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【三国志を抱く】第一人者に聞く、『三国志』って奥が深い!(その1)

2013-07-29 12:00 投稿

『三国志を抱く』を語る渡邉義浩教授の特別講義 ~第1回 いろいろな『三国志演義』 編

 

歴史小説『三国志演義』の物語をベースにした『三国志を抱く』をプレイしていて、ふと、「どこからどこまでが史実どおりなの?」と疑問がわいたファミ通App編集部一同。ゲームをやればやるほど、「もっと三国志の世界について知りたい!」との思いが強くなり、三国志研究の第一人者で、『三国志を抱く』の公式Twitter( https://twitter.com/idaku_kyoujyu )で、三国志の歴史や人物についてのツイートを監修している渡邉義浩氏(早稲田大学文学学術院教授、三国志学会事務局長)に特別講義をお願いしてしまった。「『三国志演義』の作者は羅貫中だけじゃなかった!?」、「中国にさえ残っていない『三国志演義』の激レア本が日本に残っていた!」などなど、われわれシロートにとっては意外なエピソードばかりで驚きの連続でした!

 

渡邉義浩氏。早稲田大学文学学術院教授、三国志学会事務局長

 

●そもそも“三国志の研究”って、どんなことをするの?

──のっけから初心者まる出しの質問で申し訳ないんですが、そもそも渡邉先生はどのような研究をされているんですか?

渡邉 専門は多いんですけど、三国志に関しては三国時代の歴史的なものの見かたとか、鄭玄(じょうげん)や王粛(おうしゅく)らを始めとする三国時代の思想を研究しています。『三国志演義』で三国志の物語がどう展開していくのか、といったことを研究するのもテーマのひとつですね。中国の三国時代(220~280年)の前に後漢(25~220年)という時代があるんですけど、そこから研究をスタートして、博士論文も後漢時代をテーマにしました。三国時代だけを研究しても、三国時代は理解できません。三国時代についての研究は、ぼくの中ではひととおり終わったので、いまは三国志についての論文もほとんど書いていません。いま研究しているのは、三国時代を中心に前後へ広がって、春秋戦国時代(紀元前770~221年)から、隋(581~618年)や唐(618~907年)までの1500年間くらいですね(笑)。

──1500年! 今日はとりあえず、コンパクトに三国時代メインでお願いします(笑)。

渡邉 わかりました(笑)。

●いろいろなバージョンがある『三国志演義』

──で、本題なんですけど、吉川英治の小説や『三国志を抱く』の元になっている『三国志演義』と、史実の三国志(正史)はどう違うんですか?

渡邉 羅貫中(らかんちゅう)という人がまとめた『三国志通俗演義』というのが原本なんですけど、それはもう伝わっていないんですね。それのいちばん古い写しだと言われている嘉靖本(かせいぼん)『三国志通俗演義』というのがあって、その嘉靖本がものすごくたくさん(の版本に)分かれているんです。その中で決定版とされているのが、毛宗崗(もうそうこう)という人が清代(1644~1912年)の康熙(こうき)年間(1662年 ? 1722年)にまとめた毛宗崗本(もうそうこうぼん)『三国志演義』というものです。

──毛宗崗本というのが日本人にとっての三国志のルーツなんですね?

渡邉 それが、違うんですよ。日本は毛宗崗本の前の明代(1368~1644年)末期に流行した李卓吾本(りたくごぼん)『三国志演義』という本を輸入していて、湖南文山(こなんぶんさん)の『通俗三国志』という日本訳になりました。その『通俗三国志』をリライトしたのが、吉川英治なんですよね。だから、(李卓吾本をルーツに持つ)吉川英治の小説で常識ができている日本の三国志と、(李卓吾本のあとに成立した)毛宗崗本で常識ができている中国の三国志って違うんですよ。

──日本人が知っている『三国志演義』は、中国人にとっての『三国志演義』よりバージョンが古いんですね。

渡邉 そうです。とくに、関羽の扱いがぜんぜん違います。清代って、関羽が神様としていちばん信仰されていた時代ですからね。いくつもある『三国志演義』のバージョンの中には、関羽が死なない本まであります。日本の『源氏物語』で、光源氏が死ぬ場面ってないですよね? あれと同じように、関羽が死んでしまう場面カットしてしまっているバージョンもあるんです。神様が死んではいけないので。

──神様ですか!

