『戦国無双』を生んだ杉山芳樹氏最新作『戦国X(センゴククロス)』はこうして生まれた!

2014-07-18 12:31 投稿

0.5歩先を行く新たなチャレンジ

リアルスタイルから自社タイトル第1弾となる『戦国X(センゴククロス)』が配信された。手がけたのは、元コーエーテクモゲームスで『戦国無双』シリーズを生んだ杉山芳樹氏。

約3年6ヵ月前に立ち上がったリアルスタイルの企業コンセプトは“新しいコトやる会社”。まだガラケーのシェアが圧倒的だった当時、スマートフォンでのゲーム開発を主軸に事業を展開することを選んだ。開発方針は「0.5歩先を行く新しさを追求する」こと。

その開発方針とノウハウを結集して作られた、リアルタイムストラテジー『戦国X(センゴククロス)』。今回のインタビューでは、リアルスタイルの専務取締役兼プロデューサー 杉山芳樹氏、ディレクター 牛草信寿氏、音楽を手がけたATTICの中條謙自氏に本作誕生の経緯や開発秘話を全3回にわたってお届け。

▲プレイヤーは城下町を発展させつつ、歴史上で活躍した数々の武将を収集・強化・育成し、天下統一を目指す。
リアルスタイル
専務取締役兼ゼネラルプロデューサー
杉山芳樹氏(中央)
リアルスタイル
開発ディレクター
牛草信寿氏(右)
ATTIC INC.
サウンドディレクター
中條謙自氏(左)

 『戦国X』のコンセプト

――まずは、今作『戦国X』のコンセプトから教えていただけますでしょうか?

杉山芳樹氏(以下、杉山) 『戦国X』はシリーズ作品にしたいと考え、「簡単・お手軽・RTS」と いうシリーズコンセプトを立てています。RTSはコン シューマゲームではとくに濃い層に向けて、難しい進化を遂げてきたジャンルです。ですから、RTSというジャンルだけにコンセプトを絞ってしまうと、難し い方向に進んでしまう。ですが、このコンセプトをベースにしておけば、また新しい進化や楽しさを発見でき、RTSというジャンルに広がりが生まれると思いました。

――スマホのRTSは、『クラッシュ・オブ・クラン』で裾野は広がりましたが、まだニッチなゲームジャンルだと思います。なぜRTSをチョイスしたのでしょうか?

杉山 私がコーエー(テクモゲームス)にいた頃、『戦国無双』シリーズをプロデュースしていたのですが、それと並行して同じ部署でシブサワ・コウが『決戦』シリーズなどを作っていたんです。『決戦』は私が大好きなタイトルのひとつで、RTSの表現のひとつだと思っているのですが、『ポピュラス』であったり『伝説のオウガバトル』であったり『半熟英雄』であったりとかもありますよね? そのときから私は、もう少し簡単でお手軽に遊べるRTSがあったらいいなと思っていて、その表現のひとつとして、今回の『戦国X』の企画を立てました。

――だいぶ以前から暖めていた企画だったのですね。そこに“戦国”というテーマを乗せた理由は?

杉山 私が戦国好きだからというのがいちばんなのですけど(笑)。もちろん、それだけで成功できるわけではないので、いろいろ考察もしました。App Storeのゲームランキング100位くらいまでに登場しているゲームを分析してポジションマップを作ってみたんです。そうしたら、 ”ゲーム性が高い戦国のゲーム”というポジションが空いているというのが見えてきて、それなら、私たちがゲーム性の高い戦国モノで勝負をしようじゃないかと。

――確かに、国内のメーカーで戦国モノは意外と少ないですね。先ほどのコンセプトのお話ですが、RTSというと、戦略性の高さや操作の忙しさといった、難しい部分におもしろさがあるように感じるのですが、お聞きしたコンセプトは間逆なイメージでした。

杉山 仰られたように、確かにRTSというのは忙しくて難しいユニットやマップ全体の動きを制することに達成感を覚えるゲームです。ただ、そこをうまく凝縮できれば、簡単・お手軽にしても爽快なRTSが表現できると思ったんです。そこで、シリーズのコンセプトのほかに、「戦国武将が織り成す軍勢同士の熱きバトル」というタイトルのコンセプトも作りました。

――かなり具体的ですね。

杉山 そうですね。紐解くと、戦国武将が織り成すもの=キャラゲー的のおもしろさ。キャラクターが立っているもので、キャラや戦国を表現していきたい。軍勢同士の=1対1ではない、軍勢同士の重い衝突・衝撃を表現したい。熱きバトルというのは、要するにこのゲームの主題はバトルであり、バトルを楽しんでもらいたいと。この大まかに3つの要素があって、これらを表現するためにはどうするか試行錯誤をしながら開発していきました。

――バトルが主題ということは、開発はバトルシステムから着手したのですか?

牛草信寿氏(以下、牛草) そうですね。プロトタイプを作成するときはバトルから作ってみようと動いてました。

杉山 弊社の始めてのタイトルですからね。おもしろさをダイレクトに感じられるバトルのプロトタイプから着手しました。でも、本当だったらプロトタイプでは戦略性とかゲーム性とかを気にするべきなのですが、私がまず気にしたのは「画面に何体出るの?」っていう(笑)。これは、『戦国無双』で身に付いた、ワラワラへの爽快感がそうさせてしまっているわけではなくて、手軽におもしろさを体感するなら、軍勢と呼べる規模の衝突がいちばんだと思ってコンセプトを組んでいたからですよ(笑)。

▲合戦では最大200体以上の兵士が画面に出現。プレイヤーの指揮のもと、戦場を駆け巡る!

日本人向けに開発されたRTS

――スマホのRTSは対人戦に重きを置いたものが多いと思いますが、『戦国X』はソロプレイが非常に充実していますよね。その辺にもこだわりが?

 牛草 『クラッシュ・オブ・クラン』は序盤からPvPがありますけど、それは海外発のゲームだからだと思うんです。日本人の性格を考えると、序盤から対人戦を楽しむというのは相当考えづらくて。 日本人のゲームプレイの流れは、まずNPCと対戦をして、次にオンラインで協力プレイをして、最後に対人戦。最終的にPvPに寄っていくのは流れとして当 然のものだとは思うのですけど、そこに至るまでにひとりで遊びきれないと、PvPを遊ぶまでのモチベーションにな らないと思うんです。

――確かに。個人的にも、まずはソロで遊び方や基本的な戦略を掴んでおきですね。

牛草 それとは別に、ソロプレイの合戦を充実させたのは、武将同士の掛け合いをさせたかったからなんです。例えば、桶狭間の戦いだったら、今川が出てきてひと言セリフをしゃべる。そういう段階を経たほうがシチュエーションをしっかり作れますからね。その掛け合いを十分に楽しんでもらってから、PvPに進んでもらいたいです。合戦はキャラクターの紹介も兼ねていますし、今後の追加武将を匂わせる効果もありますから。もちろん、合戦の内容そのものもドンドン増やしていきます。

―― それは期待して待っています!

▲日本全国を舞台にしたソロプレイモード。エリアをクリアーすることで新たな武将をゲットできる。

戦国X

ジャンル
リアルタイムストラテジー
メーカー
リアルスタイル
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み

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