
【TGS2013】ロングヒットプロデューサーに聞く、長く愛される理由
2013-09-19 22:39 投稿
『ドラコレ』、『ぼくレス』、『釣りスタ』の開発者が語り尽くす!
東京ゲームショウ2013初日のビジネスデイに、グリーブースで開催されたビジネスセッション。本記事では、そのセッションのひとつ“長く愛される理由 -ロングヒットプロデューサー対談-”のレポートをお届けする。このセッションは、エンターブレイン ファミ通モバイルメディア編集部の笠井正彦編集長代理をモデレーターに迎え、GREEでロングヒットを続けているソーシャルゲームを手掛ける開発者を招いて、作品が長年ファンに支持されることの難しさや、ロングヒットタイトルを生み出すコツを語ってもらおうという内容だ。
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このセッションに登場した開発者は、KONAMIの兼吉完聡氏(代表作は『ドラゴンコレクション』等)、エニッシュの公文善之氏(代表作は『ぼくのレストラン2』等)、 グリーの岸田崇志氏(代表作は『釣りスタ』等)の3名で、それぞれ代表作が配信から約3年続いている。まず、「ゲームを作っていたときに、ここまで長く続いていると思ったか?」という質問について。兼吉氏が「遊んでいただく限りは、多くのユーザーに長く遊んでもらいたいという信念で作っていた」と語れば、「当時、始めたときはゲームの作りかたもわかってなくて、ダメダメなサービスでしたが、グリーさんに作りかたやソーシャルゲームについて教えていただいてから、お客さんがグーッと伸びて長く続けられるようになった」と公文氏。そして岸田氏は「いかにおもしろいゲームを生み出せるのかを考えていたので、サービス期間までは意識していなかった」と、当時の考えかたは三者三様となった。
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では、3者の作品は“ロングヒットを生んだいちばんの理由”はどこにあるのだろうか? 兼吉氏によれば「ソーシャルゲームは、つねにお客さんの意見を聞くことができるので、その声を大事にしてなるべく早くゲーム内に反映させること。その結果として、3年間という長い期間支持され続けているのではと考えます」とのこと。ユーザーからの主な意見については、「細かい指摘もありますが」と前置きしつつ、「“ひとつのイベントに対して時間をかけたのに報酬が少ししかもらえない”、“そもそもイベントがおもしろくない”など、ユーザーの皆さんの声の中には心が折れそうになるものもありますが(笑)、それだけ愛されているのだと感じて真摯に向き合うことが大事です」と、ロングヒットの理由を述べた。
続いて公文氏が考える理由は、「ひと言でいうと、あきらめなかったということ。サービスを続ける中で、伸び悩んだり辛いこともたくさんあります。ですが、そこでダメだと思わずに、つねに初心に戻ってユーザーに求められているものを実現してやってきたこと」。それが、長く支持されているというわけだ。そして、「いかにサービスを改善して、ユーザーの声を聞いていくか」が大事だと岸田氏。「ユーザーがゲームの中でいちばん魅力的に感じている部分がどこにあるのかを見極めること」(岸田)と続ければ、「それこそがソーシャルゲームだと思います」と兼吉氏もその意見に賛同した。
ちなみに、自分の作品が愛されているな、と実感する瞬間についての質問に及ぶと、3者はつぎのようにコメント。
「以前、東京ゲームショウで『ドラゴンコレクション』のイベントをKONAMIブースで行ったときに、ブースに入りきらないくらいのお客さんが集まってくれました。そうやって、普段は顔を合わせることがないユーザーを見たときに、愛してもらっているなと実感します」(兼吉)
「個人的な話ですが、当時まともに運営できていたのが『ぼくレス』だけだったとき、私自身もゲームをプレイしていました。いまはタイトル数も増えてあまりプレイできなくなりましたが(笑)。それで、いまでもたまにログインすると、プレイしていた当時友だちになったフレンドから連絡が来るんですよ。“またやりましょう!”って。そのとき愛されているなと思いました」(公文)
「身近にいる人がリアルにプレイしているとうれしいなと思いますね。あとは『釣りスタ』を独自のルールで遊んでいるお客さんがいるんですが、そこに愛を感じますね」(岸田)
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ロングヒットを出した3者だが、今後のソーシャルゲーム市場において“愛されるソーシャルゲーム”とはどういうものになっていくのだろうか? この問いかけには、3者ともソーシャルゲームの魅力であるソーシャル性、つまり人と人がつながり、そこで生まれるコミュニケーションの中で皆が遊んで楽しめるゲームを、ユーザーが求めているものやプレイスタイルなどを考えながらバランスをとって作っていくことで、愛されるソーシャルゲームが生まれるのではという意見で一致していた。
最後に、今後新たに長く愛されるソーシャルゲームを作るための「ネタや要素を考えているのか?」というテーマについて。まず兼吉氏は、「まだ具体的に何かを考えているわけではありませんが、我々はつねにイノベーションを生み出したいと思っています。クラウドを活用したゲームで何かできないかと思っています」とコメント。そして公文氏は「我々の会社は、リッチなゲームは得意ではありませんが、とはいえその分野でもがんばりたいと思います。ただ根本にあるのは、人と人のつながりを突き詰めていくということです」、岸田氏は「リアル世界でおもしろいなと思えるものを、いかにモバイルに取り込んでいけるか。そこを意識しながらやり続けていこうと思っています」と語った。
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