなのかなって思っています。聞けば元トレジャーの方も参画しているんですよね。トレジャーはさっき言った10本の指に入るチームですよ。ジャンルはRPGじゃなくて、アクションですけどね。前職で俺のチームはトレジャーの前川(正人:代表取締役社長)さんにもスマホで作りましょうって連絡したんだけど、「ウチはやらない」って言われました。実際はもっと丁寧なお返事でしたけど、ニュアンスは、やれば売れるのにやりたくないからやらないっていう。本当に硬派な人たち。さっきの話だと圧倒的にファイターに属してますよ。
髙田:えぇ、ネバーランドはまだ甘いほうです。何だかんだと時流に合わせてきたので。
安藤:そういう意味では奇跡のプロジェクトかもしれないですね。それぞれに事情があって、所属していた法人が解体されている場合もある中で、これだけ一流の方々が再集結するなんて普通ありえない。俺も起業して経営者になったから、髙田さんのすごさがわかる。髙田さんは本当にタフです。
髙田:そんなに持ち上げられると困ります(笑)。でも、みんなゲーム作りに対して本当に真摯で、すごいと思う。中にはトレジャーの設立メンバーで『ガーディアンヒーローズ』とか作っていた人もいます。
安藤:『ガーヒー』だ! あれは超が付く名作ですよね。
髙田:このキャラはこう動いたほうがらしいよねって、そういうイメージがあるじゃないですか。思うだけなら誰でもできるんですよ。それを動きとして具体化できるのが元トレジャーのスタッフたちです。本当に頼もしいです。
はっきり言ってオーバースペックですよ
安藤:『ブレオデ』はアクションゲームでもいいくらい動きますよね。モーションにかけている手間、パターン数や書き込みを見るとね、はっきり言ってオーバースペックですよ。プロデューサー目線で言うと、そこにお金をかけないほうがビジネスとしては成立するから、ちょっとパターン減らしませんかってくらいです。そこを減らしていないんですよね。それこそ『ガーヒー』みたいに、ベルトスクロールでガンガン動きそうなくらい! その贅沢な雰囲気が色気に繋がっているんでしょうね。運営は大変そうだけど……。
髙田:最初運営のことは考えないでやってましたからね。いまはもちろん考えています(笑)。
安藤:大変ですよ。だって、1パターン余分に持たせるだけでね、年間で100キャラ作るとしたら……うわ、やめとこうって普通はなります(笑)。断念して2次元のカード絵にしている人もいますからね。やりたいんだけど、このクオリティでは作れないって人も多いでしょう。でも、それが実現できちゃう人が集まっていること自体がすごい。
髙田:うちの開発陣は月に10キャラをコミットしますからね。本当かよって疑ってますけど(笑)。
安藤:作れるのだから、あとは覚悟を決めてひたすら量産というスタイルですよね。これはスクエニでたとえると『メビウス ファイナルファンタジー』(以下、『メビウスFF』)が選んだ道ですよ。高コストだけど、これは『FF』だから! やるから!って。
髙田:ウチのはIPじゃないんだけどね(笑)。でも結果を出すためにはこれで行くしかないと考えています。
安藤:でも、そういう戦いが始まっているじゃないですか。スマホゲームが出てきたころは、安くて早くてウマいからよかったんですけど、悲しいかな、いまはコンシューマーゲームと同じ道筋を辿ってます。これは裏側の問題だからお客さんには無関係だけれど、誰かが始めてしまった以上は、それに対抗できるレベルが望まれますからね。だから、『メビウスFF』以前と以降では分かれたと思いますよ。スクエニ、やりおったなと(笑)。
髙田:もうやるしかないですよね。
安藤:『メビウス FF』を皮切りに『FFBE』とか『星のドラゴンクエスト』などもそうですが、これからはコンシューマーゲームと遜色ないものを出してくるわけです。でも、スクエニ以外でそれができるっていうのは選ばれた会社だけで、限りなく少なくなるだろうと思います。そういう点でも『ブレオデ』はすごく目立つでしょうね。これが売れないようじゃ困りますよ。業界全体がね。
『ブレオデ』は最高難易度に挑みかかってます
安藤:『ブレオデ』の企画はどなたの発案ですか?
