【TGS2013】スクエニ安藤氏、エイリム高橋氏らが“ぶっちゃけトーク(仮)”
2013-09-25 11:24 投稿
注目のアプリクリエーターが登場
9月20日の東京ゲームショウ2013、グリーブースのイベントステージにて、”ネイティブ、ブラウザ ぶっちゃけトーク!(仮)”と題してアプリ開発者4名によるパネルディスカッションが行われた。モデレーターを努めたのはスクウェア・エニックスの安藤武博氏。話題のアプリを手がける開発者と、どんなぶっちゃけ話が繰り広げられたのか!?
■モデレーター スクウェア・エニックス 特モバイル二部 ジェネラルプロデューサー/プロデューサー 安藤武博 氏 スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーにして、同社のスマートフォンアプリ制作の中核を担う人物。現在は『ケイオスリングス』シリーズ、『拡散性ミリオンアーサー』、『星葬ドラグニル』といった、スマートフォン向けコンテンツを始め幅広い作品を手掛ける。 |
■パネリスト ジクシーズ株式会社 代表取締役社長 井坂友之 氏 グリーを創業時より支え、『聖戦ケルベロス』の開発などを担当。その後、韓国スタジオでのゲーム制作などを経て現職に。最新作は『ドリランド 魔王軍vs勇者!』 |
■パネリスト 株式会社エイリム 代表取締役社長 高橋英士 氏 2013年3月に立ち上がったエイリムの代表取締役であり、7月にリリースし、スマッシュヒットした『ブレイブ フロンティア』の開発プロデューサーを務める。フィーチャーフォン時代からゲーム開発に携わってきた。 |
■パネリスト 株式会社オルトプラス 第2事業部 事業部長 小林陽介 氏 システム会社、デザイン会社、広告代理店勤務の後、フリーランスに転身、その後スカウトを受けオルトプラスに入社。『バハムートブレイブ』、『エンペラーズサガ』の立ち上げ、運用に携わる。 |
今後の展望
それぞれの紹介後、画面に”ネイティブとウェブの違い”、”ネイティブとウェブならではの強み”、”ネイティブ、ウェブの可能性”といったグリーが用意したテーマが表示されたが、安藤氏が「すでにさんざん話したので飛ばします!」、「みんなもう知ってる!」とこれをスルー。「ネイティブ、ウェブ、『パズドラ』とかはNGワードにしましょう(笑)」とバッサリ。以降、安藤氏の口から直接テーマが挙げられ、自由なトークがくり広げられた。
そして話題はいきなり今後の展望について。小林氏は、着用しているハッピの背中に書かれたオルトプラスの社史、社訓“伊達とノリと酔狂”を見せる。
「オルトプラスはブラウザゲームの制作が多いが、運営や運用が得意なのでそれを使ってどう勝負していくか、ということをいまもっとも社内で話している」という。
安藤氏も、「スクウェア・エニックスとオルトプラスが組んだとき、解散寸前のバンドのようにガッツリと組んで、くんずほぐれつ開発を行った」と語る。「オルトプラスは、ゲームのみではなく、エンターテインメントとビジネスを使って大きくなりたいと思っており、自分たちですごいものを作るというより、いろいろな方たちと協力して作っていきたい」と続けた。
つぎに、安藤氏曰く“グリーが窮屈になって、グリーを飛び出した男(笑)”の井坂氏は、「ドリランドのスピオフ作品『ドリランド 魔王軍vs勇者!』(以下、『ドリまゆ』)を作ってみて、自分たちはもともとブラウザしかできなかったが、いまはネイティブに近い挙動が出せるようになったと思います」と自信を見せつつ、「ぶっちゃけると、(売り上げが)すごく伸びています。月商はまだ1億円まではいっていないが、(いずれ)いくと思います」と確かな手ごたえを感じていることをアピールした。
高橋氏は、『ブレイブ フロンティア』の調子について、「27、8人の少数精鋭で制作しているので、自分も現場でバリバリやっています。ユーザー(ランキング)の反響のよさには、スタッフも戸惑いと喜びを感じていますね」と話す。
じつはこの日、アップデートを実施したばかりだったが、ユーザーからアップデートを急かされており、「こちらがこだわっている分、コンテンツの追加が難しい状況になっています」と、制作の難しさを明かした。
さらに「ドット絵の量産が難しいので、ドッターを紹介してくれ」と安藤氏に話すと、安藤氏は3人くらい心当たりがあり、そういうコラボもおもしろそうだと、会話が弾む。
安藤氏のひとこと「まさか2013年のTGSでドッターの募集を呼びかけるとは、1990年くらいにタイムスリップしたみたい(笑)」
制作期間や予算について
続いて話題は制作期間や予算の話へ。高橋氏は「『ブレイブ フロンティア』は試行錯誤も含めて1年半くらいかかったが、開発当初は5人ほどで開発していたため、予算はそれほどかかっていない」と回答。アップデートの方針については、「ドットのテイストは変えず、流れはリッチ方向に行きそう」とのこと。
井坂氏は、『ドリまゆ』が3か月ほどかけて約30人で制作。「ジクシーズは“短期間で制作すること”を自分たちの強みだと思っている」と話し、今後も制作ペースを落とさず、期間は最高でも半年、予算は億以下を目安に続けていくという。
小林氏は、開発期間が次第に長くなってきており、『ダービーズキングの伝説』は1ヵ月でゼロから作って、リリース時にチュートリアルができていなかったと、チュートリアルに進めるユーザーと追いかけっこで作ってたという。
安藤氏自身も、最近はユーザーの目が肥えてきた影響で、より質の高いゲームを求めらている現状を語ったうえで、『ケイオスリングス』など、自身が同時期に関わったタイトルのほとんどが約1億7千万の予算と1年半ほどの開発期間がかかったことを明かした。さらに、今後スクウェア・エニックスからリリースするタイトルはコンソールに近い最高級のクオリティーのものと、これまでのタイトルと同程度のクオリティーの2パターンがあるとも。前者はすでに1本あり、ニンテンドー3DSで出せる大型RPGのようなもので、家庭用のゲーム機も視野に入れてるという。ただしリリースは未定とのこと。
安藤氏のひとこと「生々しくなってきましたね(笑)」
30年後もゲームを作っている?
