【座談会】『キンコン2』×『ダークサマナー』のコラボはこうして実現した
2013-04-03 20:43 投稿
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●誌面で掲載できなかった部分を余すところなくお届け!
2013年3月21日に発売されたファミ通App iPhone&Android NO.006では、“世界を唸らせた和製ダークファンタジー”タイトルどうしの緊急座談会として、セガネットワークスの椎野真光氏と大野一昭氏、エイチームの小倉悠吾氏と斉藤学氏の座談会の模様を掲載。世界中で多くのゲームファンを魅了している『キングダムコンクエスト2』と、『ダークサマナー』のコラボが実現した経緯などが語られている。ちなみにコラボの内容については既報でお伝えしているので、そちらを確認してほしい。今回は、誌面ではお伝えしきれなかった部分も加えた完全版を大公開!
※掲載している座談会の内容は、2013年2月時点のものになります。
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エイチーム 小倉悠吾氏 エンターテインメント事業本部 アシスタントマネージャー | エイチーム 斉藤 学氏 エンターテインメント事業本部 アシスタントマネージャー | セガネットワークス 椎野真光氏 開発本部戦略企画部 部長/プロデューサー | セガネットワークス 大野一昭氏 編成局 PM課 課長 |
●縁があって生まれた和製ダークファンタジーのコラボ
――今回のセガさんエイチームさんとのコラボは、どのような経緯で実現したのですか?
椎野真光氏(以下、椎野氏) え~と、小倉さんって呼んだほうがいいのかな?(笑)
小倉悠吾氏(以下、小倉氏) あ、昔のように、“小倉くん”で大丈夫です(笑)。
椎野 わかった(笑)。え~と、小倉くんは以前、弊社にいたんですが、弊社を卒業した後、すぐにヒット作を作ったと聞きまして。しかも手掛けたタイトルが『ダークサマナー』だと知って、ものすごく驚いたんです。初めて『ダークサマナー』を見たとき、ゲーム性や世界観はもちろん、とくにムービーの演出に度肝を抜かれたんですよ。「こんなやりかたがあったんだ!」って。それで、小倉くんにぜひ話を聞いてみたいなと。
小倉 大先輩からのお誘いなので、「これは絶対に断れない!」と思いました(笑)。
椎野 最初はFacebookで連絡を取り合ってたんだよね。
小倉 そうでしたね。それで、いろいろお話をしたんですが、『キングダムコンクエスト2』はすごく有名なタイトルなので、いっしょに何かできたら、「すごくおもしろいことができるんじゃないか」という直感がありまして。それがもとでコラボが決まりました。
―― 今回のコラボは、おふたりの関係があってこそだったというわけですね。
小倉 あ、でも、セガさんにいたときは椎野さんといっしょに仕事をしたことはなかったんですよ。企画セクションという中で、僕が毎回作った企画書を、椎野さんにチェックしてもらっていた程度で、毎回ダメだしされていましたが、『ダークサマナー』で初めて誉めていただきましたね(笑)。
椎野 いやでも、セガを卒業して1作目でヒット作を作ったって聞くと、「僕の指導がまずかったのかな」って、ものすごく思うんですよ(笑)。もうちょっと自由にやらせてあげていたら、セガで『ダークサマナー』が作られていたかもしれないなって……。
小倉 そんなことはないですよ(笑)。そもそもセガさんにいたときは、コンシューマーの担当で、エイチームに入るまではソーシャルゲームにほとんど関わっていませんでしたから。だから、『ダークサマナー』のようなゲームを考えるという発想自体、起きなかったと思います。仮に考えたとしても、セガさんだと企画が通らなかったと思いますよ。
大野一昭氏(以下、大野氏) たしかに、関わる人数が多いぶんうちのほうがなかなか企画が通りにくいかも。企画を通すときは、こういう暴れん坊に任せないと(笑)。
―― それでは、気になるコラボの内容を、タイトルごとに教えてください。
大野 基本的には、『キングダムコンクエスト2』と『ダークサマナー』の魔獣を交換し合って、それぞれのコンテンツに登場させるというのがベースになります。
椎野 『キングダムコンクエスト2』の場合だと魔獣5体をお借りします。入手方法は調整中ですが、『ダークサマナー』の魔獣がマグナの世界に何かしらの理由でやってくるのが、ベースのストーリーになる予定です。
小倉 弊社の場合も同じような感じですね。まだフィックスしていないので、詳細ははっきりとお話しできませんが、ざっくり説明すると、絶海の孤島に『キングダムコンクエスト2』の世界に通じるゲートが発生したという設定になっていて、その孤島で『キングダムコンクエスト2』の魔獣を手に入れつつ、バトルロイヤルをくり広げる、といったバトル寄りのイベントになる予定です。
――かなり盛り上がりそうですね!