髙田:最初は僕、ディレクターの岡部、早貸(久敏:元・エイリム 代表取締役社長/現・アイディス代表取締役社長)さん、國光さんの4人です。でも、ここまでプロジェクトが大きくなると思わなかったな。だけど、髙田さんのチームならやれるって言ってくれたので、そうか、やってもいいのかって(笑)。タガを外してくれたのは早貸さんだったと思います。
安藤:じつは俺も『ブレオデ』みたいなコンセプトに挑戦したんですけど、できなかった。企画当初、『ケイオスリングスIII』は運営型で考えていたんです。コンシューマーゲームみたいなクオリティのRPGを基本無料で提供して、お客さんを喜ばせたかった。でも、コスト的な問題もあって実現せず、結局は2800円の売り切りになりました。俺も経験を積んでノウハウを持っている自信があったけど、このプロジェクトは難易度が高かったんです。『ブレオデ』は、俺みたいにずっとスマホゲームをやってきた人間から見ても、最高難易度に挑みかかってます。これに似たようなものはすぐには出てこないと思います。
髙田:そうであれば助かります(笑)。
安藤:いずれは増えます。だからこそ、早く出したいですよね。いまはコンシューマーで開発をしているけれど、スマホにも興味があるクリエイターたちへのお手本になるような気がしますね。
髙田:あんまり意識していないけど、ラッセル車(※除雪車のこと)になればいいですね。
安藤:「『ブレオデ』みたいなの作ろうぜ」って言われるといいですよね。そうそう、この手のゲームって初動は間違いなくいいんですけど、大事なのは長く売り続けること。3ヶ月だけトップ20に入って、その後は……ってことも最近多いので。
髙田:怖いですよね。
安藤:そこをどう組み伏せるか興味があるし、これは総掛かりでやったほうがいい。俺も手伝えるところがあったら、得意な人を紹介します。それくらいの応援をしたくなるゲームですよ。
髙田:ウチの連中はガッツあるんで、それくらいやりますよって、やっちゃうと思います。いまもそれを信じて進めているところです。でも、本当にヤバい時は助けてって言います。本当に!
安藤:これは成功させなきゃいけないタイトルですから。
髙田:本当にそう思います。うまい感じに着地させる……いや、飛び続けさせるのが課題だと思ってます。そこに関しては色んな血も入れてるんですよ。そのせいで軋轢も起きていますけど。
安藤:そりゃ、起きるに決まってますよ。難しいですよね。いいクリエイターほど人の言うことを聞かないってパターンは多いから。俺はこういうゲームがきちんとお客さんに届いて、人気が出たらいいなって思っています。スマホのゲームってライバルが多いと言われてますけど、本当におもしろい作品ってバリエーションは少ないんですよね。大別すると5パターンくらいしかないんじゃないかな? そこにちゃんとしたおもしろさを提供することを、誰かがやらないといけない。このプロジェクトがそのひとつになるのは間違いないだろうから、楽しみですね。
オリジナルは自由、発想したことを全部入れられる
安藤:『ブレオデ』はオリジナルなのもいいですね。2004年か2005年だったかな? コンシューマーゲームの売り上げトップ10にオリジナルが全く入らなかった時期があった。その後どうなったかって言うと、コンシューマーゲームの市場全体がヤバくなった。オリジナルが売れなくなると、ゲームのマーケットって死んでしまうんですよ。逆に活性化している時期は上位にオリジナルが入っているんです。『パズドラ』も『モンスト』も『ミリオンアーサー』もオリジナルですよ。みんな自由だった。でも、いまのランキングを見るとIPが入っています。このままだとピンチになるので、それを打破するのにオリジナルを出すのはいいことだと思うんです。
髙田:お客さんにしても、違う香りを嗅げないって嫌だと思うんですよね。別に人気タイトルが嫌いなわけじゃなくってね。毎日、極上のフレンチでは、どんなに美味しくても飽きてしまう。たまにはラーメンや野菜スティックを食べたい時だってある。バラエティに富んでいるからこそ、活性化していくんだと思います。
安藤:俺がなんで『ミリオンアーサー』、『ケイオスリングス』を作ったのかって言ったら、いまお話ししたような理由です。だって、ちゃんと勝負できる。事実、スマホゲームの上位は『白猫プロジェクト』、『モンスト』、『パズドラ』……未だにオリジナルです。
髙田:ネバーランドのときからIPってほとんどやってないんですよ。あったとしても、だいたい原作ファンから非難を浴びますから!
安藤:『×××××』とかね(笑)。
髙田:そう! もはやアニメゲームじゃないって言われてます。でもね、なんでかって言ったら、そのままじゃおもしろくないから。アニメゲームだからセールスが上がるわけじゃないし、何らかの刺激をユーザーに与えないといけない。
安藤:IPものは、ファンサービスにはなるんですけど、原則キャラクターマーチャンダイジングの領域を出ないので、新しい感じにはならない。『FF』が題材であれば、クラウドやライントニングを好きになり続ける人は増えます。新しい価値が生み出せないようになってしまうと、キャラを食いつぶして終わってしまう。だから『FFBE』は革新的なんです。あれはオリジナルに過去の『FF』キャラが参戦する構造です。その作品が世に出ることで、新しいキャラが生まれて、その新キャラに紐付いてファンが増える。その形がもっとも健全です。
髙田:新たな価値を生まないといけない。難しいですね。
安藤:オリジナルで著名なキャラに勝つのは難しい。けれども、そこに挑んでいかなきゃ、未来がない。だからチャレンジしなきゃいけない時に、オリジナルで勝負するのはいいことです。
髙田:僕がユーザーだったら、新しい体験をしたいと思うんですよね。こんな体験をしたいって希望を持ってゲームを手に取るんですよ。それがちょっとだけ裏切られるとおもしろい。でも、IPモノってそういうのが許されないんですよね。それではおもしろくないというか、僕らがやらなくてもいいかなって気がします。「髙田のところにIP持っていってもしょうがない!」って思われていたかもしれない。でも、その通りだと思いますよ。何かしらやろうとするから(笑)。オリジナルは自由なんですよ。発想したことを全部入れられる。
安藤:オリジナルは作っていて楽しいですよね。テンションも上がります。「このキャラ、こうやって使っても大丈夫ですか?」っていちいち誰かに聞くのも面倒くさいですから。
髙田:いま思ったことはいま実践したいですよね!
