南場会長、守安社長も激励 ゲーム運営に特化したDeNA Games Tokyoが本格始動
2015-10-09 17:35 投稿
秋葉原を拠点により良質なゲーム体験を提供する新会社
ディー・エヌ・エー(DeNA)が配信するブラウザゲーム、ネイティブアプリの運営を専門に行うことを目的とする同社の子会社”DeNA Games Tokyo”が、2015年10月7日より東京・秋葉原を拠点に本格始動した。
同日には、DeNA Games Tokyoの事務所オープンを記念した社内向けオープニングセレモニーが行われた。今回、ファミ通AppではそのDeNA Games Tokyoのセレモニーを取材! DeNA Games Tokyo代表取締役社長の田川啓介氏に新会社についてお話を伺うとともに、DeNAの南場智子氏(取締役 会長)、守安功氏(代表取締役社長兼CEO)も出席したセレモニーの様子をお届けする。
田川社長に直撃インタビュー
――DeNA Games Tokyoがついに本格稼働しましたが、改めていまの心境を聞かせてください。
田川啓介氏(以下、田川) 今年4月の登記、7月の開業、そして10月にオープンしましたが、オープンを迎えて「やっと自分たちの会社ができた!」と、やはり気持ちが違いますね。秋葉原の駅を出て目の前に見えるビルの8階が自分のオフィスなんですが、一段と覚悟が決まった感じです。
――なぜ秋葉原を拠点にしようと思ったんですか?
田川 世界的にも注目されているエンターテイメントの中心地ですし、ゲームと言えば秋葉原ということで、ゲームの会社を構えるにはいい街だなと思って決めました。それから我が社のメンバーもそうですけど、ゲーム業界の人って秋葉原好きが多いというところも理由のひとつですね(笑)。
いまも、そして将来的にも秋葉原は日本の有名なエンタメの拠点として世界から注目されている街ですから、その秋葉原から世界に向けてDeNA Games Tokyoが「ゲームの運営で世界一を目指す会社」ということをアピールしていきたいという想いもありました。
――ゲーム運営に特化した会社ということですが、その意図や狙いは?
田川 DeNAグループにはたくさんの子会社がありますが、各事業でそれぞれが世界一を狙っています。もちろん、私もそのつもりです。昨今、DeNAや他社様もソーシャルゲームのクオリティーは上がっています。しかし、逆に言うとクオリティーの差分があまりなくなってきているのかなという気がしています。
そうなると、かつての開発でよりクオリティーの高いものを出せるかどうかが重要だった時代から、販売力や運営力で差がついてくる時代になるのかなと。今後は、ゲーム業界にとって運営や販売が重要になるというところにも注目して、その部分の強化をDeNAグループとして行っていきたいという考えがありますね。
――4月の時点で”100人規模を”ということでしたが、現時点でのスタッフの規模は?
田川 じつはいまは、DeNA本社のタイトルを順次移管しているところなのですが、移管元の本社と移管先のDeNA Games Tokyoに分かれています。移管先にDeNA Games Tokyoで採用したメンバーがいるという形です。当初は100人規模を想定していましたが、いま全部合わせて70人くらいですね。もう7割は埋まってしまっている状況です(笑)。とはいえ、純粋にDeNA Games Tokyoで働いているメンバーはだいたい50人くらい。
――それでも当初の想定の半分は埋まっていると。
田川 きちんと運営できるようになれば案件はあるという会社です。基本的には本社の案件を巻き取ってくるのがファーストスポットになるので、きちんとやっていければ人数はどんどん増やせるかなという気持ちでいます。3年で100人と言っていましたけど、もっと早い段階で100人に到達するかもしれませんね。
――ちなみにDeNA Games Tokyoで求められる人材はどんな人なんですか?