斉藤学氏(以下、斉藤) そう言っていただけるとうれしいですね。そもそも今回のコラボは、弊社内のイベントスケジュールとタイミングよく合致したということもあって、ユーザーの方に「新しい刺激を与えたい」という思いがあり、コラボと絡めて、盛大に行おうと思っています。
―― 自分たちのコンテンツの魔獣がほかの作品に出ることについては?
椎野 『キングダムコンクエスト2』の魔獣に関しては、世界観設定のほぼすべてを担当している者がいて、彼のイマジネーションがどういった形で『ダークサマナー』の世界観に溶け込むのだろう、というのが楽しみです。
大野 前作では、ほかの世界観のものを取り入れるといったことはしませんでしたからね。
椎野 『キングダムコンクエスト』は、その世界観を守るために、いままでコラボをやってきませんでした。でも、同じダークファンタジーの『ダークサマナー』の世界観だったら、完全にシンクロさせることができると思ったんです。お互いの魔獣をその世界に送り込むと、どういった化学変化が起こるのか、本当に楽しみなんですよ。
――なるほど。エイチームさんはどうですか?
小倉 弊社としても、ほとんど同じですね。『ダークサマナー』の企画書は僕が書いて提出しましたが、モンスターの名前などの細かい設定は、すべて弊社の斉藤が考えて、世界観を構築していきました。
斉藤 やはり、どういった化学反応が生まれるのか楽しみですし、ダークファンタジーという共通の世界観を持った『キングダムコンクエスト2』とコラボできるのは、とてもうれしいですね。
●『ダークサマナー』の制作秘話
椎野 『ダークサマナー』は、そもそも先にダークファンタジーという世界観があって、製作を始めたの?
小倉 いえ、もともとはソーシャルカードゲームみたいなものをスマートフォンで海外にリリースしたいというコンセプトがあったんです。
椎野 あ、最初から海外狙いだったんだ。
小倉 そうですね。ダークファンタジーは当時、海外ではあまり出てないジャンルのひとつだったんですが、僕がダークファンタジー好きだったということもあって、そのテイストで出せばいけるんじゃないかと思ったんです。ただ、そのころは海外でソーシャルカードゲームがほとんど出ていなかったんですよね。ですから、いきなり複雑なシステムのものを出すよりは、初めてプレイする人向けに作ってみようと。それで世界観は凝っていて、システムはシンプルにしたソーシャルカードゲームを作ることにしたんです。
――なるほど。では、『ダークサマナー』でインスパイアされたタイトルとは?
斉藤 『ディアブロ』など、いろいろあるんですが、やはり『ダンジョン&ドラゴンズ』の影響が強いでしょうか。僕はいわゆる“洋ゲー”が好きだったので、基本的には洋ゲーをヒントにしています。製作当時、ちょうど『ディアブロ3』の開発がニュースになっているところで、スクリーンショットが出始めていた時期でした。海外での期待がすごく高かったので、このへんのテイストははずせないだろうという感じでしたね。
――『ダークサマナー』は、どれくらいの開発期間で製作されたんですか?
小倉 1年以内には完全に収まっていますね。
椎野 当時は、まだフィーチャーフォンに勢いがあったじゃないですか。そのとき、スマートフォンでいこうと決断したのはすごいよね。
小倉 でも、初めはフィーチャーフォン向けだったんですよ。
椎野 あ、やっぱりそうなんだ。
小倉 当時は、僕とプログラマーのふたりで、2、3ヶ月の期間で、フィーチャーフォン向けに何かゲームを作ろうと動いていたんです。企画自体はいまとほとんど変わらないものだったんですが、これからの時代はやっぱりスマートフォンだろうと言うことで、スマートフォンでクオリティの高いカードゲームを作ろうという方向にシフトしました。
大野 技術的にも、すごく勇気がいることだったと思うんですよね。
――先ほど、海外に向けに製作したとお聞きしましたが、展開も海外のほうが先立ったんでしょうか?
斉藤 はい。海外が先ですね。カナダのほうで、2週間ほど先行リリースを行いました。
椎野 ユーザーの反応はどうでしたか?
小倉 よかったですね。サーバーの調整を兼ねていたので、パブやプロモーションはほとんどしなかったんですが。
椎野 なるほど。ちなみに、前作の『キングダムコンクエスト』の場合は、アジアで最初にテストして、その後にカナダでマーケティングテストを行ったんですよ。ただ、読み過ったのが、アメリカでマーケティングテストを行わなかったこと。カナダとアメリカは市場がクロスオーバーしているので、情報が全部出ちゃっている状況で、アメリカでまだ配信されていないという、最悪の状況になってしまった(苦笑)。
大野 あれは誤算でしたよね(苦笑)。
――日本のユーザーと海外のユーザーに違いはありますか?