荒地を耕すのが楽しいんですよ
安藤:今回、スマホゲームの対談で髙田さんに呼ばれたのは感慨深いです。そういう日が来るといいなって思いながら、2008年にスマホゲームを作り始めたんですよ。当時はコンシューマーゲームこそ至高という考えがあって、スマホゲームをバカにする人も多かった。優れた職人さんがいて、やりたいことがあって、やればお客さんにも受け入れられるだろうし、売り上げもきっと出る……それなのに飛び込めないなら、障壁みたいなものを取り除くべきじゃないかって。
それで、自分でもスマホゲームを作ったり、スマゲ革命を連載したり、クリエイターが共感しやすいように色々とやってきたんです。失敗して、たまに成功もして……ようやくプラットホームの垣根は消えました。いまでは髙田さんも作っているし、スクエニで言えば北瀬(佳範)さんのようなコンソールのレジェンドクラスが『メビウスFF』のようなゲームを作る時代になりました。『スクールガールストライカーズ』や『乖離性ミリオンアーサー』もそうですよね。完全に5年前とは状況が変わってます。ここまで見届けることができたからこそ、俺も起業を考えたんです。だから、節目のタイミングで対談を組んでもらえてよかった。
髙田:そうか、安藤さんはそういうタイプなんですね。
安藤:荒地を耕すのが楽しいんですよ。そこに優れた入植者たちがわーっと来て、町の発展するのを見るのがいいんですよね。「あとは頑張って! 遊園地ができたら遊びに行くからね!」って感じ(笑)。
髙田:大きなスケールで考えているんですね。僕は作品ひとつひとつのことしか考えていないから。
安藤:デカいかどうかじゃなくて、単純にそれが楽しいんです。たとえばバンギャでも、バンドがメジャーデビューした途端に「もうイイや」ってパターン(笑)。3人くらいしかお客さんがいないような時は「コイツら、いつかドームを埋めるから!」って追いかけてたのに、売れてからは「あぁ、そういえばファンでしたね」みたいな。
髙田:琴線に触れるものが違うんでしょうね。
安藤:どっちに興奮するか、それだけの差ですよ。シミュレーションゲームでも「董卓、強いな!」とか思っている時期がいちばん楽しいみたいなことってあるじゃないですか。でも、優秀な人たちと一緒に魏を倒すぞーみたいになってくると……。
髙田:その瞬間に萎える?
安藤:そこからが楽しいって人もいるんでしょうけど、俺は空白地で旗揚げする時期こそが楽しいんです。
髙田:やっぱりタイプの違いだな。何しろスマホゲームを作ろうなんて発想、5年前の僕にはなかったですよ。
安藤:それが普通だったじゃないですか。でも、ちゃんと説明すればタイプの違う人も参画してくれるって思っていました。いまは自分がやらなくてもいい状態になったから、自分でもどうなるかわからないモノに賭けてみるつもりです。いま作っている新作もみんな「こんなの当たるのかな?」って疑いながら作っていますよ。それくらいでないとダメなんです。スマホゲームを作り始めた当初も同じでしたね。「スマホでこんなゲーム、みんな本当にやるのかな」って思いながら作ってました。そういうのが楽しいんです。
髙田:僕が楽しいって思うのは、スタッフがすごいものを上げてくれて、このチームならやれるって手応えを感じた時ですね。企画を立ち上げたばかりのころなんて、夢見がちでいい加減なものです。でも、それが固まってきて、イケるって思うと、スイッチが入って楽しくなってくる。自分でも出せなかった、その先をスタッフが見せてくれると本当に楽しい。いままでも、何かに追われている中で、ウチのスタッフはいつも名作を生んでくれました。僕は何かすごいことをやろうと考えているわけじゃないんです、ただひとりでも多くの人に遊んでもらいたいという思いは強く持っています。多くの遊んでくれるお客様は絶対に裏切れない。お客さんがいないと僕らの価値はゼロになってしまうので、そこだけは裏切りたくないんです。
そのために、常にベストを尽くしていきたいですね。
――期待しています。ありがございました。
なんと、その後、今回の対談がきっかけとなり安藤氏は本作のプロモーションプロデューサーに就任することが決定。現在は同じチームとして作品に関わっている。そう言った意味でも記念すべき対談となった。
▼これまでの対談はこちら
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ブレイジング オデッセイ
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- gumi
- 配信日
- 2016年夏配信予定
- 対応機種
- iOS Android
- コピーライト
- © 2015 gumi Inc. All Rights Reserved. Developed By Fenris Inc.
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