田川 明確にあるのは、やはりゲームが好きであること。DeNA Games Tokyoはゲーム運営に特化した会社なので、ゲームが好きで、「ずっとゲームをやっていきたい」と思っているメンバーにフォーカスしています。
――まずはゲーム愛ですね。
田川 もちろん運営に対する考えも見ています。リリース前の開発はクリエイティビティを発揮した作品が世の中に受け入れられた瞬間に喜びを感じる人たちだと思います。世の中の市場の動向は鑑みるけれど、やはり自分の作りたいものを作るという傾向があると思います。
一方、運営というのは開発もしていくのでクリエイティビティの部分がゼロではないですが、“お客様やユーザーさんの満足度を上げていく”というところにやりがいを覚えるんです。例えば候補者様とお会いするときに、「いちばん達成感を得られるのはどんな瞬間ですか?」と聞くんですけど、そこで自らがクリエイティビティを発揮した瞬間と答える人は開発寄りかなと思うし、逆にお客様からのフィードバックが返ってくるところに一番の達成感を感じる人は運営寄りかなと思います。フィードバックというは、各種メディアへの書きこまれたコメントとか、KPIとかいろいろありますね。我々としては、お客様からポジティブなフィードバックが返ってきたことに達成感を得られる人たちに集まってほしいんです。
――なるほど、良いフィードバックがひとつのやりがいにつながると。
田川 運営はやはり辛いこともあるし、夜中に障害があれば対応しなければならないこともあります。アップデートをし続ける限り、障害がゼロになることはなかなかありませんからね。そんな中で、ポジティブなフィードバックを得ることにモチベーションを持っていて、いち早く障害に対応したいという意志を持ったメンバーじゃないと乗り越えられないかなと思います。
――ところでDeNAタイトルは最終的にすべて移管されるんですか?
田川 ゲームの運営で世界一の拠点を目指していることもあり、最初から大きいタイトルを移管しています。大きいタイトルというのは、『農園ホッコリーナ』のように4~5年続いているタイトルです。それだけ続いているタイトルにはノウハウが蓄積されています。なぜなら、ソーシャルゲームはロングヒットするほど、運営の難易度がどんどん上がっていくんですよ。結局ユーザーのステータスの分散が広くなっていくので、どの層の人たちにフォーカスしてアップデートすれば誰の満足度を得られるのか? そういう部分での難易度が上がっていく。でも、そこが運営の肝かなと思っていて、その肝をよくわかっているメンバーが携わる大きなタイトルからまずは引き継ぎをはじめ、そのノウハウも吸収していこうと考えています。
ただ、その中ですべてのタイトルをDeNA Games Tokyoで運営するかと言うとそうではない。私は本社のソーシャルゲームの運営統括責任者も兼務していますので、本社と連携して、上手く役割分担して、連携効果を最大限引き出したいと思っています。
――ではひとまず大きなタイトルを中心に運営されていくわけですか?
田川 ブラウザタイトルに関しては、基本的にまるっと移管していこうかと思っていますが、後々は自社開発のアプリタイトルでロングヒットしているタイトルについて、部分的に運営を巻き取っていくということも考えています。というのも、アプリタイトルになると運営に必要な人数が基本的に増えるんですね。ブラウザよりもコンテンツの開発に関わる人員数が増えますし、コンテンツ開発以外にかかる人員も必要になる。ブラウザの場合はMobage上のコンテンツであるということもあり、Mobage上にある機能を活用することで、Mobage内で効率的にマーケティングできていました。
しかしアプリの場合、集客するためにティザーサイトを作ったりツイッターの運営をやったり、場合によってはオフラインイベントをやったりといろいろやらなければいけないことが多い。コンテンツ自体でさえも開発、運営に人員がかかるのに、さらにマーケティングやいろいろなことで人が必要になって、てんやわんやになっているところは正直どこの会社もあると思います。
ですからそこの一部、例えばマーケティングのみとか、コンテンツ開発以外の部分すべてとか、コンテンツで定常的に回している部分とか、大型アップデートなどの開発は本社で行い、我々はそのほかの運営部分でブラッシュアップを重ねていくという役割分担も考えられます。まるっと全部任せてもらうことだけでなく、グループのメリットをしっかり活かしていくのが今後のポイントかなと思います。
――今後やりたいことや目標は?
