【TGS2014】Google Play クリス・ヤーガのラウンドテーブル※全文掲載

2014-09-19 14:01 投稿

基調講演後に行われた限定ラウンドテーブル

東京ゲームショウ2014(2014年9月18日~21日)のビジネスデイ初日、基調講演の第二部に登壇したGoogle Play アジア太平洋地域ディレクター Chris Yerga(クリス・ヤーガ)氏。その講演後に、限られたメディアだけが呼ばれて密かに行われたラウンドテーブルの模様を全文掲載でお届けしていく。

ここでは、改めて今回グーグルが東京ゲームショウに参加した狙いと、それを受けての記者からのヤーガ氏へのQ&Aが語られている。

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※【TGS2014】ゲーム業界のこれからをGoogle Playのクリス・ヤーガが語る

ここからクリス・ヤーガ氏が語ります

本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。グーグルがこの東京ゲームショウに参加したのは、今年が初めてです。なぜ我々がここにいるかというと、やはりゲームが根本から変わってきているからです。これは将来の話をして予測しているわけではないんです。実際にもう変化して、起こっていることなんです。

スマホの成長・拡大は著しく、その要因はスマホの進化し続けるスペックも関係ありますし、それに合わせて持っている人が何十億人もいるということなんです。このアクティブユーザーの中でも、非常にゲームをやっている人が多いということが言えます。つまり、それだけマーケットのチャンスがあるということなんですね。

とくに日本・アジアの開発者の方々はモバイルゲームでいいビジネス展開をされています、その現状をお話したいと思って今回東京ゲームショウに参加させていただきました。

本日の基調講演でも申し上げましたが、2013年の6月~2014年6月までにGoogle Playでアプリを販売している人の全体の収入が50億ドルだったという数字が、マーケットチャンスを物語っています。

すでに日本の開発者の方は、世界中にアプリを販売することができるというグローバルな機会を享受しています。実際に、アメリカの売上のTOP30のアプリのうち、5つはアジアの作品であるわけですから。

ゲーム産業はいまや非常に大きな産業であるわけですけど、いま我々が認識しなければいけないことは、スマホのおかげで新しいゲームユーザーの開拓ができたということです。ゲームのコンソールを買うということを考えてなかった人たちや絶対に東京ゲームショウに足を運ばない人たちが、「自分のスマホでゲームができる」ということで、新たなゲーム人口に育っています。

こういったゲームユーザーの増加は、グローバルな世界へのチャンスにもつながります。それは、ますます多くのアプリの開発者をより多く引きつけています。いまここで初めて公開する情報なんですが、過去2年間でGoogle Playでアプリを開発する登録者の数が、日本で2.5倍に増えたという結果があります。

今日の基調講演でもミクシィの森田さんが登壇していただいて、『モンスターストライク』のことについて話してもらいました。業績もよく、これから北米・韓国のほうでも展開されるということで、そこからもいま私が話したこと物語っています。私から改めて申し上げたいことは以上となります。

ここから質疑応答へ

 

Q.今回、東京ゲームショウに初めて参加されて、日本のゲームデベロッパーの雰囲気をどのように感じましたか?

私自身日本のゲームの大ファンです。この中で私がいちばん年長者だと思うのですが、東京に来て感心したのはゲーム文化が非常に浸透していることです。米国でもゲームの人気はありますが、日本のほうがゲームのメインカルチャーになっています。日本のゲームやアプリは本当に素晴らしい。その中で素晴らしいタイトルを作る新しいメーカー、ミクシィさんやコロプラさん、ガンホーさんなどがいます。その中でも日・米の両方で成功していることは、グローバルに魅力のあるゲームを作る力のある会社さんなんだな、と思っています。世界中のゲームユーザーを虜にする、キャラクターやゲーム性を開発する力がある。ということ、それに加えて、デジタル化によって広く触れられる機会があること、が非常に大きな魅力があります。

Q.基調講演の中でも見せたAndroid TVを使ったゲームプレイも提供していましたが、家庭用ゲーム機や地上波放送のテレビの使用率が下がってきている中で、テレビでゲームをするっていう文化が離れつつあります。そのあたりはどうお考えでしょうか?

非常によい質問ですね。我々はどのデバイスを使ってゲームをするのか、っていうことを選ぶ必要性がない時代にきたと思っています。AndroidやGoogle Playをどんなスクリーンでも使えるようにしたい、ただその想いだけで、開発努力をしてきたわけです。どのデバイスでもシームレスに同期して、体験できるようにしたい。ひとつを選ぶことによって、どこでもゲームやコンテンツを楽しめるような選択肢でありたいですね。たとえば、今後もスマホの人気は続いていくわけですけど、私自身は自分のリビングルームでくつろぐときは、そこでゆっくりゲームを楽しみたいと思っています。ですから、やっぱりそういう選択肢もあってもいいじゃないですか。

Q.開発者がアプリを配信する上で、AppStoreではなくGoogle Playを選ぶメリットは何でしょうか?