渡邉 関羽といえば、日本でよく知られている“漢寿亭侯(かんじゅていこう)”の話があります。曹操が関羽の功績を称えて“寿亭侯(じゅていこう)に任ずる”という意味で“寿亭侯”と書かれたハンコを贈ったんだけれども、関羽は気に入らないと突き返したんですよね。そこで今度は、“漢の寿亭侯”を意味する“漢寿亭侯”と刻まれたハンコを贈ったら、関羽は「俺が(曹操ではなく)漢に仕えていることをよくわかっている」と満足して、受け取ったという話です。このエピソードは吉川英治の小説や横山光輝のマンガ『三国志』にも出てきますし、ゲームにも漢寿亭侯の印が出てくるほど日本人には有名ですが、中国では三国志の研究者でさえ、たまに知らない人がいるくらい知られてません。というのも、“漢の寿亭侯”という話は間違いで、正史では“漢寿(かんじゅ)の亭侯”、つまり“漢寿という土地の亭侯”(※亭侯は、後漢の爵位のひとつ)という意味なんです。“漢寿”という地名を“漢”と“寿”に切り離して作った李卓吾本までの『三国志演義』のフィクションなんですね。ところが、(中国でメジャーな)毛宗崗本は歴史的な事実に戻そうとしたので、漢寿亭侯の話は切っているんですよね。

▲『三国志を抱く』に登場する関羽。

 

●日本に唯一残された激レア版『三国志演義』

──たくさんある『三国志演義』の中には、相当変わったバージョンもあるんじゃないですか?

渡邉 羅貫中の『三国志通俗演義』の元になった、元代に出版された『三国志平話』という本があります。でも内容が適当すぎて(笑)。諸葛亮が髪の毛をピッと抜くと、小さな諸葛亮がポコポコと現われたりするんです。『西遊記』ばりですね。それから、剣をパン!と叩くと、川が現われたりします。もっとひどいのは、張飛が橋の上で「俺と戦うやつはいないか!」と大声をあげて、あまりの声の大きさに橋が落ちるという場面です。張飛は橋の上に立ったままなのでいっしょに川へ落ちるはずなんですけど、そんなのはおかまいなし(笑)。あまりにもくだらないので、中国ではすべて捨てられてしまったんですけど、日本では貴重な舶来品だということで、内閣文庫(明治時代に設立された国の中央図書館。現在は国立公文書館に移管)に保管されていたんですよね。

──それは、内容がぶっ飛んでいますねー。でも、羅貫中の『三国志通俗演義』にはそこまで荒唐無稽な話は出てこないですよね。

渡邉 『三国志平話』があまりにもひどいので、君子でもちゃんと読めるような、かっちりとした作品を作るということを羅貫中はやったんですね。具体的には、陳寿の『三国志』のほか、『資治通鑑(しじつがん)』という歴史書などを参考にしながら『三国志通俗演義』を書いています。歴史的な事実をベースにしながら、フィクションを入れていって、いまの『三国志演義』の原型を作ったのが羅貫中なんです。だから、だんだん完成版に近づくにつれて、カットされてしまった三国時代の伝説もいっぱいあります。たとえば、張飛が隠していた肉を関羽がみんなに配ってしまったことからふたりがケンカになって、それを劉備が(腕力で)止めてしまう話とか。屈強な関羽と張飛を引き離してしまうほど、劉備が強いんですよ(笑)。このシーンは、中国のNHKにあたるCCTV(中国中央電視台)が『三国志演義』のドラマの冒頭で使っているんですよね。『三国志演義』の内容だけにこだわらず、さまざまな伝説で物語を作ったんです。だから、たとえばゲームが『三国志演義』の内容から逸脱していくことに対しても、とくに気になりませんね。三国志にはさまざまな伝承が残っていて、これから新しく生み出されていってもおかしくないわけです。文化の発展だと思っています。

 

 

講義のまとめ

 

・『三国志演義』には、本に載っていない伝説も含めてさまざまなバージョンがある
・日本と中国で『三国志演義』の元ネタが違う
・日本にだけ残っている『三国志演義』の原型(『三国志平話』)がある

『三国志演義』って、羅貫中という人が書いたものだけかと思っていたけれど、史実をふまえたものから、作者がやりたい放題に書いたものまで、多くのバージョンがあることにビックリ! 内容がぶっ飛びすぎて、渡邉先生いわく「かっこよすぎ」な幻の『三国志演義』の原型、『三国志平話』が、日本にだけ残っているというのも初耳だった。それほどバリエーションに富んでいる『三国志演義』だが、作品によって関羽の描かれかたが大きく違うとのこと。なぜ、関羽が”特別扱い”されるのか? ということで、次回の講義では関羽の謎に迫ります!

(取材・構成:ライター/ムライサトシ)

 

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『三国志を抱く』とは?
ウェブブラウザだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、多様なプラットフォームで同一のゲームをプレイすることができる、ネクソン初のクロスプラットフォーム型シミュレーションRPG。ゲームはすべて連動し、いつでも、どこでも、好きなときにゲームの続きをプレイすることができる。三国志演義のストーリーを背景とした本格的な歴史戦略MMO RPGとなっており、登場する背景や人物、武器や服飾などの細部まで表現。プレイヤーは、三国志に登場する約200名の武将たちを指揮し、各武将固有の戦略(スキル)を通じて戦略的な戦闘を楽しめる。
※『三国志を抱く』の公式サイトはこちら

 

三国志を抱く

メーカー
ネクソン
配信日
配信中
価格
無料(アイテム課金あり)

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