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【OGCレポート】『クラクラ』の成功の秘訣は常識にとらわれない組織形態にあった

2014-04-23 16:59 投稿

フィンランドから遥々来日!

秋葉原のベルサール秋葉原にて開催中のブロードバンドコンテンツの総合カンファレンス“OGC 2014”。スマートフォンゲーム制作会社、SNSプラットフォーム運営会社などからさまざまな注目人物が講演を実施した。

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ここでは同イベントのなかから、“OGC10周年記念講演”となるSupercell(以下、スーパーセル) CEOイルッカ・パーナネン氏の講演の模様をお届けする。

スーパーセル
CEO
イルッカ・パーナネン氏

スーパーセルでもっとも生産性の低い人間は……?

子供のころから任天堂が好きで、東京に来れたことがすごくうれしいと挨拶したイルッカ氏。まずは氏自身の経歴が簡単に紹介された。イルッカ氏はヘルシンキのアールト大学に通い、勤勉ではなかったが楽しい学生生活を過ごし、そのなかで育んだ起業家精神がいまも生きているという。

▲15年前のイルッカ氏。「いまと変わらず若さを保っているでしょう(笑)」(イルッカ)

じつに14年間もの長期にわたってゲーム業界で起業家をやってきたイルッカ氏の起業家デビューは2000年に遡る。当時の友人達と”スメア”を設立。スメアはその後デジタルチョコレートに売却するが、イルッカ氏はデジタルチョコレートの社長となり、社員400名もの大所帯へと成長させたのだ。その後『クラッシュオブクラン(以下クラクラ)』を生み出すスーパーセルの共同企業者となる。

▲いまでこそ140名の従業員を抱え、世界的企業となったスーパーセルも企業当時はたったの6名でのスタートだった。

その後業績も順調なスーパーセルは従業員を15名に増加したのだが、部屋はさきほどの画像のまま。もっとも生産性の低い人間が部屋から出て行くことになったのだが……

▲出て行ったのはイルッカ氏だったという笑い話。なんと4週間もデスクのない状態が続いたそうだ。

スーパーセル設立時のコンセプトは”ベストな人間がベストなゲームを作る”ということ。「財務的な部分も大切だが、それ以上に人に重きを置いた会社を作りたかった」と語るイルッカ氏。

世界中でベストなディベロッパーの家(居場所、会社)を作り、その結果何かが起きるだろうと思っていたと言うのだが、起業家にとっては理想ではあってもそうできないのが現実ではないだろうか。

ではなぜスーパーセルは成功できたのだろうか。大きく3つの理由があるとイルッカ氏は言う。

1、PEOPLE,CULTURE&ORGANIZATION MODEL
人、文化と組織モデル

まずひとつ目の理由。スーパーセルはゲーム業界のなかのどの会社とも違う組織形態をとっていると言うのだ。

こちらは昔ながらの企業形態。いわゆるトップダウン形式のものだ。上の人間が方針や決定権を持ち、下の人間は実行部隊となる。

▲こうした昔ながらの工場形式を引き継いでいるために現在も多くの会社でトップダウン形式が取られているのだが、こういう会社ではミスをなくすことが求められ、だからヒエラルキーが必要だったのだ。

イルッカ氏は、ゲーム制作のようなクリエイティブな仕事では、誰もが好きなように発言できる環境が大切なのだと考え、まったく逆の構造のモデルを実践した。

「重要なのは、決断をする部分はエンドユーザーにもっとも近いところで行われる必要があるということです。ですから、我々の場合、各ディベロッパーがかなりの権限をもって仕事をしています。マネジメント側の仕事というのはディベロッパの人たちが最大限力を発揮する環境を作ることだと思っています」(イルッカ)

さらに続けて、このモデルの運用に関しては3つの原則があるという。

ひとつ目はできるだけ小規模なチーム(セル)を作り、それを独立した企業のように運営すること。このようにできた独立したセルの集合体が、スーパーセルの社名の由来となったのだそうだ。

そしてふたつ目は管理やプロセスを最低限にすること。

「ベストな人間が集まっているのだからベストな判断をする彼らを信じて進めるのです」(イルッカ)

そして3つ目は、失敗を祝う文化を持つこと、とのことだが、これは失敗そのものを祝うのではなく、失敗から学べることを祝おうというものだ。実際にスーパーセルではプロジェクト終了後に失敗したチームにシャンパンを振る舞ってお祝いしているのだそう。

