祝ジェイムズ編配信! 『制服の王子様』オジサマ萌えの秘密に迫る
2013-04-04 14:30 投稿
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●『制服の王子様』開発秘話に迫る!
右も左もオジサマだらけという、いままでにない乙女ゲームとして話題を集めたAndroidアプリ『制服の王子様(オジサマ)』。ファミ通Appで掲載された同作の記事は、ツイートがなんと17000オーバー(!!)というとんでもない反響を呼びました(⇒記事はこちら)。ダウンロード数も順調なようで、世の乙女たちに新しい萌えを提供したようです。
制服のオジサマに弱い体質を持つ主人公と、ダンディでかわいいオジサマたちの恋愛を描いた本作。思い切った企画制作には、いったいどんなエピソードがあったのでしょうか。本作のディレクターであるササキムリさんにインタビューを実施し、『制服の王子様』の裏話やオジサマ萌えの極意を訊いてきました!
そして、インタビュー中でも触れている通り、『制服の王子様』の新シナリオジェイムズ編が、2013年4月4日より開始されました。こちらも要チェックです!
※このインタビューは、2013年3月21日に発売されたファミ通App iPhone&Android NO.006のニュースコーナーに掲載された記事の完全版となります。
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▲突如「制服のオジサマを見るとめまいを起こす」というナゾの体質になってしまった主人公。彼女の周りにいるオジサマたちと接するときに起こる動悸は、体質のせい? それとも恋なの? |
■欲望のままに(?)企画がスタートした『制服の王子様』
――まず、なぜ“オジサマ”だけを対象にしたゲームを制作しようと思ったのでしょうか? そのきっかけをお聞かせください。
ササキ じつは、私自身はそんなに乙女ゲームを遊んでいたわけではなくて、仕事上の必要からここ1、2年モバイルゲームやコンシューマーゲームを楽しむようになったんですね。で、もともと好きな俳優さんは、堤真一さんや佐々木蔵之介さん、柳葉敏郎さん、寺島進さんなどのオジサマが多かったのですが、乙女ゲームって基本的に若い人が多いんですよね。せいぜい、攻略対象キャラクターのひとりが年長で、しかも30代だったりするくらい。それがちょっと物足りなくて、「オジさんが出てくるゲームを作りたい!」と思ったのが最初のきっかけです(笑)。最初は、年齢層を少しバラけさせようかっていう意見もあったのですが、インパクト勝負でオーバー45にしました。
――制作はいつからスタートしたのですか?
ササキ 企画立案したのが、2011年の年末です。完成までに10ヵ月くらいかかっていますね。開発会社さんも私もそもそもノウハウがないどうしで集まって開発をしたので、予定よりかかってしまいましたね。
――かなりチャレンジングな企画だと思うのですが。受け入れられる心配などはなかったのでしょうか?
ササキ もちろん、心配は心配でした。でもタイミングもよかったんです。企画書を出したときにちょうど、ツイッターとかで“オジプラス”が話題になったんですね。それで、上長が「こういう盛り上がりがあるならイケるんじゃないか?」ということで、企画にゴーサインが出ました。『制服の王子様』が世に出ることができたのは、『オジプラス』(※)のおかげかも。企画が動き出したあとは、たとえばオノ・ナツメ先生の『リストランテ・パラディーゾ』などのかっこいいオジサマと女性が恋愛するマンガやアニメに目を通してみては、個人的に萌えるポイントを探していきました。
※「オジサマと恋するゲームがあったらおもしろいかも」というツイッターの盛り上がりから生まれた同人ゲーム。
――じつは、企画当初『制服の王子様』はBLゲームだったという話を聞いたのですが……。
ササキ そうなんです。当初は、男子大学生とオジサマのBLゲームにしようかと考えていたんです。でも、「さすがにちょっとニッチ過ぎないか?」と指摘されまして……(苦笑)。そもそも乙女ゲームでもオジサマだらけというのはないので、さらにハードルが上がるBLゲームは止めようということになりました。
――たしかに(笑)。でも、BLバージョンも気になりますよね。『制服の王子様』の反響ぶりを経て、BLバージョンの配信なんてことは?
