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ガンホー森下氏が半沢直樹ばりに「●●返しだ!」 基調講演“開発讃歌”【CEDEC 2013】

2013-08-23 23:58 投稿

人気ドラマの名セリフをゲーム開発の場面に置き換える、森下流基調講演!
2013年8月21日~23日、パシフィコ横浜にて開催されている、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2013”。『パズル&ドラゴンズ』や『ケリ姫スイーツ』などのアプリを手掛ける、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏(代表取締役社長 CEO兼企画開発部門統括エグゼクティブプロデューサー)が登壇した、“開発讃歌”と題した基調講演の模様をお届けする。

本題に入る前に、森下氏が口にしたのが“ヒットの方程式”について。同社は『パズル&ドラゴンズ』を爆発的に普及させた実績があるだけに、その方程式をぜひ聞いてみたいところ。しかし、「そんな方程式があったら、みんなが成功して業界的にものすごいことになる」と森下氏。方程式の答えは、ゲーム開発者の永遠のテーマであり、少しでもその理想に近づくために開発者たちは努力しているのだと語った。森下氏も、その永遠のテーマ、理想に近づくために、企業的な戦略よりも「世界中の皆さんが“じぇじぇじぇ!!!”と驚くような、おもしろくて楽しいゲームを作りたい、むしろゲーム会社なんだからそれしかない」という純粋におもしろいゲームを追求することがゲーム開発の本質であり、極めて正しいことだとの持論を示した。

「アイデアを注ぎ、すばらしい仲間とお金を使って、おもしろいゲームを作る。複数のプロジェクトが動き、企画からプロトタイプ、そしてマスターに至るまでにさまざまなドラマが巻き起こる」と、森下氏はゲーム開発はドラマティックで、「ゲームの数だけドラマがある」(森下)というわけだ。そんなドラマティックなゲーム開発のさまざまなシーンにおける森下氏の考えかたを、人気ドラマのセリフを用いて紹介していくのが、今回の基調講演だ。

【セリフ その1】

左はドラマの実際のセリフで、右が森下氏がゲーム開発用にドラマのセリフをアレンジしたもの。このアレンジしたセリフについて、「新しいアイデアを考えるときは、誰にも束縛されず、自由に天邪鬼になる」と語る森下氏自身も、じつは典型的な天邪鬼。「つねに人の右斜め上を行こうとします。よく中二病という言葉がありますが、僕の場合は小二病(笑)。いつも何か風穴を開けてやろうと考えている」(森下)のだとか。ちなみに下がゲーム開発者が企画において重要視すべきポイントだ。

(1)まずは遊びの核の部分の直感的なおもしろさ
(2)右斜め上の思考で常識に捉われない非常識な発想
(3)分析や周囲に流されない

【セリフ その2】

ドラマ『ガリレオ』のセリフも、企画者目線のセリフに早変わり。ガンホーのゲーム開発者は、新作を作るときにどんなことを考えるのか? 森下氏によれば、ガンホーは“この年に新作を何タイトル作らなければならない”といった事業計画や決まりがない。それは基本的には“作りたい”、“おもしろくなる”というアイデアから生まれる新作への欲求に駆られ、突如に作ることになるからのようだ。また、「新作を考える行為は、プランナー以外もするべき。つねにみんなが考えるクセをつけて、新しいものを生み出そうという姿勢を持つこと」(森下)が、開発者の楽しみであり、そして重要視しなければならない部分ということだ。

【セリフ その3】

同社の大ヒットアプリゲーム『パズル&ドラゴンズ』を用いたセリフが上の写真。このセリフの意味だが、「成功体験に基づく思い込みが、何となくつねに頭の中にあり、それに縛られたときは一旦『パズドラ』を忘れて、自分たちが作りたいゲームの核となるコンセプトを見つめて、考えることが大事」という、成功体験を引きずらない考えかたなのだ。革新的なゲームデザインを生み出すためには、“『パズドラ』というフォーマットをぶち壊すくらいの考えかたでなければならない”というわけだ。事実、『パズドラ』開発当時、モバイルゲーム市場は、ソーシャルカードゲームが乱立していた時代だった。そんなソーシャルカードゲームをぶち壊すべく『パズドラ』は誕生し、そして見事に大ヒットを記録した。もちろん、それがかならずしも成功するという保証はどこにもなかった。仮にガラケーがメインだったソーシャルゲームの時代に『パズドラ』を出していたら、逆にヒットしなかったかもしれない。森川氏も「時代の流れやタイミングを計ることも重要」と語った。