世界でもっとも広く使われているモバイルOSを持っているということがまずひとつです。あと、一連のサービスを提供できるオファーリングのノウハウが我々にはあります。アプリのマネタイズを手助けする方法だってあります。私たちは、デベロッパーの中でもグローバルに展開できることをもっとも先頭に立って、後押しをしていける会社だと思います。

基調講演の中でも話したデベロッパーコンソールについても、ローカライズをするためのツールだとかも組み込まれていますし、新たな形式で開発者の方がβテストを行えたりもします。

デベロッパーの方々に、最大で大きなマーケットを提供するだけじゃなくて、さまざまなツールでのサポートがあることが強みだと思っています。

最後にもうひとつ申し上げておきたいのは、Androidプラットフォームの強みですよね。Google Playにすることによって、Androidプラットフォームがもたらす技術革新をGoogle Playでもうまく活用できるということです。これだけパワフルなプラットフォームですと、いろいろなOEMやハードウェアメーカーが革新的なデバイスをつねに開発していただいています。2、3ヵ月前にAndroidウェアのアナウンスもさせてもらいましたが、そのあとすぐにいろいろなデバイスがいろいろなメーカーから出てきましたよね。これはAndroidが持つ力、我々の強みです。

Q.さきほど日本の開発者が過去2年間で約2.5倍になるというお話でしたが、その中で増加する明確な要因はありますか?

開発者が増えた理由としましては、やはりより多くの開発者がマーケットの規模に気づき始めたからだと思います。モバイルゲームの開発は、ほかのビジネスと比べても参入障壁が低いというのがあります。とても若い会社でも、ソフトウェアを開発して、さらにそれをグローバルに展開することが簡単にできることも言えると思います。

Q.開発者ひとりあたりの収入ははどのくらい増えていますか?

開発者の方の収入については、全体の合計でしかお話ができません。2013年6月~2014年6月まで50億ドルを開発者の収入として我々は投資しました。これは前年度比の2.5倍の成長です。内訳は話すことができないのですが、我々は非常に優れた開発者のためのエコシステムを持っています。ますます新たな開発者がどんどん参入してくるということは、きちんと収益をあげることができているという事実があるからこそ、その数が増えているのです。

Q.「参入障壁が低い」と言いましたが、最近ではスマホのゲームの開発費がどんどん高騰化してきていると思います。この流れについてどう思いますか?

まず「参入障壁が低い」と言うことに関しましては、過去のゲームプラットフォームがまだクローズドな状態だったときのお話です。開発したあとに、販売のライセンス許可を獲られたりするようなことが、オープンプラットフォームによって必要なくなったという意味で、「参入障壁が低い」と言えます。ただそれと同時に、確かに作品のクオリティーが上がってきたというのもあります。ゲーム内のイラストやグラフィックは高品質なものに変わってきています。

その一方で、とてもシンプルなゲームが成功をおさめているケースがあるのも事実です。その成功の規模感は違うかもしれませんが、個々のゲームメーカーの規模感で巨額な投資を行って、大きなリターンを期待している会社もあれば、2人だけで制作したヒットタイトルなど、いろいろなデベロッパーがいて、それぞれの成功パターンが存在していると言えるのです。

ご質問の中にあった「開発費の高騰化」というものは、本当にトップクラスの開発会社だけの話だと思います。

Q.日本のゲームはグローバルだと成功しにくいみたいに言われることもありますが、今後どういうことをしていけばグローバルヒットをすることができますか?

そもそも日本のゲームはグローバルでヒットしていると思うのですが、マーケットによってユーザーの好みは全然違います。よく我々のパートナー企業が北米やヨーロッパに展開するときに行うことは、たとえば最初のストーリーの導入部分を日本版よりも短くして、ユーザーがすぐにゲームを遊べるようにしたりします。そういったこ細かい部分を調整したり、変更したりということはよくやっていますね。そういったことを上手にできているのかが、米国TOP30のうちの5つのアジアタイトルではないでしょうか。これらのタイトルはその調整をうまくやられているのではないかと思います。

Q.話がすごい変わるんですけど、いま日本で『妖怪ウォッチ』というのが大流行しているのですが、グーグルのウェアラブル端末にゲームコンソールとしての成長を感じますか?

そのアイデアは素晴らしいですね! Androidウェアは、よく“コンパニオンデバイス”と呼ばれています。最初の1台目のデバイスではないかもしれませんが、ほかのデバイスといっしょにうまく使うことで真価を発揮すると思っています。たとえば、ゲームをプレイしていてイベントが始まったりしたときに、ウェアラブル端末が教えてくれる、といった使いかたです。これはは非常に相性のよいことではないかと思っています。

 

以上が、今回のラウンドテーブルに話されたすべての内容だ。時間にしては30分ほどの短いものであったが、話した内容やどれも濃く、グーグルが今回の東京ゲームショウに懸ける想いは我々の想像以上に高い。なので、ここに全文掲載という形で残しておきたい、そう思った次第だ。

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