田川 いろいろありますね。事業面では、本社も他社様もそうだと思いますが、人員不足でやりたいことがやれない。そんなヒットメーカーの手助けをしていきたいと思っています。ヒットメーカーであればあるほど、いま現在運営しているタイトルの規模は大きく、そこに人員をアサインしなければならないし、さらに新しいものも作らなければならない。そんな大変な状況になっているヒットメーカーの方々を我々がお手伝いすることでより良いユーザー体験を提供することができればソーシャルゲーム業界全体の発展にも貢献できると思っています。
–まさにソーシャルゲーム業界における縁の下の力持ちですね。
田川 そうですね。委託や移管がしたくなる会社にしたいです。それから組織面でいうと、ゲーム業界の人だけじゃなく、ゲーム好きなんだけど非ゲーム業界の人たちにも、仲間になってもらいたいですね。ゲームに対しての強い興味と一定のスキルがあれば、うちの会社に入っていくらでも訓練はできると思うので、いろいろな業界の人が集まるような会社になっていけばいいかなと。ゲームに対する想いがある人が、おもいっきり活躍できるような土壌を作っていきたいと思います。
あとは地域密着ではないですけど、秋葉原の街の方々にお世話になっています。例えば秋葉原で飲み会をしたり、家電量販店に買い物に行ったり。そういうところから秋葉原にも貢献できればいいな、と思います。また、うちもゲーム会社ですからエンタメの街である秋葉原とは親和性は高いと思っています。例えば、自社ゲームのなかで大手家電量販店さんとコラボしたイベントを実施したりとか。そういった活動も今後やっていければ良いなと思っています。そのなかで、世界的に注目されるエンタメの拠点である秋葉原がより大きな、すばらしい街に育っていく手助けができればうれしいですね。……あまりデカいことを言うと「お前、何ができんだ」という話になっちゃいますが(笑)。
DeNAでは横浜DeNAベイスターズという球団を通して横浜の街を盛り上げようといろいろな方々と連携させてもらっている実例もあります。我々もこの秋葉原でそういうことやっていこうと思っています。
社内イベントだけどちょっぴり取材できたよ
冒頭で書いたように、今回の事務所オープンを記念したオープニングセレモニーは社内向け。当然、そのすべてを取材することはできなかったが、特別にセレモニーでの南場会長、守安社長の挨拶を見させてもらったので、両氏からのDeNA Games Tokyoへの激励のコメントを掲載!
「じつは新会社の提案が田川からあったときに、秋葉原にすごくこだわっていました。すごく気合いを入れて変なフィギュア(田川氏の精神的支柱らしい)を経営会議に持ち込んで、誰に何を言われようと妥協せず、絶対に秋葉原に会社を作るんだ、という強い気持ちを持って提案してくれました。ゲームの運営ということで、DeNA Games Tokyoがお客様へのデライトという点において、一切妥協せずに力を合わせてDeNAを越えるような、DeNAグループのナンバーワンを目指してほしいです。ただし、DeNAよりすばらしい会社になってほしいけれど、デライトに関してはグループ共通でいちばん大事にすることなのでそこは妥協せず、独立独歩で突き進んでいただければと思います」(南場)
「皆さんには大変期待しています。ゲーム事業において開発と運営は両輪。当然、両方大事なのですが、開発においてはDeNAの開発チームが良いゲームをどんどん作ってくれると思うので、DeNA Games Tokyoの人員も足りなくなってくると思います。そして運営の力を強化していかなければやっていけないくらいヒットゲームがどんどん出てきます。そのヒットゲームを1年なのか、3年なのか、5年なのか、長い期間で運営し続ければ売上利益を上げる。もちろんおもしろいゲームであり続けなければそうはならないけれど、どれだけヒットを長く伸ばせるか? 僕は数字が大好きなので(笑)、頭の中でいろいろシミュレーションしていますが、DeNA Games Tokyoの活躍がグループ全体の業績に大きく関わってきます。このチームがどれだけ良いチームになって、多くのタイトルをヒットし続けさせられるかが、グループの将来を大きく左右する。そんな拠点だと本当に思っていますので、皆さんがんばってください」(守安)
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