ササキ BLバージョン、気になりますよね(笑)。ユーザーの皆さんが求めてくだされば、ぜひにと思っています。BLバージョンが気になる方は、ご要望を出してください!
▲兄のような存在の羽山正太郎。松本保典さんが演じる。 |
■とにかくストーリーには注力しました
――本作では、主人公がオジサマを見るとクラクラする症状である……という設定が斬新だったのですが、こちらを取り入れた理由はなんだったのですか?
ササキ 当初はただの思いつきでした。じつはこの思いつきも、BLゲームを作ろうとしたときの主人公の設定だったんですよ。たとえば、主人公が女の子だったら、転んだときに「大丈夫?」って抱きとめられる……というシチュエーションは萌えると思うのですが、それが男の子だったら、「何やっているの?」くらいの反応ですよね。でも、私は男の子がオジサマに抱きとめられるのが萌えるので、どうしても入れたかった(笑)。それで、あの症状を思いついたんです。
――なるほどー。萌えポイントを入れたかったがための設定ですか(笑)。
ササキ この設定のために、物語の最後までドキドキを維持することができたように思います。オジサマのことが気になってドキドキしているのは、体質のせいなのか、恋のせいなのかわからない……という気持ちを最後まで引っ張って行けた。オジサマたちも、主人公の体質を知ることで、「体質のせいであって、俺のことが好きというわけじゃないんだろう?」と疑心暗鬼になることで、ストーリーが盛り上がる。
――それはたしかに萌えますね(笑)。そういえば、“受け攻めエンディングシステム”もBLゲーム設定から引き継がれたのですか?
ササキ その通りです(笑)。BLゲームって、主人公が受けになるか攻めになるかって、けっこう重要じゃないですか。主人公が“受け”だと、攻略対象がイケイケな感じで来てくれて、“攻め”だと攻略対象をかわいがる感じになる。オジサマが相手でも、そのふたつをどちらも見てみたいなって思ったんです。
――欲しがりですね(笑)。
ササキ はい(笑)。オジサマにかわいがってもらいたいし、オジサマをかわいがりたいということで、両方選べるようにしようと考えていました。女性の私がそう思っているのだから、たぶんユーザーの皆さんもそう思うであろうと(笑)。それで、システム的にはBLゲームを活かしたままの形になりました。“受け”になるか、“攻め”になるかは選択肢で決まって、ときにはどれを選んだらいいか、わかりづらい選択肢もあるのですが、そのへんは駆け引きを楽しんでいただければ……と思います。
――ところで、ササキさんが考えるオジサマのときめきポイントってなんですか?
ササキ 基本的にオジサマって、いままで生きてきた過去があるので、それだけ深みがあるキャラクターにならなくてはいけないと思うんです。たとえばドSキャラがいたとしても、「なんでそんな性格になっていったのか?」ということを考えた上で作らないといけない。オジサマであるだけに、“深みのあるキャラクター”というのが必須になります。オジサマは若い主人公にとっては、ものすごく頼り甲斐のある存在です。含蓄もある。でも、それが一転して照れたときのかわいさといったら! そんなオジサマのギャップが魅力ですね。私自身も、日常生活で「オジサマってかわいい!」って思うことはけっこうあります。
――たしかに、若い人と行動はいっしょでも、オジサマのほうがかわいく見えるときはありますね。
ササキ はい。「年甲斐もなく!」ってかわいさはありますよね(笑)。
――ストーリーも、そんなオジサマの魅力が溢れていますよね。
ササキ ありがとうございます。本作では、ストーリーに相当注力しておりまして、「ユーザーの方がとにかく感情移入しやすいように……」というのを意識してシナリオを作っているんです。「主人公はどのようにしてこの人を好きになっていくのか?」や、一方でオジサマも「どうして主人公に惹かれていったのか?」を、ポイントポイントでわかるような書きかたをしています。シナリオライターさんとは、「もっとこういうふうにしましょう!」とか、「好きになるタイミングが早いので、もっとじっくり関係性を追ってからにしましょう」といったやり取りをしながら、試行錯誤をくり返して作り上げているんです。それが、ユーザーの皆さんに感情移入していただけた要因なのかな……と思っています。
――それで、シナリオも相当なボリュームになったんですね?
