こんな試遊会は初めてかも
とんがった感性と独自の世界観で多くのファンを持つ『moon』や『チュウリップ』といった作品を生み出した、ゲームクリエイター木村祥朗氏の新作『勇者ヤマダくん』。そんな注目作品の試遊&トークショーが、OnionGamesのメルマガ“のぞきみクラブ”の会員向けにひっそりと開催された。
開催場所は、新宿にある“8bit cafe”。レトロゲームがズラリと並び、居るだけで楽しい空間がすっかり『勇者ヤマダくん』モードに! そしてその様子は、まるでちょっとしたオフ会のよう。主催者と参加者との距離が近すぎる、前代未聞の試遊会のはじまりです。
きっとセンス溢れるヘンな作品なんだ!
『勇者ヤマダくん』というちょっとふざけたタイトルと、どこかで見たことのあるようなロゴに、いとも簡単に胸を躍らせる記者。さらに作品のテーマが“おじさまと女子高生のピュアラブ”ときたら、そりゃあもういろんな意味で期待しちゃうでしょうが!
▲登場人物とゲーム内容は、だいたいこーんな感じ。ちなみに記者は、ヤマダくんが自分より年下なことに衝撃を受けている(笑)。
『勇者ヤマダくん』公式ホームページはコチラ
実際どんなゲームなのかな?
会場では、BitSummitで公開されたものと同じバージョンを遊ぶことができた。ゲームのルールは至ってシンプルで、一筆書きの要領でゴールまでのルートを示すだけ。ただし、フロア上にはヤマダくんを助けてくれるアイテムや宝箱のほか、敵やギミックもたくさんあって頭を悩ませる。そういったパズルゲームの側面もあるいっぽう、ヤマダくんのレベル上げや装備品の要素も充実していて、しっかりRPGしてるんだなーこれが!
▲すべてのマスを通ってゴールにたどり着くと、パーフェクトクリアでボーナスゲット。そのためには、アイテムを使うタイミングが非常に重要だったりする。(と思う)
▲敵が大量に出現するフロアも。そんなときは敵全体を攻撃できる“ミナサンダーの巻物”が役に立つ。ほかにもいろいろな効果がある巻物が登場する。(らしい)
▲ヤマダくんをクビにした、憎っくき綾小路ヒデ丸会長の権化がボスとして登場。記者はOnionGamesのスタッフさんにだいぶ助けていただきつつ、倒しましたぜ~。(感謝!)
無事クリアしたあとは、ヒロインのJKマリアちゃんも登場し、本編につながりそうな展開に。というと、ちょっとマジメな話を想像しそうなものだけど、そんなことないから安心してくれたまえ。ヤマダくんいきなりマリアちゃんに全裸を見られちゃうから! ここからどんな“ピュアラブ”が描かれるのか、まったく先が読めません。
▲ちなみに装備画面はこんなふうになっとります。ヤバい衣装がチラホラ見えますけど何か。
それにしてもグラフィックも音楽も効果音もいい感じだなあ。これはレトロゲーマー悶絶間違いなしですわ~。 そこかしこにちりばめられているあの頃のゲームのパロディ、オマージュも見逃せないし、操作感も小気味よくてチョー気持ちイイ!
プロモーションムービー
トークショーでは思わぬ発表も
試遊のあとは、木村氏のほか、キャラクターデザイナー倉島一幸氏、プロデューサー岡宮道生氏(DMM.com POWERCHORD STUDIO)によるトークショーがスタート。
▲(注)木村氏が熱弁するなか、ツイキャス用にひたすら撮影をする岡宮氏の図。
まず最初に、今回のイベントの趣旨を説明する木村氏。このゲームは人を選ぶから、100人中100人がおもしろいと言うわけがない。だったら遊んでもらっておもしろいと思ってくれた人に、しっかり口コミで広めてくれることに賭けたい。お金を投じて一気に1万、10万という規模の人たちに伝えるよりも、まずは自分の作品を好きと言ってくれる25人の人にしっかり伝えるほうが自分たちに合っているんじゃないか、という発想からこういったイベントを開催したとのこと。
さらに、木村氏自身はずっとゲームを作り続けられているが、とくに大ヒットした実績があるわけでもなく、自分がゲームを作りたいと思ったときに仲間が集まってくれる、ギリギリのところでやってきたと言及。今回も、POWERCHORD STUDIOさんとコラボしてこのゲームが作れる。売れたからではなく、人間関係やコミュニケーションから生まれていることに感謝したいと、想いを語った。
なかなか熱いトークショーになってきた……と思いきや、参加者からの質問に答える形になってからは、ざっくばらんに。
――いままでデザインしたキャラクターでいちばん思い入れのあるものは?