2、THINK GAMES AS SERVICE THAT WILL LAST FOR TENS OF YEARS
何十年も続くゲームを考える

イルッカ氏が目指すのは、数年にわたってプレイしてもらえるゲーム。

「モバイル市場でそんなことありえないという人もいます。たしかに今月のヒット作が来月には消えているということがある世界ですから」(イルッカ)

しかし、それでもできるだけ寿命の長いゲームを目指すべきだとイルッカ氏は考える。日本にもガンホーの『パズル&ドラゴンズ』のような長くヒットしている素晴らしいゲームがあるが、重要なことはサービスとしてのゲームは毎週のように改善していかないといけないということなのだそう。

代表作である『クラクラ』や『ヘイ・デイ』では何度もアップデートを実施し、『クラクラ』では大規模なアップデートとしてクラン対戦の要素も追加された。スーパーセルでは、その告知のためにテレビCMを放映した。結果として『クラクラ』、『ヘイ・デイ』は現在もランキングの上位に位置しており、イルッカ氏は「長くヒットさせるためには正しくユーザーを導いてあげることが大切だ」と語った。

3、THINK GLOBAL
世界展開を考える

『クラクラ』はスタートしたその日からグローバルな展開を考えていたのだそう。スーパーセルは真のゲームメーカーになるということが目標だったと語るイルッカ氏は、世界というのはヨーロッパだけでなく、日本や韓国などのアジアも含めて考えて、ナンバーワンになりたかったのだそうだ。

▲各国でのランキングの結果がこちら。『クラクラ』も『ヘイ・デイ』も多くの国で1位もしくはそれに準ずる結果を残している。

ゲームメーカーがひしめくフィンランドのルーツとは?

ここで少しスーパーセルという枠組みから離れ、「なぜフィンランドからこのようなゲームが生まれたのか」という話へ移る。

フィンランドには伝統的にゲームを作る文化があったというイルッカ氏。昔のフィンランドは小さく貧しい家が多く、気候の問題から外に出ることも少なかった。そんななか、村から村、家から家へ渡り歩いて話をしたりボードゲームのようなものを持っている人たちがいたそうで、我々のルーツはこういうところから来ているのだと思うと説明。

そこからいまでは、大規模なコンピューターイベントが開催されるまでに成長したのだそう。この写真のアッセンブリというイベントも、学校の教室のような小さな場所から始まったが、いまではスタジアムを借りきってやるまでになったとのことだ。

日本ではロビオやスーパーセルが有名だが、これらはまだまだ氷山の一角で、政府からの補助も手厚いフィンランドでは今後ますます大きなゲームメーカーが出現するだろうとしている。

日本に進出したきっかけは、「やはり市場として魅力的な部分が大きいとしているが、任天堂のような会社が好きで、日本にいるだけで多くのことを学べるからだ」と語った。

また、ソフトバンクやガンホーとの関係性についても言及。2社をさして”完璧なパートナー”というイルッカ氏は、「ゲームの歴史に名を残すようなゲームを作りたいという非常に時間のかかるビジョンを持つスーパーセルにとって、長期的に見て我慢強くみてくれる株主が必要だった」のだそう。

日本よ、世界を目指せ!

最後に、日本のゲームデベロッパーに向けたアドバイスをということで、こちらも3つ挙げてもらった。3つの理由は、「3つ言ってくれと主催者に言われたので(笑)」とのこと。

1、世界に出て欲しい。そのために完璧なローカライズを行ってください。

「グローバルに展開するにはローカリゼーションが必要です。”よい”というレベルではなく”完璧”にしてください」(イルッカ)

2、だからといって、そのためにゲームの魂となる部分は変えないでほしい

「日本は日本らしいゲームを作ることが大切です。自分たちのルーツを愛して、つねにゲームを磨いていってもらいたいです。任天堂はそれを成し遂げました。皆さんにもできるはずです」(イルッカ)

3、ーーーーーー

「3つ目はみなさんの心のなかにすでにあると思います。今日はどうもありがとうございました」(イルッカ)

ときにユーモアを交えながらヒットの秘訣を包み隠さず話してくれたイルッカ氏。最後は大きな拍手で講演の幕を閉じた。

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