現在、モバイルゲーム市場で何かと話題になるのが“ブラウザゲームとネイティブアプリ”について。この話題に関する森下氏が考えたドラマのセリフのアレンジが下の写真だ。

【セリフ その4】

このセリフのとおり、森下氏はブラウザ派かネイティブ派の議論について、あまり興味がないようだ。というのも「そもそも『パズドラ』がネイティブアプリとして配信したのは、ネイティブアプリが主流だからではなく、『パズドラ』というゲームの触感を最大限に活かせるのは、ネイティブアプリでなくてはならなかったから」と森下氏はいう。ネイティブアプリの時代だからネイティブアプリとして作ったわけでなく、「もし自分たちが作ったゲーム企画が“ブラウザのほうがおもしろさを表現できる”なら、ブラウザゲームとして開発します」と語った。つまり森下氏にとって、昨今のネイティブアプリの波に乗るのではなく、作りたいゲームの内容次第で最適な開発手法やプラットフォームを選び、みずからが新しい波を起こして、その乗ることがいちばん重要なことだと捉えているのだ。このほか、基調講演では以下のようなドラマのセリフを森下氏流にアレンジして、ゲーム開発の在りかたを説明していった。

「この世に無駄な研究なんかはない」(ドラマ『ガリレオ』)「この世に無駄な企画なんかはない」(森下)

森下氏は、これまで目を通してきたすべての企画書を保管してあるという。しかも、開発が中止になったり、没になったソース、没になった企画書も捨てることなく。なぜなら、これらの企画書は宝の山になるからだとか。

「人と人との繋がりだけは大切にせなあかん。ロボットみたいな仕事だけはしたらあかんど」(ドラマ『半沢直樹』)「核となる遊びとゲームサイクルとの繋がりだけは大切にせなあかん。ゲームリソースの追加だけを考えることはしたらあかんど」(森下)

結局、ゲームはチームで作るもの。従って、経験や年齢の差などは気にせず、いっしょのチームだからこそお互いをリスペクトして開発していくことが大事。森下氏によれば、プロジェクトがうまくいかない理由として、コミュニケーションがうまくいっていないことが多いとのこと。

「刑事なら、目的地くらい頭に入れとくべきだ」(ドラマ『ガリレオ』)「開発者なら、ゲームの最終イメージくらい頭に入れとくべきだ」(森下)

ゲームプレイのイメージを脳内ヴィジョンでとらえる。プロトタイプとは、開発チームのメンバー全員が、ゲームの最終形のイメージを共有する必要がある。プロトタイプは、ゲームの最終的イメージを共有するために作るもの。頭や企画書ではわかっているが、それが本当におもしろいのかを再確認するためのもので、「決して審査を通すためのものじゃない」(森下)。そしてプロトタイプを見たときに“気になる”と感じたら、それは自分の中で納得がいっていないことを意味する。気になると思ったら、放置せずに意見するべきで、「誰かが気づいてやってくれる」と思って人にすべてを背負わせようとしないで、自分から動くことが重要という意味だ。

そして基調講演の最後に「市場だけが大きくなるだけでは、ゲーム業界は変わらない。開発者が学び、ゲームを育てる力を養ってこそ、10年後、100年後、ゲーム業界はもっと良くなる」と森下氏。「ゲーム業界がさらに発展するにはひとりひとりの志が重要。みなさんといっしょに、この業界をもっともっと大きく盛り上げていきたい」と続けた。また、志を持ってやろうという意識を持てば、「誰にもヒット作を創るチャンスはある」(森下)というメッセージも添えた。
ここで終了かと思いきや、森下氏は「どうしても最後に言いたかったドラマのセリフがあります」と、自身がゲーム開発において掲げる“破壊と創造”を、ドラマ『半沢直樹』の「やられたらやり返す。倍返しだ!」をこう表現して講演をしめた。
「つまらなかったら作り直す。ちゃぶ台返しだ!」(森下)

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