ササキ その通りです! 開発会社のIINAさんとは、最初から「コンシューマーゲームレベルのボリュームにしたいですね」というのをスタート地点にしていたんです。最初は、「こんなに文字数があって大丈夫かしら?」って思ったんですけどね(笑)。あまりにテキスト量が多くて、攻略対象のオジサマたちのボイスも全部入れるわけにはいかなくなってしまいました。
――ボイスのお話が出ましたが、キャストの皆さんも豪華ですよね。どのようにセレクトしたのですか?
ササキ キャラクターごとに「この人のイメージだな」ということで、当てはめていきました。けっこう私の趣味が出てしまっていますね(笑)。収録では、とくに立原志麻役の一条和矢さんが印象に残っています。「立原ってこういう声なんだ!」って思いました。事前にサンプルボイスを聴かせていただいたときよりも、さらにアフレコ現場ではすごい色気で、一気にテンションが上がりました。予想していた以上にハマったという印象です。立原は登場キャラの中でいちばん若かったので、当初は少し高めの声かなと思っていたのですが、一条さんは低めのよく響く声で演じられていたんですね。それが逆にオジサマっぽくもあるし、色気も出ていて、「おおっ!」と思わされました。
――オジサマの色気がにじみでていましたね。
ササキ 松本悠一役の藤原啓治さんは、「こんなセリフ言えないよー」って照れていらっしゃいましたね。オジサマ人気が信じられないようで、「俺の周りではぜんぜんなんだけど……」とか、おっしゃっていましたね(笑)。
▲バーテンダーの立原志麻。一条和矢さんの魅力が光る。 |
■気になる今後の展開は?
――楽しそうな収録現場ですね(笑)。ところで、『制服の王子様』のキャラクターたちには、モデルはいるのでしょうか? 主人公が受講しているゼミの教授は、『相棒』の杉下右京さんっぽいなと思ったのですが……。
ササキ 正解です(笑)。ほかのオジサマたちも、アニメやマンガなど、なんとなくのモデルキャラクターはいたりするケースはあります。でも、キャラクターのバックボーンなどを考えているうちに、まったく別のキャラクター像になっていきましたね。“飄々としたキャラ”、“お兄ちゃんキャラ”などの系統だけは引っ張っているんですけど、中身は全然違う感じ。あと、制服と性格はセットで作っていきました。お巡りさんだったら、やっぱり正義感の強い人がいいな……ということで、面倒見のいいお兄ちゃんの羽山を作ったり。キャラクターデザイナーさんと、「バーテンダーの仕草が丁寧でエロい」という話で盛り上がっていて、「それじゃあ、色気のあるキャラクターにしましょう」と立原が決まったりしました。軍人のジェイムズに関しては、社内の乙女ゲームファンから、「制服をテーマにするのであれば、軍服を外すわけにはいかない!」と強い意志で主張されたので、決まりました(笑)。
――あら(笑)。個人的なお話で恐縮ですが、私はジェイムズさんに一目惚れでした。
ササキ 私もジェイムズがいちばん好きです(笑)。ストイックなキャラクターが個人的にすごく好きなんですよ。仕事に一途で自分にも他人にも厳しくて、強面で近寄りがたいんですけど、いったん近づくと「この人、おもしろい!」みたいな……。『制服の王子様』のシナリオは、キャラクターごとに別々のシナリオライターさんにお願いしているのですが、じつはジェイムズは私が担当しているんです。ということもあり、思い入れは深いです。初めてのシナリオということもあり、ものすごく時間がかかってしまいました。本当は2キャラ分くらい書きたかったのですが、思いのほかディレクター業務がたいへんで……。そのため、ジェイムズ編の配信が、いちばんあとになってしまいました。お待たせしてしまいましたが、ようやくジェイムズ編が配信できることになりました!