バリバリのゲーム開発畑の人もいる一方で、小林氏はウェブサービスをメインに行っている。小林氏は30年後のゲームを「ビジネスとしてなりたつものを追いかけていく」とした一方で、「エンターテインメントを忘れたくない」という。これに対し、高橋氏が「そのときいちばんゲームの需要が高いところで、ゲームを作っている」と答えれば、井坂氏は「自分も作っていると思うが、教育を材料にした何かを作っているかも」と回答。
安藤氏のひとこと「ウェブサービスの人が、その軸をブラさなないのがカッコいいと思いますね。そこで“ゲームしかないです”と掌返しするんじゃなくてね」
悩みやトラブル、それらの予防策
開発やサービスの中での問題や予防するために心がけていることとは? 各人の回答は以下の通り。
小林氏「KPI(重要業績評価指標) を見ましょうといって、数字だけを見て突っ走ってしまいがちですが、そうではない。大事なのは数字が上がったときに、お客様がどんな体験をして考えたか。それを数字に結びつけていくことが大事。数字は返ってくるのが早いので軸とはしますが、尊重すべきは体験や価値とかですね」
高橋氏「『ブレイブ フロンティア』でお客様に驚いてもらえましたが、いまは物量が作れないのが悩みです。お客様は従来と同等のクオリティーの追加コンテンツを求めるが、そこに折り合いをつける野が難しい。解決策は“寝ないで作ること”です(笑)。
井坂氏「小林氏と同じで、数字はどうしても見てしまうが、体感などが大事だと思います。感性でやるしかない。うちは驚きを大事にしています。世にカードゲームがたくさんある中で、どう戦っていくか考えて、ユーザーに対して驚きを入れるようにしています」
安藤氏「『ミリオンアーサー』でも、夏の水着イベントのように、あらかじめやるイベントは決まっているのに、イラストの発注とかが後手に回って間に合わないことがある」
安藤氏のひとこと「運営の体勢とか組織をどうやっていくかという課題については、答えが出ていない」
自分たちで作ったゲームをプレイしているか?
それぞれが手がけた作品を遊んでいるのだろうか? 井坂氏は「プレイしている。ユーザー視点で、ユーザーが何を本当に欲しているのかを見ている。ただ、コアユーザーのみの視点になりすぎないよう注意している」という。小林氏は、「自分がヘビーユーザーになって体験すべき」と語り、ウェブサービス出身であってもユーザーの視点になることが重要であることを強調した。
そして高橋氏も「プレイする」としたうえで、開発中の『ブレイブ フロンティア』をスクウェア・エニックスに持って行って見てもらい、「いいですね」と言われたことを明かした。
安藤氏のひとこと「なんで俺のとこに持ってきてくれなかったんすか(笑)」
モバイルゲームショウ開幕?
安藤氏はここ数年、東京ゲームショウに来るたびに、家庭用ゲームとモバイルゲームには飛び越えられない壁を感じるとし、「そろそろモバイルゲームだけのゲームショウ、“東京モバイルゲームショウ”をやるべき」と熱弁。作品のクオリティーが高くないと、うわべだけのバリューのないイベントになってしまうので、よりいっそうおもしろいゲームを作らないといけない、と展望を語った。
最後に新作について。
井坂氏「じつはこっそり仕込んでます。○○ランドとかではなく、完全オリジナルでリリースは年末予定」
高橋氏「まずは現状のものに対応することですね。新作は脳内で作っています」
小林氏「オリジナルで仕込んでいるものありますが、まだ時間がかかりそうです」
安藤氏「10月末くらいに1本出ますし、『ケイオスリングス シグマ』もありますよ。モバイルはまだまだ黎明期だと思うので、グリーさんも巻き込んでおもしろい作品を作っていきたいと思います。皆さんの新作にもご期待ください!」
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