斉藤 いちばんの違いは、バトルじゃないでしょうか。日本のユーザーは、ケンカごしのゲームは苦手なのか、ミッションなどでモンスターをコレクトしていくことに楽しみを見出す人が多いと思います。一方、海外の人はバトル好きの人が多くて、バトルの回数が多くなりまりますね。
小倉 そういう話を以前聞いていたので、『ダークサマナー』は、バトルができる回数をほかのソーシャルゲームと比べて多めに設定したんですよ。
椎野 『キングダムコンクエスト2』の海外ユーザーは、北米よりもアジアの人、とくに中国人が圧倒的に多いですが、各国のユーザーごとにはやはり色がありますね。
――『キングダムコンクエスト2』のイベントは、各国共通なんですか?
大野 一応、共通でやっています。ただ、『キングダムコンクエスト2』からは、ワールドワイド感を出していこうかっていう話はしているんですけどね。なるべく、ワールドワイドで盛り上がってほしいと思っているので。
椎野 あと、今後はナショナルで同盟を作るのを推進するようにします。これまでは、ひとつの同盟に各国のユーザーがいたりしたんですが、今後は各国のユーザーで組まれた同盟たちが本気でバトルをしてもらうように、舵を思い切りふってみようと思っています。そんな狙いもあり、意図的にサービス開始の時期をずらした経緯があるんです。
小倉 なるほど。『ダークサマナー』は、日本と海外でサーバーが完全にわかれていますからね。だからそういったことができるのは、正直うらやましいです。
●“ダークファンタジー”にかける思い
――話をお聞きしていると、やはりお互いが相当、“ダークファンタジー”という言葉を意識していると感じました。ただ、ひと口にダークファンタジーといっても、それぞれ特徴があると思いますが、どういったところに違いがあると思いますか?
椎野 僕の印象で作品の違いを指摘すると、先ほどお聞きした通り、『ダークサマナー』はスタンダードな『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をベースにしながらも、独自の新しい解釈を加えて作っているように感じました。逆に『キングダムコンクエスト』は、昔ながらの王道なダークファンタジーですね。『2』はそれをもっとブラッシュアップする方向で、あまり独自解釈は入れないようにしています。
――『ダークサマナー』はどうですか?
斉藤 そうですね。弊社の社員にカナダの方がいるんですが、以前、その方と現地のゲーマーの人たちの意見をいろいろと聞いたときに、ゴブリンの話になりまして。ゴブリンと言うと、小柄な体格で、緑色の皮膚で、鉈のようなものを持っているといったものが、いわゆる王道のゴブリンですよね? それは古典としていいのですが、彼らによると、最近の欧米の文化では「いままで見たことのないゴブリンのほうがクールだ」って言うんですよ。『ダークサマナー』は、もともと海外での展開を考えて制作していたので、それなら王道とはひと味違うものを見せていこうと心がけました。ダークファンタジーという大きなくくりの中で、王道では見かけないような“とんがった”モンスターたちを、どこまで出せるか勝負しようと思いました。
大野 その考えは非常に前衛的ですよね。
斉藤 ありがとうございます。ただ、うちには王道のパターンが足りないので、とんがったモンスターを出しすぎると、ついてきてくれる人がほとんどいなくなるというリスクはありますね。『ダークサマナー』の場合はそのバランスが難しいですが、『キングダムコンクエスト2』には、「これぞ王道のダークファンタジー」という、安心感がありますよ。
小倉 レーティングの問題で、理想のダークファンジーにできないジレンマもありますね。海外の『Mafia Wars』には、相手の処刑方法を選べるアイテムがあるんですが、そういったものを取り入れるとか(笑)。
椎野 僕たちは、往年の名作に追いつきたいというのがスタートなんですね。いずれ、数々の名作をこえるような、ダークファンタジーを作ってみたいと思っています。
―― それは楽しみです(笑)。最後になりますが、メッセージをお願いします。
椎野 僕らが作り上げてきた『キングダムコンクエスト2』の世界に、『ダークサマナー』の血が入ることによって新たな可能性が生まれると思います。そこに期待してください!
小倉 このコラボをきっかけに、新しい刺激をどんどん提供していきます。第2の『ダークサマナー』を見せていきたいと思っているので、この機会にぜひ遊んでみてください。
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Kingdom Conquest II(キングダムコンクエスト2)
- メーカー
- セガネットワークス
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- コピーライト
- (C) SEGA / (C) SEGA Networks
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