――おお、おめでとうございます! ジェイムズ編のシナリオも担当されていたんですね。それでは、とくに思い入れのあるシーンなどありましたら、お教えください。
ササキ 全部思い入れがありますが、とくにダンスシーンかなあ。主人公が軍人さんのパーティーに招待されて、ジェイムズといっしょに踊るシーンがあるのですが、いままでそっけなかったジェイムズが、そこで初めて笑顔を見せるんですね。そのシーンはぜひとも描きたかったので、思い入れが深いです。ジェイムズ編では、サブキャラとのエピソードなどは文字数の関係で削った部分もありますが、ジェイムズ本人に関しては、書きたいと思ったシーンは全部入れられましたね。
――ああ、サブキャラクターといえば、出てくるサブキャラクターの年齢層も高くて、「徹底しているなあ~」と思いました(笑)。
ササキ オジサマの上司は確実にオジサマですからね(笑)。じつは、サブキャラに人気が出れば、あわよくば、その方たちを攻略対象に……ということを考えながらの配役だったんです。どこまでイケるか、限界に挑戦できますし(笑)。
――杉本教授とか、とても魅力的ですよね(笑)。
ササキ お目が高いですね! 杉本教授は攻略対象にしたいなあ~と思っています。あとは、主人公の従弟の倉澤景ちゃん。ツイッターなどでも、「景ちゃんが意外とイイ!」という意見をちらほら見るんですよ。オジサマばかりだと、逆に若い子が目立つようで。景ちゃんは若年寄キャラで、精神的に“オジサマ”ポジションなんですよね~。高校生だけど、達観しちゃっています。
――ズバリ、いままでオジサマ好きではなかった乙女たちを、本作で魅了した要因はなんだったと思いますか?
ササキ たぶん、入り口は「なんだこれ? オジサンばっかりで、ヘンなゲーム」っていうところから入っていただいたと思うんですね。でも、中身はしっかりと作っているので、とにかく冗談半分でも触れていただいて、「遊んでみたらおもしろかった」という感じで受け入れていただけたのではないかと……。さきほどもお話ししましたが、シナリオで“感情移入しやすい流れを作ること”を徹底した点が、評価していただけたと思っています。あとは、やっぱり声優さんの力ですね。シナリオの流れを汲んで、しっかりと演技をしていただけたので、声の魅力でストーリーにも深みがでました。
――これだけ人気が出ると、『制服の王子様』の今後も展開も楽しみです!
ササキ はい。発売時期はまだ決まっていないのですが、ドラマCDを制作中です。シリーズものにする予定で、1枚につき、ひとりのキャラクターに焦点をあてていきます。ドラマCDでは、じっくりたっぷりとオジサマたちの甘いセリフを聴いていただきたいです。
――おお、それは楽しみですね。
ササキ あとは、iOS版に関しては、近いうちに配信できそうです。iPhoneユーザーの方にはお待たせしてしまって申し訳ありません! ほかにも、期間限定イベントという形で、エンディング後の主人公とオジサマのストーリーも配信予定です。あと、“プレミアムコレクション”のガチャシナリオも、まだ半分くらいしか出せていないんですよ。今後、ボイスももっと収録して、さらに追加したいです。ですので、ユーザーの皆さんは、ぜひデータを消さずに待っていてください!乙女たちのオジサマブームは、まだまだ終わらないですよ!
▲ついにジェイムズ編が配信開始。軍人さんとの恋愛模様はどうなる? |
ササキムリさん(マッドボックス) 本作のディレクション及びジェイムズ編のシナリオを担当する。現在は本作と並行して、乙女ゲーム次回作を構想中。 ちなみに、マッドボックスは、アニメ制作会社マッドハウス傘下のスタジオで、アプリを手掛けるの本作が初となる。 |
(インタビュー・構成/大原せんり) |
制服の王子様(オジサマ)
- メーカー
- ポピーシード(開発元:マッドボックス/IINA)
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アイテム課金有り)
- 対応機種
- Android2.2以上
- コピーライト
- (C)Poppy Seed
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