倉島 自分が初めてキャラクターを描いた作品は、旧スクウェアの『半熟英雄』なんです。それで“くちびるナイト”というくちびるの形をした戦士を書いたんですけど、ボツを食らって、それをメチャクチャ覚えてます!
木村 ねえ、世に出てるやつにしてもらえる? みんなが遊んだことあるやつ! でも忘れちゃうんだよね、自分がどれを作ったのかとか(笑)。
倉島 あなたに言われたくない(笑)。
木村 そうだね(笑)。
――ヒロインのマリアちゃんを作るときに意識したことはありますか?
木村 最初はセーラー服だったんですけど、いろんな人から「セーラー服なんてもう見ないよ」と言われて、自分の中にあるAKBを引っ張り出してきました。途中、綾波レイもいいなあといろいろ考えた挙句、スカートをチェックのデザインになりました。このチェックがドット絵で表現できていることがすごいですよね?
――全部で何ステージ作る予定ですか?
木村 数えてないけど、ボリュームありますよ。とはいえ、まずストーリーありきで作ってるので、数だけで勝負ということにはな りません。無限生成のルーチンも考えてましたが……やっぱり手作りにはおもしろさで勝てないんですよね。ダンジョン職人のトムがチクチク全部手作りでやってます。
――ヤマダくんはなぜ裸なんですか?
木村 これには理由があるんです……。皆さんは知らないと思いますが、自分の知ってる優秀なプログラマーの多くが、家で仕事するとき裸なんです! ふざけているように聞こえるかもしれませんが、モノづくりというのは、自分をさらけ出す側面もあるでしょ? そういうマジメな意味も込めて……いいですかね(笑)。
――なんでこんな主題歌なんですか?
木村 友人から、カオリーニョ藤原さんのアルバムをオススメされて聴いてみたんですけど、『逆行人生』という曲が流れてきたときに、これは自分が作っているゲー ムの内容そのままじゃないか!となって、四谷のLIVE会場にお邪魔したり、大阪で御挨拶させてもらったりして、話を進めました。『カオリーニョ藤原の真実』本当にいいアルバムなんですよ!
逆行人生
――『勇者ヤマダくん』はいつ配信されるんですか?
木村 うーん……何とも言えないけど、どのメディアよりも先にサラッとお伝えするので“のぞきみクラブ”をチェックしてください。タイトルで“ヤマダくんの発売日決まりましたよ”とか、わかりやすくしますから(笑)。僕らはとにかくお客さんとダイレクトにつながることを主眼に置いていて、今日のイベントもその一環ですし、“のぞきみクラブ”もそういうスタイル。だから、つまらないときは正直に伝えてもらいたいですね。そうやっていいものを生み出していきたいです。
――『Milliom Onion Hotel(ミリオンオニオンホテル)』はいつ配信されるんですか?
木村 11月の配信を目指してます。10月にアメリカのインディーゲームイベントの応募があって、それに間に合わせるために動いているので、きっと大丈夫でしょう!
そして最後に、ひたすらツイキャス用の撮影をしていた岡宮氏が重い口を開いた。なんと植松伸夫氏が『勇者ヤマダくん』にゲスト出演することを電撃発表! どういった形で登場するかはおいおい発表するとのことなので、首を長くして待っていよう。
終始、笑いの絶えないままイベントは終了。友だちどうしで飲みながら語り合うような独特の雰囲気は、木村氏の人柄はもちろん、生み出してきた作品にどこか通じるものがあるんじゃないかと、なんだかうれしくなった記者であった。
[関連記事]
【BitSummit2015】木村祥朗氏最新作『勇者ヤマダくん』…その正体は骨太一筆書きRPGだった!
勇者ヤマダくん
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- OnionGames
- 対応機種
- iOS / Android
- コピーライト
- © DMM.com POWERCHORD STUDIO / Onion Games